著者
中地 義和 月村 辰雄 塚本 昌則 野崎 歓 シモン=及川 マリアンヌ 深沢 克己 新田 昌英 畑 浩一郎 本田 貴久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、19世紀初頭から現代までのフランス文学史の尾根をなす作家のうち、その創作が歴史的出来事の経験や歴史をめぐる深い省察に根ざしている例を精選し、彼らがいかに歴史を内面化しながら作品を創出しているかを探ることを目的とした。またその様態を、各時代の文学理念、言語美学、人文知と関連づけながら、独自の視点からの文学史的通観の構築をめざした。対象になりうる事例の数はおびただしく、個々の事例は作家の生涯に根を張っているため、本格的に扱う対象の数を限らざるを得なかったが、第二帝政期から第三共和政初期、第二次世界大戦期、戦後のポストコロニアル期の文学を中心に、当初の計画に見合う成果が得られた。
著者
中村 泰彦 畠中 正光
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.392-395, 2009 (Released:2011-04-15)

九州大学病院では平成20年初頭の電子カルテ導入と同時に, フィルムレスに向けた医用画像管理システム(picture archiving and communication system:PACS)導入を行った。その背景, 導入時の注意点, システム運用の工夫について概説する。読影において, 表示条件の変更などのPACS機能を活用し, 電子カルテと共存させることで全ての情報を参照でき, 診療の効率化に大きく貢献している。今後は, 画像を含めた情報の標準化, 地域連携の強化を更に推進する必要があると考えられる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.760, pp.14-19, 2003-12-22

島県上下町は中国山地の分水れいに位置し、かつては銀山街道の中継地として金融業を営む豪商が軒を連ねていたという。歴史文化資料館は、この町の商店街に残っていた歴史的建物を再生してつくられた。 既存の建物は2階建ての土蔵造りの2棟で、1階部分をつなげて金物屋の店舗として使われていた。
著者
佃 為成 酒井 要 橋本 信一 羽田 敏夫 小林 勝
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.237-272, 1988-12-23

北部フォッサマグナの中央隆起帯を横断する千曲川構造線の東端に位置する長野県小県郡丸子町付近で1986年8月24日,M4.9の地震が発生した.ここは2つの火山前線がぶつかる点のすぐ背後でもある.通常の地震活動レベルは低いが,過去には1912年の上田市付近の地震(M5.2)がある.丸子町の地震活動は前震・本震・余震系列と本震の10日後から始まった群発地震が重なったものであった.2回の主要な活動ピークをもつ例は,北部フォッサマグナ地域では少なくなく,ピーク間の間隔は1918年大町地震の13時間,1969年焼岳の地震の2日,1912年上田の地震の5日,今回の地震の12日,1963年燕岳の地震の20日,1897年上高井の地震の104日というように様々である.2回目が群発地震であったのは丸子の地震と,燕岳の地震,上田の地震である.現地における臨時観測によって精密な震源分布が得られた.震源域は時間とともに拡大したが群発地震後最終的には東西3km,南北2km,深さは6kmを中心に3kmの幅をもつ拡がりであった.定常観測網で求めた震源との比較を行い,観測網に依存する震源の系統的なずれやその値のバラツキから震源の絶対精度と相対精度を推定した.MO~4.5の間のM別頻度分布はGutenberg-Richterの関係から少しずれる.群発地震の回数の減衰(p~2)は本震直後の余震のそれ(p~1)と比べ大きい.燕岳の地震ではどちらもp~2であった.本震の震源断層は発震機構及び余震分布の特性から西上り東落ちの高角逆断層である.これは中央隆起帯東縁でのテクトニックな変動と調和する.1986年の千曲構造線の地震活動はそのピークが東南東から西北西へ約150km/yearの速度で伝播した.1912年~1918年にもこの構造線の両端付近で地震があった.約70年の間隔を置いて同じような活動を繰り返したことになる.
著者
吉田 明夫 高山 博之
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.696-705, 1994-12-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

We show that seismic activity decreased clearly in a wide area before the 1953 Boso-oki earthquake and the 1972 Hechijojima-toho-oki earthquake. In both cases the seismic quiescence extended to the Tokyo Metropolitan area. Marking precursory activity appeared several years before the Boso-oki earthquake in the Chiba prefecture and in the sea region off-Ibaraki prefecture. It is also noted that the seismicity in the Kanto region as well as in the sea region south off-Boso Peninsula decreased conspicuously after the Boso-oki earthquake. On the contrary an increase of the seismicity was observed after the Hachijojima-toho-oki earthquake, although deep seismic activities decreased remarkably. We show that seismic quiescences preceding the Boso-oki earthquake and the Hachijojima-toho-oki earthquake were detectable before their occurrences, and no other statistically significant quiescence has appeared in the south off-Kanto region since 1926. It is proposed that the occurrence of a large earthquake may be predicted by monitoring changes of the seismicity in a wide area.
著者
羽鳥 徳太郎
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.543-557, 1980-03-31

Adding tsunami data reported by the U.S.S.R. sources, tsunami magnitude and the source area of the tsunamis generated in the Hokkaido and Kurile regions during the period from 1893 to 1978 are re-examined. The source dimension and magnitude of the tsunamis generated in the Hokkaido region correspords well with the earthquake magnitude. However, the tsunamis in the Kurile region have varied behaviors. The two Kurile tsunamis of Oct. 20, 1963 and June 10, 1975 were especially abnormal in comparison with other tsunamis accompanied by similar earthquake magnitude. In most cases, the initial motion of the tsunamis was observed with upward direction, but the Kurile tsunamis of Aug. 11, 1969 and June 10, 1975 began with a conspicuous downward motion at the Hokkaido and Kurile tide stations. The source areas of the tsunamis that accompanied large earthquakes (M>8) line up along the continental slope near the Kurile trench and the 1973 Nemuro-oki tsunami was generated in the seismic gap between the 1952 Tokachi-oki and the 1969 Shikotan earthquakes. However, the source area of the 1973 tsunami occupies only the eastern half of the 1894 tsunami source. After the 1973 Nemuro-oki tsunami, the tsunami activity moves to the northeastern direction along the Kurile trench. These source areas fall in the southern part of the source areas of the 1958 Iturup and the 1969 Shikotan tsunamis. In the space-time diagram of the earthquakes having a magnitude of M≧7, remarkable gaps can be seen in the west side of the 1973 tsunami source and off Urup Island. It is possible that a future tsunami of magnitude m~2 may be generated, accompanying the release of seismic energy in the two regions.
著者
森本 兼曩 丸山 総一郎
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.241-251, 2001-04-01
被引用文献数
2

情報化社会, 高齢化社会の到来といった社会経済構造の変革, 疾病構造の変化などにより, われわれのライフスタイルは大きく変わろうとしている.このような現代社会において, 国民の健康意識は高く, 病気になって考えるのではなく, 健康な時期に将来発生するかもしれない疾病に対する一次予防の方法を積極的かつ科学的に考え, さらにQuality of Life(QOL)を高める具体的方策を追求していくことが, 緊急かつ重要な課題となっている.こうした問題に対するアプローチとして, われわれが必要と考えているのはストレスに強いライフスタイル, より健康的なライフスタイルへの変容に個々人が自主的, 自発的に取り組むことである.喫煙, 飲酒, 運動などのライフスタイルが, 心身の健康と関連性のあることをこれまでに報告してきた.われわれは, 勤労者, 地域住民, 高齢者, 阪神・淡路大震災被災者を対象に, 一般的健康質問票, 健診データ, 染色体変異, NK細胞活性, IgE, コルチゾールなどを調べた.われわれは, これまでの研究やBreslowの報告に基づき, 8つの健康習慣として, (1)喫煙しない, (2)適量飲酒, (3)定期的な運動, (4)7〜8時間の睡眠, (5)栄養バランスを考える, (6)労働時間10時間未満, (7)毎日朝食を食べる, (8)ストレスを適正に保つ, を抽出した.同時に, この8つの健康習慣をいくつ守るかによって健康習慣指数(HPI)を算出した.2, 148人の勤労者における6年間の追跡調査の結果からは, 不健康なライフスタイルの人は, 慢性疾患の発症の割合が有意に高いことを示した.一方, 癌免疫力の指標の一つであるNK細胞活性は, 良好なライフスタイルの人で有意に高いことも明らかにした.遺伝的健康度は, リンパ球染色体変異の頻度(姉妹染色分体;SCE, 小核;MN)で測定した.その結果, 良好なライフスタイルを多くもつ人ほど, 染色体変異の頻度が有意に低かった.また, 不健康なライフスタイルの人で異常にIgEが高くなっていることも明らかにした.震災の被災者を対象にした調査では, 不良なライフスタイルの人ほど, また心的外傷後ストレス傷害(PTSD)傾向の強い人ほど, NK細胞活性が有意に低く, コルチゾールは有意に高くなっていることを示した.勤労者や高齢者のデータからは, 良いライフスタイルの人やヒューマンサポートの多い人ほど, 高い職場ストレスや身体的健康状態が良くないにもかかわらず, 高いQOLを示していたことを報告した.以上の結果から, われわれがライフスタイルをより健康的なものに変容させようとするのも, 個々人のいわば短い生涯のうちで, なるたけ大きな自己実現に向けての活動が, 健康であればあるほど容易になるからである.そのような意味からは, より健康的なライフスタイルは, 将来のさまざまな健康破綻への負荷に対する防御力, 耐性力, 抵抗力を示す資料でもある.
著者
前田 健一
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.156-166, 1995-06-30
被引用文献数
1

The purpose of this study was to examine whether peer status groups and subgroups differed in terms of loneliness, peer perceptions and self-perceptions of their aggression, withdrawal, and social competence. Five status groups of children (popular, rejected, average, neglected, and controversial) were identified on the basis of positive and negative sociometric nominations for 459 children in Grades 3 through 6. Of these groups, 200 children were selected on the basis of peer perceptions of aggression, withdrawal, and social competence to represent the following 8 subgroups:high-competent popular (HCP), low-competent popular (LCP), aggressive rejected (AR), withdrawn rejected (WR), aggressive-withdrawn rejected (AWR), high-withdrawn neglected (HWN), low-withdrawn neglected (LWN), and typical average (TA). Consistent with previous findings, the rejected children were viewed by peers as significantly more aggressive, withdrawn, and socially incompetent with higher levels of loneliness than average and popular children. Children in the AWR, WR, and HWN subgroups were found to be significantly more lonely and exhibited more inaccurate self-evaluations in aggression or withdrawal than typical average children.
著者
菱川 善夫
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学人文論集 (ISSN:09199608)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.A1-A24, 2001-07-31
著者
奥川 恭平 中西 正樹 満倉 靖恵 髙橋 正樹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.80, no.813, pp.DR0125-DR0125, 2014 (Released:2014-05-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 4

This paper describes the driving control system of a powered wheelchair using voluntary eye blinks. Recently, new human computer interfaces (HCIs) that take the place of a joystick have been developed for people with disabilities of the upper body. In this study, voluntary eye blinks are used as an HCI. However, the problem with this HCI is that the number of input directions and operations is smaller than that of a joystick, which causes inefficient movement. Therefore, assist systems are needed for efficient and safe wheelchair movement. This paper presents the system which is based on environment recognition and fuzzy theory. It can detect obstacles and passages in a real environment, and the velocity and direction are calculated automatically for obstacle avoidance or right/left turns. Simulations show the effectiveness and robustness for the driving position and position where an operation input is given. Furthermore, experiments were carried out and verified the effectiveness of the proposed method.
著者
長谷川 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.365-381, 2014-03

本論の目的は,フランスの美術批評家アンドレ・ブルトンが,1938 年にメキシコに滞在した折に出会ったメキシコの有名な写真家マヌエル・アルバレス・ブラーボから受けた影響を明らかにすることにある。ブルトンのテクスト「マヌエル・アルバレス・ブラーボ」(1938 年)と「メキシコの思い出」(1939 年)を手掛かりとして,そこで言及されているアルバレス・ブラーボの写真を詳細に分析しながら,ブルトンがメキシコという土地の特異性をどのように捉えようとしたかを解明する。ブルトンは,西洋中心主義の立場で非西洋の文化を解釈する安易なエグゾティスムに対して批判的だった。ブルトンはアルバレス・ブラーボの写真を,ステレオタイプ化されたメキシコではなく,「土地の魂」をつかんでいるものだと評価している。フランス人である自分もまたエグゾティスムの眼差しから逃れ難いことを承知していたブルトンは,メキシコ滞在の経験を記す上で,解釈を一旦括弧に入れて事物の描写に固執する。あたかもアルバレス・ブラーボの写真の中に光と影の対立から生と死の循環の原理を見出したように,個別の事物の具体的描写を通して,メキシコの土地に潜む普遍的性質を垣間見ようとするのだ。見えるものを通して見えないものを表現するアルバレス・ブラーボの寓意的な写真と重なりあうようなこのブルトンの姿勢は,芸術批評が写真をモデルとして執筆されたことを強く示唆している。
著者
瀬邊 啓子
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.29-49, 2012-03-01

文革期に知青文学がどのような過程で創作され、発表されるにいたったのか。この点を王小鷹の文革期の創作活動を通して、分析・考察を行った。王小鷹の処女作である「小牛」の創作・発表の背景から浮かび上がってくることは、知青文学については書き手が知青であり、一定の水準の作品が書けさえすれば、「誰でもよかった」ということである。そのため作品を書く知青の出身階級については、全く問題にされていなかったことが分かった。王小鷹は作家になりたいとも思っていなかったのだが、たまたま仲間たちと業余文藝小分隊を作り脚本などを書いていたために、編集者から原稿依頼を受けることになった。そうして文革期の文藝政策の変化に左右されながらも、編集者とともに何度も改稿を繰り返し、「小牛」については最終的には編集者が強引に審査を通す形ではあったが、作品発表にいたり、作家としての一歩を踏み出したのである。
著者
西森 秀稔
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.494-565, 1991-08-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
辻 久生 谷 由美 上田 博夫
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.609-615, 1977
被引用文献数
3

セイタカアワダチソウ(<i>Soliclago altissama L.</i>)の乾燥根茎のメタノール抽出物を,その抗菌活性を検索しながら分割した.抽出物を水蒸気蒸留し,蒸留液より淡黄色針状結晶で分離された<i>cis</i>-dehydromatricaria ester(1)は,抗菌性を示さないが,結晶母液には活性が認められた.根茎に含まれる1の含量は,植物の生育中に変化し,開花前に最大となる.水蒸気蒸留残渣をエーテルで抽出し,得られた抽出物の酸性部より分離されたkolavenic acid (2)は,グラム陽性菌に対し強い抗菌活性を示し,その最小発育阻上濃度は,6~10 ppmであった.2より誘導された数種の化合物について,その抗菌性を検討した結果,2が抗菌性を示す化学構造上の要因として,2のkolevane骨格に存在する環構造部分と,側鎖に存在する遊離の形のカルボキシル基とが認められ,このカルボキシル基に共役する二重結合によって,活性が強められると考えられる.
著者
宇都宮 隆子
出版者
一般社団法人大学英語教育学会
雑誌
JACET中部支部紀要 (ISSN:18815375)
巻号頁・発行日
no.7, pp.27-45, 2009-12-20

大学という大きな枠の中、個に目をやることは難しいことである。また大学の高等教育を担う役割を考え、個人で鍛錬し学業に専念していく姿勢が当たり前であるという考えは当然である。自立した学習者を育てるため、e-learningの構築やself-accessスタイルの学習が可能な環境づくりも多くの教育機関で進められてはいる。とはいえ、今現在の大学入学者の状況を思うと、必ずしもすべての学生が学習意欲のある自立した学習者とは限らない。本稿では、学生の学習態度及び動機付けに強い影響力を持つと思われる個別指導について考察していく。個別指導に焦点を当てるということで、インタビューを通して個人の英語学習に対する感情、または学習状況の変化などを観察した。結果、個別指導の成果により学習者の学習意識、スキルまたは動機づけといったものが良い方向に変化しうることを再認識することができた。専門が工学系で、まだ英語の基礎力が定着していない学生にとっての個別指導は、彼らにどのような影響を及ぼすのか。scaffolding的視点、指導者の役割、また学習者の動機付けなどと関連付けながら、個別指導の有効性を学生のコメントとともに論じていく。
著者
渡邉 昭彦 細田 智久
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

当研究は、米・英国で経済的な問題などを抱える地域のフル・サービス型コミュニティスクールの訪問実態調査を行い、我が国の学生のドロップアウト10万人以上という問題の解決を目的にしている。1、肪問実態調査-当研究では3年間て米・英の29団体等と47事例を訪問調査し、サービス提供団体等のサービス提供方法とサービス内容、学校でのサービス提供方法とサービス内容、学校内や敷地内のサービス拠点であるファミリーセンター等の施設と利用の実態を示し、全体像を明らかにした。2、サービス対象とタイプ-サービス提供団体及びフル・サービス型コミュニティスクールでは、(1)学生、(2)学生の親と家族、(3)コミュニティに対してサポートを行い、(1)から(3)の対象にA,学習サービス、B、生活サービスを行い、その他のサービス1種類の計7種類の多様な内容のサポートサービスを行っている。3、サービス提供団体-州(例、ワシントン州)や市(例、セントルイス、デンバー市)が制度を設けて実施、民間団体や大学が実施、学校単独で実施等9種類のタイプがある。4、サービス内容-サービス提供団体で異なるが、A,学習サポートでは、英語等の読み書きの基本的学習から職業や環境、スポーツまで幅広く提供され、B,生活サポートでは、衣・食・住の基本的生活のサポートから、事件に関連した場合の法律相談や弁護、福祉サービス等への申請や代行まで幅広くサポートを行っている。5、サービスの提供時間-学生は授業開始前(食事を含む)、昼休み、放課後、土曜日や夏休み期間のサービスもある。学生の親や家族は夜間クラスもあるが昼間の時間帯(主婦は家庭での食事の準備等がある)、コミュニティには昼間と夜間の両時間帯に提供されている。6、サービスの活動場所-多くが学校施設を活用し、ファミリーセンター等はサービスの事務や会合等に活用されている。7、フル・サービス型コミュニティスクールの効果-恵まれない家庭や地域環境が多い学校で、学生が生き生きと学習し、貧しい地域であっても治安などの問題は少なく、フル・サービス型コミュニティスクールが学生や家族、地域に生きる目的を与えていることが明らかに出来た。