著者
新井 清 東海林 健二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1510-1511, 1988-09-12

物体の識別に関する一手法を提案する。生産工程における部品の組み立てや検査などでは,3次元物体の識別やその姿勢の決定に対する要望がある。幾何学的な物体の場合は,濃淡画像を処理して得られる頂点や辺などが利用できるが一般曲面体の場合には難しい。また,任意の姿勢で置かれた物体への適用も難しい。そこで,3次元物体データと2次元断面データとのマッチングに問題を置き換える。すでに物体形状のデータは得られていて,新たに物体のある部分を切断して得られる断面の輪郭線データが与えられた場合,その輪郭線が物体のどの部分に一致するかがわかれば輪郭線が得られたときの傾きで物体の姿勢を判断できる。また,一致する部分の有無により物体の識別も可能である。今回は,物体と断面輪郭線との照合にDPマッチング法を適用し,その結果について報告する。
著者
石淵 耕一 岩崎 圭介 竹村 治雄 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.1218-1229, 1996-07-25
被引用文献数
19

本論文では, ユーザインタフェースのための画像処理を用いた実時間手振り推定手法について述べる. まず, 手形状が非剛体であることを考慮し, 画像処理を用いた手振り推定手順を定式化する. 次に, 実時間処理を達成するために, パイプライン方式並列処理を用いた実時間手振り推定手法を提案する. 特に提案手法では, 安定した手振り推定を行うため, 手の大局的特徴を用いて指先の誤検出点を除去する. その後, オクルージョンが手振り推定に与える影響について調べると共に, その解決策を複数カメラの配置問題に帰着させる. 更に, 提案手法を実際に装置化し, この装置を用いたユーザインタフェース環境の構築を通じて, 本手法の有効性を示す. その際, オクルージョン問題や手の姿勢問題が完全に解決されずとも十分なインタフェース環境が構築可能であることも併せて示す.
著者
渡辺 賢 岩井 儀雄 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.2713-2722, 1997-10-25
被引用文献数
21

本論文では, 単眼カメラから手を撮像し, 得られた画像特徴量から指文字を認識するシステムの構築を目的とする. 手のような関節物体は自由度が多く多彩な変形をするため, その形状を認識する際には, 対応付け問題, オクルージョン問題などのさまざまな問題が発生する. そこで, 本研究では撮像の際にカラーグローブを装着することにより, 手の特定領域の検出を正確かつ容易にし, オクルージョンにも対処できる方法を提案する. また, 実画像データをもとに計算機で生成したCAD理想モデルを用いた決定木の学習結果と, 実画像を用いた学習結果の検証についても併せて紹介する.
著者
三留 綾 市毛 弘一 石井 六哉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J89-D, no.6, pp.1369-1378, 2006-06-01

本論文では,人の直観性を伴った新たなユーザインタフェースとして,グローブやマーカ等の特殊な装置を必要としない簡単なハードウェア構成で手指形状を認識する手法を提案する.提案する認識手法は,手領域抽出部と手指形状認識部から構成される.手領域抽出部では,撮影する背景の制限を削減するために,背景がグレースケールの場合とカラーの場合の2パターンに分け,それぞれに対応したアルゴリズムにより手領域を抽出する.手指形状認識部では,抽出した手領域の画像を詳細に解析することにより,10種類の手指形状を認識する.入力する手の角度や腕の領域を制限せず,更に指同士が接している場合においても認識が可能になるようなアルゴリズムを提案する.提案手法により,背景がグレースケールの場合は10種類の手指形状を95.8%の精度で,背景がカラーの場合は同じく10種類の手指形状を93.3%の精度で認識している.また,これらの処理に要する時間は汎用コンピュータで数十 msであり,極めて短い時間であることを確認している.
著者
足立 智章 小川 剛史 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.490, pp.7-12, 2004-11-30
被引用文献数
5

本稿では,著者らがこれまでに提案したテレプレゼンスシステムを拡張し,協調作業に適した遠隔指示が可能なテレプレゼンスを実現する.従来のシステムでは,ビデオ映像と3次元実環境モデルを併用することで,実時間性と写実性,および自由な視点移動を同時に実現したが,観察者から遠隔地へのフィードバツクは不可能であった.本稿では,観察者が仮想環境の提示されたスクリーン上でマウス操作により指示を与え,遠隔の作業者がHMDを通して対応する実環境上に3次元ポインタや線画による指示を直接観察できる遠隔指示機構について述べる.また,実現したテレプレゼンスシステムを用いて,観察者のマウス操作による指示が意図どおりに作業者に伝わることを確認した動作実験について報告する.
著者
水田 秀子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.146-153, 1999 (Released:2006-04-25)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

いわゆる失語を伴うことなく,言語性短期記憶に選択的な障害を呈した症例を報告した。症例は21歳の右利き女性。脳動静脈奇形による脳出血で発症した。発症初期より,発話は流暢で錯語はなく,喚語障害,理解障害,文法障害を認めなかった。数唱・無意味音節の復唱に障害が認められたが,文の復唱は保たれていた。障害は言語性短期記憶にのみ認められ,非言語性短期記憶などの他の記憶検査には異常はなかった。また知能も良好であった。同時に対照症例として,発症時伝導失語を呈し,数唱・復唱の障害が選択的に残存した症例を提示した。この対照症例では,無意味音節とともに文の復唱においても障害が認められた。自験2例および既報告の「言語性短期記憶の選択的障害症例」とを比較した。同等の数唱の低下を示す3者で復唱や理解に明らかな差異が認められた。これらは,失語症状の有無・失語の性状や重症度に起因すると考えられた。
著者
長江 晃生
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.38, 2007-03

本研究は、第12回・リーグ男子大会予選ラウンド(8チームでの総当たり戦を4ラウンド実施)の内、堺BZチームを中心とした28試合107セット(延べ214セット)を対象にゲーム中のブロックとDigパフォーマンスを調査して、堺BZチームと各対戦チームを比較検討した。本研究の結果を以下のようにまとめた。1.堺BZのブロック参加率については、対戦チームのコンビ攻撃の特徴により変動し、対戦チーム毎に違ったブロック参加状況を示した。その理由としては、堺BZの守備戦術のシステムを対戦チームのコンビ攻撃の特徴に応じて変更して対応していることが考えられる。もうひとつは、外的要因としての対戦相手のコンビ攻撃使用頻度の違いが関係しているものと推察される。2.堺BZは、1位のSUNに比べブロック・Digパフォーマンスにおいて、やや下回っている傾向を示した。しかし、ブロックパフォーマンスにおいては下位チームのTYOとASAに比べて明らかに上回り、B-Dig成功率においても、下位のTOR、TYO、ASAを上回っていることが明らかとなった。その理由としては、堺BZがSUNの攻撃に対して多くのブロックで対応していたが、SUNのアタッカーの能力、打球スピードがVリーグの中でも優れていることから、ブロック・Digパフォーマンスにおいては良い結果に繋がらなかったと考えられる。下位チームとの対戦においては、ブロック参加率ではやや下回っていたが、プロッカーの高さや「読み」が優れ、1人のブロックの質が関係しているものと推察できる。3.B-Dig成功率はNB-Dig成功率よりも高い成功率を示し、その変動範囲がNB-Dig成功率より小さい傾向を示した。また、ブロック参加人数とブロックパフォーマンスの関係は、ブロック参加人数が多くなると、B返球率やB-接触率は漸増傾向を示す結果となった。このことから、Dig成功率を高め、安定させるためには、ブロックでワンタッチを取得することが必要である。すなわち、ブロックとDigの関係性を検証した結果を得た。
著者
小澤 紀美子 原子 栄一郎 樋口 利彦 小川 潔 森茂 岳雄
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、1999年より北京師範大学と東京学芸大学の共同研究で持続可能な社会の構築をめざした環境教育の推進のための教師研修の内容、実施体制などの課題を分析し、さらに国際的な環境教育の理論的根拠などを歴史的背景も含めて分析し、教師への意識調査、具体的な授業実践の比較などから、日本及び中国における環境教育の理論、内容、方法などに関する到達点とその課題の明確化を目的に進めてきた。中国の環境教育は大きく4段階でその進展がとらえられるが、環境教育推進の原点は、1996年12月に制定された「全国環境宣伝教育行動綱要(1996年〜2010年)」にある。そのカリキュラムはイギリスの影響を受け、統一的なカリキュラム展開となっている。その原則は、啓発性の原則、参加性の原則、浸透性の原則、批判性の原則となっている。日本の環境教育は、50年代に始まるが、70年代後半から80年代前半の国際的な動向に後れをとり、90年代後半から大きな進展がみられる。日本では特に社会科、理科、家庭科等の教科と「総合的な学習の時間」での環境教育の実践が多いが、中国では浸透教育や選択教科などで展開されている。日本では、環境教育の推進の主体が多様化している。また、その内容の多様性、各種主体(教育界、行政、市民、NGOなど)の協働による新局面が期待されており、教員研修における方法、内容、評価システムを確立が望まれる。報告書は、1章:日本及び中国における環境問題と環境政策の変遷、2章:環境教育の概念の変遷、3章:教育課程の変遷とその背景、4章:教育課程における環境教育の動向、5章:環境教育にかかわる教師の意識調査、6章:環境教育の実践と分析、7章:教師研修の現状と課題、8章:日本及び中国の環境教育の方向、といら構成で各国の言語と英文で構成されている。
著者
藤光 康宏 江原 幸雄 西島 潤
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、まず熱収支法の中で用いられる地熱流量係数の正確な決定のために、微気象データを連続的にかつ自動で測定する装置を製作した。この微気象連続観測装置を用いて、雲仙地熱地域内の旧八万地獄で観測を行い、熱収支法による放熱量の高精度評価を試みた。その結果、地熱流量係数を連続的に求めることに成功し、得られた地熱流量係数は、時間変化が非常に激しく、分単位もしくは秒単位で変化する値であるということが示された。ヘリコプターに搭載した装置で雲仙地熱地域上空から赤外熱映像を撮像し、得られた地熱流量係数を用いて放熱量を求めたところ、旧八万地獄5.82MW、清七地獄8.87MW、八万地獄9.96MW、お糸地獄9.72MW、大叫喚地獄2.18MW、小地獄1.84MW、雲仙地獄全体では38.39MWとなった。Yuhara et al.(1981)により評価された1978年の放熱量と比較すると、雲仙地獄全体では今回のほうが約5倍大きな値となった。本研究では、地熱流量係数の変動を考慮しているため、今回算出した放熱:量は現在の値を精度よく見積もっていると言える。また、地熱異常面積と放熱量の両者には一般的に良い正の相関が認められるが、今回の結果にも良い正の相関が見られた。さらに、微気象観測で測定される各項目や地熱流量係数の時間変化を把握するために、大分県小松地獄、熊本県阿蘇火山、福岡県九州大学箱崎キャンパスでも微気象観測を行った。その結果、地熱流量係数は短時間に変化しながら日変化が現れるが、地熱異常地域と通常地域とでは日変化のパターンが異なる傾向が見られた。地熱流量係数は時間と共に大きく変動することが判明したため、熱収支法による放熱量測定における過大評価、過小評価を避け、高精度に見積もるためには、現段階では本研究で製作したような微気象観測装置を用いる必要があると考える。
著者
平山 和美 境 信哉 仲泊 聡 仲泊 聡 境 信哉
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

機能的MRIを用いて、健常者が意味のある日本語の文章を読むときの脳活動を記録した。それによって、1次視覚皮質(V1)のどこが活動するのか、また、その活動は次の視線の移動先に従って動的に調節されるのか、それとも、中心視野付近の一定の位置に固定されているのかを、1人1人について検討した。脳活動は左大脳V1の中心視野付近に相当する領域に起こり、次の視線のゴールまでの距離によっては変わらず、注視点から右へ視角約4.5°に相当する脳領域に固定されていた。
著者
佐藤孝三 小松 実 小山 善文 松崎 悟 神田 一伸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.76, pp.37-42, 2000-08-05
被引用文献数
8

このところ社会における高齢者福祉が強く叫ばれている。それと共に、障害者に対する福祉の意識も高まりを見せている。急成長を遂げてきたコンピュータを用いた情報化技術を福祉の分野に応用しようとする試みも多く見られるようになってきた。障害者に対する情報提供に情報機器は不可欠であるが、中でも視覚障害者の社会参加を支援するシステムは、点字を応用した技術が基礎となっている。ここでは、開発中の視覚障害者への音楽情報の提供、音楽情報の発信を指向した点字楽譜作成システム「Braille MUSIC Sheet System」の概要について述べる。In recent years, the vitalization of a getting aged welfare is strongly expected as a social problem. Simultaneously, consciousness of welfare against a handicapped person also has been increased. Applications of information technology to welfare fields have been developed rapidly. The information processing devices are indispensable for an information supply against a vision handicapped person. For a system to support a social participation of a vision handicapped parson, the technology to deal Braille becomes the main theme of this fields. In this article, we describe about the Braille score making system (Braille MUSIC Sheet System) that can dispatch a supply and transmit the information of music to a vision handicapped person. We can get Braille output by Braille printer with this system, as converting a score into Braille code.
著者
Iyoda Mitsuhiko Matthews Kent
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.57-75, 2001-07-10

This paper constructs a Kalecki type Kaldorian model to examine features of the Japanese business cycle and a number of stylized facts. The model aims to explain the changes in the macro-economic variables associated with the business cycle. The model is tested by simulation to reproduce the observed statistical properties of the economy. The model is successful in reproducing the trend element in the key variables and is moderately successful in reproducing the dynamic path. The model is successful in mimicking the cyclical pattern of productivity and real wages, but is less successful in the cases of the labour share, the profit rate and the mark-up rate.
著者
吉田 かよ子 GETTINGS Robert
出版者
北星学園大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、日本におけるオーラルヒストリー・アーカイブ(口述史資料の収集・保管)の一手段としてインターネット上に映像アーカイブを構築し、ウエブ上での公開に係わる著作権、所有権、肖像権を含めた法的諸問題および倫理上の問題を同時に研究することである。平成16年〜18年の3ヵ年にわたり、上記の目的に沿って研究実施計画を立てた。初年度はデジタルアーカイブの構築の進む米国およびシンガポールの先例研究に重点を置いた。米国からオーラルヒストリー・ウエブアーカイブの先駆的試みとして評価の高いDensho代表のTom Ikeda氏を招聘し、日本オーラルヒストリー学会との共催でワークショップを開催したが、日本のオーラルヒストリー実践者が一同に会する大会時に実施できたことはこの研究テーマへの関心を高めることも含めて有意義であったと言える。またシンガポールにおいては、国立公文書館での国を挙げてのオーラルヒストリーへの取組に関する研修を受けた。その教育効果に重点を置いた取組は実際のアーカイブ構築に大きな意味を持った。17年度には、カリフォルニア州立大学のシャーナ・グラック氏を招聘し、より具体的なウエブ・アーカイブの法的、倫理的問題点の提示を受ける実践講座を開催した。理論的枠組みをはじめ、グラック氏の豊かな専門知識を共有できたことは本研究の代表者、分担者のみならず日本全国からの参加者全員に意義深い機会となった。また、研究代表者はカリフォルニア大学におけるオーラルヒストリー夏季上級講座への参加およびDenshoでの研修を通して映像アーカイブの目指す方向を学ぶことが出来た。最終年度には、2年間の研究成果を踏まえて、実際のアーカイブに収録するための米国における聞き取りの実施、国際学会で発表、それにデジタルアーカイプの構築の開始という3件の実施計画をたて、すべてを実行することができた。これらの成果は研究成果報告書に詳細を記した。
著者
林 義正 鍋島 久浩
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.187-195, 1996

New technologies, acquired for race cars through rigorous pursuit of the three most important performance criteria of an automobile, are subsequently applied their ways to the actual production. Running performance of a battery powered electric vehicle was investigated based on informations associated with high performance endurance race vehicles. By utilizing newly developed circuit driving simulation program, the electric racing cars performance on the LeMans 24-hour endurance race was predicted : such race circuit requires vehicles to withstand durability equivalent to 500,000 km run on ordinary road. The layout of the electric race vehicle was also designed on the structural study of the race cars to achieve the performance goal. As a result, it was found that the electric vehicle, even with a disadvantage of heavy battery weight, has an equal running performance compared to gasoline engine powered race cars. Also, the electric vehicle's efficiency of energy conversion from crude oil was found to be 50% higher than the gasoline engine cars.