著者
箸本 健二
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-19, 1996-03-31
被引用文献数
2

最寄品消費財の生産体制は, 市場環境に対して受動的に適応し, 主にマーケティング部門によって多品種化が進められている. しかし, 最寄品消費財は, 価格に占める物流コストの比率が相対的に高く, 多品種多頻度小ロット配送化に伴うコストの吸収が大きな課題となる. これに対して, 情報化あるいは情報システム化は, 受発注やピッキングに要する時間を大幅に短縮して, 一定のリードタイムの範囲で配送可能な空間を拡大し, 多頻度小ロット配送のネックである積載効率の低下を防止する. こうした効果を通じて, 情報システムは物流施設の機能や立地に対して支配的に作用し, その変化を促進する. 一方, 多頻度小ロット配送への移行は, 流通チャネルを垂直に結ぶ情報ネットワークの構築を促進し, 流通業の競争構造は, ネットワークで結ばれたチャネル間の垂直的競争を重視するものへと転換する. 同時に, 技術的・経済的な制約から, メーカーがネットワークの構築を主導するケースが多く, メーカー主導によるチャネル全体の効率化が進行する. また, 情報ネットワークを軸とした物流の効率化が進むにつれて, 輸送ワットと出荷頻度とによる輸送経路の分化が強まる. ビール業界の場合には, ケース出荷とバラ出荷とで物流経路が分かれ, さらに末端配送先の分布や密度を反映した分化が進む.
著者
竹内 勇剛
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,知的人工物と人間との日常的な生活環境の中での自然なコミュニケーションの実現を目指し,知的人工物の知性と身体性に対する人間の認知的姿勢に基づいた適切なコミュニケーション環境モデルを提案することを目的とした.そこでまず,様々な状況におけるコンピュータやエージェントの一般的な利用場面を通して,それらの知性と身体性がどのような認知的姿勢のもとでそれらと人間との間の社会的なインタラクションに寄与しているかを検討した.この際,心理学的手法を用いた実験に対して統計的な分析を行なうことで,より定量的な視点での考察が可能になる.その結果,人間はアバターのように背後に実在する人間が操作しているような対象に対して,設計者が想定するように「アバター」として機能していることを基盤とした反応をせずに,インタラクションの実際の対象となっているアバターの像そのものに,人格性を帰属させた対人的反応を示すことが明らかになった.すなわち,人間はたとえ仮想的で実体を伴わない人工物であっても,その振る舞いが知的であると認知されると,そこに独立した人格性を帰属させ,背後にある様々な"仕組み"も対面している人工物自身の機能として認知してしまう反応をするのである.さらに,仮想的な身体を有した人物像との対話場面において,人間はその人物像のもつ身体的機能(視認・聴取・口述)を自然なものとして認知し,たとえば画面上に表示された人物像に対して,直接手にとったものを見せたり,話し掛けたり,人物像が発する音声が聞き取りづらいときに画面に近づいて耳を傾けるなどの間身体的反応が観察された.これらのことは,Reeves & Nass(1996)で主張されているMedia Equationパラダイムに基づく人工物とのインタラクションモデルを実証的なデータにも基づいて支持するものであり,ロボットなどの実体を伴った人工物とのインタラクションと仮想的な身体をもった知的人工物との特別な心理学的差異は存在しないことを示唆するものとして意義深い成果となった.
著者
TANSURIYAVONG Suriyon
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、双方向映像通信を利用したコミュニケーションにおいて,効果的に状況映像を伝えつつ,かつプライバシの保護手法を確立することを目的としている.具体的には,(1)状況映像の中から個々の人物像を実時間で自動的に抽出・認識・追跡する手法を確立し,(2)個々の人物像の細部を加工し隠蔽表示が可能とする制御機能を実現し,(3)プライバシ保護機能を組み込んだ双方向映像通信システムを構築して運用実験を行い,システムの有効性を確認することである.研究実績:(1)動画像処理装置IMPA-VISINを利用した人物像の実時間抽出手法の確立背景差分法と移動方向コードを組合せてビデオ映像から人物像を実時間で自動的に抽出する手法を確立した.(2)IDバッジを利用した人物の認識実験名札サイズの紙に印刷してIDバッジを作成し,認識用のビットパターンを決めて,画素の輝度の差を利用してビットパターンをIDバッジの背景から抽出し,ラベリング処理を行って,ビットパターンのコードを認識する実験システムを構築した.(3)人物の顔画像を利用した人物の認識実験多重解像度モザイク化処理を利用し,正面顔から12×12,合計144次元の顔部品特徴ベクトルを求め,それらから顔辞書を作成した.入力映像から実時間で自動的に正面顔を抽出し,モザイク化処理を施して顔辞書と照合し,人物を認識するシステムを構築した.(4)同一人物の追跡と人物隠蔽実験上記の(1)の抽出結果を利用して,人物像のラベリング処理をし,フレーム間での変化を追いつつ,同一人物を追跡しながら隠蔽表示できるシステムを構築した.隠蔽表示方法としては,シルエット表示,名前付きシルエット表示,名札シルエット表示及び透明人間表示を用いた.上記の(2)又は(3)と組み合わせて,識別した人物の名前と各隠蔽表示方法で,状況映像における人物のプライバシ保護手法を開発した.さらに,運用実験を行いシステムの有効性を確認した.(5)2000年9月13日に長岡技術科学大学で開催された電子情報通信学会オフィスシステム研究会で研究成果を発表した.(6)2001年11月16日にOrlando Florida, USAで開催されたWorkshop on Perceptive User Interfaces(PUI'01)にて研究成果を発表した.
著者
藤吉 弘亘
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.35, pp.113-120, 2008-08-21
参考文献数
24

インビジブルロボットは,環境に配置されたカメラ等のセンサ群から刻々と変化する人の状態を認識し,ユーザである人に対して快適な空間をアシストすることが重要な課題である.このようなインビジブルロボットの実現には,特に,人画像解析(People Image Analysis)として,動画像からの人の検出,追跡,顔の検出,顔の部位の追跡,モーション理解が不可欠な技術要素となる.現在までに,固定カメラによる背景差分に基づく人等を対象とした動体検出法は数多く提案されているが,このような動体検出をベースとしたアプローチでは,対象とする動体の検出に失敗すると次段の処理である物体識別が不可能となる問題がある.この問題を解決するアプローチとして,近年のコンピュータの高速化に伴い,画像全体を検出ウィンドウによってラスタスキャンし,low-levelな特徴量と統計的学習手法の組み合わせによる物体検出法が提案されている.本稿では,インビジブルロボットのためのビデオ解析として,VSAMプロジェクトで開発された動画像理解アルゴリズムと,その実用化例について紹介する.また,人画像解析のための新しいアプローチとして,検出ウィンドウのラスタスキャンベースによる人検出法とモーション解析についても紹介する.
著者
岩橋 政宏
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

従来の監視カメラは常に我々を写し続け、受信者に対して被写体の細部までを克明に伝えてしまう。いわば被写体の気持ちを無視した映像通信システムとなっている。これに対し本研究では、映りたくない人は自動的に隠す、いわば見られる人の気持ちを反映するプライバシー・コンシャスなビデオ通信方式を開発し、これをもって国際交流に貢献することを目的としている。1年目は、1)映像中から人物領域を抽出し、2)カメラからの距離に応じて人物ごとの透明度を決め、3)必要最小限の情報のみを圧縮符号化および伝送し、4)受信側で透明人間を映し出す方法を提案した。提案手法はとくに、画像符号化の国際標準であるJPEG2000(JP2K)の要素技術を活用しているため、世界的に普及しているIPコアなどのハードウェア・ソフトウェア資産を活用でき、開発期間の短縮や製品コストの削減が可能となる優れた特徴を有している。2年目は、5)本システムをDSPによりハードゥェア実現し、6)諸般の利用形態における改善点を明らかにし、システムの実用化を目指した評価実験を行った。既存の画像認識モジュールと既存の画像符号化モジュールを単に組み合わせるだけでは学術的な特色があるとは言えない。本研究では、7)JP2K画像符号化国際標準の要素技術を活用し、8)認識処理にフィードバックすることで人物領域や透明度を決定する。このような点で学術的に特色があり独創的であると言える。結果として、認識と符号化の協調技術が開発され、小型で省電力な知能ビデオカメラの開発が期待できる。更にはこれを太陽電池と風力発電で駆動することで、プライバシー・コンシャスな環境調和型モニタリング・システムを構築できる、あるいは、人に緊張感を強要しない遠隔共同研究空間を提供できる、等の意義を有する。
著者
リヒティ・オリビエ 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.61, pp.29-36, 2000-07-06
参考文献数
18

インターネットの家庭内での利用を促進して親密な関係をもったユーザ間での相互のアウェアネスを高めることを目的とした,手軽な個人間コミュニケーションを支援する,Gribouiliメッセージシステムを提案する.送り手は,Gribouilliパッドと呼ぶ装置を使って,紙の上にはしり書き(フランス語でgribouilli)をすることで,メモを家族や友人に手軽に送ることができる.また,受け取った側は,電子メール(push型)や個人WWWサイト(pull型)を使って,メッセージを非同期に読める.さらに,携帯電話インタフェースを提供することで,いつでもどこでもメッセージを受け取ることが可能である.本稿では,利用シナリオとシステム構成について詳細に報告する.This paper describes the Gribouilli Messaging System, developed to support lightweight interpersonal communication. Focusing on domestic settings, the system aims to increase mutual awareness within "intimate" social networks. One system component, the Gribouilli Pad, allows its users to initiate communication by quickly scribbling notes (gribouillis) on real paper. It thus enables an immediate flexible and very natural interaction. The notes captured by the Gribouilli Pad can be shared asynchronously with relatives and friends, via either email messages (push) or personal Web sites (pull). Additionally, the system is interfaced with mobile phone systems - it is therefore very easy to access and takes advantage of users idle time. A simple scenario first gives an overview of the Gribouilli Messaging System. Its hardware and software components are then described in more details.
著者
溝口 紀子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、フランスのメディア・スポーツ、スポーツ・ジャーナリズムにおける社会的背景や歴史的変遷を明らかにし、商業的な放映権とスポーツ団体の利益を擁護しながらも、「公共放送」の重要性を認め、どのようにメディア・スポーツ文化を構築していったのかを検証した。さらに、フランス人と日本人のメディア・スポーツ関係者による公開シンポジウムを開催することで、公共性やグローバル化の中における現代のメディア・スポーツの実像を明らかにし、メディア・スポーツのアイデンティティやスポーツ・ジャーナリズム、メディア・スポーツ文化について考察した。
著者
竹下 覚
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.近紫外励起用赤色発光Yvo_<4<:Bi^<3+>,Eu^<3+>ナノ蛍光体Yvo_<4>:Bi^<3+>,Eu^<3+>ナノ蛍光体を用いた太陽電池用波長変換材料を作製し、作製条件の最適化を行ったのち、シミュレーションと実験の比較を行った。その結果、より高効率な波長変換を実現するためには、波長変換層による反射」損失をさらに抑制する必要があることを明らかにした。また、実用化に向けた耐久性評価のため、ナノ蛍光体・ポリマー複合膜の長期耐光性試験を実施したところ、発光強度の特異な時間変動現象を発見した。この現象の起源について追究し、ナノ蛍光体が光触媒とよく似た作用によってポリマーを光分解していることを明らかにした。2.近紫外励起用緑色発光Zn_<2>GeO_<4>:Mn^<2+>ナノ蛍光体ソルボサーマル法によって作製したZn_<2>GeO4:Mn^<2+>ナノ蛍光体において、Mn^<2+>イオンの分布状態が発光特性に与える影響を調べるため、反応機構および粒子生成プロセスを解析した。その結果、Mn^<2+>イオンが粒子表面に偏析し、Mn2+間のエネルギー移動に起因する蛍光強度の低下(濃度消光)が生じていることを明らかにした。3.近紫外励起用赤色発光アパタイトナノ蛍光体近紫外励起用赤色発光ナノ蛍光体の応用の幅を広げるため、Yvo_<4>:Bi^<3+>,Eu^<3+>ナノ蛍光体よりも高い生体親和性を有するEu^<3+>ドープアパタイトに着目した。フランスCIRIMAT Instituteに3ヶ月間滞在し、当該分野の専門家であるDr.Christophe Drouetのもとで研究を行った。Eu^<3+>ドープアパタイトナノ粒子の合成法はすでに確立されているが、分散安定性が低く、強く凝集したナノ粒子が得られるという問題を抱えている。そこで、ナノ粒子の凝集・分散を制御する手法を探究し、親水性高分子鎖を有する配位子で表面修飾することで、分散安定性の高いナノ粒子が得られることを明らかにした。
著者
小澤 純夫 月橋 文孝
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.706-713, 2010-12-01 (Released:2010-12-25)
参考文献数
24
被引用文献数
4

The Utility of Stock hypothesis, which assumes that an in-use stock of constructional material is a function of GDP, was formulated and a clear correlation between the world steel stock and the world GDP led to the estimation that the world demand for iron ore (primary iron) depends not on the volume of GDP but on the variation of GDP, as already reported. It also became clear that the flow of primary iron has the controlling effect on the world production of crude steel. In this study, the prediction power of the Utility of Stock hypothesis is verified. Based on the verification, the global demand for iron source until 2050 is projected by deciding a world 1-region model.
著者
小澤 純夫 月橋 文孝
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.710-719, 2009-10-01 (Released:2009-12-10)
参考文献数
21
被引用文献数
7 12

The Utility of Stock hypothesis, which assumes that the in-use stock of constructional material is a function of GDP, was formulated and the clear correlation between the world steel stock and the GDP led to the estimation that the world demand for iron ore (primary iron) depends not on the volume of GDP but on the variation of GDP, as already reported. In this study, the world steel stock in use is computed. Sensitivity analyses are conducted to show the effect of lower reliable data such as the usage period (lifetime) of iron-containing final products. Clear correlation is found between the in-use steel stock and the steel stock. Hence, the Utility of Stock hypothesis is verified.
著者
小澤 純夫 林 誠一 月橋 文孝
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.522-530, 2009-06-01 (Released:2009-08-15)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

To forecast iron source demand, the Intensity of Use hypothesis, which assumes that material consumption per capita is a function of GDP per capita, is the most dominant theory in existing studies. However, this hypothesis is not effective for a world one-region model of iron sources. Therefore, we focused our attention on utility, and we suppose that economic growth is a major driver to increase the utility. As the utility of steel sustains for ages after purchase, we formulate the Utility of Stock hypothesis, which assumes that the in-use steel stock is a function of GDP. In this study, the world steel stock was computed and the Utility of Stock hypothesis was tested. Clear correlation is found between the steel stock and the GDP. It leads to the estimation that the world demand for iron ore depends not on the volume of GDP but on the variation of GDP. For the first time with total world figures, the result enables us to rationalize the recent decoupling between the world growth of iron source demand and the economic growth.
著者
中坂 恵美子
出版者
広島大学総合科学部
雑誌
広島大学総合科学部紀要. II, 社会文化研究 (ISSN:0385146X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.149-173, 2004

本意見書は、2004年7月29日付けで広島地方裁判所民事第2部に提出した「意見書」(平成13年(ワ)第1468号損害賠償請求事件)にタイトルを付し、プライバシーへの配慮のため、文中の実名部分を削除したものである。
著者
佐藤 夏雄 鮎川 勝 福西 浩
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.181-202, 1980-02

昭和基地のほぼ地磁気共役点にあたる,アイスランドのHusafelにおいて,1977年7月29日から約50日間,ELF-VLF放射の共役点観測を行った.共役性についていえば,(1)昼間出現するポーラコーラス,準周期的(QP)放射の共役性は良い,(2)バーストタイプのティスクリート放射,オーロラコーラスの共役性は悪く,おもに北半球側が強い,(3)オーロラヒスの共役性は悪く,南半球(冬半球)側が圧倒的に強い.これらの観測結果から共役性の良いポーラコーラス,QP放射は磁気圏内の赤道面付近で発生し,磁力線に沿って伝搬しているものと理解できる.またオーロラヒス,バーストタイプ放射の非共役性は,電離層内の電子密度,磁場強度,磁力線の伏角等の南北半球での非対称およびこれらの放射の発生領域に依存すると思われる.
著者
斎藤 正徳 井宮 淳 島倉 信 亀井 宏行 田中 秀文 奥野 光
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

地磁気のベクトル計測が行える探査装置として、「3軸グラジオメータ」を世界に先駆け開発した。3軸グラジオメータは、1インチ径のリングコアを用いたフラックスゲート型センサを3組直交配置した磁力計を、垂直方向50cm離して1本の支持棒に取り付けたもので、出力は磁気勾配3成分(上下のセンサの差出力)と、上方のセンサで捕らえた地磁気3成分である。センサ高は、支持棒への取り付け位置を調整することで、任意に変えられる。測定は、指示棒に取り付けられた水準器で垂直度を確認しながら行う。垂直軸周りのセンサの回転は、上方のセンサからの地磁気3成分を用い、補正することもできる。感度は磁気勾配で、1nTである。本体には、4,000点での測定値を記憶できるメモリを備えており、RS-232Cインターフェイスを介して、コンピュータにデータ転送できる。バッテリ-駆動で、約8時間測定可能である。この3軸グラジオメータを用い、夷森古墳(宮城県宮崎町)、根岸遺跡(福島県いわき市)、大戸古窯跡群(福島県会津若松市)、田尻遺跡(群馬県子持村)、猿田窯跡(群馬県藤岡市)、大寺山洞穴(千葉県館山市)、石ノ形古墳(静岡県袋井市)、大知波峠廃寺(静岡県湖西市)、象鼻山1号墳(岐阜県養老町)、稲荷塚古墳(京都府長岡京市)、久米田貝吹山古墳(大阪府岸和田市)、行者塚古墳(兵庫県加古川市)、七日市遺跡(兵庫県春日町)、東山古墳群(兵庫県中町)、岩戸山古墳(福岡県八女市)、西都原古墳群横穴墓(宮崎県西都市)の各種遺跡において探査実験を行い、本装置の有効性を確認するとともに,本装置をもちいた探査アルゴリズムを確立した。