出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1316, pp.136-138, 2005-11-14

11月のある日、東京都練馬区の総合スーパーマーケットの店頭に、シャンプーの「ラックス」が棚にずらりと並んだ。そこには「ユニリーバ」の文字がプリントされたはっぴをまとう男が立ち、甲高い声で客を寄せて、店頭を賑わせている。
著者
日向 一雅 袴田 光康 長瀬 由美
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

源氏物語の研究は大きく本文研究、作品論研究、注釈史・享受史研究に分けられるが、本研究では源氏物語の中世近世の注釈史・享受史における儒教的仏教的言説を対象として、その歴史的背景を明らかにするとともに、それが源氏物語の主題や作品論に深く関わることを明らかにした。
著者
早川 聞多 鈴木 貞美 井上 章一 小松 和彦 鈴木 貞美 早川 聞多
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

日本における生命観についての学際的、総合的研究の一環として、性愛についての学際的・通史的研究を課題として取り組み、関連図書約500点余を購入し、国際日本文化研究センター図書室に入れた。最終年度の研究代表者、早川聞多は、絵画、とりわけ徳川時代の浮世絵春画を対象とし、そこに書かれた言葉と描かれた絵との関連を分析する新たな手法による研究を重ねて、徳川時代の性愛、とりわけ男色などに関する風俗全般の表象の研究を飛躍的に発展させた。前二年度にわたる研究代表者、鈴木貞美は、とくに明治後半期から大正期の生命観と性愛観の変容の過程を、進化論受容や大正生命主義などの思想史、「自然主義」などの文芸思想の展開、および文芸上の性愛の表現を探る論考を重ねた。井上章一は、風俗史の観点から、近・現代において性愛の営まれる場所の諸相の解明を中心に、未開拓の分野に成果をまとめた。小松和彦は、近親相姦の伝承に関して取り組み、その端緒をひらいた。全体としては、性愛学(セクソロジー)の隆盛の中で、手薄であったり、未開拓であったりした領域を開拓したものの、「生命観から見た性愛観」という角度に絞ったまとめがなし切れなかった。「生命観」という研究対象がアモルフなものなので、研究過程にあっては、いたしかたないともいえるが、今後は「生命観」の研究それ自体の確定とアプローチの角度の分節化など、方法の明確化が必要であるとの結論に達した。鈴木貞美がこれを今後の課題として分担することを確認し、終了した。
著者
得 津晶
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

銀行法や独占禁止法上の株式保有制限等の業法規制が、適切な会社経営のインセンティヴのある者(株主)に議決権を認めるという会社法上の考慮を実現する機能を果たすことを導き、従前の私的利益の議論と関係することを導いた。他方、私的利益規制論は会社への出資のうち株式のみに着目したものであるため、一般的・普遍的な議論はできず、広く資金提供者にコミットメントを供給することが重要であるとした。
著者
土佐 朋子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

23本の『懐風藻』写本についてほぼすべての調査を行い、同時に新たに12本の『懐風藻』写本を紹介した。その結果、これまでの群書類従系統とその他の系統に区分する考え方を改め、群書類従に至るまでの本文系統、すなわち江戸期の書写活動の過程における本文派生状況を明らかにする必要性を指摘した。とくに、江戸初期の林家における書写活動の過程で、複数の本文が生じた可能性を指摘した。また、現存最古の注釈書『懐風藻箋註』を翻刻し、その作者今井舎人が系譜学者鈴木真年であることを確定し、歴史的関心から施される江戸期版本書入と比較して、漢籍に典拠を求める注釈姿勢の異質さを明らかにした。
著者
田部 陽子 岩渕 和久 笹井 啓資 金 林花
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、低線量放射線がヒト生体内の微小環境の中で、前がん状態の細胞に対して発がんに関与する遺伝子発現やその調節機構にどのような影響を与えるのかを調べることを目的とした。研究の結果、①低線量放射線ストレスによって前がん状態の細胞内では遺伝子の発現を抑制するmicroRNAを介した遺伝子発現コントロールが機能し、遺伝子とタンパク発現が変化すること、②生体微小環境内に存在する間質細胞が、直接・間接的にこれらの前がん細胞内での低線量放射線による遺伝子・タンパク発現変化に関わっていること、が明らかになった。
著者
中村 嘉志 並松 祐子 宮崎 伸夫 松尾 豊 西村拓一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1349-1360, 2007-03-15
被引用文献数
13 8

本論文では,位置センサや方向センサを用いなくても,方向に関連付けられた赤外線タグを複数利用することで,人やモノなどのオブジェクトのトポロジカルな二次元の位置関係および向き関係を推定できる手法を提案する.実世界における人を対象とした状況依存型システムでは,人やモノの位置関係をいかにして手軽に取得するかが重要な課題の1 つである.特に人は,何らかの意図や意味があってそこにいるため,位置や向き関係の情報はその人の状況を反映していることが多い.とりわけ向き関係の情報は,向き合っているのかそれとも背中合わせなのかによって同じ位置関係にあっても意味が異なるように,人対人や人対モノの関係において位置関係だけでは困難なより詳細な状況を反映すると考えられる.そこで本論文では,実世界でのオブジェクトの向き関係に着目し,それらから空間全体でのオブジェクトの位置および方向を推定する新たな手法を提案する.計算機シミュレーション実験と試作システムの実機実験を通じて,本手法が位置および向き関係を実世界において推定できることを示す.This paper proposes a method for estimating an object's two-dimensional (2D) position and orientation based on topological information collected using infrared tags without any special location sensors or direction sensors. Estimating a user's location and articles irrespective of circumstances is an important issue for context-aware systems. Because users are present in a location with some purpose or intention, a user's position and orientation clearly reflect their context. Especially, orientation information can reflect a more detailed context than that obtained merely according to the location: people standing face-to-face or back-to-back would have vastly different contexts. In this paper, we particularly examine an object's orientation and describe a new method for estimating an object's position and orientation in an indoor, real-world environment. With a simulation and an implemented prototype system, the experimental results demonstrate the feasibility of our estimation method.
著者
上野 道雄 宮崎 英樹 塚田 吉昭 沢田 博史
出版者
独立行政法人海上技術安全研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1軸船型と2軸船型およびポッド推進器装備船型(バトックフロー船型)を取り上げて、これら主船体の斜航・旋回中の左右力と回頭モーメントに関する基本的な操縦流体力特性を実験的に系統立てて明らかにした。高次の細長体理論と翼理論ならびにCFD(数値流体力学)によって、ポッド推進器装備船型に取り付けた各種スケグの効果も含めたこれらの流体力特性を精度良く推定することができることを示すとともに、これらの手法を用いて操縦運動中の船体周りの流場構造を明らかにした。
著者
和田 幸信
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.596, pp.131-138, 2005
被引用文献数
1

This paper deals with the systems and the applications of preservation of areas around 500m of historic monuments in France. Since 1943, all construction projects connected with historic monuments are controlled by the Architects of French Buildings (ABF) who attached to each prefecture by the ministry of culture. Though ABFs can decide to authorize a plan, in application of the systems they consult with the applicant of the project and order modifications. If applicants are not contented with a decision by ABF, they can appeal to a regional governor.
著者
三平 満司 伊藤 毅
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.37-47, 1993-01-15
被引用文献数
15 3

移動車両のダイナミクスはnon-holonimicな拘束を持つ運動方程式で表わされるため, 一般のロボットのように容易に制御系を構築することができない.ここでは非線形制御理論を用いて車両の軌道を制御する方法を提案する.具体的には非線形制御理論における厳密な線形化手法と, 時間軸変換を用いて移動車両の直線経路追従制御のためのコントローラを設計し, さらに車両が曲がり角を曲がるときや, 車両の車庫入れなどに有効な車両の移動計画について述べる.
著者
熊澤 茂則 杉山 靖正 太田 敏郎 中村 純
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ミツバチの生産物であるプロポリスは、健康食品素材として広く利用されている。本研究では、プロポリスの機能性について化学的および生物学的アプローチから解明することを目的とした。特に、韓国済州島産およびソロモン諸島産のプロポリスの成分研究を行い、済州島産プロポリスについては現地における調査も行うことで、起源植物(プロポリスの原料植物)が明日葉であることを明らかにした。ソロモン諸島産プロポリスからは、いくつかの新規プレニルフラボノイドを見出した。さらに、沖縄産プロポリスおよびその構成成分に関するin vitroおよびin vivoにおけるガン血管新生抑制活性についても評価した。
著者
千葉 功
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学文化史研究 (ISSN:13463993)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.29-47, 2002-06-25
著者
工藤 洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

「生物の同調現象」として植物の応答を研究することにより、それにかかわるメカニズムの機能を自然条件下で理解することが目的である。時系列トランスクリプトーム解析を元に3つの研究課題を実施している。①新規に発見した‘生育終了’同調現象の制御因子を同定し機能を解析する。②複雑な自然状況下での遺伝子ネットワークの機能を理解する。③遺伝子発現の応答をバオイマーカーとして利用し、環境を推定する。①これまで選抜してきたシロイヌナズナ生育終了時期のミュータントラインから選んだ6ラインをリシーケンスし、SNP解析により、変異のある座位のリストを作成した。また、そのうち4ラインについて掛け合わせ実験を行いF1から種子を採取した。30年度にF2を分離させ、Mut-Seq法による責任変異の道程を行う予定である。②自然の複雑な状況における機能に焦点を当て、自然集団の時系列ヒストン修飾解析を実施している。ヒストン修飾(活性修飾H3K4me3と抑制修飾H3K27me3)について、鍵となる花成抑制因子FLCの2年間のデータをもとにモデリングを行い、H3K27me3が過去の転写状況を反映して制御されることを見出した。全ゲノムについては1ヶ月毎に1年間のデータを取得し、抑制型ヒストン修飾H3K27me3が多くの遺伝子で同調的の変化するという現象を発見した。この同調的変化現象は、より高次元のクロマチン構造を介した制御の存在を示唆している。③トランスクリプトームをバイオマーカーとし、植物を「環境測器」として利用する。バイオマーカー利用の対象をウイルス量とし、ウイルス接種・温度操作実験とを実施するとともに自然集団でのトランスクリプトーム解析の結果を分析した。
著者
松久 公嗣 加藤 隆之 藤田 志朗 坂井 孝次 尾立 和則 青木 朋子 坂本 英駿
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

美術史上の評価が定まっていない福永晴帆とその作品について,宗像大社御便殿に現存する襖絵や腰障子絵の調査を中心に,視覚的効果の高い模写による実証的研究を通して技法や材料的な側面から晴帆の芸術性を分析した。また,晴帆のご息女ならびにお孫さんへの取材調査によって,色紙作品75点と直筆覚書他の資料を発見し,晴帆の画歴や人物像の一端を明らかにした。本研究の成果は,「福永晴帆日本画展」(2014.6.3-6.29,海の道むなかた館)を開催して広く公開する。