著者
森田 婦美子 山本 純子 高橋 弘枝
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.149-154, 2012 (Released:2017-05-10)
被引用文献数
2

口腔ケアは歯科疾患の予防を目的にしたものから,嚥下,構音,審美など広義の口腔ケアの目的が重視されるようになってきた。今回,口腔ケアとして,口腔へのブラシ刺激が,脳血流にどのように影響するのか前頭前野における脳血流の測定をおこなった。すべての研究協力者において上顎硬口蓋のブラッシング時,oxyHbの脳血流量が多く観察された。次いで舌,上顎中側切歯根部の順であった。目視解析においては,左眼窩前頭前野や頭頂葉の前運動領野からのoxyHb血流量増加を認めた。上顎硬口蓋への刺激は舌,上顎中側切歯根部に比較して優位に血流量が増加しており,これらのことから,日常のケアにブラシ刺激を取り入れることで,脳の活性が期待できると考える。
著者
岸 誠司 土井 俊夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.1289-1295, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

クリオグロブリン血症は主として細動脈レベルに生じる全身性血管炎を生じる疾患で,極めてC型肝炎ウイルスとの関連が強い.皮膚,関節,神経系,腎臓等が主として標的となり,特にC型慢性肝炎患者において皮膚病変を認めた場合には注意が必要である.活動性の高い腎病変や全身性の血管炎を呈する免疫抑制療法や血漿交換療法の必要な重症例も存在する.とくにC型肝炎ウイルス関連クリオグロブリン血症については,B細胞関連リンパ増殖性疾患のひとつとして定義されるようになり,慢性的なC型肝炎ウイルス感染と,Bリンパ球のクローン性増殖との関係も次第に分子レベルで解明されつつあり,抗B細胞療法としてのリツキシマブ投与など治療法も進歩しつつある.
著者
片田 敏孝 及川 康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.78-88, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
22

洪水調節を目的に含むダムには明らかに洪水調節機能があるにもかかわらず,その事実が人々に正確に認識されることは一般に希であり,とりわけ洪水災害直後においては“加害者としてのダム”のイメージ,あるいは消極的に表現したとしても“効果のないダム”のイメージが顕在化することが多いのが実情と思われる.本論文は,ダムの洪水調節機能に対する住民理解が,構造物として備え持つ実際の洪水調節機能のありようと大きく乖離しているのが実態であるならば,それは正しく是正されるべきとの立場のもと,そのような乖離の背景を整理するとともに,乖離を是正するための方策の方向性を検証したものである.
著者
松原 優
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.31-40, 2022 (Released:2022-09-29)
参考文献数
38

本研究の目的は,消費者のブランド・スイッチングと消費者のアイデンティフィケーションおよび幸福感の関係を縦断調査に基づき明らかにすることである。2時点の調査に基づく検証の結果,ブランドを通して得られる消費者の幸福感(ブランド・ハピネス:Consumer Happiness through Brand)がブランド・スイッチング行動を抑制する要因であることが明らかとなった。本研究は消費者の幸福度がブランド・スイッチング行動に及ぼす影響を縦断的な調査によって検証した初めての研究であり,本研究により得られた結果は,既存の消費者の幸福感およびブランド・スイッチングに関する知見を拡張するものである。
著者
小関 俊祐 嶋田 洋徳 佐々木 和義
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.45-57, 2007-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究の目的は、児童に対し、EllisのABC理論に基づいた認知的心理教育を行うことによって、抑うつ反応を低減させることであった。対象は小学5年生の1クラス39名を心理教育群とし、1回45分、計2回の認知的心理教育を行った。また、同小学校の5年生2クラス79名を対照群として介入の効果を検討した。抑うつ得点、自動思考得点、スキーマ得点のそれぞれについて、介入前の得点を共変量とし、介入後とフォローアップ期の得点を従属変数とした共分散分析を行った。その結果、心理教育群における抑うつ得点の低減と、自動思考得点、スキーマ得点の機能的な改善がみられた。すなわち、児童における抑うつの低減に対して、認知的心理教育が有効であることが示唆され、さらにその効果は自動思考とスキーマの機能的な変容によってもたらされた可能性が明らかとなった。以上のことから、児童に対する認知的心理教育が、抑うつの低減効果をもつ可能性が示唆された。
著者
儀間 裕貴 儀間 実保子 浅野 大喜
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.247-254, 2020 (Released:2020-06-19)
参考文献数
34

【目的】N 式幼児運動イメージテスト(以下,N 式テスト)と乳幼児発達スケールの各発達領域の関連性を検討する。【方法】対象は3~6 歳の幼児42 名および養育者とした。N 式テストからカード選択レベル(以下,絵カード課題)と姿勢変換レベル(以下,姿勢変換課題)の得点を算出した。養育者には乳幼児発達スケールの回答を依頼し,児の発達全般(運動,言語,社会性など)を得点化した。N 式テストの得点と月齢の相関,各発達領域の関連性を検討した。【結果】N 式テストを完遂できた児は32 名であった。N 式テスト得点と月齢は有意に相関した。絵カード課題得点には,運動,言語(理解・表出),姿勢変換課題得点には,月齢,運動,理解言語,社会性(対子ども・対成人)が有意に関連した。【結論】N 式テストの課題は,それぞれ異なる発達の側面と関連した。姿勢変換課題には対人的な社会性発達が関連し,対人的なやりとりの経験がN 式テストにおける運動イメージに関与する可能性を示唆した。
著者
太田 岳 任 書晃 日比野 浩
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.992-995, 2017-11-05 (Released:2017-11-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
高田 幸路
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.7-10, 2001-01-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
5
著者
齋藤 実
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.134-147, 2006-10-18 (Released:2017-03-30)

わが国において,幼女を狙った性犯罪が相次いで起こり,社会に深刻な問題を投げかけている.そのため,俄かに,性犯罪対策のあり方についての議論がなされているが,現在,議論の中心の1つは,いかに効果的な性犯罪者処遇を行い,再犯を防止するかという点にある.再犯防止のために,諸外国の性犯罪対策の状況を知ることは,わが国で効果的な性犯罪者対策をするために不可欠の要素であろう.本稿では,諸外国の中でも,今まであまり紹介されることのなかった,フィンランドの性犯罪対策について紹介していく.フィンランドにおける積極的な性犯罪対策の歴史は古くはないものの,近年一定の効果をあげているといわれる.フィンランドでは,具体的な性犯罪対策として,刑法改正と性犯罪者処遇を性犯罪対策の二本柱としている.そこで,本稿では,フィンランドの性犯罪対策を紹介し,これらのわが国の導入の可能性を検討した.
著者
中野 綾子
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.139-157, 2015-03-20 (Released:2019-03-31)

本稿では,アジア・太平洋戦争下における戦場での兵士の読書行為について,慰問雑誌(特に『陣中倶楽部』と『兵隊』)を中心に分析を行うことで,戦場の読書空間を明らかにすることを目的とした.それにより,国内出版文化における慰問雑誌の重要性を指摘し,戦場の読書空間における兵士間の読者層の問題や諸外国との競争意識,さらに軍隊教育装置としての役割を明らかにした.
著者
石原 三也 本間 真人 久能 英子 渡邊 真知子 幸田 幸直
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.9, pp.695-701, 2002-09-01 (Released:2003-02-18)
参考文献数
51
被引用文献数
22 19

The intestinal bacteria, Eubacterium sp. and Bifidobacterium sp., participate in the metabolism of active kampo-ingredients, glycyrrhizin (GL), sennoside (SEN) and baicalin (BL). Since antibiotics and bacterial preparations, Bifidobacterium longum (LAC-B®), Clostridium butyricum (MIYA-BM®), and Streptococcus faecalis (BIOFERMIN®), affect the bacterial population in intestinal bacterial flora, metabolism of the active kampo-ingredients in the bacterial flora may be altered by their combined administration. We investigated 1199 prescriptions including kampo-medicines for 308 patients. Combination use of kampo-medicines with antibiotics and bacterial preparations occurred with 7% and 10% of the kampo-prescription, respectively. Most antibiotics have activity against intestinal bacteria, except that cephems and macrolides are not active against to E. coli. This means that antibiotics may lower the metabolism of GL, SEN and BL when administered in combination. On the other hand, it is also highly possible that bacterial preparations increase the number of Eubacterium sp. and Bifidobacterium sp., resulting in enhanced metabolism of GL and SEN when they are used concomitantly with kampo-medicines. The present results suggested that the drug interactions of kampo-medicines with antibiotics and bacterial preparations should be confirmed in clinical studies.
著者
馬場 真奈美 伊藤 彰教
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第300回研究会講演予稿
巻号頁・発行日
pp.327-330, 2022 (Released:2023-03-31)

本研究では,FPS ゲームの銃声音とプレイパフォーマンスの関連性を調べるため,『VALORANT』を対象として,音と見た目の変化による印象評価実験を実施した.ゲーム内での2種類の銃を対象とし,それぞれの銃の標準状態および見た目・音のバリエーションを作成する「スキン」を適応した状態を4種ずつの計 10 種を実験刺激として選定した.ゲーム内の練習用射撃場ステージにて,この 10 種の武器を3回ずつ,計 30 回のプレイを実施し,打ちやすさに関する印象評価およびクリアタイムを算出した.20 歳から 25 歳の男女計 12 名の被験者に対する評価実験を実施したところ,見た目および音のいずれも,プレイパフォーマンスに対して統計的に有効な測定結果を得ることはできなかったが,見た目の変化およびこれに伴う音の変化に対する印象には,ある種の従属関係がみられる可能性が示唆された.