著者
松本 恭治
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

多くの地方都市で中心市街地の空洞化が進行している。既存マンションの足元の店舗も閉店・休業が多い。シャッター街、空き家群の中に新築の分譲マンションが建てられると市街地の再生を望む地域の人々は、これで活気が取り戻せるのではないかと淡い期待を持つ。しかし、期待を込められた新築マンションがたとえ完売しても、さして時間を置かずに低価格化し不良住宅化する懸念を抱かざるを得ない。一方目を郊外に転じると、市街化調整区域と隣接町村では官民が競って宅地造成と戸建て住宅建設に長く邁進してきた。大都市圏に比べて戸建ての敷地は広く価格も安い。住宅市場における分譲マンションの人気が低く、多数の住宅が賃貸住宅に転じている。20年経っても多くのマンションの修繕積立金は当初の低い金額に据え置いたままで大規模修繕を先送りしている。廃墟に等しいマンションも生まれた。群馬県では大都市圏より遅れて分譲マンション開発が進み、大都市圏より早く問題住宅化するが、個人資産の問題としてこれまで行政が積極的に対応したことはない。このような状況では健全な街づくりが困難である。そこで本研究は地方都市における分譲マンションが都市崩壊のキーワードとなるか、都市再生のキーワードとなるかを確認すべく実施した。願うべくは都市再生である。なお従来の分譲マンション研究の大半は大都市圏内で行われてきた。地方都市ではマンション戸数そのものが少ないだけでなくマンション研究者すら殆どいない。地方のマンション実態を明らかにすることはマンションと都市計画との関係を検証する機会となろう。群馬県における分譲マンションの状況について政府統計等の分析結果と現地確認等で得られた情報の分析結果を報告する。
著者
飯塚 勝久
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1965, no.15, pp.198-206, 1965-03-31 (Released:2010-05-07)
参考文献数
30

The “Body” has been mainly discussed as a problem of its relation to soul. In Descartes' dualism it was entirely identified with the physical thing and was opposed to soul. For this reason the problem of connection of those two entities was succeeded by the hypothesis of psychophysical parallelism. Bergson, however, pointed out that the hypothesis was derived from the principles of the mechanical view of nature. He severely criticized Cartesianism from his own standpoint and introduced the idea of “pure perception” into his treatise concerning the connection of mind with matter, but could not necessarily shake himself free from the cognitive viewpoint. It is existentialism that dealt with body in the pre-reflective dimension of being. In fact, it argued body not as an object of epistemology, but as our existence itself. And thus, the conclusion of this paper is this : existentialism has made an epoch in the history of the problem of body.
著者
山田 寛章 石井 雄隆 原田 康也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.100, pp.55-60, 2014-06-21

大学1年生50〜90名が第三著者の担当する英語の授業で3人ずつのグループで「応答練習」を30分ほど行ったのちに、30分前後の時間で授業中に500語を目標に英語で作文をまとめて提出し、次の授業で宿題として完成させた作文を提出して6人のグループで相互チェックを行い、さらに次の週にコメントに基づいて修正した最終版を提出している。年間30回の授業で15の作文について授業中のドラフト・宿題として完成させたバージョン・相互チェックを反映した最終版の3つのバージョンを回収した電子ファイルが過去10年分ほど蓄積してあるが、単語数の自己報告を毎回の授業で提出したものを集めているほかは、各種統計情報の抽出等の分析を行っていなかった。構文解析器などを利用して作文の特徴量を抽出し、年間を通じての作文の長さと質の向上を検討する目安に利用したいが、学生が提出する電子ファイルに若干の事前処理を施す必要があり、どのような特徴量に着目すべきかも実データをもとに検討する必要がある。本発表では、事前処理と手作業の一致具合なども含め、予備的調査の結果と今後の課題について報告する。
著者
石倉 啓行 山崎 信寿
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.54-61, 2013-04-15 (Released:2013-06-19)
参考文献数
10

オフィスのフリーアドレス制による事務机の共有化が,ノートPCの普及と共に進みつつある.しかし,ノートPCでは,ディスプレイの見やすさとキーの打ちやすさを両立させることが困難であった.このため,形状可変実験椅子を用い,女性5パーセンタイルから男性95パーセンタイルについてノートPC作業を行いやすい椅子条件を求めた.その結果,ノートPCのキーボード面を10°起こし,背もたれ腰部を68°として胸郭支持部は79°にし,座面を水平から10°後傾させれば良いことがわかった.また,低身長者には座面中央部の幅260 mmの範囲の座面長を354 mmとし,左右の座面長は378 mmとして高身長者の大腿側面を支持する最大35°の傾斜をつけた.座面高は350~410 mmで,目の高さを下げるため,従来オフィスチェアよりも低くする必要があることもわかった.試作椅子による40分のノートPC作業では,従来椅子と同等の作業効率で頭頸部の前傾は平均9°小さく,肩の挙上もなくなり,三角筋,僧帽筋,脊柱起立筋の負担が減少し,下肢のむくみも低下した.

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著者
マリヲン 著
出版者
江崎礼二
巻号頁・発行日
1887
著者
竹ヶ原 康弘
出版者
北海道教育大学
雑誌
国語論集 (ISSN:18824927)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.209-215, 2012-03
著者
中村 美樹子
出版者
武修館高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究目的 : 本研究は、中国南朝で成立した伝奇文学である六朝志怪を教材として評価し直し、新しい教材としての可能性を提案することを目的とした。研究方法 : 六朝志怪を翻案した日本の古典文学のリスト化を行い、その中でも教科書に採録されているものを東京学芸大学付属図書館や教科書図書館等で調べ、指導書の内容から漢文との連携が指導書上で行われているのかをまとめていった。また、この時点で新しい見地を発見した。国際バカロレア資格のディプロマ・プログラムにおいては「studies in language and literature」(言語と文学の研究)で母語に翻訳された世界文学を読了した上での課題作文が必修となっており、ここでは比較が重んじられる。課題作文を作成するための導入段階の教材として、和漢比較教材が活用できる可能性は十分にあるものと思われる。したがって本来は外国の文学でありながらも、日本文学に取り入れられている六朝志怪は、この国際バカロレア資格における比較文学という視点から、活用が可能であるとし、この可能性について追及していくことにした。研究成果 : 国際バカロレア資格の「言語と文学の研究」の課題作文は一冊を読了して行うため、段階を踏んで短い文章から練習を行うべきである。その際、自国の文化との共通性を持つ漢文教材をその段階の一つとして使うのは理にかなっている。さらにその中で六朝志怪は一つのエピソードが短く、本質が記録であるため内容が簡易でストーリーをつかむことが簡単であるという利点を持つ。また、六朝志怪は本文に口語表現が含まれているため、漢文そのものを読むのは文法的に難しい面があるという欠点があったが、この課題研究は翻訳されたものを比較するため、この活用法ならば利点のみを最大限活用することができる。したがって、国際バカロレア資格の上での指導において、六朝志怪は非常に有用な教材であるという結論に達した。
著者
田中 秀数 小野 俊雄 加倉井 和久
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

スピンダイマー系の混晶Tl_<1-x>K_xCuCl_3において,磁場中比熱測定と電子スピン共鳴(ESR)によって,3重項励起トリプロンの局在による新しいボースグラス相の存在とボースグラス-ボース凝縮転移に特徴的な臨界現象を観測した.外部磁場を加えると量子sine-Gordon模型で記述される1次元反強磁性体KCuGaF_6の素励起をESRで観測し,それが量子sine-Gordon場理論で定量的に理解できる事を示した.スピンの大きさが1/2の籠目格子反強磁性体Rb_2Cu_3SnF_<12>とCs_2Cu_3SnF_<12>を開拓した.また,基底状態が非磁性のRb_2Cu_3SnF_<12>ついて中性子非弾性散乱を行いシングレットが風車のように配置した構造を明らかにした.
著者
石黒 秀一 栗田 泰市郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.96, no.87, pp.19-26, 1996-06-07
被引用文献数
30

通常の8倍のフィールド周波数で動作する8倍速走査CRTディスプレイを用いた主観評価実験により、ホールド型の時間-光特性を持つディスプレイの動画像表示における画質を検討した。加えて、より応答の遅い指数型表示の動画質についても検討した。これらの表示方式では画像の動き速度とともに画質が劣化することが定量的に明らかになった。改善案として、シャッタを用いる方式、2倍速表示方式を検討した。結果として、シャッタ方式において開口率を50%以下にすれば一定の画質改善効果が得られた。また、2倍速表示方式においても、シャッタ方式における開口率50%と同等の画質改善効果が得られた。
著者
寺谷 弘壬
出版者
欧ア協会
雑誌
月刊共産圏問題 (ISSN:04547616)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, 1964-05
著者
松山 恒明 小金沢 孝昭 鎌田 慶朗 渡辺 孝男 田中 武雄 中屋 紀子 本田 強
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、総合講義「学校給食」の実践を行なう中で、研究会や現地見学を行いながら、教員養成課程で行なうべき「学校給食」関連の講義内容を検討してきた。調査・検討の結果、まず第一に学生の反応であるが、学校給食や食に関する内容について関心が高く2年間とも各300人の学生が受講した。学生たちは、学校現場で行われている学校給食に関心が高く、またこれらを客観的に捉えることのできるこの講義に興味を示した。学校給食への理解については、講義開始時のアンケートで子供たちと食べる昼食程度にしか学校給食を捉えていなかった学生も、講義終了時には学校給食が食や環境、健康を理解する上で重要な教育機会であることに気づくようになった。この点については各年度に行なった学生アンケートに詳しく報告されている。第二に講義内容であるが、2年間の講義実践と学生の反応によって教員養成課程の「学校給食」の講義内容は概ね4つの領域で講義すると、「学校給食」の持っている教育機会を説明することが可能であることが明らかになった。1つは学校給食の現状とその安全性についててある。ここでは学校給食がどのような目的のために、どのように運営されているのかを実践報告を交えながら講義した。2つは、こどもたちの食生活がどのような状況にあるのかを明らかにすることである。日々の食生活でどのような点に問題点があるのか、学校給食で補える課題を整理した。3つは学校給食で食べている食がどのように生産されているのか、食についての基礎知識の習得である。とくに食と環境とのつながりにも留意した。4つは食と健康とのつながりについての基礎知識の習得である。食事が健康にどのように関連しているのかを具体例をあげて講義した。これらの研究成果は、昨年度の中間報告書と今年度の最終報告書に整理してあるが、この研究を通じて、学枚での食・栄養教育の重要性ならびに教員養成課程での学校給食に対応した講義の必要性が確認された。また、今後は各教科と学校給食とを連携させた栄養教育の研究が課題となった。
著者
柘植 郁哉
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

安全な経口免疫療法の確立を目指して、加水分解乳を用いた牛乳アレルギーの免疫療法における、アレルゲン特異的T細胞と好塩基球の活性化を解析した。牛乳アレルゲン特異的T細胞は、活性化マーカーCD154 陽性細胞として同定し、同時に細胞質内サイトカインを多重染色して解析した。その結果、牛乳アレルギー患者では、非牛乳アレルギー患者に比し、牛乳アレルゲン特異的Th2サイトカイン産生細胞が有意に増加しており、また、牛乳アレルゲン特異的IL-4産生細胞数は牛乳特異的IgEと正の相関を示した。一方、好塩基球の解析では、症例数は少ないが、免疫療法後にSykの低下が認められた。現在症例数を増やして検討中である。
著者
石垣 健二
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.13090, (Released:2014-07-30)
参考文献数
32
被引用文献数
1 4

This paper focuses on “bodily experience” and “bodily dialogue” in physical education with the aim of clarifying the domain of bodily experience and bodily dialogue, and discusses the significance of physical education as “education in intercorporeality” by showing that bodily experience and bodily dialogue foster a vital sense of “we” in modern Japanese children.   First, the author examines bodily experiences in the context of physical education. Bodily experiences are central to other experiences (experiences of the self, experiences from the others and experiences of the things) in physical education, and elicit “bodily feelings”, which can be regarded as Gestalts that we perceive from the subject's viewpoint. The Gestalts consist of feelings of the self body, feelings from others' bodies, and the feelings of things for both the self and the others. The bodily feelings as Gestalts form the core of bodily experiences, and this underlies our experiences in physical education.   Secondly, the author considers the essence of bodily dialogues, through which we perceive the others by bodily feelings. Therefore the domain of bodily dialogues involves both bodily experiences and experiences from the others. The domain of bodily dialogues extends to that of “mental dialogues”, but the two are distinct because the latter is involves mental, not bodily, feelings. Also the latter promotes the restoration of corporeality by acquiring mental feelings, whereas the former promotes the formation of the latter by acquiring bodily feelings.   Finally, it can be said that the self and the others share bodily rather than mental (emotional) experiences in physical education. In other words, instead of having mental dialogues through mental feelings, we experience bodily dialogues thorough bodily feelings. In our everyday lives, we nurture “intersubjectivity” through mental dialogues, but we also nurture “intercorporeality” through bodily dialogues when practicing physical education. This makes it possible for us to recognize ‘we’ as bodily feelings. Therefore, physical education is essential for the development of modern Japanese children, who allocate too much time to intellectual training and need to education in intercorporeality.
著者
千代 浩之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

今年度は, リアルタイムLinuxであるLITMus^RTに最適なマルチプロセッサ向けリアルタイムスケジューリングであるRUNを実装する研究を行った. また, LITMUS^RTに実装されているリアルタイムスケジューリングの実行を追跡・可視化するツールであるsched_traceをインプリサイス計算モデル向けに拡張した. これにより, インプリサイス計算モデル向けリアルタイムスケジューリングの開発効率を向上させることが可能になった.インプリサイス計算モデルに3つ以上の必須部分を持つタスクを扱うことを可能にするリアルタイムスケジューリングを提案した. この手法により, より複雑なインプリサイス計算モデルにリアルタイムスケジューリングを適用可能になった. また, インプリサイス計算モデル向け最適なマルチプロセッサ向けリアルタイムスケジューリングであるRUN-RMWPを提案した. RUN-RMWPはRUNを基調としたインプリサイス計算モデル向けの最適なリアルタイムスケジューリングである. シミュレーション結果では, 従来のインプリサイス計算モデル向けリアルタイムスケジューリングであるG-RMWPやP-RMWPよりプリエンプションやマイグレーションの回数が少ない結果を示した. さらに, タスクの品質の評価結果では, G-RMWPやP-RMWPと比較して少なくとも同等もしくは高い評価結果となった. 従って, RUN-RMWPは従来のインプリサイス計算モデル向けリアルタイムスケジューリングよりオーバヘッドを減らしつつ, タスクの品質を改善することが可能になった.上記の研究は, 分散制御型ロボット向けリアルタイムオペレーティングシステムを研究開発する上で非常に重要であり, これらを研究する意義は十分にあると言える.