著者
寺川 貴樹 石井 慶造 古本 祥三 菊池 洋平 松山 成男 酒見 泰寛 山崎 浩道
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

陽子線治療と腫瘍血流遮断剤を併用する新規治療法の開発を目的とし,マウス固形腫瘍による治療実験を実施した.本研究の高精度照射のために、マイクロパターンガス検出器による新規ビームモニターの開発に成功し治療実験に用いた。治療効果を[18F]FDGと[18F]FMISOを用いた超高分解能PETと、腫瘍増殖遅延測定から評価した。その結果、単回併用治療において、腫瘍増殖遅延に相加的効果があるだけでなく、腫瘍中心部の広範囲に細胞死が誘発されたが、腫瘍の辺縁部に低酸素状態を含む腫瘍細胞の生存領域が認められた。よって、単回治療後の2回目の併用治療が腫瘍細胞を完全に死滅されるために必要であることが示唆された。
著者
大湾 秀雄 川口 大司 都留 康 都留 康 鈴木 勘一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

内部労働市場の機能や人事制度の効果を計測するために、従業員個人レベルの生産性/評価、報酬などが利用できる人事データのアーカイブ構築を目指した。大手企業向けERPパッケージの開発・販売会社ワークスアプリケーションズと(独)経済産業研究所との間の産学官連携プロジェクトとしてスタートし、平成25年度までに、製造業2社の人事データを用いた分析を進めた。(1)組織内で男女賃金格差が生じている背景として、出産後のキャリアの中断、および男女の労働時間格差がある、(2)就職氷河期に同期入社人数の減少を経験した世代は、長期的には昇進確率の改善により将来の報酬にプラスの影響がでる、等新たな知見を明らかにした。
著者
中島 求
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究ではまず,全身駆動型スイマーロボットを開発した.本ロボットは実際の競泳選手の1/2サイズのヒューマノイドロボットであり,全身に20個のサーボモータを内蔵し,人間の泳動作を忠実に再現することができる.本ロボットを回流水槽に設置し,クロールの泳動作を行わせ,ロボット全体に作用する非定常流体力を測定する実験を行った.その結果,手が水をかく瞬間における推進力発揮が実験的に確認された.
著者
大西 領
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

定常等方性乱流場を実現するための効率的な強制法と、その強制法を組み込んだ大規模並列二相乱流シミュレーション法の開発を行った。実際にスーパコンピュータをも使った大規模並列計算を実行し、テイラーマイクロスケール基準乱流レイノルズ数Re_λが340という高いレイノルズ数における慣性粒子の衝突頻度データを得ることに成功した。得られたデータを使って既往の衝突頻度予測モデルの検証を行った結果、既往モデルは高レイノルズ数の時に乱流衝突頻度を過小評価することを明らかにした。
著者
柏葉 武秀
出版者
北海道大学哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:02872560)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.47-65, 2008-02-29
著者
塩野 透 黒野 弘靖 井苅 大和
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.51, pp.289-292, 2008-07-27

上越市高田の町家の空間構成と接客時の室の利用から、町家内部における接客空間の特徴を明らかにすることを目的とする。町家の用途や来客の種類によらずチャノマは接客に使用される。トオリニワが主屋裏まで通り抜けており客をチャノマまで迎え入れる。そこを玄関として家にあげている。また、チャノマは吹抜けの空間で梁組をみせ、ワタリロウカや差鴨居、ザシキとの間の板戸は漆が塗られている。これらの意匠を上部に設けられた高窓からの採光で照らしている。このようにチャノマは接客の場にふさわしい構えとなっている。
著者
新飯田 宏
出版者
横浜国立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

本研究では、まず不当廉売における不当性の評価基準として、(イ)資源配分の効率性、(ロ)企業行動の戦略的効果の2つの観点から理論的にアプローチすることを意図し、簡単な寡占モデルによって競争政策に適用可能なルールの導出を検討した。その結果、次の点が明らかとなった。(【i】)資源配分の最適性を保証するように、限界費用に価格を等しくするように価格を値下げしても、それが一時的な値下げである限り、何ら社会的厚生を増大させることはない。したがって、特定の廉価販売を単純な短期の価格・費用の関係から、不当廉売に関する判断基準を作成することは不可能である。(【ii】)不当廉売の問題で重要なのは、その廉売が相手企業の戦略行動を予想した長期にわたる動態的プロセスであり、戦略的最適化の問題である。そこで廉売を潜在的参入者の参入阻止と、相手企業のシェア拡大阻止を狙う行動としてみたとき、不当廉売の判断基準として、(1)価格は限界費用以下ではならない(限界費用ルール)、(2)価格は総平均費用以下ではならない(平均費用ルール)、(3)新規参入の後、既存の企業は参入前の産出量以上に生産してはならない(生産量制約ルール)の三つを理論的に検討した結果、社会厚生最大の観点からは、産出量制約ルール>限界費用ルール>平均費用ルールの順で望ましいことがを明らかとなった。しかし、不当廉売を行っている企業が周辺企業に印象づけている"評判"という"情報"としての機能を考慮すると、競争政策として比較的コストを少なく不当廉売規制を行うとすれば、何が望ましい政策かが次に問題となる。現実の不当廉売問題と上記の理論的な結果を併せ考慮すると、「すべての廉価販売をまず自由に認め、その上で資源配分の効率性を高めるように、原則として相当期間、廉売商品について元の価格以上に戻ることを認めない条件を付するのがよい」というのが結論である。
著者
近藤 勝直
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、道路審議会(旧)の答申をふまえ,高度情報化時代に対応した都市高速道路における料金体系の再構築をめざして研究したものである。利用者の負担の公平に配慮しつつ、利用者の便をはかり、かつ料金収入の確保のため、料金体系の弾力的運用方法について提案する。現行の料金体系は2車種・均一料金制(入路前払い)であり、これは、料金ブースでの料金収受時間の短縮と出路ブース建設費の節約がその背景にある。しかし、実行段階に入ったETCを前提とすると、車種判別の自動化はもちろん、入口出口はノンストップであり、料金収受の必要はなく、後納方式なり前納方式なりで、走行距離、利用区間、時間帯、交通量(需要)などに応じた課金が可能となる。今回検討したのは、とくに対距離料金制の導入であり、短距離では現行より値下げし、長距離では値上げとなる。この新しい料金体系が交通量におよぼす効果をシミュレートし、渋滞や環境、そして料金収入などに与える影響を評価した。考え方としては、新制度で料金収入が増加することは利用者の理解を得にくいので、料金収入一定の条件下でのありうべき料金水準について検討することがねらいとなった。現在までの試算では、短距離の値下げは短距離トリップを増加させる。これによって、容量的に問題となる路線・区間ができる。一方、長距離の値上げによっては広域的な高速道路を必要とするトリップ(とくに物流トラック)に影響し、これが一般道路に転換するようだと環境上は好ましくない。かように、現行制度を改変すると、課金の合理性は確保できるが、一方で各種の新しい問題も発生する。また、現在試行されている「環境ロードプライシング」についても検討を加えた。これも、なかなか悩ましい問題であり、具体的には、阪神高速道路神戸線(環境問題あり)と同湾岸線(環境問題なし)の2路線間で料金格差によって、問題の神戸線から湾岸線に交通量を誘導しようとするものである。これも計算上も実績上も神戸線の料金弾性値が低く、したがって期待通りの転換がすすまない。神戸線の利用者が値上げについて来る。かえって増収にもなってしまうのである。この原因は上記2路線が真に代替ルートを形成していないことと、環境問題地域前後での車両の入退出が多く、トリップのODを再度精査する必要がある。これらを明らかにした上で、実行のある環境政策としての料金政策による交通誘導をはかる必要があるとの結論を得た。(詳細は印刷した報告書を参照のこと)今後は、さらに車種区分についても考察を加えたい。これは車種ごとに行動パターンやルート選択行動が異なるためである。環境問題が大型車のPM排出にあるとするならば、これに限定した施策が展開されなければならない。そのためには車種ごとの検討が必要である。
著者
五十嵐 淑郎 荒井 貴史 川上 貴教
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.1183-1188, 1994-12-05
参考文献数
11
被引用文献数
7 13

水-酢酸-クロロホルム三成分系において, pH依存相分離現象を利用した新しい均一液-液抽出法を開発した.まず, 三成分溶媒系の相分離における最適操作条件を決定した{クロロホルム230μl(0.66vol%)と酢酸2cm^3(5.71vol%)を含む均一水溶液に水酸化ナトリウム水溶液([NaOH]_T=1.03mol dm^<-3>)を添加し相分離を行う.最終体積 : 35cm^3}.又, あらかじめ添加するクロロホルムの量を調節することにより, 水相(V_w=35cm^3)と析出相(V_o=3.5μl)との体積比を一万倍とすることができた.モデル溶質としてα, β, γ, δ-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィンを選定し, 本法を適用した結果, V_w/V_oが700のとき, 分配比(D)は5600及び抽出率(E)は88.9%であった.更に, 本法と8-キノリノール比色法を組み合わせた均一液-液抽出法では, 飲料水中の鉄の定量に対し, 良好な結果が得られた{鉄(III)-8-キノリノール錯体 : V_w/V_o=700のとき, D=1230及びE=63.7%}.
著者
菊池 眞夫 高垣 美智子 倉内 伸幸 南雲 不二男 丸山 敦史 丸山 敦史
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

サブサハラにおける「低投入環境保全型」農業モデルを提唱するため、ウガンダにおいて農家調査、栽培試験、パピルス湿地開田試験、関連2次資料収集を行った。これら基礎データの分析により、陸稲作・水稲作の普及により稲作生産を飛躍的に拡大するポテンシャルは極めて大きく、サブサハラにおいて、環境に負荷を与えることなく「緑の革命」を達成する条件は整っており、それを達成することが農村の貧困解消にも貢献することが明らかとなった。
著者
糸魚川 幸宏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.165-166, 1995-09-20

文字を用いたマン・マシン・コミュニケーションにおけるレアと思われるケースを識別し分析しようとした理由を上げる。 (1)心理学の実験においてレアな反応を示す被験者がある。知覚理論などを検証する場合、統計処理により棄却される。調査者は心理学科を卒業しているが、大学1年の時、催眠実験の視覚心象の性質の研究において実験者よりレアな反応データといわれたことがある。何色という反応をする場合に人の着ているシャツの色を言ったのである。心理学者のなかに他者を分析する場合、自己を分析することが大事ということを言う人もいる。本研究において当初50人の被調査者を識別した。ID(アイディンティフィケーション)も一つの識別基準にした。レアなIDの被調査者aを識別したのはテーマに対して無視できない重要な事柄を「レアと思われるケース」が提供するからである。 (2)マン・マシン・コミュニケーションの作業分析を行った。コンピュータの制御卓での作業において各端末と文字によるコミュニケーションを行ったことがある。グループウェアの研究会(平成4年6月26日、於、慶応義塾大学)で確認したのは、制御卓と各端末とのコミュニケーションは会議と似ている面がある,マルチメディアによるコミュニケーション精度を向上させる場合、文字、画像、音声を一緒にした実験をするか、文字、画像、音声の各々の実験により精度向上をはかるか、どちらがよいかという問題であった。グループウェアにおいてコミュニケーションの特徴が分類されているが、本論文に参考にしたのはフォーマル、インフォーマルのそれぞれの特徴である。インフォーマルなコミュニケーションの特徴は、「偶発的、ランダムな参加者、議題はその場で決まる、双方向、豊富な内容、インフォーマルな言語と記録」などが上げられている。 (3)被調査者は面識のある人から識別した。趣味によるIDの設定も入れている。被調査者50人のうち1人が推理小説ゆえに識別された。データ源7,329人中18人(0.25%)が推理小説を趣味と申告している。レアな報告と考えられる。推理小説を選んだ理由は、マン・マシン・コミュニケーションにおいて、識別した被調査者bの制御卓へのメッセージにインテリジェンスを感じさせるものがあった。レアなものであり、蓋然性コミュニケーションがあったのは、推理小説、エスピオナージ愛好の共有部分が調査者とあったからと考えた。出会い後、その人への接近、回避ということを考えると、どの文学作品を被調査者が話題に出したかも影響している。「日本沈没」が記憶に残り、「芽むしり仔撃ち」を回避したケースもある。趣味にSF愛読があるが、文字を用いたマン・マシン・コミュニケーションの場面での出会いがなかったので今回は被調査者に識別しなかった。
著者
豊原 憲子 山本 聡 長谷 範子 土居 悟 岡田 正幸
出版者
大阪府環境農林水産総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

難治性小児気管支喘息による入院児童に対し、種まき-栽培-収穫-摂食の行程を中心とした園芸プログラムを実施した結果、活動による呼吸機能の低下は認められず、栽培体験と児童個人への管理責任の設定と栽培した植物を自宅家族に持ち帰ることが植物へのこだわりを高めて自主的行動を誘導した。このプログラムにより一症例で顕著なストレス軽減が認められ、病棟内での行動の改善と退院につながるなど、プログラムによる精神的安定と退院の時期に関連性があった。プログラムを提供する庭園内での児童の行動解析から、下草が繁茂して見通しの悪い植生が行動の制限要因となった。