著者
村田 好正 福谷 克之 藤本 光一郎 小林 紘一 小牧 研一郎 寺倉 清之
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

共鳴核反応を用いた水素の高分解能深さ分析法の開発を行った。6.385MeVの^<15>Nビームは東京大学原子力総合センターのタンデム型加速器により発生させた。N原子の電子親和力が負であるため入射する負イオンとしては分子イオンであるNH^<2->またはCN^-を用いた。高い深さ分解能を達成するためには共鳴幅程度の単色性の良いビームを作ることが必要である。これは分析電磁石の磁場を安定させることで達成する。プロトンのNMRのスペクトル変動を電磁石の電源へフィードバックすることで磁場の相対変動を10^<-5>に抑えた。分析電磁石の出口スリットにはスリットフィードバックシステムを準備し、加速用のターミナル電圧の安定をはかる。入り口と出口のスリットを0.5mm幅にすることでエネルギーの広がりを2keV以下に抑えらた。実験は超高真空中で処理した試料に、加速器で発生させた6.385MeVの^<15>Nビームは、同センター2Cコースにおいて2段の差動排気を介して解析用超高真空槽へと導いた。ビーム形状をモニターするビームプロファイルモニターと収束用マグネットを設置し、試料上でビーム径2mm、50nAのビームを得ることに成功した。水素との核反応に伴って放出される4.43MeVのγ線は直径4インチのBi_4Ge_3O_<12>シンチレーターを用い、真空槽の外、試料から20-40mm離れた所で測定した。宇宙線によるバックグランドは0.07cpsであり、1/100原子層程度の水素が測定可能となった。この手法を用いて、(a)a-Si/H/Si(001)、(b)Olivine/Aqueous Solution Interface、(c)H/Au(001)、(d)Ag,Cu,Pb/H/Si(111)の試料について深さ分解測定を行った。
著者
村上 章 中畑 和之 西村 伸一 藤澤 和謙 小林 晃 鈴木 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地震災害リスクと豪雨災害リスクを統合したアセットマネジメントシステムの構築につき、任意年の地震リスク=損失額×地震損失確率を算定し、最終的にLCC=供用年内のリスク+改修費用+維持管理費用を得る。LCCを最小化することで最適な改修および維持管理方法を決定する。この解析を複数の対象地域(ため池群の流域とその下流地域)で実施し、一連の分析を統合化した意思決定システムを完成させた。上記の研究成果は、論文や口頭発表を通じて公表した。さらに、一般市民向け研究成果公開事業「京都大学アカデミックデイ」にて発表・説明した。
著者
大谷 由紀子 藤井 伸生 畑 千鶴乃 趙 王文女正 Kikuchi Koko Chung Ick-Joong
出版者
摂南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、養育困難な子育て家庭に支援をつなぐ在宅支援の要、地域支援拠点の整備を考察した。結果、自治体規模や福祉に資するリソースの質・量から、都心型「分散ハブモデル」、小規模自治体と中核市による「自治体間ネットワーク+集約ハブモデル」を提示した。先行するカナダ、北欧の地域支援の取組みから、ワンストップで適切なサービスにつながる仕組み、子どもと家族の生活支援を包摂した多様なサービスのコーディネート機能、サービスを効果的に届ける拠点空間デザインの必要が示された。
著者
高崎 みつる
出版者
石巻専修大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

水産物は貴重なタンパク源として日本人の食生活に無くてはならないものになっている。しかし近年の食生活の変化に伴って、水産加工製品の需要が増えてきている。水産加工製品は製造過程で重量比約85%のエミッションを発生することが知られ、このような傾向は水産物由来負荷の増大へとつながっていく。このような水産廃棄物は最終的に水産加工廃水処理場へと運ばれ最終的には余剰汚泥として肥料会社に引き取られ、また廃棄されている。近年海域での窒素微増の弊害が心配されていることもあり、最終的に窒素に的を絞った議論が大切になっていく。石巻地方ではまた剥き身のカキ約4000トンに相当するカキ殻を毎年海に近い山間の沢に廃棄してきた。今後これらのより高度な利用とエミッション低減を考えると、漁港情報から水産物由来(窒素)負荷情報を得られるように得るための努力と共に、余剰汚泥を農地還元する際の質的問題をカキ殻との組み合わせで解決していく努力も必要になっていくだろう。本研究の目的は、漁港情報から水産加工廃水処理場を経由して出てくる窒素負荷を予測すること、カキ殻の投棄された地域を対象に質的な問題を検討すること、農地からの窒素溶脱や必須元素溶脱が、カキ殻投入によってどのように変化するかを検討することの3つである。カキ剥き直後の貝柱他肉片が多く残った状態で投棄された結果と考えられる。有害金属濃度はカキ剥き直後投棄の沢で高い値を示したが、古いカキ殻と接触して流下する過程でCd, Pb等は減少していった。一方この沢では必須元素が多く含まれていた。このような結果を背景に水産由来汚泥を土壌に混ぜ、これにカキ殻が加えられた場合土壌浸透水がどのように変化するかを、リン・窒素を中心に比較した。カキ殻が加えられることで、土壌浸透水中のリン・窒素は大きく減少した事が示されている。しかし、鉄・マンガン・亜鉛やカルシウムなどはリン・窒素に比べ変化が小さくなっていた。カキ殻を水産系汚泥と一緒に土壌に混ぜることで、地下水への窒素溶脱は効果的に抑えることが出来るようになり、流域から河川へ流れ込む窒素負荷を低減できる可能性が示された。海からの恵みを海に戻すためにも、海から漁港、形を変えて田畑へ、そして河川を経て海へ戻る循環の中で、健全な循環を取り戻すためのカキ殻の役割に関する更なる検討は今後の課題と思える。
著者
名須川 学
出版者
筑波大学
雑誌
哲学・思想論集 (ISSN:02867648)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.118-138, 1999

序 私は、かつて、「デカルトとオカルトー「共感 sympathia」理論を巡ってー」という論題で、デカルトが22歳の折に物した処女作『音楽提要 Compendium Musicae』(1619年)の第1章3段に現れる「共感 sympathia」の概念はルネッサンス魔術との影響関係をもたない、と主張した論考を書いたことがある ...
著者
三根 真理子 本田 純久 柴田 義貞 三根 真理子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

長崎市在住の原爆被爆者1237人を対象に、被爆時の状況や被爆体験に関する面接聞き取り調査を1997年に行なった。本研究では、被爆から50年以上が経過した現在においてもなお残る「こころの傷」の全体像を把握するために、同調査から得られた口述記録をテキスト型データ解析の方法を用いて分析を行なった。解析対象は1237人中、性別、年齢、GHQ-30、被爆距離の項目がすべて判明している928人とした。まず、テキスト化された口述記録を"要素"(例えば、「原爆」、「ピカッ」、「死体」、「やけど」、「後悔」)に分解した。同じ意味を持つひらがな、カタカナ、漢字での表記はまとめ、関係のない単語は除外した。方言や表現の違いは同じ"要素"としてまとめた。例えば「光」、「光って」、「ピカドン」、「ピカッ」、「ピカー」は「光」という"要素"とした。また「燃えよった」、「燃えよる」、「燃えてる」は「燃える」という"要素"とした。最も出現頻度が高かった"要素"は「原爆」で口述記録の90%を占めていた。ついで「死んだ」が73.5%、「母」が67%であった。次に身体的なもの(火傷、怪我、病気など)、悲惨な状況をあらわす景色(ガラス、爆風、火事など)、家族、こころ、混乱状態、その他にグループ化し、被爆体験を構成する"概念"を抽出した。被爆体験に関する"要素"や"概念"が各対象者の口述記録に現れる頻度と、要素間あるいは概念間の相関関係を調べた。さらに性別や被爆時の年齢、被爆距離といった対象者の属性により"要素"の出現頻度を比較した。また1997年の聞き取りの際に行なったGHQ(General Health Questionnaire)-30項目質問紙調査の結果と、被爆体験に関する"要素"の出現頻度との関連を調べることで、精神的健康状態との関連についても検討を行なった。
著者
宮崎 修一
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

安定マッチング問題とは、各男性が女性を、同様に各女性が男性を順序付けした希望リストを提出し、それに基づき「安定性」と呼ばれる性質を持つマッチングを求める問題である。本問題は、研修医の病院配属をはじめ、様々な配属問題に利用されている。本研究では、応用を視野に入れた本問題の様々なバリエーションを提案し、それらに対するアルゴリズムの開発や計算困難性・近似困難性の証明を行なった。
著者
Shinya Matsuda
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
Asian Pacific Journal of Disease Management (ISSN:18823130)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-9, 2009 (Released:2010-06-16)
参考文献数
7
被引用文献数
4

In order to respond the expanding needs of health and ADL care for the aged, the Japanese government has implemented a series of health and social programs for the aged. The author thinks that the political populism is the most important cause of current difficulty of re-organizing the Japanese health system. For example, the introduction of free medical program for the aged in 1972 was decided as a result of political rivalry between the Ruling party and the left-wing Opposition parties. This program made our system too much medicalized and caused a rapid expansion of medical expenditures. The Long-term care insurance scheme (LTCI) was introduced in 2000 in order to de-medicalize the system by expanding home care capacity, but has not reduced medical expenditures as estimated before. In order to re-organize the system for the aged, the new scheme of health insurance for the aged has been introduced in 2008. However, just before the introduction of the new health insurance scheme, there started very strong opposition against the introduction of new scheme. Mass media launched a tremendous volume of negative campaigns and the Opposition parties has been criticizing the responsibility of government and Ruling parties. The two main points of critics are ageism and heavy financial burden for the aged, especially for those of lower economic status. According to the author's perspective, the most important cause of mistake for the introduction of new scheme is insufficient consideration for QOL and clinical outcomes. The debate has too much focused on cost sharing and financial burden. The philosophy of social security policy must be QOL issue, not financial control. The well organized health insurance scheme for the aged must be one of basic infrastructures in order to construct an active aged society. More creative debate is necessary.
著者
香取 洋子
出版者
北里大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

調査予定施設の産科閉鎖のため、施設・実施方法を修正・変更し、前年度生理学的に検討を行ったインファントマッサージを、早産・低出生体重児を出産した育児不安の高いハイリスク母子に対して実施し検討を行った。母親は里帰り出産で実家に帰省し、早産で児を出産した。初回介入時、修正月齢1ヶ月であったが、児があまり眠らないこと、他の子どもと比べて小さいこと、出生時に医師から児の脳への影響の可能性について話がされたこと等、児の成長発達に強い不安を抱いていた。また、出産後外出することがなく、-日中パジャマで過ごしていた。児の発達・発育は修正月例相当であったが、母親は児が長く寝ないことに対し非常に神経質になっていた。全5回の介入のなかで、この時期の子どもの睡眠-覚醒リズムについて伝え、マッサージを通じて子どもの反応に気づくことを中心に介入を進めていった。2回目には、実母からは肉親以外に不安に思っていることを話せたことで、ノイローゼ気味だった娘(母親)が非常に落ち着いたとの感想があった。マッサージ中の母親の様子は、児が泣きに過剰に反応し、なだめも単調な介入方法で効果的ではなかったが、次第に落ち着いて対処できるようになった。また、マッサージを通して母親が児のコミュニケーション能力を確認することができた。子どもなりのペースで成長も認められるようになり、6ヵ月後、母親は一人で育児をする決心をし、自宅へ戻った。以上のことから、早産・低出生体重児をもち、育児不安の高いハイリスク母子に対して、マッサージの指導を介した、子どもとのスキンシップを促す機会とスキルを提供することおよび、継続的な個別訪問による母親への精神的支援が有効である可能性が示唆された。
著者
吉田 哲
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高齢者が短時間座ってよいと考えるベンチの設置場所は幅2m程度の建物余地が選ばれることが多い。ベンチには次に歩き始めやすいよう少し腰掛ける程度のものが選ばれている。幅2m程度の建物余地は、現地を歩行する高齢者による写真選択では中位であったが、対象地域内で存在そのものが多く、1本の通りにも数か所の候補があるため、既にベンチのある場所も含めると理由の不適合を除いても設置の候補として残る場所が多い。商店街内の個店では、操業年数、個店責任者の年齢によっては、本社や不動産管理会社に設置決定権があってもベンチ設置意向のある場合があることを明らかにした。
著者
野中 勝利
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.427-432, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
69
被引用文献数
2 12

The aim of this research is to elucidate the background and circumstances of the conversion of the Kofu Castle site to a park in modern times. In 1873 a decision was made to retain Kofu Castle for military use, and it was transferred to the jurisdiction of the War Ministry. Yamanashi Prefecture requested multiple times that the government sell off the site, and finally plans to hold an exposition provided an opportunity whereby the government leased the site and a park was built on it. In 1917 the site was sold by the government to the prefecture. Subsequent moves by Yamanashi Prefecture to build public facilities, fill in the moat, and turn the site into a park were intended more to make the land suitable for public works than to preserve the castle ruins. In contrast, the people of Kofu and the Kofu City Council advocated for preservation of the ruins. Yamanashi Prefecture was not regarded as a historic site the ruins of a castle.
著者
野中 勝利
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.32-40, 2014 (Released:2014-03-27)
参考文献数
140
被引用文献数
3

This study clarifies changes in land ownership and land usage at the site of Odawara castle in modern times and considers corresponding thoughts regarding scenic preservation. The castle buildings were demolished when Odawara castle was under the jurisdiction of the Ministry of War. Wood and stones were carted off for use as building materials, and no thought was given to scenic preservation. In 1890 the site was purchased by the Okubo family, descendants of the former feudal lord. Two Shinto shrines were constructed. In 1899 the site came under the jurisdiction of the Imperial Household Department, which intended it for use as an Imperial villa, and this ensured the scenic preservation of the site. The Great Kanto Earthquake of 1923 caused extensive damage. Odawara town government purchased a portion of the site in order to build two schools. In addition, Odawara town government partially reconstructed the stone walls that had collapsed in the earthquake and built a public park. Later, the remainder of the site was sold to Kanagawa prefectural government, but no full-scale effort at quake-proofing or parkbuilding was mounted. Nevertheless, the site was designated as a scenic district, ensuring its protection.
著者
福井 博一 景山 幸二 松本 省吾 松本 省吾
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

根腐病抵抗性の4倍性Rosa multifloraと根頭がんしゅ病抵抗性をのPEKcougelを交配し、複合抵抗性台木の育成を目指した。得られた種子から胚を摘出して胚培養を行った。遺伝子マーカーを用いて交雑後代の検証を行った結果、3個体のF1個体が得られた。これらのF1は根頭がんしゅ病と根腐病に対して高い複合抵抗性が確認できた。接木親和性検定の結果、' F1 No.1'、' F1 No.5'が台木として有望であった。

1 0 0 0 OA 大戦外交史

著者
長岡春一 著
出版者
外交時報社出版部
巻号頁・発行日
1916
著者
浦川 豪
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

平成16年6月14日に"武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律"(以下、国民保護法)が国会で可決され、地方公共団体は、国民保護計画を作成することが義務付けられた。本計画で想定されている危機事態は、「武力攻撃事態」と「緊急対処事態」であり、地方自治体の実務者にとっては未経験の事態想定となっている。本研究では、地方公共団体の実務者が、テロリズム攻撃等の有事の際に効果的な危機対応を実行するために情報システム構築を目指すものである。