著者
Susumu Ohtsuka Kazuhiko Koike Dhugal Lindsay Jun Nishikawa Hiroshi Miyake Masato Kawahara Nova Mujiono Juro Hiromi Hironori Komatsu
出版者
The Plankton Society of Japan, The Japanese Association of Benthology
雑誌
Plankton and Benthos Research (ISSN:18808247)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-13, 2009-02-25 (Released:2009-04-20)
参考文献数
91
被引用文献数
45 53

Since marine medusae and ctenophores harbor a wide variety of symbionts, from protists to fish, they constitute a unique community in pelagic ecosystems. Their symbiotic relationships broadly range from simple, facultative phoresy through parasitisim to complex mutualism, although it is sometimes difficult to define these associations strictly. Phoresy and/or commensalism are found in symbionts such as pycnogonids, decapod larvae and fish juveniles. Parasitism and/or parasitoidism are common in the following symbionts: dinoflagellates, ciliates, anthozoan larvae, pedunculate barnacles, anuropid isopods, and hyperiid amphipods. Mutualism is established between ctenophores and gymnamoebae, and between rhizostome medusae and endosymbiotic dinoflagellates. More information on symbiotic apostome ciliates, anthozoan larvae and hyperiid amphipods is definitely needed for further studies in consideration of their high prevalence and serious damage they can inflict on their hosts. The present paper briefly reviews previously published data on symbionts on these gelatinous predators and introduces new information in the form of our unpublished data.
著者
豊田 暁宏 柏女 霊峰 Akihiro Toyoda Reiho Kashiwame
雑誌
淑徳大学大学院総合福祉研究科研究紀要 (ISSN:18807755)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.67-85, 2022-09-30

本研究は,保育士離職防止のための公定価格における課題,課題克服のための施策について,社会福祉施設運営管理の視点から明らかにすることを目的とし,文献研究,インタビュー調査を行った。その結果,「保育士配置基準の改善」,「民間施設給与等改善費の見直し」,「ノンコンタクトタイムの保障」,「11時間開所問題の改善」の4点の改善,インタビューでは「ノンコンタクトタイムのための場所の確保」,「昇給財源の安定性の確保」の必要性が示唆された。増加分のノンコンタクトタイムや人件費の活用方法には法則性がある可能性が示唆され,活用方法の違いは,保育士配置基準に対して,保育士に余剰がある状態かどうかであった。配置基準に準ずる場合,残業等の補填として使用され,余剰がある状態で研修等の保育の質向上,賃金改善としての使用が想定される。このことから,特に保育士配置基準の改善が優先して求められることが示唆された。
著者
秋山 余思
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.7, pp.51-61, 1958-12-30
著者
広瀬 幸雄
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.97-104, 2019-03-30 (Released:2019-07-10)
参考文献数
37

本論文では,社会心理学においてゲームシミュレーションが研究や教育の方法として利用されてきた経緯を振り返り,ゲームシミュレーションの課題と今後の可能性について議論する.社会学の教育プログラムとしてのSIMSOCを社会心理学の研究方法として利用するためにゲームの仕組みを大幅に改変した仮想世界ゲームは,リーダーシップの発生や社会的アイデンティティの獲得,さらには社会的ジレンマの解決のダイナミックなプロセスを分析する有用な道具であることが確認できた.また,人々の望ましくない行動によって生じる社会問題の解決策を発見するために,様々なゲームシミュレーションが社会心理学者によって開発されて,大学だけでなく地域において教育プログラムとして利用されるようになった.そうしてゲームシミュレーションは社会心理学では実験室実験や社会調査の代替的な研究・教育方法としての評価が得られるようになった.今後の課題としては,高レベル放射性廃棄物の地層処分のようなNIMBY問題など人々の価値観の対立によって合意形成が困難な問題の解決策を検討するためのゲームシミュレーションを開発し,解決策を促進阻害する要因を発見することが必要となるであろう.
著者
宮地 清光 猪原 明子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.2107-2115, 2019-10-10 (Released:2020-10-10)
参考文献数
17

45~55歳の期間は更年期と呼ばれており,エストロゲン低下が女性特有の多彩な症状をもたらす.その症状に加え,朝のこわばり,手指の疼痛ならびに乾燥感があると,関節リウマチやSjögren症候群ではないかと心配し,内科医を訪れる患者が多い.関節の腫脹がなく,CRPの上昇がなければ,関節リウマチの可能性は少ないが,リウマチ反応がみられ,抗CCP抗体及び抗核抗体が陽性である場合は,適切な対応が必要である.閉経後であれば,ホルモン補充療法が有効であることが多い.
著者
安藤 馨
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

前年度に引き続き、率直に言って、コロナ禍の影響はとりわけ研究の公表に関して本研究においても避けることはできなかった。しかし、事実認定的な法的言明が認定者の動能的な(=非認知的な)心的状態を表出しており、表象主義 representationalism の下で信念がそのようなものとして描かれがちであるような、純粋に認知的な(すなわち、世界をそのまま表象しようとする、世界から心への適合方向のみを有する受動的な)心的状態を表出するものではない、という点についての理解が深められた。すなわち、事実認定的な言明が表出する「pということにして話を先に進めよう being for proceeding as if...」という心的態度がどのようなコミットメントを伴っているかについて、理解が深められた。「p ということにして話を先に進めよう」という主体は、以降の推論において、not p を主張しないというコミットメントを有し、以降の推論において p → q を受け入れた場合には q を主張するというコミットメントを有することになる。他方で、これらのコミットメントは、いわゆる推論主義 inferentialism が、p を主張するという行為に伴うものとして挙げているコミットメントそのものである。したがって、事実認定的な法的言明ではないような、通常の認知的主張については表象主義的な意味論が妥当なものとして成立する一方で、非認知的なコミットメントを伴う事実認定的な法的言明については推論主義的分析が適用可能である、ということができるようになる。これは、「pである」という事実認定的法的言明を「pは法的に正当である」という規範的様相に包まれたものとして分析してきたやり方を大きく離れ、法的言語を意味論レベルで通常の言明と異なった構造を有する特異なものとして分析するという可能性を示すものである。
著者
上野 千鶴子 盛山 和夫 松本 三和夫 吉野 耕作 武川 正吾 佐藤 健二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

新しい「公共性」の概念をめぐって、公共社会学の理論的な構想を提示し、「自由」や「感情公共性」その応用や展開の可能性を示した。福祉とジェンダーについては定量および定性のふたつの調査を実施し、報告書を刊行した。その調査結果にもとづいて、福祉多元社会における公共性の価値意識を比較検討し、さらた具体的な実践の可能性を求めて、地域福祉、住民参加、協セクターの役割、福祉経営、ケアワークとジェンダー等について、経験データにもとづく分析をおこなった。ジェンダーと階層をめぐって、少子高齢社会と格差問題について、高齢者の格差、若年世代の格差、少子化対策とジェンダー公正の関係等についても、経験データにもとづいて、比較と検証をおこなった。福祉社会については、「自立」と「支援」のその理念をめぐって、その原理的な検討と歴史的な起源についても検討を加えた。文化と多元性の主題では、多文化主義と英語使用の問題、文化資源学における公共性、公共的な文化政策の実態と問題点について、研究を行ったほか、近代における宗教と政治の位置についてもアプローチした。また営利企業における公共性とは何かというテーマにも切り込んだ。環境については地球環境問題における「環境にやさしい」技術の関連を社会学的に分析し、新しい知見をもたらした。詳細は、科研費報告書『ジェンダー・福祉、環境、および多元主義に関する公共性の社会学的総合研究』を参照されたい。チームでとりくんだ4年間の成果にもとづき、現在東京大学出版会から『公共社会学の視座(仮題)』 (全3巻)をシリーズで年内に刊行するよう準備中である。
著者
渡辺 寧
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.27-34, 2016 (Released:2018-08-15)
参考文献数
27

A future perspective of the supply of mineral resources is discussed on the basis of the example of rare earth elements (REE). Rare earth elements have been produced from monazite, bastnäsite, and ionic clay ores mostly in China during the last two decades. However, Chinese resource nationalism over the production and export has made the supply of REE unstable in terms of price and quantity. A possible alternative REE source is phosphate ores, which contain a few amount of REE as impurities with some toxic and radioactive elements. Despite low in REE concentration in phosphate ores, more than 300,000 tons of REE (as oxides), which correspond to more than two times of present-day REE demand in the world, are included in the ores annually produced from the mines for fertilizer production. The recovery of REE with other impurities from phosphate ores is beneficial not only to produce REE but also to avoid pollution in farming lands. While our society shifts from the plundering one to the sustainable one, in which mineral resources would be completely recycled, it is desired to recover all the by-product elements from the major ores in order to decrease the impacts on the environment and trigger innovations in the manufacturing industry.
著者
梶 茂樹
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.1-28, 2012 (Released:2021-09-15)
参考文献数
12

サハラ以南のアフリカは,いわゆる無文字によって特徴づけられてきた。しかし無文字社会というのは,文字のある社会から文字を除いただけの社会なのだろうか。実際に現地で調査をしてみると,そうではなく,われわれの想像もつかないようなものがコミュニケーションの手段として機能していることがわかる。本稿では,私が現地で調査したもののうち,モンゴ族の諺による挨拶法と太鼓による長距離伝達法,テンボ族の人名によるメッセージ伝達法と結縄,そしてレガ族の紐に吊るした物による諺表現法を紹介し,無文字社会が如何に豊かな形式的伝達法を持ちコミュニケーションを行っているかを明らかにする。無文字社会では,言語表現が十分定形化せず,いわば散文的になるのではないかという一般的想像とは逆に,むしろ彼らのコミュニケーションは形式的であり韻文的である。それは文字がないことへの対応様式であり,共時的に,そして世代を通して伝達をより確かなものにする努力の表れと理解できるのである。
著者
金丸 彰寿 片岡 美華
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.323-332, 2016 (Released:2019-02-05)
参考文献数
48
被引用文献数
1

本稿では、「交流教育」「共同教育」および「障害理解教育」の歴史的変遷を整理した上で、三者の関係性について教育目標の視点で論じた。三者の歴史的変遷においては、まず「交流教育」が先に文部省によって提唱され、その後、交流教育を批判しつつ、障害のある子どもと障害のない子どもとの平等な関係を築く「共同教育」が発展する。そして、これらの実践の蓄積から障害や障害者問題を取り立てて学習する必要性が生じ、その結果として「障害理解教育」は誕生した。さらに三者の関係は以下のように位置付けられた。つまり、1)「共同教育」は障害のある子どもと障害のない子どもとの対等かつ平等な関係形成を図る教育目標をもつこと、2)「共同教育」は子どもたちの発達に応じて、集団対集団での共同学習を保障する教育目標があること、3)「共同教育」ならびに「障害理解教育」は子どもたちの「障害や障害者問題に関する科学的な認識」を深めることを指摘した。