著者
平川 祐弘 Sukehiro HIRAKAWA
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.163-183, 2005

ハーンの『因果話』は松林伯円の『百物語』を基に英語で再話した怪談だが、嫉妬した女の手が、死後も相手にくっついたまま離れないという恐ろしい話である。ハーンは原作者と違って平和な風景の中で話を始めることで怪談の効果的な結びをきわだたせた。アイルランドの怪談作家ルファニュもThe Handという作品で白い手という身体の一部分の神出鬼没を描いたが、その手が出没する動機が説明されておらず、そこに読者の側の不満が残る。読者は怪談の中でも合理性のある話の筋を求めているからである。超自然的な現象であろうともハーンの『因果話』には女の嫉妬という動機があった。同様にモーパッサンのLa Mainにも復讐という動機が超自然的な、切断され、鎖に繋がれた手による相手の殺害を説明している。モーパッサンの『手』を読むと、その中に用いられた蜘蛛のイメージをハーンが『百物語』を再話する際にも用いたことが知られる。ちなみにハーンはモーパッサンの『手』の英訳者でもある。
著者
加藤 進 前田 陽一郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.127-127, 2008

近年における人間とのインタラクションを目的としたヒューマノイドロボットの研究は急速な発展を遂げており、工学的な分野だけでなく心理学、哲学、医学的分野からのアプローチが積極的に行われている。しかしロボットと人間とのコミュニケーションにとって最も重要な心についての研究は始まったばかりである。本研究室においても人工感情モデルについての研究が進められており、情動と神経修飾物質と強化学習システムにおけるメタパラメタの関連性に基づく情動行動学習システムを構築してきた。 本研究では本システムをより現実の生物の挙動に近づけるために、ストレス反応を有する情動行動学習システムを提案する。この情動行動学習システムを組み込んだ生物エージェントを仮定したシミュレーション実験を行いその有効性を検証した。また感性評価実験として被験者である人間がエージェントの動作から感じた情動とシステムの情動との比較を行った。
著者
光成 滋生 渡辺 秀行 吉田 真紀 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.212, pp.117-122, 2002-07-12
参考文献数
17
被引用文献数
5

本稿では放送型コンテンツ配信における不正者追跡問題を考える.従来の配信法は,想定された人数以上の不正者の結託により追跡不可能な海賊版復号器を作製することが可能になるという問題点をもつ.筆者等は,既に楕円曲線上のヴェイユペアリングを用いることにより,この結託問題を解決する方式を提案した.本稿ではこの方式を拡張し,鍵漏洩の自己抑止力と非対称不正者追跡機能,および加入者排除機能をもつ方式を提案する.提案方式では放送量は従来方式より小さく,また加入者が何人結託したとしても結託者以外の個人鍵を生成することができないという拡張前の方式の特長を受けもつ.
著者
亀本 雄一郎 高橋 良寿 山岸 滋
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.71-76, 1964-02-29 (Released:2009-03-26)
参考文献数
4

The studies on corrosion of impermeable graphite by molten bismuth and molten bismuth-lead alloy were made under several conditions. The graphite samples, which were isothermally immersed in molten bismuth or bismuth-lead alloy at 450°, 550° or 700°C for 210 hr, were observed changes in neither weighing test nor microscopic test.If the thermal cycle of heating (550°C)-cooling (solidification) was added to the bismuth in which the graphite samples were dipped, the cracks were induced in the samples. It was found by the microscopic method and the autoradiography that the result abovementioned was caused by the volume expansion of bismuth. When the bismuth filled in pin-holes of graphite solidified, the bismuth expand and spread the pin-holes. These pin-holes were connected each other and grew into cracks.
著者
山岡 俊樹
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.89, 2012 (Released:2012-06-11)

GUIデザインを評価する評価する3種類の方法を提案した.1つは仕様書(コンセプトターゲット表)と一体となったGUIチェックリストである.2つ目は3つの評価項目で評価を簡便に行う方法(SUM)である.3つ目は様々なデータ解析が可能な本格的な評価方法(ユーザビリティタスク分析)である.3方法とも実験協力者がいなくとも,実験者自ら評価が可能である.また,データ解析が定量的にも行うことができる様に配慮されている.
著者
深野 徹
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.92-98, 1992-03-15 (Released:2011-02-22)
参考文献数
10

今回は流動様相という語句の周辺の用語について述べる。この語句は気液二相流特有の学術用語というより、一般的な意味あいが強いし、この語句のもとに定義されている気液二相流の様相自体もまた、使用している研究者によって必ずしも同じではないように思える。すなわち流動現象の複雑さと、それを観察する研究者のphilosophyによって、同じ語句のもとに違った流動様相を頭に描いている可能性がある。このことは、以下の説明にみられるように定量的に定義されているのではなく、観察者の感性に依っている面が多いことにも示される。したがって本解説にはあいまいな点が多く、かつ著者の独断も多く含まれているので、賢明なる読者諸氏の意見をいただければ幸いである。なお流動様式の名称としてここで述べなかった語句は数多いが、それらについては文献 (5) に詳述されているので、それらを参照していただきたい。
著者
深野 徹
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.189-190, 1992-06-15 (Released:2011-02-22)
参考文献数
1

数式・数量やあいまいさの入りようのない明りょうな表現による言葉、で定義されていない場合は、同じ語句であっても使用者によって若干異なった意味あるいは現象を表わしていることがある。前回に述べた流動様式の定義にもその一例が見られた。本稿では同じような現象を対象にしながらも、観点や立場によって表現すなわち語句 (用語) が変わってくることもあり得ることを「沸騰二相流」という語句を介して考えてみたい。
著者
大塚 英志 本多 マークアンソニー 山本 忠宏 中島 千晴 尹 性喆 泉 政文 菅野 博之 杉本 真理子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

近代を通じて雑誌など紙のメディアで発達して来たまんが表現がインターネット上に移動したとき、コマの配列やつながり方を中心とする「まんがの文法」は、いかに新しい環境下で変化すべきか、その新しい国際標準のあり方を仮説と実作の反復によって検証し、いわゆる「リミテッドアニメ」に近い形式が相応しい、と結論した。「リミテッドアニメ」とは、静止画をレイヤーとして重ねたカットをモンタージュして行く手法でまんがにおける映画的手法と一体であり、Webコミックの将来形は「リミテッドアニメ」であるという結論を得た。また、調査過程で文化間のまんが文法をふまえたまんが創作教育の教授法についても成果が出た。
著者
高橋 正昌 野崎 利光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06

近年、暴力団以外の者の拳銃入手が容易になり、一般社会への拡散と相次ぐ発砲事件へとつながっている。このため、発砲を検知するシステムの開発が必要となっている。本稿では銃音検知器開発のための基礎実験として、銃音及び環境音を測定したので報告する。
著者
Mitsuteru Sato Yukihiro Takahashi Makoto Suzuki Atsushi Yamazaki Tomoo Ushio
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.131, no.12, pp.1000-1005, 2011-12-01 (Released:2011-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
6 10

Six-channel spectrophotometers (PH) are the science instruments of JEM-GLIMS to measure absolute intensity of the emission originated from lightning discharges and upper atmospheric transient luminous events (TLEs). PH unit-1 (PH-U1) consists of four spectrophotometer channels named from PH1 to PH4, while PH unit-2 (PH-U2) two spectrophotometer channels named PH5 and PH6. Optical filters of these spectrophotometers are selected to detect TLE emission lines of N2 1PG, N2 2PG, N2+ 1NG, and N2 LBH. Since the bandwidth of the optical filter of PH2, 3, 5, and 6 is 10 nm and since PH1 measures NUV emission, photomultiplier tubes with high-voltage converters are used as a photon detector. To the contrary, PH4 uses a photodiode as a photon detector because the pass-band of the optical filter is enough wide to detect transient optical emission. Though PH does not equip spatial resolution, it can acquire light curve data with a high time resolution of 50 μs with a 12-bit resolution. Thus, the combinational analysis of PH data and Lightning and Sprite Imager (LSI) data, it is possible to clarify the relationship between TLEs and their parent lightning discharges, the occurrence condition of TLEs, and the energy of the electrons which excite TLE emission.
著者
山崎 征子 小田 義隆 上村 晶
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.107-116, 2012-03

2009年度から「子ども理解」を深める姿勢を培う取り組みである「子ども発見ノート」の実践を開始して3年目をむかえた。本稿は、2009年度に入学した学生を対象とした継続的な「子ども発見ノート」の取り組みに関する分析の2年目にあたる。この取り組みを2年間継続したことの有効性を可視的に数値で表わすとともに、学生たちが継続して「子ども発見ノート」を記録し続けたことによって修得した学びの実態(「子ども理解」に関する成長)を考察したものである。
著者
佐藤 彰洋 中村 豊 池永 全志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.346, pp.73-78, 2011-12-08

SSH総当り攻撃による被害は深刻さを増していることから,管理者にとって,その攻撃への対策は急務である.従来,管理者は,アクセスログやトラフイックから得られる情報を元にSSH総当り攻撃の発生を検出してきた.しかしながら,前者は,ネットワークに存在する全てのサーバのアクセスログを確認することは困難である.また,後者は,攻撃による被害の有無を把握できないことが問題となる.このような問題を解決するため,本稿では,フローの特徴に基づくSSH総当り攻撃検出手法を提案する.実験の結果,提案手法により通常の通信と総当り攻撃に加え,攻撃による被害の有無を高精度で識別できることを確認した.
著者
日本システムアナリスト協会不条理なコンピュータ研究会
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.599, pp.210-212, 2004-05-03

有力システム・インテグレータA社は、社内システムを刷新した。ところが、要件定義のとりまとめを行うべき部署がその役目を果たさず、開発の進め方などに口を出して、かえってプロジェクトを妨げた。これはインテグレータだからこそ起こりやすい問題だった。プロジェクトを客観的にみて評価・仲裁する第三者が不在になり、問題部署の暴走を止められなかった。
著者
菊地 哲夫 Tetsuo KIKUCHI 東京農業大学生物産業学部産業経営学科 Department of Business Science Faculty of Bio-Industry Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.140-149,

本稿の目的は,仲卸業者の財務状況を把握して,仲卸業者が抱えている経営課題を考察することである。事例として東京都中央卸売市場の仲卸業者を対象とした。財務分析は,収益性,生産性,安定性の3つの視点より行い,さらに総合評価を加えた。その結果,収益性や生産性が他の卸売業(中小企業)に比較して低い点が明らかとなった。現在,仲卸業者の定数制がとられている。経営効率の高い仲卸業者による市場運営を形成してもらうためには,規制を撤廃して参入・脱退を自由にするべきである。また,卸売市場法の改正(2004)により,これまでの業務上の規制が大分緩和された。規制緩和をビジネスチャンスとして,積極的に業務の拡大を図っていくことが望まれる。これらの課題に対処し,経営基盤の強化を図っていくことが重要である。The present paper aims to ascertain the financial situation of intermediate wholesalers and examine business problems that these wholesalers face. As a case study, the present study focuses on intermediate wholesalers in the Tokyo Metropolitan Central Wholesale Market. Financial analysis was performed from the perspectives of profitability, productivity, and stability and an overall assessment was made. The results revealed that the intermediate wholesalers studied had low profitability and productivity compared with other wholesalers (small businesses). Currently, the system for ensuring a constant number of intermediate wholesalers is in place in Tokyo. To ensure high management efficiency in market operations by intermediate wholesalers, the present regulations should be abolished and entry to and withdrawal from the market should be liberalized. In 2004, operating regulations were substantially relaxed following the revision of the Wholesale Market Law. Intermediate Wholesalers should seize the business opportunities liberalized by such deregulation by actively seeking to expand operations. These issues must be addressed and the business framework must be strengthened in order to improve the profitability and productivity of intermediate wholesalers.
著者
江藤 明
出版者
別府大学
雑誌
芸術学論叢 (ISSN:09143149)
巻号頁・発行日
vol.15, 2004-02-14

別府大学文学部芸術文化学科30周年記念