著者
土屋 千尋 齋藤 ひろみ
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

研究代表者土屋と分担者齋藤は、全国でも有数の外国人集住地域を校区とする小学校に研究の拠点をおき、学校・大学・地域の三者の連携・協働による子どもの学習環境づくりの実践的研究をおこなった。土屋は愛知県豊田市保見団地を校区とする豊田市立西保見小学校(全校児童数206名の内半数がブラジル人児童)を、齋藤は神奈川県いちょう団地を校区とする横浜市立いちょう小学校(全児童数203名の内半数が外国にルーツをもつ子ども-主にインドシナ難民・中国帰国者家庭の子弟)をフィールドとした。研究の成果として、次の3つがあげられる。1.外国人児童生徒への支援ネットワークの網の目に大学を位置づけて、実践の場に長期的に直接的にかかわったことにより、学校現場における実態を内側から把握することができた。2.学校現場の教育主体である教師、大学研究者、教育サポーターである学生が小学校という一つの現場で対話し、共に協働したことによって、それぞれがエンカレッジされ、教育のとらえなおしがはかられた。また、研究者は、学校の教育運営・決定のプロセスにおいて、日本語教育で蓄積されてきた知見や理論を提供し、議論参加できた。西保見小学校においては家庭内の言語環境の調査の実施、いちょう小学校においては校内研究会におけるテーマの設定が、その例としてあげられる。3.金子(1986,1992)のネットワーク論を基に、そこに差異や異質性をもつ参加者の「学習」としての実践という視点をくわえて、土屋と西保見小学校の連携を中心に、更に、地域もいれて、ネットワーク化をえがいた。外部者をうけいれることは、学校にとっては制度の整備、学校文化の質的な変容がもとめられるものであることがうかびあがった。以上、本研究における協働に基づくネットワークは、学校現場の子どもたち(外国人児童)へのよりよい教育実践をよびこむ一つのモデルになりうるとかんがえられる。
著者
齋藤 陽子
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

研究開発制度の在り方を左右する知的財産権について整理した。権利強化は取引費用の上昇につながり、公的機関の役割が改めて見直される結果となった。とりわけ孤児作物と呼ばれる投資の過少性が危惧される作物については、官民連携が模索されている。北海道または十勝管内を対象に、地域特産農産物(マイナークロップまたは孤児作物)の利用状況や需要動向を分析した。帯広市の給食は、じゃがいもを通年利用することで、食育を通した地域農産物の活用を進めていた。また、北海道を中心に新たに作付されるパン用小麦については、地産地消を実践する消費者を中心にアピールできることが分かった。
著者
吉島 茂 岡 秀夫 近藤 安月子 杉谷 眞佐子 北村 弘明
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本年度の重点は、外国語としての英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語および日本語に焦点を絞り、各言語圏を代表するInstitutesと研究者、また現場での実践者を一同に集め、冠テーマ『21世紀、グローカル時代の外国語教育』のもとにそれぞれの立場を表明し、直面する課題を議論することであった。2011年11月25日から27日までの3日間、東京ドイツ文化会館の講堂を借りて、シンポジウムを行った。のべ150人ほどの参加者を得た。詳細はHP www.fleeg.jpで見ることができる。その時のpresentationは加筆の上同HPに載せる予定である。この議論の中で浮かび上がったのはGlobal化した英語と、世界的に広がって、英語と並ぶcommunication言語となっているスペイン語、およびその他の言語、ドイツ語、フランス語、日本語の間の言語教育上の差違である。しかしコミュニケーション達成を根底の課題として、学習過程を構築していくことに共通の地盤を見出すことができた。Global Englishでは従来のform中心主義の教育はcommunication達成の大目標の前で影が薄くなっているが、言語能力の向上を目指すなら、そのdiversityの中で、標準化を目指す必要がある。スペイン語の場合はその地域的広がりの割に形式面でも均一性が見られ、英語の持っているような課題はないと言える。その他の言語については、その文化との関係がより大きな問題になってくる。Communicationを第一目標とすると、全ての言語において、特にpragmaticのレベルでその文化的影響が大きく出ると考えられる。これをどう標準化するか、その必要性、またdiversityに対応する能力の育成も今後の課題として認識された。CEFRの受容に関してはまさに落差が大きく理念を理解しての受容とはまだほど遠いというのが現状であり、ヨーロッパでのその取り組みには差がおおきくみられる。アメリカのSFLLについても同様である。
著者
木村 昌孝
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

フィリピンでは、1986年の民主化以来、民主主義の定着及び発展の文脈において選挙改革が重要事項のひとつであった。本研究は、フィリピンの選挙について、選挙行政研究の立場から、選挙人登録、投票、開票、及び集計の4つの局面におけるICT導入の経緯と現状について把握したうえで、選挙権の保障、不正防止、及び選挙行政の合理性(正確性、効率性、経済性)の3つの観点から分析し評価する。これら3つの要素は多くの場合トレード・オフの関係にあるので、民主政治におけるリーダーシップの正当性に不可欠な選挙の信頼性を損なわないように、様々な要請のバランスをとらなければならない。
著者
森田 豊
出版者
城西大学
雑誌
国際文化研究所紀要 (ISSN:13412663)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-63, 1996-08-31

The days from the foundation of Bohai by Da Zuo Rong to the first delegation to Japan in Sho-Mu era were the reign of empresses, viz. Ji-Tou, Gen-Myou, and Gen-Shou, in Japan. The innovations of the political institutions and many achievements for the establishment of a modernized state were accomplished by the efforts of those empresses in their eras. The stable political situation as a result of the settlement of the state-form enabled the beginning of the cultural interchange with the neighboring nations. The paper tries to have a brief look in at the eras of the empresses.
著者
藤田 富雄
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報.別冊
巻号頁・発行日
vol.11, pp.3-5, 1994-03-31
著者
富張 瑞樹
出版者
帯広畜産大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究では、犬の悪性黒色腫における免疫寛容誘導因子Gpnmbに関して、その遺伝子配列を解析するとともに、Gpnmb mRNA発現量が著しく高い犬悪性黒色腫細胞株が存在することを明らかにした。また、悪性黒色腫の自然発症犬では、GpnmbのmRNA発現量がすべての症例(n=4)において増加しており、他の免疫寛容誘導因子と比較して最も高い発現量を認めた。これにより、Gpnmbの犬悪性黒色腫における発現動態が初めて明らかにされるとともに、免疫寛容誘導因子として主要な役割を果たしていることが示唆された。
著者
高木 相
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.193, pp.45-50, 2006-07-21

平成18年(2006)6月6日(火)から9日(金)まで、仙台国際センターにおいて第23回電気接点国際会議(略称ICEC2006/Sendai)が開催された。本報告はその会議報告である。
著者
安藤 潤一郎
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.111, no.8, pp.46-71, 141-140, 2002-08-20

During the mid-19^<th> century, a chain of large-scale Muslim uprisings broke out in northwest and southwest regions of Qing Empire, simultaneously with the Taiping Rebellion and other violent disturbances. These uprisings are quite important to consider when one is to studying ethnic problems, nationalism, and geopolitics in modern East Asia from the cases of china's Muslim minorities. This article focuses on, among them, the Yunnan Muslim Uprising (雲南回民起義) especially on its earliest stages, in which serious conflicts between Han-Chinese (漢人) and Muslim residents (回民) took place in the western part of Yunnan laying the foundation for a widespread uprising, and examines concretely how these conflicts were generated and what made them structural. The conclusions reached are: 1. The conflicts became tangible action at the beginning of 19^<th> century, as the huge tide of immigration to this area brought about a rapid increase of population and intense competition among the people. However, at first, the rift between Han-chinese and Muslims was only a part of various fissures within the local society, and neither "Han" nor "Muslim" was a unified socio-ethnic collectivity. "Han" was usually divided into several ethnic categories, mostly based on birthplaces, and Muslim also consisted of divers segments. 2. However, it may be assumed that the "Muslim" category defined by Islamic faith, practices, and customs was perceived more strongly than other types of social fissures. Moreover, the socio-economic advantages enjoyed by Yunnan 'Muslims as the earliest immigrants and their widespread networks formed by a myriad of mosques (清真寺) attracted many Muslim newcomers to concentrate, providing them with a basis for mutual aid, security, and social opportunity. 3. On the other hand, the weakness of the local administrations and the extremely competitive nature of the immigrant society gave rise to secret societies bound by pledges of brotherhood (焼香結盟) as a system of mutual aid and security deep-rooted in local society, which drew people beyond preceding various social divisions. Such collectivities were quite similar to their Muslim counterparts mentioned above, and it could be said that they were different manifestations of the same group-forming motivation. 4. Therefore, the two types of collectivities came into intense conflict as they grew larger and stronger. Also, the reinforcement of the religious elements in each of them remarkably delineated and essentialized the "Muslim" category. Thus, seeds of Han / Muslim conflict were widely disseminated in local society, and consequently, entering into this dichotomous structure of conflict became an option in seeking self-interest ; then, divers forms of discord came to be reinterpreted upon this strcture.
著者
田中 昌宏 建部 修見
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-75, 2012-03

大規模な科学データ処理のため,計算機クラスターによる高性能な並列処理が必要とされている.特別な並列プログラミングを必要とせずにこれを実現するため,私たちはワークフローシステムPwrake を開発している.Pwrake はRake というビルドツールをベースにしており,これによりプログラミング言語を活用した高度な科学ワークフロー定義が可能となる.Rake に並列分散機能およびGfarm ファイルシステムのサポート機能を拡張したものがPwrake である.Pwrake の性能評価のため,天文画像処理ソフトウェアMontage のワークフローをRake で記述し,Pwrake を用いて実行時間を測定した.Gfarm で実行した結果はスケーラブルな性能向上を示し,ローカルストレージの利用を高めることで性能が14% 向上した.さらに2 拠点のクラスタを用いた測定においてもスケーラブルな性能向上を達成した.
著者
檀原 高 岡田 隆夫 高宮 信三郎 藤岡 治人 大草 敏史 藤沢 稔 前田 国見 深沢 徹 榎本 冬樹 藤本 幸雄 高崎 覚 各務 正 木南 英紀
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.502-508, 2004-01-30

平成15年6月6日に順天堂医学教育ミニワークショップが開催された.80名を越える教員が参加し,良質の多肢選択問題を作成するために討議を行った.会議に先立ち,平成14年度医師国家試験成績・共用試験のCBTと学内試験(基礎医学・臨床医学および卒業試験)との良好な正の1次の相関があることが示された(相関係数:0.65〜0.80).これらの結果が示すように,本学の学内試験は医師国家試験とCBTにとって良質な問題が作成されていることが示唆される.