著者
田中 宏明 藤井 滋穂 越川 博元 高田 秀重 鈴木 穣 山下 尚之 小森 行也
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

新たな汚染物質として、生活で広く使われている医薬品や化粧品などの日常用品(Pharmaceutical & Personal Care Product,PPCP)が潜在的な環境問題となり始めている。これらの多くは、難分解で、やや極性があるPersistent Polar Pollutant(P3)で、排水処理では取りにくいことが予想される。PPCPが水環境へ流出する状況を把握するため、広範囲な生活排水などを収集する下水道をターゲットに汚染実態と下水道での削減状況を捉えるとともに、バイオアッセイによる毒性データから初期リスク評価を行った。また回分実験によって活性汚泥での分解除去性を検討した。SPE-LC/MS/MS法を用いて47のPPCPを分析した。下水処理場での調査を行った結果、流入水中から多くの医薬品類が検出され、検出濃度のオーダーは10ng/L〜10μg/Lのオーダーであった。カフェイン(10μg/L)、アセトアミノフェン(8.4μg/L)、ベザフィブラート(2.7μg/L)、テオフィリン(2.0μg/L)、クラリスロマイシン(1.4μg/L)、スルピリド(1.1μg/L)などが流入水から高濃度で検出された。生物処理による除去率は-30〜100%であり、物質によって除去率が大きく異なった。オゾン処理により二次処理水中に残留した医薬品の約80%が除去されたが、ジソピラミドやケトプロフェンはオゾン処理によっても約60%程度しか除去されず、オゾン処理後も100ng/L以上の濃度で残留していた。また、生物処理によるリスク削減効果としては二次処理により流入水中で1以上あったハザード比が1以下に削減され,オゾン処理によって0.1以下まで削減された。通常の活性汚泥と不活化処理した活性汚泥による除去速度定数との差を見かけ上の生分解速度定数と定義し、生分解性を評価した。特に抗菌剤以外の医薬品は活性汚泥による除去に生分解が寄与していることが示唆され、抗菌剤以外の医薬品は実際の処理揚での除去率と見かけ上の生分解速度定数に正の相関がみられた。
著者
及川 卓
出版者
金沢医科大学
雑誌
金沢医科大学雑誌 (ISSN:03855759)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.178-185, 2003-10

背景:エトポシド(VP-16)投与下の肺腺癌にCAMを併用した際の抗腫瘍作用およびアポトーシス誘導の増強効果についてin vitroおよびin vivo実験にて検討した。方法:ヒト肺腺癌細胞株(A549,LCSC#1)を対象に,VP-16,CAMの単独・併用投与におけるin vitroでの抗腫瘍作用をCell Counting Kit-8にて,アポトーシスについてはAnnexinVにて,アポトーシス関連蛋白の発現はWestern blotting法にて検討した。In vivo実験では,マウス大腿部にマウス肺腺癌細胞株(LL/2)を皮下移植し,VP-16,CAMを強制胃内投与後,腫瘍体積の経時変化を解析し,腫瘍細胞のアポトーシス誘導についてApopTagを用いて検討した。結果:VP-16にCAMを併用することにより,抗腫瘍作用とアポトーシス誘導の増強を認めた。Western blotting法では,Cyt-c下流のXIAPの軽度抑制を認めた。LL/2移植マウスの検討でも,VP-16にCAMを併用することにより抗腫瘍作用の増強,腫瘍細胞のアポトーシス増加が確認された。結論:VP-16投与下の肺腺癌にCAMを併用することにより抗腫瘍作用とアポトーシス誘導の増強を認めた。今後XIAPも含め,機序に関する更なる検討が必要である。
著者
秋元 芳明 小野 眞紀子 松本 裕子 藤井 彰 山本 浩嗣 平山 晃康
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16年〜平成18年12月の期間中の歯性感染症611症例を対象として、膿・滲出液を採取し、細菌培養を行った。22症例からブドウ球菌(staphylococci)を分離した。同定の結果は、黄色ブドウ球菌(Staphulococcus aureu: S. auresu)16株、白色ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis: S.epidermidis)6株であった。S. aureus16株中、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は1株、S.epidermidis6株中、メチシリン耐性白色ブドウ球菌(MRCoNS)は2株検出された。MRSA分離頻度は、MRSA/全歯性感染症:0.002、MRSA/S. aureus:0.063であった。MRCoNS分離頻度は、MRCoNS/全歯性感染症:0.003、MRCoNS/S. epidermidis:0.333であり、MRCoNSの分離頻度が高かった。MRSA, MRCoNSが感受性を示した抗菌薬は、アルベカシン、バンコマイシン、リファンピシンであった。beta-lactamese産性は認めなっかた。全症例で皮下膿瘍形成を認めた。1症例は基礎疾患として糖尿病があったが、コントロールされていた。画像所見では、根尖病巣を認めた。処置法は、切開排膿・ドレナージを行い、膿瘍部を洗浄し治癒を得た。結果を誌上および学会発表した。なお、シンポジストととして5thInternational Symposium on Antimicrobial Agents and Resistance, Seoul, Korea, 4/28,2005にてMethicillin-resistant staphylococcal infections in odontogenicinfectionsを発表した。
著者
岩根 泰蔵
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

国内河川および下水における医薬品物質の動態把握のため、これまで都内を対象に調査を進めてきた。その結果、下水処理場からの放流水が主要な負荷源であると推測されたため、本年度は多摩川流域の下水処理場を対象としてその汚染要因を究明すべく下水幹線試料も含めた詳細調査を実施した。試料は、東京都青梅市および瑞穂町からの下水幹線試料(13地点)と下水採水地域を管轄する下水処理場の流入水ならびに放流水(各12試料)を用いた。測定対象はカルバマゼピン(CBZ)、エリスロマイシン(EM)、クラリスロマイシン(CAM)、インドメタシン(IMD)、メフェナム酸(MEF)、イフェンプロジル(IFP)、ベンザルコニウム(BAC)、オフロキサシン(OFLX)の8物質である。調査の結果、これら8物質は下水処理場の流入水および放流水の全試料から検出された。下水処理場の流入水では、OFLX(幾何平均値580ng/L)、CAM(530ng/L)、BAC(350ng/L)、EM(280ng/L)が主要成分であり、放流水ではCAM(390ng/L)、OFLX(250ng/L)、EM(200ng/L)が顕著であった。BACの放流水中濃度は17ng/Lと流入水に比べて1桁低く、OFLX、MEFに関しても下水処理前後で有意差(1%)が確認された。下水幹線試料においては測定対象物質の各濃度に変動があったが、いずれの地点においてもBACは高濃度(240〜16000ng/L)で検出された。BACは殺菌消毒剤(逆性石鹸の成分)であり家庭からの寄与は想定し難く医療機関での使用が中心と考えられる。調査区域は都内でも様々な医療施設が集中していることから、これらの施設からの環境負荷も予測された。
著者
小林 碧
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

まず、先行研究に沿った行動観察による、スーパーコロニーの独立性の判定をおこなうため、「アリ個体」対「アリ個体」の攻撃性行動実験を行った。その結果、スーパーコロニーA、B,およびDの3つのスーパーコロニー間での排他的行動が確認され、独立が立証された。さらに、巣間をアリが自由に出入りできるスーパーコロニー内でも、巣仲間同士では栄養交換など協力的行動が観察されたが、非巣仲間間ではそのような協力的行動は見られなかった。アルゼンチンアリの先行研究中、スーパーコロニー内の巣仲間と非巣仲間に対する行動の差を報告した論文は1報のみで、その行動は触角で相手の身体をなでる行動であった。協力行動が見られた本研究の行動実験結果は、アリの巣仲間識別が、スーパーコロニーを形成するアルゼンチンアリにおいても行われていることを決定付けるものである。また、電子顕微鏡を用いたアルゼンチンアリの触角の観察から、sensilla basiconica様の感覚子が発見された。このsensilla basiconicaはクロオオアリ、およびエゾアカヤマアリにおいて、仲間識別感覚子として同定されている。この型の感覚子は1触角当たり約70個あることが判明した。この数はエゾアカヤマアリ(約120個、本研究から)やクロオオアリ(約180個、先行研究から)と比較すると少ないが、3種共、触角の先端部分に集中分布していた。さらに本研究では、「アリ個体」対「CHCを塗布したガラスビーズ」の行動実験を行った。巣仲間識別に用いられていると考えられるCHCを、アルゼンチンアリ100個体等量から2倍希釈した10段階の量をそれぞれ塗布したガラスビーズに接触したアリの行動観察から、CHCの量と行動変化の関係を明らかにした。その結果、アルゼンチンアリの忌避行動がCHC量に依存して変化することが明らかになった。この知見を元に大量の炭化水素を用いた新規の忌避剤の開発の可能性が認められ、特許の申請を行った。
著者
鈴木 文彦 堀田 光生 青木 孝之 土屋 健一 Francioni J.M. Lattanzi A.R. 本間 善久
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

ダイズ急性枯死症(SDS)の病原菌であるFusarium solani f.sp.glycinesのPCR検出をアルゼンチンにおいて検討した.プライマーには同菌のrDNA領域の配列に基づきO'Donnellらが設計したFSPF,FSPRを用いた.現地で採集したSDS病原菌と非病原性Fusarium属菌からそれぞれ抽出した全DNAをテンプレートにしてPCR反応を行った結果,前者からのみ特異的バンド(約950bp)が増幅されることを確認した.次に人工接種により感染したダイズ(播種後約4週間)を供試し,SDS病原菌の検出を試みた結果,発病した全ての個体において主根および側根から特異的なバンドが検出されたが,葉からは全く検出されなかった.-方,圃場から採取した自然発病ダイズについて根部からの検出を試みたが,常法のPCR反応では増幅産物はほとんど得られなかった.そこで上述の検出用プライマーとそれらの外側のプライマー(ITS5,NL4)とを組み合わせたNested PCR法で再検討した結果,主根上部からは58.8%の検出率で明瞭なバンドが増幅できた.
著者
井尻 香代子 木村 榮一 吉田 夏也
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

アルゼンチンにおける日本の詩歌受容の経緯とスペイン語ハイクの制作状況を調査し、日本人移民の文学・芸術活動がアルゼンチン社会に浸透し、アルゼンチン・ハイクという新しい詩的ジャンルを生み出したプロセスを確認した。また、研究期間をとおして収集した文献資料や音声データを分析し、アルゼンチン・ハイクの異文化混淆的特徴を季語、トピック、韻律の側面から明らかにした。最後に、日本の伝統詩が内包する人間と自然に関する価値観の受容をとおしてアルゼンチンにもたらされた文学観や環境思想の変化を検証することができた。
著者
Ando Toshio
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.75-91, 2004-03-31
被引用文献数
1

後続の研究者の便宜に供するため,花卉園芸学研究室によって1988年以来行われてきた南米での植物探査の記録を残すこととする.探査はナス科Petunia属に傾注している.但し, Jussieu (1803)の定義した広義のPetuniaであり,狭義のPetunia (sensu Wijsman)属とCalibrachoa属を含んでいる.1995年から2001年までの7年間の全走行距離は69,191km (アルゼンチン=27,123km,ブラジル=31,308km,メキシコ=2,347km,パラグアイ=4,748km,ペルー=840km,ウルグアイ=2,825km)に達し,採集した標本は合計858点(アルゼンチン=210点,ブラジル=595点,メキシコ=1点,パラグアイ=37点,ウルグアイ=15点)に達した.前報[2]に記録した1988年〜1994年に比べて,走行距離は上回るものの,採集標本数は大幅に減少した.分布の周辺部分の探査に入ったからである.最初の2〜3年はブラジルに重点を置き,以降次第にアルゼンチンに重点を移した.ウルグアイの探査は補完的なものに留めた.ブラジルの探査は峠を越え,アルゼンチンの探査は道半ばである.パラグアイは2001年だけの探査だが,概ね満足できる結果を得ている.メキシコの探査は僅か1標本の確保に留まった.ペルーの探査は成果がなかった.ボリビアの探査はまだ行われていない.
著者
磯部 光章 鈴木 淳一
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

主としてマウス心臓移植および大腿動脈ワイヤー障害のモデルを用いて、動脈硬化病変における細胞性免疫の関与とその制御による治療法の開発を行った。多様な介在治療を行った。MMP-9、ICAM-1、adiponectinに着目して、その役割を検討した。クラリスロマイシンによるMMP-9の抑制、siRNAによるICAMの抑制、adiponectin過剰マウスにおいて、動脈病変の抑制が可能であったことから、それぞれが動脈病変に関与していることが示された。また治療法としての発展が期待される。
著者
佐藤 純
出版者
八戸工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

両大戦間期イングランド銀行によるアルゼンチン、ニュージーランド、オーストラリアにおける中央銀行創設・改革運動の実態を明らかにした。具体的には、イギリスとニュージーランドにおいて、イングランド銀行文書館、ニュージーランド公文書館、英国公文書館に所蔵されている一次史料の収集・読解を行い、これまでイングランド銀行の意図に沿って創設されたとされてきたこれら諸国の中央銀行は、実は現地の政策主体の意図に主に沿った形で創設されたことが明らかとなった。
著者
石橋 一久 押野谷 康雄
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

申請者らはトラックなどの大型車両における運転疲労低減技術として,シートサスペンションをアクティブ制御するシステムの研究を行ってきており,その基礎事項の検討を実車レベルで終了している.本申請課題は,これまでに得られた知見を活用し,今後高齢者の使用頻度が高まると予想されるLSV(Low Speed Vehicle)におけるアクティブシートサスペンションの開発を目的とした.LSVは,米国運輸省(DOT)が正式に認めている低速交通システムであり,すでに米国ではいくつかのコミュニティで高齢者ドライバが快適に運転できるシステムが構築されつつあり,日本においても21世紀の暮らしを快適・便利にする交通システムとして,LSVと同様な機能を有するコミュニティーカーが着目されはじめている.特に,1,2人乗り用としてデザインされた超小型サイズの電気自動車が,ここ数年各メーカから販売されている.リサイクル性の配慮や普通車相当の安全性を確保されているものもあり,一定地域内での移動手段また小旅行にも十分な機能を備えている.超小型サイズの電気自動車に対する需要は益々増大することが予想され、さらなる高付加価値製品開発への必要性も高まっている.本研究では低速走行専用の超小型車両を対象として,高齢者運転時の振動・衝撃の緩和,さらに非舗装道路走行時の不規則な外乱の抑制,不慣れな軽量超小型車両に対する違和感の除去等を実現しながら,快適性の向上による心身のストレス低減に基づいた運転疲労低減技術の開発を行った.1人乗り電気自動車に対し、小型かつ簡易装着可能なアクティブシートサスペンションを設計・製作し,複数被験者の官能評価に基づいた乗り心地,疲労抑制効果を検討しながら,高齢者評価中心のシステムを構築した.当該研究期間内には,高齢者の超小型車運転疲労における交通環境依存性の掌握と主観的な特性や身体的特性を考慮した制御系の確立を行い,これまで学術的に十分整理されていないこの分野の体系化を行った.
著者
松本 吉弘 大森 匡 鰺坂 恒夫
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

本研究は、ソフトウェアシステムの中でも、その要求の論理が多元的であり、その意味領域が複雑であるものを対象としている。この場合、要求分析過程で観点の異なる複数のモデルが形成されることになり、これを統合してソフトウェアシステムへ変換する必要が生じる。これに対して本研究では、今年度つぎのように研究をすすめた。1.多元的要求を満たす意味モデルの記述法を研究し、さらに、多元的要求を統合した結果として形成されるべき統合モデル(メンタルモデル)にふさわしい検証可能モデルの記述方法や適合性について研究を行った。その結果,(1)並行エージェントモデル,(2)時次元を含むメンタルモデルを高レベル・ペトリネットで表し、その仕様を代数的に記述,検証する方法,(3)メンタルモデルを状態機械として表し、その振る舞いを含む代数的仕様の記述法,などを得た。2.上記のメンタルモデルを代数的仕様で表したものに関して,パラメタライゼーション,輸入,輸出による仕様代数間の関連づけを行い、関連を関手によって表現し、関手を橋L(言語)によって記述した。関手と仕様代数から構成される網をPCTE(ECMA標準に準じたソフトウェア開発支援環境)のスキーマとして定義することによって,相互のナビゲーションを可能とした。これらの研究はさらに、PCTE上で関手の実行を可能とし、代数的仕様におけるプロトタイピングをPCTEの実行制御機構の上で実現する研究に今後展開される。3.前年度から行っている,ソフトウェアエンジニアリング・デーテベースKyotoDBの研究,開発を続行し、自己反映的なヒューマンプロセス(ソフトウェア生産物表現に対する値付け操作に対するメタ)の実働,生産物表現が束縛されている値との間に存在する制約関係の維持管理,PCTEとの結合,などの研究をすすめた。
著者
百鬼 史訓
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度研究課題:剣道具(突き垂・顎垂)の形状および構造の安全規格値作成のための基礎的実験研究1.目的:前年度の突きの衝撃力の測定実験結果を踏まえて、面部の突き垂および顎垂の材質や形状さらには相互の位置関係などによる緩衝性能の相違を明らかにし、より安全性の高い剣道具の開発を行うと同時に安全性の観点からの規格値を作成する基礎的資料を収集したものである。2.方法:自製の突き力測定装置(キスラー社製3分力ロードワツシャー形式9067を使用)を使用し、突き力発生試験機を改良し、前年度成果より成人剣道選手の平均的水平分力(150kgf)と同じ条件で突き力を発生させ、一般的に普及されている合計9種類の面材料を対象とし、その材料や突き垂と顎垂の間隔、突き垂形状、突き垂の突く位置などの相違による緩衝性能について実験的に検討を行った。3.結果:(1)突き垂と喉までの間隔が突きの緩衝性能を高めていることが明らかになった。(2)突き垂の部位の突く位置により緩衝性能は異なり、中央より下部での緩衝性能はかなり劣ることが明らかとなった。(3)突き垂の厚みと硬さが突きの緩衝性を高めていることが明らかとなった。但し、突き垂の表面形状が丸みを帯びている場合には、滑って顎垂もしくは喉元に力が直接的に作用することが明らかとなった。(4)突き垂・顎垂の形状及び芯材の種類やその構成、さらには突き垂と顎垂れの位置関係が緩衝性能に及ぼす影響については今後詳細な検討を行う必要がある。
著者
佐藤 錬太郎 弓巾 和順 近藤 浩之 水上 雅晴 室谷 邦行 末岡 実 山際 明利 名畑 嘉則 小幡 敏行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

国際的な学術動向を踏まえた上で研究交流を推進し、国内外の研究者と協力関係を構築した。最終年度には、中国の科挙学会「中華炎黄文化研究会科挙文化専業委員会」及び台湾国家科学委員会研究計画「清代經典詮釋方法與理論的轉向」の協力を得て、2009年8月に北海道大学において、「科挙と中華伝統文化」を主題とする科挙学国際シンポジウムを開催し、国内10名国外20名の科挙研究者を招聘し、科挙学の最新の研究成果を発表した。