著者
新保 寛 千原 猛 金児 孝晃 戸松 亜希子 若松 一雅 新里 昌功
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アロエエモジン(AE)は抗がん活性や抗炎症効果を有することが報告されている。我々はApcMin/+マウスの大腸腫瘍発症のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)処置の有無に対する低用量AEの修飾作用を調べた。その結果、低用量AEの混餌投与は、DSS未処置・処置の双方でMinマウスの大腸腫瘍の発生を低下させた。さらに、低用量AE投与はMinマウスの大腸粘膜の細胞増殖能を抑制した。
著者
石井 康子 谷澤 久之 滝野 吉雄
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.904-910, 1988-09-25
被引用文献数
4

The mechanism of cathartic effect of barbaloin, representative of Aloe, was investigated by using male rats. Barbaloin administered orally was demonstrated to decompose to aloe-emodin-9-anthrone and aloe-emodin in the rat large intestine. And, these decomposed compounds were likely to change each other in the large intestine. Any compound of barbaloin, aloe-emodin-9-anthrone and aloe-emodin administered orally to rats was found to cause an obvious increase of water content in the large intestine, and only aloe-emodin-9-anthrone administered orally caused a significant increase of water content in the small intestine. Furthermore, the clear increase of water content and abnormality of electrolytes (Na^+, K^+) in the colon segment of rat were observed only by aloe-emodin-9-anthrone when compounds tested were injected directly into the colon segment. Therefore, it seemed that aloe-emodin-9-anthrone, a decomposition product of babaloin in the rat large intestine, caused an increase of water content in the large intestine by a different mechanism from the stimulation of peristalsis and this played an important role in cathartic activity of barbaloin.
著者
与謝野 有紀 大西 正曹 高瀬 武典 林 直保子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、商店街等における信頼生成過程の詳細な聞き取りによって、組織に対する信頼感の人工的生成は困難であり、組織は信頼生成の必要条件としかならないことを明らかにした。また、地域メッシュ統計をもちいた全国の不平等分布の検討から、不平等が社会の正当性の承認を破壊し、一般的信頼の阻害要因となることを明らかにした。また、動画を用いた信頼性見極め調査システムの開発し、その過程で、特定の他者との関係が築かれると一般的他者への信頼性が上昇することを明証した。
著者
与謝野 有紀 熊野 建 高瀬 武典 林 直保子 吉岡 至
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.293-317, 2006-03-30
被引用文献数
1

全国の地域通貨運営団体を対象に、目的・運営形態・効果・問題点等に関する郵送調査を実施した。調査対象によってさらに他の新しい対象を紹介してもらうスノーボール式サンプリングを行い、最終的に107の地域通貨からの回答を得た。単純集計結果をもとにすると、(1)地域経済の活性化を第一の目標にするものは全体の1割にみたず、コミュニティの再生などを目標においているものがほとんどである。(2)問題点としては、使用が一回かぎりの場合が多く流通しにくいことや、活動が広がらないことをあげているものが多いことがわかった。
著者
米司 健一 田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38, pp.47-52, 2005-05-12
被引用文献数
8

画像撮影時の手ぶれや,対象が動くことによって画像にぶれが生じる.このぶれを等速直線運動で近似すると,ぶれを表すPSF(Point Spread Function)は幅と角度の2つのパラメータで表現することができる.劣化画像の振幅スペクトルは,PSFの幅と角度によって決まる方向と周期で0となる性質を持つ.この劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性を検出することによって,PSFパラメータの幅ellと角度thetaを推定する.本論文では原画像の周波数特性によらず,劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性をロバストに検出する手法を提案する.また,実画像実験を通して,提案手法の効果を確認した.An image is degraded by hand blurring or moving object. That degradation can be expressed by PSF(Point Spread Function). The PSF has two parameters of width and the angle, approximating the motion is uniform. An amplitude spectrum of blurred image has a feature based on PSF parameters. PSF parameters can estimate from this feature. This paper presents a new method to estimate PSF parameters from the amplitude spectrum of blurred image. The effect of the proposed method is confirmed by experiments.
著者
安藤 秀俊 伊藤 和貴 伊藤 和貴
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

植物のバイオマス生産に関する教材開発とその指導プログラムの検討を目的として, (1)教員養成課程の大学生における植物栽培とその生産に関する意識調査, (2)小学校教科書に掲載されている種子発芽の実験の検討, (3)全国第2位の生産量を誇る福岡県におけるイグサの教材化, (4)植物の遺伝教材としてのファストプランツの有効性の検証, (5)バイオマス教材としてサトウキビの利用方法の開発と指導プログラム, の5点について調査, 実験などを行い, 更に授業実践を行ったところ, いくつかの新たな知見と指導プログラムの有効性が確認できた。
著者
Eun-Joo Shin Phil Ho Lee Hyun Ji Kim Toshitaka Nabeshima Hyoung-Chun Kim
出版者
The Japanese Pharmacological Society
雑誌
Journal of Pharmacological Sciences (ISSN:13478613)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.22-27, 2008 (Released:2008-01-22)
参考文献数
42
被引用文献数
15 16

Drug abuse involving dextromethorphan, an antitussive, has been a social problem in various geographic locations since the 1960s. Ironically, high doses of the drug confer neuroprotective activity with central nervous system and behavioral effects. Accumulating evidence suggests that metabolism to phencyclidine-like dextrorphan is not essential for the neuroprotective activity of dextromethorphan. Here, we review the neuroprotective properties of dextromethorphan and its potential for abuse and the potential neuroprotective effects of the drug’s analogs and 3-hydroxymorphinan, a metabolite of dextromethorphan. These compounds may provide a novel therapeutic direction for the treatment of neurodegenerative diseases such as convulsive or parkinsonian-like disorders.
著者
村上 正行 西口 敏司 亀田 能成 角所 考 美濃 導彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.253-262, 2005
被引用文献数
7

本稿では,講義自動撮影システムを用いて行っている講義アーカイブ実践において,(1)講義を撮影されることによる講師や受講生への影響,(2)講義アーカイブを理解するために重要な情報,(3)自動的に作成された講義アーカイブの有効性,の3点を明らかにすることを目的として,質問紙調査及びインタビュー調査を実施し,分析及び考察を行った.その結果, (1)授業を撮影されることによって,当初講師や受講生には心理的な負担が若干かかるものの,経験によってその負担は減少していくことが分かった.(2)講義アーカイブを見る際に受講生が重視しているのは,音声情報と教材情報であること,アーカイブ化される授業においては「教材への適切な指示」が非常に重要であることが示唆された.(3)作成された講義アーカイブについては画質や音質の面では十分高い評価を得ることができ,FDに役に立つ可能性があることが分かった.
著者
宮永 昌男
出版者
龍谷大学
雑誌
社会科学研究年報 (ISSN:0288481X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-13, 1985-03-31
著者
松原 渉
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究では,データ圧縮を単に保存領域の削減にとどまらず,処理の効率化を目指して,圧縮文字列のための文字列アルゴリズムの開発を行った.とりわけ,文字列の繰り返し構造に着目し,圧縮文字列から繰り返し構造を検出するアルゴリズムの開発を目指して研究を行った.ひとつに,繰り返し構造に込められた制約をより明確にするために,繰り返し構造から,もとの文字列を推測するという逆問題に取り組んだ.本年度は,繰り返し構造の中でも局所周期に着目して逆問題に取り組み,部分的な成果を得た.結果として,計算複雑性がアルファベットサイズに依存して変化し,アルファベットサイズに制約がない場合か,アルファベットサイズが2以下であるとき,効率良く逆問題を解くアルゴリズムを与えた.アルファベットサイズが3以上の定数である場合の計算複雑性を明らかにすることが今後の課題である.本研究の成果は,学術論文誌Discrete Applied Mathematicsの特集号に投稿済であり,査読中である.ふたつに,圧縮文字列照合について,文字列に含まれる繰り返し構造を求めるアルゴリズムの開発に取り組んだ.既存研究として,圧縮データ長をn,展開文字列長をNとしたとき,繰り返し構造の存在判定を行う0(nlogN)時間アルゴリズムが知られている.本研究では,この結果をベースとして,スクエア(2回繰り返し部分文字列)および連(極大な周期的部分文字列)の個数を求めるアルゴリズムに拡張した.この成果について,国際学会への投稿を準備している.
著者
待鳥 聡史
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は2年間にわたる科学研究費補助金の第2年度に当たる。前年度の成果を受けて、当初からの研究課題と今年度の研究計画に沿った成果を出すことが目指された。具体的には、政党再編期における参議院について、会派変動と議員行動の因果連関を解明するという観点から、計量データに依拠した実証分析を行うという試みであるこの試みは、2つの成果となってあらわれた。1つは研究論文「参議院自民党と政党再編」である。ここでは、従来ほとんど分析がなされていなかった自民党参議院議員の離党及び会派残留行動について、衆議院自民党の分裂を説明するための諸モデルよりも、参議院自民党において歴史的に形成された文脈を重視したモデルの方が、よりよく説明できることを明らかにした。すなわち、参議院自民党では長らく佐藤派-田中派-竹下派の圧倒的優位が続いていたが、それが少なくとも一時的に弱まったのが、1989年選挙による大幅な議席減から93年の分裂にかけての時期であった。他派閥の所属議員は、竹下派優位が弱まった状況の下では、以前に比べて党内昇進などで有利になっていたと考えられるが、分裂に際して、そのことが明らかに離党を抑止する要因として作用したのである。もう1つの成果としては、参議院議員の総合的データベース構築に着手できたことである。上に挙げた論文の中では1993年分のデータの一部しか利用しておらず、現時点でもデータベースとしては未完成の段階である。しかし、幸いにも衆議院に関して同様のデータベース構築を進めている研究者(建林正彦・関西大学助教授、エリス・クラウス・カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)や国会の計量分析に実績のある研究者(川人貞史・東北大学教授、増山幹高・成蹊大学助教授、福元健太郎・学習院大学助教授)との共同研究にも見通しが立っているので、今後とも作業を継続する予定である。