著者
Liz ALLEN
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.404-407, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)

学術出版システムは変革を遂げている。研究のオープンアクセス(OA)化を求めるポリシーや,研究を迅速に発見・アクセスでき,利用可能な形式やフォーマットで提供することへの需要が高まっていることを背景に,ほとんどの学術雑誌がデジタルソリューションを提供するために動いている。F1000などの多くの出版社は,単なるOAの提供に留まらず,知識へのアクセスと使用を民主化できる出版ソリューションの開発に取り組んでいる。本記事では,学術出版における最近の変化の要因とその影響を説明し,考えられる今後の動向について考察する。また,F1000を例として,出版社と研究システムにおけるその他の利害関係者(特に研究助成機関)との密接な連携がもたらすことができる,研究の使用,再利用,およびその影響の可能性を最大化する上で鍵となるイノベーションやカスタマイズされた研究出版ソリューションについて説明する。
著者
梁取 弘美
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
電子写真学会誌 (ISSN:0387916X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.403-406, 1989 (Released:2008-03-18)
参考文献数
3
著者
岩島 覚 黒川 啓二 田中 靖彦 黒嵜 健一 斎藤 彰博
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.298-304, 2000-04-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
15

1986年1月1日~98年9月30日までに当院にて主疾患が膜様部心室中隔欠損症と診断された764例中,大動脈弁逸脱を認めた11例(1.4%)について検討した.大動脈弁逸脱発症時年齢は9カ月~10歳(平均4歳6カ月)で2歳未満に4例みられた.発症時の心エコー所見では膜様部VSD のpeak velocityは平均4.0m/sec,%LVDdが平均113%であった.心カテは7例(のべ12回)に施行され,平均肺動脈圧は平均25mmHg,Qp/Qsは平均2.0,左右短絡は平均47%であった.逸脱弁尖は右冠尖(RCCP)単独が7例,右冠尖と無冠尖(NCCP)の両弁尖が4例で全例にARを認めた.心エコーにおいて観察されたARのcolor flow(CF)の方向は主にRCCPが単独に認められた症例においては僧帽弁前尖方向に向かい,RCCP,NCCPの両弁尖が認められた症例においては主に心室中隔方向に向かっていた.2例においてCFの方向が経過観察中に変化した.心エコーにおける逸脱弁尖の診断はRCCP単独例においては左室長軸にて観察され,RCCP,NCCP両弁尖例では大動脈弁短軸にて観察されるが,RCCP,NCCP両弁尖例は描出しにくくARのCFの方向が逸脱弁尖の診断に有用である可能性が示唆された.
著者
高橋 哲 西原 舞
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16060, (Released:2017-11-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

It is widely accepted that sex offenders frequently deny their offense or minimize their responsibility, and there is controversy regarding how this should be approached in psychological interventions. However, few studies have examined the relationship between denial/minimization and recidivism, and the results are inconsistent across the limited body of research. The purpose of this research was to estimate the prevalence of denial/minimization in sex offenders and examine its relationship with recidivism. We examined 1,484 sex offenders who had been convicted from July 2008 to June 2009 in Japan. The prevalence of both denial and minimization was 16.3% overall. In addition, the relationship between denial/minimization and recidivism was investigated for 753 convicts whose sentences had been suspended. Controlling for possible confounding variables, including empirically known risk factors, logistic regression revealed that denial/minimization did not significantly increase the possibility of both any and sexual recidivism during the 5-year follow-up period. Implications for psychological intervention and future research are discussed.
著者
仲道 雅輝 竹岡 篤永 根本 淳子
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
pp.2021.07.20.02, (Released:2021-09-01)
参考文献数
14

初年次教育における学生の学習経験の質向上に向けた授業改善の取り組みとして,Parrishの「ID美学第一原理」に示される学習者要因(4要因:意図・プレゼンス・開放性・信頼感)を枠組みとした「授業改善ヒント集;学習者要因編」を作成した。このヒント集の項目は,初年次教育に携わる教員への半構造化面接法により導き出されたものである。授業改善の方策として,意図20項目,プレゼンス35項目,開放性21項目,信頼感24項目が抽出できた。これらは,授業を通じて,学生の学習経験の質の向上に取り組もうとする教員の自己評価や授業改善の手掛かりとなるものである。
著者
淺田 義和 村岡 千種 前田 佳孝 鈴木 義彦 川平 洋
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45072, (Released:2021-09-02)
参考文献数
7

脱出ゲーム(Escape Roon,以下ER)を用いた教育は近年で増加傾向にあり,医療分野を含めて種々の事例が報告されている.しかし,2020年度の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,従来の対面で行うER 活用教育は実践が困難となっていた.本稿では,従来は対面で実施していたER をMoodle 上でのオンラインER へと形式変更し,実践した結果を報告する.オンラインER としたことにより,密の状態を回避したうえでの運営が可能となった.また,対面とは異なる環境での意見交換の困難さを経験したことによる学びの省察も生じていた.今後はMoodle上でのログ解析などを通じ,ER の学習分析などにも視野を広げる必要があると考える.
著者
澤田 晶子 佐藤 博俊 井上 英治 大谷 洋介 半谷 吾郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第28回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.108, 2012 (Released:2013-11-01)

ニホンザルの主要食物である植物と異なり、単独で点在するキノコは絶対量が少なく、あっという間に食べ尽くされてしまうため、学習のチャンスが極めて少ない食物である。菌類相の多様性が高い屋久島において、ニホンザル (Macaca fuscata yakui) は何らかの手段で毒キノコを識別して忌避しているのだろうか。本研究では、ニホンザルが食べたキノコ・食べなかったキノコの分子種同定結果を基に、ニホンザルのキノコに対する選択・忌避の傾向とその基準について解明した。 調査は屋久島に生息する野生ニホンザルAT群を対象とし、2009年8月から2010年9月にかけて実施した。キノコはニホンザルの採食時間のわずか2.2%を占めるにしかすぎなかったが、年間を通じてニホンザルは少なくとも67種 (31属) という非常に多様なキノコを食べていたことが判明した。採食時の行動に着目したところ、ニホンザルは手に取ったキノコに対してにおいを確認する、かじって吐き出すという検査行動を取ることがあった。そこで、採食時の行動パターンを、ニホンザルがキノコに遭遇したとき・手に取ったとき・検査行動を見せたとき・食べたときと4段階に分けて分析した。結果は、ニホンザルが検査行動なしですぐに食べるキノコは毒キノコである割合が低く、ニホンザルが途中で採食を止めたキノコは毒キノコである割合が高いことを示すものであった。これらのことから、ニホンザルはキノコに対してある程度事前の知識を有しており、味覚とあわせて毒キノコ回避において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 さらに、キノコの属性や系統について詳細な解析をおこない、ニホンザルのキノコに対する選択・忌避の傾向との関連性を検証する。
著者
西崎 康 入江 寛 横山 明彦 多田 泰之
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.50-56, 2009-01-01 (Released:2009-01-01)
参考文献数
12
被引用文献数
15 26

Considering interconnection of a large-capacity of wind power generation to the utility grid, it is of great concern that its output power fluctuation has adverse influences, e.g. frequency fluctuation. There have so far been some research works on installation of battery energy storage systems (BESS), as a solution of these problems. However, owing to very high cost of the BESS, its capacity should be as small as possible. In this paper, not only the installation of the BESS as one of measures of suppressing the frequency fluctuation caused by wind power generation, but also blade pitch angle control for blunting the output power of wind turbine generators (WTGs) is also considered. This paper proposes a coordinated control method of the BESS and the blade pitch angle, and evaluates reduction of the capacity of the BESS and the power generation loss caused by blunting the output power which should be originally generated by WTGs.
著者
坂入 洋右 雨宮 怜
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.836-842, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

現在, 人工知能の分野を先頭に, 科学的研究と応用的実践の方法に大きな変革が起きている. それは, 一般的仮説を検証してその成果を現実に適用するトップダウン型の方法論から, 現実の多量なデータに基づいてアウトカムを予測する最適モデルを個別に構築していくボトムアップ型の方法論へのパラダイムシフトである. 近い将来, メカニズムが複雑で個人差が大きな慢性疾患や心身医学的な問題には, 患者本人の膨大なデータに基づくボトムアップ型のアプローチが不可欠になるのではないだろうか. すでに, スポーツや教育などの実践方法においても同様のパラダイムシフトが起きており, 自律訓練法などの心身医学療法を臨床的に活用する場合にも, そのアプローチの違いが劇的な効果の差を産み出す可能性がある. 本稿では, それらがどのようなものか解説するとともに, 自律訓練法を題材として, 研究と実践における2タイプのアプローチの違いを具体的に提示する.
著者
丸山 徹 入江 圭 森山 祥平 深田 光敬
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-117, 2017-07-06 (Released:2018-04-16)
参考文献数
19

QRS波の終末部に記録されるJ波は,近年,特発性心室細動との関連が指摘されている.しかし,この波形が遅延脱分極波であるのか,早期再分極波であるのかについては,いまだ議論が多い.J波がアスリートに多く見られ,アスリートの心臓では乳頭筋の肥大や肉柱化,仮性腱索を認めやすいことから,J波とこれらの心内構造物との関連も指摘されている.乳頭筋や仮性腱索にはPurkinje線維が豊富で,心室筋への伝導が遅延して(PV delay),心室不整脈の基質となる場合がある.また,J波と心室遅延電位の関係性も指摘されており,これらはJ波が遅延脱分極成分であることを示唆する.一方,多くの基礎研究は,J波が早期再分極波であることを支持している.また,正常な貫壁性の心室興奮は,心内膜側から心外膜側へ向かうが,肉柱化した乳頭筋はこれを修飾して,反対側の心室壁が早期興奮症候群に近い興奮伝播を呈するようになる(ミニデルタ波).これは,早期興奮症候群でも認めやすいJ波は,早期に興奮を終了した部分から再分極も早期化して生じるためと考えられる.J波が脱分極成分であるか,再分極成分であるかを知るためには,これらの心内構造物の興奮伝播様式や心室全体の興奮との関連を明らかにすることが不可欠である.
著者
梶間 育郎 森 和 矢野 忠 国安 則光 原田 拡
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.308-318, 1992-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19

脱毛症の成因については皮膚科学に於いても明確な説明が得られていない。我々は鍼灸治療の種々の脱毛症に対する有効性を検討し, その治療方針を考案するために従来の成因に関する諸説, 及び鍼灸による治験報告を再考すると共に、その成因を多角的視野で検討するために脱毛症患者534名を対象として, 頭皮所見と脱毛症に伴う身体症状の調査を行った。休止期毛性脱毛症群では頭皮の血行不良と身体的過緊張に深い関係がみられた。成長期毛性脱毛症群では自律神経系の変調を想起させる症状が頭皮と身体の双方に高率に認められた。よって脱毛症は頭皮のみの疾患ではなく, 全身的機能変調の表出と考えられる。
著者
古川 洋和 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.889-895, 2008-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14

本研究の目的は,自律訓練法(AT)によるリラクセーション効果の妨害要因である不安感受性の操作が,ATによるリラクセーション効果に及ぼす影響を明らかにすることであった.健常大学生を対象に,(1)不安感受性が高く,AT指導前に不安感受性の緩和を目的とした認知行動プログラムが行われる介入群(10名),(2)不安感受性が高く,AT指導前に不安感受性に対する介入は行われないH統制群(5名),(3)不安感受性が低いL統制群(40名),の3群についてATによるリラクセーション効果の差異を検討した結果,H統制群は,ATによるリラクセーション効果が得られないことが明らかにされた.本研究の結果から,不安感受性の高い者においても,AT実施前に不安感受性を緩和することで,ATによるリラクセーション効果を促進できることが示され,不安障害の治療にATを用いる際は,不安感受性を緩和させてからATを指導する必要性が指摘された.
著者
鳥居 明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.36-39, 2019-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
5

浸透圧性下剤は,機械的下剤の一種で,最も一般的に使用されている下剤である.浸透圧勾配を利用し,腸内で水分分泌を引き起こすことで便を軟化させ,排便回数を増加させる.塩類下剤,糖類下剤,その他のポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)に分類される.塩類下剤である酸化マグネシウム(MgO)は最も高頻度に使用されているが,腎機能障害がある場合には,高マグネシウム血症の発生に注意が必要である.