著者
Morii Kei Sato Tokushi Wadade Hidemitsu
出版者
Elsevier Ltd
雑誌
Nonlinear Analysis: Theory, Methods & Applications (ISSN:0362546X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1747-1766, 2010-09-15
被引用文献数
6

We investigate the sharp constants in a Brézis–Gallouët–Wainger type inequality with a double logarithmic term in the Hölder space in a bounded domain in Rn. Ibrahim, Majdoub and Masmoudi gave the sharp constant in the two-dimensional case. We make precise estimates to give the sharp constants, and pass to the case of higher dimensions n≥2. We can also show that the inequality with fixed constants including the sharp ones admits an extremal function under a suitable condition when the domain is a ball.
著者
柴田 哲男 融 健 中村 修一
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

有機化合物へフッ素原子を導入するための試薬や方法論は多数開発されているが,現在知られている含フッ素医薬品は,ベンゼン環や複素環などの芳香族上の水素原子をフッ素に置換した例ばかりが目立ち,含フッ素ステロイド医薬品に代表されるような不斉中心にフッ素原子を有する医薬品や農薬品は少ない。これは,不斉中心にフッ素を選択的に導入する実用的な不斉フッ素化試薬やフッ素化反応がないことにも起因する。我々はこの問題に取り組み,これまでの研究例から完全に脱却した,キナアルカロイド/Selectfluor試薬を開発することに成功した。この試薬は,2種の市販試薬を有機溶媒中で混合するだけで簡単に調整出来るキラルフルオロアンモニウム塩である。簡便に反応を実施でき,適応範囲が広く,しかも不斉収率は従来法に比べ格段に高いなど,これまでにはない優れた性能を備えていた。本方法は,試薬という性格上,キナアルカロイドを化学量論量使用する必要がある。我々がこの研究を発表した直後に,Togniらによって初めての触媒的不斉フッ素化反応が報告された。彼らはβ-ケトエステルのフッ素化反応において,チタン/酒石酸を触媒に用いることにより,二点配位型の錯体を経由し,高エナンチオ選択性でフッ素化体が得られることを見出した。選択性については,まだ改善の余地が残されていたが,その後このアプローチは袖岡らのPd錯体を用いる方法により劇的に改善された。鎖状構造から環状構造までバリエーションに富んだβ-ケトエステル類の不斉フッ素化反応を,すべて90%ee以上の選択性で実現した袖岡らの方法は,この分野を一挙に完成にまで近づけた。この研究成果に刺激され,我々は,もう一歩踏み込んだ新しいフッ素化反応が出来ないものかと模索し始めていた。アミノ酸より簡便に合成できるビスオキサゾリン型触媒は,世界中で汎用されるキラル触媒の一つで,その不斉合成への実績は大きい。そこで,この触媒を活用した新しいフッ素化反応の開発を目指すこととした。着手して数ヶ月後,β-ケトエステル類の触媒的不斉フッ素化反応において,金政らの開発したDBFOX触媒とニッケル触媒が最適であることを見っけた。その不斉収率はこれまでに一度も達成されなかったことのなかった99%eeを記録しただけでなく,オキシインドール類の不斉フッ素化まで可能にすることとなった。
著者
安藤 聡彦 古里 貴士 平塚 眞樹 高橋 正弘 小栗 有子 関 啓子 宮北 隆志 境野 健兒 土井 妙子 高田 研 岩川 直樹 原子 栄一郎 石井 秀樹 片岡 洋子 広瀬 健一郎 小寺 隆幸
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、①1960年代以降世界各国において教育の「環境化」過程が生じてきたが、日本の公害教育運動は他国の社会批判的な環境教育運動と比較して、教育の目的・内容及び担い手の面でユニークであること、②チェルノブイリ原発事故後ベラルーシ共和国では放射線生態学教育が組織的に取り組まれ、日本でも福島原発事故後放射線教育が活発だが、公害教育運動の経験をふまえたアプローチも求められること、③ベラルーシ共和国において見られるリハビリ健康増進施設が日本においても有効であり、そのために公害教育研究の対象の拡大が求められること、④公害教育論の社会批判的アプローチの批判的再構築が求められること、が明らかとなった。
著者
西垣 智裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.15, no.12, pp.200-203, 2007-01

米国では2002年に企業改革法(サーベンス・オクスレー法、SOX法)が制定され、適用3年目に入っている。我が国でも2006年6月7日に金融商品取引法が可決成立し、いわゆる「日本版SOX法」が2008年4月1日以降に開始する事業年度から適用される予定だ。
著者
末田 武 星野 二郎 山村 准男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.152-160, 2004-06-28
被引用文献数
9 3

エムドゲイン<sup>®</sup>の輸入販売元である生化学工業株式会社がわが国の再審査制度に基づき, エムドゲイン<sup>®</sup>の市販後の日常診療における安全性および有効性を確認する目的で, 3年間にわたり市販後使用成績調査を実施した結果をまとめた。<br>歯科大学および歯学部の附属病院を含む全国171施設で行った956症例を対象に解析した。調査をエムドゲイン<sup>®</sup>を使用した手術の術前と術後8カ月目に行い, 有害事象の有無, 歯周ポケットの深さの増減, プロービング時の出血の改善, 歯の動揺の改善, クリニカルアタッチメントレベルの増減, 骨欠損の改善, 根分岐部病変の改善, 総合改善度について評価した。<br>エムドゲイン<sup>®</sup>に起因する副作用は報告されなかった。術後8カ月の時点で歯周ポケットの深さの減少 (約4mm), プロービング時の出血の減小, 歯の動揺の改善, クリニカルアタッチメントレベルのゲイン, 骨欠損の改善, 根分岐部病変の改善, 総合改善度の改善が認められた。<br>エムドゲイン<sup>®</sup>は歯周組織再生に対して安全で有用な医療材料であることが確認できた。
著者
伊藤 純一郎 横手 靖彦 所 真理雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.30-34, 1997-01-16

インターネットで現在利用されているIPv4プロトコルは,インターネットの爆発的成長に耐えられない,という指摘がある.このため,IPv6プロトコルが提案され,現在移行へ向けた考察が行われている.しかしながら,現在のルータソフトウェア構成法では,今後行われるプロトコル策定やプロトコルの仕様変更などに柔軟に対処することが困難である.本論文では,Apertosオペレーティングシステム上にIPv6ルータのプロトコル処理部を実装することで,これらの問題の解決を目指している.本方法では,並行オブジェクトによるソフトウェア構成によりプロトコル処理部のモジュール間の独立性を確保し,自己反映計算に基づくOSアーキテクチャの利用によりプログラマに最適なプログラミング環境を提供することができる.
著者
堤 英敬 上神 貴佳
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.33-48, 2007-03

本論文は,2003年総選挙の公約データを用いて,「政党・政策中心の選挙」の現状と政党内における政策的な分散を説明する「選挙制度不均一モデル」を検証する.前者については,自民党と民主党,二大政党間の政策的な違いは大きいといえず,両党内の政策的な凝集性も低いことを示した.また,「選挙制度不均一モデル」が予測する衆議院と都道府県議会において異なる選挙制度の効果については,系列関係の程度や地方議会選挙における競合のあり方に応じて,国政レベルの政策対立が末端まで浸透しないことを部分的に確認した.
著者
高橋 信之 河田 照雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

これまで空腹時高脂血症が動脈硬化性疾患のリスク因子として重要であると考えられてきたが、近年、食後高脂血症の方が動脈硬化性疾患発症とより密接に関連していることが示され、食後高脂血症を予防・改善することが重要であると考えられている。しかし、これまでに小腸上皮細胞における脂肪酸酸化活性が食後高脂血症にどのような影響を及ぼすか検討されてこなかった。そこで本研究では、小腸上皮細胞での脂肪酸酸化活性を変化させる内因性・外因性因子の食後高脂血症に対する作用を検討した。その結果、内因性因子としてレプチンが、外因性因子として PPAR-alpha 活性化剤であるベザフィブレートが。小腸上皮細胞での脂肪酸酸化を亢進させることで食後高脂血症を改善することが明らかとなった。さらに PPAR-alpha を活性化する作用を有する DHA にも同様に食後高脂血症を改善する作用があることが明らかとなった。以上のことから、小腸上皮組織における脂肪酸酸化活性は、生体内への脂質輸送量を決定する上で重要であり、食品成分により食後高脂血症を改善することが可能であることが示された。
著者
玉田 芳史 河原 祐馬 木村 幹 水野 広祐 岡本 正明 麻野 雅子 日下 渉 横山 豪志 滝田 豪 河野 元子 上田 知亮
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

タイ、フィリピン、マレーシア、韓国の政治は、1997 年のアジア通貨危機直後には安定していたものの、その後不安定になった。その主因は、社会的な格差や分断を増幅した新自由主義経済政策であった。社会経済的地位が不安定になった中間層は、多数派庶民の政治的台頭を前にして、数に対抗するために道徳という質を強調するようになった。そうした対立と不安定化が、タイとフィリピンではとりわけ顕著になっている。
著者
丹比 邦保
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.133-145, 1966-11-30

10月下旬以降に播種したエンバクとイタリアンライグラスとの青刈法における合理的な利用法を確立するため,それらの収量推移と収量曲線について考察した。2種とも播種期が遅れると全般的に収量は低下したが,イタリアンライグラスの方がその度合いが大であった。青刈法における有効な刈取期は4月下旬から5月中旬であった。刈取りにあたっては刈取期間を原則として20〜40日とし,収量曲線の推定は最小自乗法によった。なお,yは3.3m^2当りの生草収量,xは各区の刈取開始日からのずれの日数とした。その結果,収量曲線の概要は次のようであった。エンバク10月下旬播種2回刈取り: 1番草は3月10日から3月30日の刈取りで収量曲線はy=0.73x+3.65(0≦x≦4,1x=5日),2番草は5月2日から5月26日の刈取りでy=-0.336x^2+2.234x+11.828(0≦x≦4,1x=6日)である。1回刈取り: 4月19日から5月19日の刈取りで収量曲線はy=-0.8x^2+4.14x+18.99(0≦x≦3,1x=10日)である。11月上旬播種2回刈取り: 1番草は3月31日から4月15日の刈取りで収量曲線はy=3.32x+4.92(0≦x≦3,1x=5日),2番草は5月3日から6月11日の刈取りでy=0.6x^2-3.72x+7.63(0≦x≦3,1x=13日)である。1回刈取り: 4月30日から5月20日の刈取りで収量曲線はy=1.25x+16.62(0≦x≦4,1x=5日)である。11月下旬播種刈取りは4月20日から5月20日の間であり,収量曲線はy=3.7x+10.75(0≦x≦3,1x=10日)である。2月播種刈取りは5月20日から6月9日の問であり,収量曲線はy=1.7x+7.9(0≦x≦2,1x=10日)である。イタリアンライグラス10月下旬播種3回刈取り: 1番草は3月25日から4月12日の刈取りで収量曲線はy=2.34x+6.14(0≦x≦3,1x=6日)である。2番草は5月18日から5月27日の刈取りでy=-1.25x^2+2.55x+9.7(0≦x≦3,1x=3日)である。3番草は6月15日から6月21日の刈取りでy=-0.45x+1.5(0≦x≦3,1x=2日)である。2回刈取り: 1番草は4月12日から5月18日の刈取りで収量曲線はy=-1.05x^2+5.93x+12.73(0≦x≦3,1x=12日)である。2番草は5月27日から6月14日の刈取りでy=-1.1x+6.1(0≦x≦3,1x=6日)である。11月上旬播種2回刈取り: 1番草は4月2日から4月22日の刈取りで収量曲線はy=-0.421x^2+3.534x+5.4(0≦x≦4,1x=5日)である。2番草は5月14日から6月7日の刈取りでy=-0.85x+8.52(0≦x≦4,1x=6日)である。1回刈取り: 刈取りは5月2日から5月22日の間であり,収量曲線はy=0.38x+17.32(0≦x≦4,1x=5日)である。11月下旬播種2回刈取り: 1番草は4月25日から5月15日の刈取りで収量曲線はy=2.05x+8.38(0≦x≦2,1x=10日)である。2番草は6月4日から6月24日の刈取りでy=-1.05x+4.75(0≦x≦2,1x=10日)である。1回刈取り: 刈取りは5月10日から5月30日の間であり,収量曲線はy=-0.293x^2+1.602x+11.154(0≦x≦4,1x=5・)である。2月播種2回刈取り: 1番草は5月20日から6月9日の刈取りで収量曲線はy=0.55x+6.05(0≦x≦2,1x=10日)である。2番草は6月15日から7月5日の刈取りでy=-0.65x+2.32(0≦x≦2,1x=10日)である。