著者
太田 光雄 宮田 繁春
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.15, no.30, pp.1-8, 1991-05-24

超音波B-モード画像上には、複雑な斑紋状のパターン(スペックル・パターン)が現われる。このスペックル・パターンを統計信号処理の手法により解析しておくことは超音波画像診断の意味からしても重要なことである。本報告では、生体内の秩序・無秩序部分から発生したスペックル画像のメカニズムを、ShannonのN次元信号空間内に於ける酔歩モデルとして捉え、新たにHankel変換型特性関数を導入することにより、各要素酔歩ベクトルの合成に対する揺らぎ分布を理論的に導く。更に、これが公知のRay1eigh分布、Rician分布をスペシャル・ケースとして内包することを証明した後、実験的な確認をも行なった。
著者
関口 武彦
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 社会科学 (ISSN:05134684)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.一-十九, 2009-02-15
著者
川野 日郎 原 義彦 上條 秀元 平瀬 清 吉田 甫 草野 勝彦 NAKASONE Rau FINKEL Donal FIKSDAL Susa SMITH Barbar 堀 和郎
出版者
宮崎大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究グループは、これまで3年にわたって大学におけるリカレント教育(生涯学習)の推進についてアメリカのエヴァグリーン州立大学(TESC)と情報交換・共同研究を行ってきた。本年度は代表者川野と協力者小林がTESCを訪ね研究のまとめを行った。TESCでは州に提出される報告書(Portfolio)をもとに教育や評価について詳細な説明を受けた。TESCの理念は、(1)大学の主目的は教育である,(2)個人学習よりも共同学習、共有学習が優れている,(3)受動的に知識を習得させるのではなく、自ら主体的に学ぶ姿勢(Active learning)を育てる教育を旨とする,(4)専門分野を個別ではなく総合的に関連づけて理解させる,(5)習得した知識は現実に適用されて初めて理解されたと云える,となっている。このような理念の実践のためカリキュラムや評価まで大学全体が組織立てられている。通常の専門教育は行われず全ての授業がそれぞれ一つのプログラムのテーマに沿った構成要素になっている。そして授業内容も徹底した横断的・総合的内容になっている。総合的教育のネックは、学生の成績評価であるが、これについても教官及び学生それぞれの立場からの評価を総合し、極めて綿密で行き届いた論述による評価方式をとっている。こうした大学の教育にかける努力には実に注目に値するものがあった。共同研究では、本来大学の使命は教育と研究であるとするわれわれと種々の点で意見の分かれるところがあったが、TESCは少なくとも教育の面については先進的であり、極めて有用な知見を得ることが出来た。本学の新しい大学教育を考えるとき研究と教育の調和をいかに図るかが大きな課題と考える。生涯学習に関しては、TESCの場合、大学教育そのものが生涯学習の一環であるといえる。大学では専門知識をそのまま直接教えるのではなく、知識の獲得の仕方、使い方を学ぶ、これは将に生涯学習者の育成である。生涯学習の制度的側面など比較研究については、未だ十分な結果は得られていないが、アンケートによる意識調査の結果によると、学生・教官ともに生涯学習に関する意識は高いことがわかった。
著者
上田 博人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

今回の研究の目的は,現代スペインの演劇作品の語彙総合コンコーダンスを完成させることにある.これは全部で12の冊子(1冊600頁)からなる大部のものであるが,すでに3冊は刊行されているので,残りの9冊を1年につき3冊ずつ刊行することとなった.平成6年度.スペイン現代演劇の30作品の総合コンコーダンスの第4分冊(E),第5分冊(F〜K),第6分冊(L〜M)を完成した.現在,他のコーパスによる分析資料との比較検討を行った.平成7年度.総合コンコーダンスの第7分冊(N〜O),第8分冊(P),第9分冊(Q〜R)を完成した.動詞活用形認識プログラムの開発に着手した.平成8年度.総合コンコーダンスの第10分冊(S),第11分冊(T〜U),第12分冊(V〜Z)を完成した.動詞活用形認識プログラムのバ-ジョン1を完成した.これまでのスペイン語研究の資料は,母国語話者の直感や面接方式のチェック,文学作品などの用例採集,そして一部の研究者によるフィールドワークに基づくものであった.近年コンピューターが言語研究に使用されるようになって,コーパス言語学という新しい方法が注目されるようになったが,コーパスそのものは個人の研究の範囲内に留まり,あまり公開されてこなかった.また,その規模も小さかったことも問題点として挙げられるだろう.この研究は現代スペインの30の演劇作品全体を扱い,50万語の言語コーパスと総合コンコーダンスを完成させるという規模の大きなものである.今回,科学研究費の助成によって完成したスペイン語言語資料な内外の研究者に供されて,今後のスペイン語の言語研究や辞書学の発展に寄与できるものと信じている.
著者
生貝 直人 チェン ドミニク 松本 昴 野口 祐子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.576-585, 2007
被引用文献数
2

2002年に最初のライセンスが公開されて以来,クリエイティブ・コモンズ(CC)は急速に活動を拡大し,現在では約1億4,000万以上のコンテンツと50か国以上のノードを数える広がりを見せている。そうした中で,ライセンスの活用方法やクリエイティブ・コモンズの組織のあり方は進化と変容を続け,当初の「法律家による」「無償コンテンツの流通促進」といったイメージからは大きく変化している。本稿では,「ビジネスモデル」と「Web2.0」という2つの観点から,多様性を増すCCライセンスの現在形と,今後の展開の可能性を紹介する。
著者
有薗 格 横山 隆光 斎藤 陽子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.19-29, 2004-03-31

最近のテレビ番組はデジタル放送やハイビジョン放送等,高画質で放映内容も国内はもとより世界諸国の歴史・文化・生活・社会問題等,学校の授業で利用できる情報が提供されている.ところが全国の教育センター指導主事や教師を対象にした「テレビ番組の教育利用と著作権問題」についての実態と意識に関する調査(平成14〜15年度)の結果で学校の授業等でテレビ番組の内容を分断利用した教師は少ない,多くは著作権問題があるため利用しない現状にある.しかも多くの教師や指導主事等は「子どもに豊かなイメージを育て,わかる楽しい授業が効果的である」と理解している等が判明し,著作権問題はテレビの教育利用に大きな障害をもたらしていることが分かった.そのため文化庁の文化審議会著作権分科会はインターネットの普及や情報伝達技術の発展と情報利用の多様化の進行にともない著作権問題の見直し,学校等の「例外的に許諾を得ず」に複製・活用できる対象と幅を拡大する方向での検討をすすめるようになった.
著者
中川 信治 藤川 義人 坂井 知志
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.26, pp.198-201, 2010-08-21

学校で行われる教育課程(正課)では、著作権法35条により、その目的の範囲内で著作物の無断複製を行うことができる。しかし正課を離れた青少年教育活動などの課外活動では、同条が適用されないケースが多々存在する。一方、一定数以上の集団のもとで行われる青少年教育活動での著作物の無断複製は、著作権30条の私的使用にもあたらない。かかる著作権法上の問題が多い青少年教育活動について検討し、またその指導者が注意すべき点や具体的なケースにおける問題点について取り上げたコンテンツの例を紹介する。
著者
Noboru TAKAMURA Yoshihiro NAKAMURA Katsu ISHIGAKI Jitsuro ISHIGAKI Mariko MINE Kiyoshi AOYAGI Shunichi YAMASHITA
出版者
Journal of Radiation Research Editorial Committee
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.201-204, 2004 (Released:2004-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
11

We examined the effect of stable iodine on thyroid gland blockade in patients with hyperthyroidism in order to make a preliminary evaluation of the appropriate dose of iodine prophylaxis in the event of a radiation emergency in Japan in which radioiodine is released to the environment. Eight patients were orally given single doses of 50 mg or 100 mg of potassium iodide, which contained 38 mg and 76 mg of iodide, respectively. Both doses significantly suppressed a thyroid uptake of 123I for 24 h (p = 0.03). The protective effects at 24 h were 73.3% and 79.5%, respectively. No side effects were observed during the trial. The present study demonstrates that a single oral administration of 38 mg of iodide produces a thyroid-blocking effect equivalent to that of 76 mg of iodide, suggesting that a reevaluation of the stable iodine dosage during radiation emergencies in iodine-rich areas such as Japan is warranted.
著者
有薗 格 齋藤 陽子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.19, pp.248-251, 2003-08-09

平成15年1月に文化庁の文化審協会著作権分科会が平成13年度以降の関係小委員会の審議経過をもとに, 近年のコピー機やデジタル録音録画機器の発達・普及, インターネットの普及など, 高度情報通信時代に対応した著作権見直しの問題について, 一部著作権改正の方向をまとめた。これをふまえ教育目的による複製物の活用がどう変化するか, アンケート調査を実施した。その結果, 著作権問題の捉えの不十分さ, 現行の著作権の在り方には問題があると捉えられていることが明らかとなった。
著者
籠谷 直人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

戦後の日本の経済復興は繊維製品の輸出主導で進められた。1951年に日本の綿製品は世界第一位の実績を記録する。そして57年からは日本は対合衆国輸出自主規制にふみきる。自由貿易原則を謳いあげた合衆国であったが、国内の繊維産業を保護する政策を日本の輸出自主規制に求めたからであった。世界的な自由貿易原則の行使と、国内の産業保護を希求する、両義的な通商政策を、合衆国は取り続けた。これは、日米繊維摩擦が問題となるときに、共和党と民主党の双方で追求された政策であった。1950年代のアイゼンハワード政権においてリチャード・ニクソンは副大統領であった。ニクソンは1960年にジョン・F・ケネディ候補に、大統領選で負けた。しかし、ニクソンは、ヴェトナム戦争中の68年に、大統領に就任した。ニクソンは、繊維産業が集積する南部の票田を確保するために、外国からの繊維輸入を制限することを公約にあげた。1950年代後半から60年代初頭にみられた日米繊維摩擦が、ここで再熱した。ニクソン政権は、日本をはじめ、韓国、台湾、香港に、繊維製品の「自主規制」を求めたが、華僑ネットワークを有するアジア四国は強く反発して、通商摩擦の沈静には約3年を要した。しかし、こうしたアメリカとアジアの摩擦が、1971年のニクソン・ショックの背景となる。突然の訪中とドルの金交換停止は、合衆国とアジアの繊維通商摩擦問題を背景にしていた。
著者
須田 和裕
出版者
駒沢女子大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02884844)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-5, 1991-03-31

インスリンの脂肪分解抑制作用に対するトレーニング効果およびそのアデノシンとの関係をラット脂肪細胞を用いて検討した。その結果は次のようであった。1. ノルアドレナリンに対する脂肪分解反応はトレーニング群で有意に増強した。2. ノルアドレナリンの最大刺激に対するインスリンの脂肪分解抑制ではトレーリング群でインスリンに対する感受性が高まった。3. アデノシンをアデノシンディアミナーゼで除去すると, 90%のノルアドレナリン刺激に対するインスリンの抑制はトレーニング群でみられたものの, コントロール群ではみられなかった。4. さらにアデノシン非存在下で最大刺激のノルアドレナリンに対するインスリンの抑制は両群ともにみられなかった。これらのことからアデノシン存在下ではトレーニングによってインスリンに対する感受性は高まると考えられるものの, アデノシン非存在下ではトレーニング効果を認めるに足る明白な証拠は得られなかったと考えられた。
著者
楠瀬 佳子
出版者
京都精華大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

現在は過去の連続線上にあり、過去の絶えまない再構築をくり返し、歴史は書き換えられていく。だが、誰にとっての歴史であるのかという視点を絶えず確認しなければならないだろう。とりわけ、南アフリカではアパルトヘイト政策のもとに、白人支配の立場から歴史が語られてきた。アフリカ人は長年にわたりあらゆる人権が奪われ、歴史から意図的に抹殺され、歪曲されたのである。こうした人種の強迫観念にとらわれた歴史をどのように書き換えるかは、過去を問い直し、現代と未来を再構築する重要な作業であり、国民国家をどう形成するかにつながる。南アフリカの女性たち、とりわけアフリカ人女性は、アパルトヘイト(人種隔離政策)体制のもとで「人種」「階級」「性」による三重の抑圧を受けてきた。さらには家父長制のもとで、家庭では父親、叔父、夫、息子によって支配され、労働の現場でも、男性の監督官や支配人に管理されてきたのである。女性の生活や経験は社会的に完全に無視され、社会の周縁におかれて見えない存在であった。本研究においては、数多くの女性にインタビューをしたり、真実和解委員会での証言を分析したり、文学に描かれた女性像をたどりながら、女たちの声を通して女性の実態を、明らかにした。こうした作業は歴史の再構築には欠かせないものであるが、時間的制約のなかでは、ほんの一部しか明らかにすることはできなかった。膨大な資料や、貴重な資料が手付かずのままであるので、今後もこうした研究を継続していきたい。歴史学のみでなく、文学、社会学、宗教学、自然史、博物学、人類学、政治学、経済学、女性学などあらゆる学問分野の共同作業も視野にいれなければならないだろう。