著者
戸嶋 裕徳 足達 教
出版者
一般社団法人 日本循環器学会
雑誌
循環器専門医 (ISSN:09189599)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.157-161, 1995-03-25 (Released:2018-05-28)
参考文献数
9
著者
前田 貴記
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.178-186, 2019-12-25 (Released:2020-01-08)
参考文献数
21

自己意識という主観を実証的に扱うための方法論として,主体感(sense of agency)というアプローチについて紹介する.我々は主体感について実証的に評価するために,「Sense of Agency Task(Keio Method)」を考案し,主として統合失調症をターゲットとして研究を進めてきた.さらに,主体感に直接介入し,主体感の精度を向上させる手法を考案し,統合失調症のみならず,様々な神経疾患・精神疾患における認知リハビリテーションについても試みている.主体感を軸とした,統合失調症の症状論,病態論,治療回復論にわたる一連の研究について紹介したい.主体感というアプローチが,神経心理学において,人間の主観的体験を実証的に扱うための一つのモデルとなればと考えている.
著者
佐佐木 隆
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.10, pp.178-157, 2012-03-28

一つの他動詞が二つの目的語をもつ﹆いわゆる﹁二重ヲ格﹂の構文は﹆中古から近世までかなり詳細に調査され﹆考察されてきている。しかし﹆﹃古事記﹄﹃日本書紀﹄﹃萬葉集﹄などの上代の文献については﹆ほとんど未開拓であり﹆その特徴が明らかにされていない。 本稿ではその欠を補うべく上代の文献を徹底的に調査したうえで﹆多くの実例に考察を加え﹆上代では二つの目的語のうち第一の目的語だけが助詞﹁を﹂を伴い﹆第二の目的語はそれを伴わないという特徴が認められることを明らかにする。上代の場合は﹁二重ヲ格﹂という呼称は不適切であり﹆﹁二重目的語構文﹂とでも呼ぶべきものである。﹁二重目的語構文﹂として認定するのに困難を伴う例があるが﹆本稿ではそのような例の一つ一つに検討を加え﹆問題の解決に努める。また﹆﹁二重目的語構文﹂に現れる﹁を﹂と﹁に﹂との関係についても﹆多くの例を挙示しながら私見を述べる。The so-called "double-wo construction," in which one transitive verb has two objects, has been the subject of intensive investigation and discussion. However, studies so far have focused mainly on the relevant construction from the Heian period to the modern period, and little research has been done on ancient literature such as the Kojiki, Nihon Shoki, and Manyōshū; consequently, its characteristics have yet to be fully illuminated. To fill in this gap, this paper thoroughly examines ancient texts and discusses many examples to illustrate that, in Early Old Japanese, only the first of two objects in a double-wo sentence has the particle "wo," while the second object lacks this particle. Accordingly, the name "double-wo construction" is unsuitable in the case of Early Old Japanese. Although some of the examples in question are apparently difficult to categorize as having "double objects", this paper tries to show that they are really not problematic by giving closer examination of individual cases. Furthermore, it also provides many examples and the author's point of view regarding the relationship between the particles "wo" and "ni" which appear in some "double object" sentences.
著者
江尻 宏泰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.426-434, 2021-07-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
62

ニュートリノは,電子と同じ軽い素粒子で,電荷がなく「弱い力」が作用する.ニュートリノの基本的な性質や反応には,・ニュートリノ(粒子)も反ニュートリノ(反粒子)も中性の粒子だが,ニュートリノは,粒子と反粒子が同じマヨラナ粒子か,あるいは別のディラック粒子か,・ニュートリノ振動の観測から,ニュートリノには質量があることがわかったが,どのくらいの質量があるのか,・超新星爆発によるニュートリノ(超新星ニュートリノ)は,どう原子核と反応し,どのような原子核を生成するか,というような未解決の重要問題があり,現在,各国で研究中だ.これらは,原子核内でニュートリノが関与する崩壊や反応を調べて研究できる.原子核の特殊な二重ベータ崩壊では,原子核内の中性子がベータ崩壊で陽子になり,その際に放出された反ニュートリノが,ニュートリノとして,原子核内の別の中性子に吸収されてベータ崩壊を起こし,陽子に変わる.すなわちニュートリノが放出されない.このような崩壊は,反ニュートリノとニュートリノが同じであるマヨラナ粒子の場合に起こる.崩壊確率T 0νは,ニュートリノの(有効)質量mの二乗と核レスポンスB0νに比例し,T 0ν=kB0νm2である.崩壊確率T 0νを測って質量を求めるには,核レスポンスB0νが必要だ.B0νはこの崩壊で2中性子が2陽子になる核行列要素M 0νを用いてB0ν=|M 0ν|2と書ける.超新星ニュートリノの反応によって原子核内の中性子が陽子になり新原子核が生成される場合,その確率T νはニュートリノの量ϕと核レスポンスBνに比例して,T ν=k′Bνϕである.ニュートリノ量ϕから新原子核の生成率(変換率)を知るには,核レスポンスBν=|M ν|2が要る.M νは反応で中性子が陽子になる核行列要素だ.これらの核レスポンスの正確な値を理論的に計算することは,原子核が核子,中間子,励起核子の複雑な多体系なため,すべてを計算に取り込むことが不可能なので,大変難しい.また,ニュートリノビームを使って直接測定することは,反応率が非常に小さく,実側が極めて困難だ.最近,筆者らのグループは,阪大の核物理研究センターで,荷電交換反応を測定してニュートリノの核レスポンスが調べられることを示した.入射する3Heの荷電交換反応で,原子核内の中性子が陽子になる反応の測定から,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノの反応で,中性子が陽子になる際の核レスポンスを調べた.また,ミュー粒子が荷電交換して原子核に捕獲される反応を測って,原子核内の陽子が中性子に変わる際の核レスポンスを調べた.荷電交換反応による実験のポイントは,反応率が大きく高精度の測定ができることと,プローブの粒子(3Heやミュー粒子)と原子核との相互作用オペレーターが,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノと原子核との相互作用オペレーターと同じ型であることだ.ニュートリノの核レスポンスでは,アイソスピンとスピンと運動量が関与するレスポンスが重要だが,同じ型のレスポンスを荷電交換反応で測定できた.荷電交換反応による核レスポンスの実験研究の知見を基に,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノなどの核レスポンスB0νとBνが求められた.それらの核レスポンスを基に,二重ベータ崩壊や超新星ニュートリノ核生成の研究が進み,ニュートリノの基本の解明が進むことを期待したい.
著者
和達 三樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.4-5, 1996-11-15 (Released:2018-04-18)
被引用文献数
1

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1913年05月21日, 1913-05-21

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1933年04月10日, 1933-04-10

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1940年01月24日, 1940-01-24
著者
上出 良一
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.124-131, 2017-06-30 (Released:2018-06-30)
参考文献数
31

Sun exposure induces acute and chronic skin damage. In an aging society, life-long protection against ultraviolet rays starting from childhood is important in order to suppress the increase of skin cancer in sun exposed areas. On the other hand, some women tend to over-protect their exposed skin from sun light to prevent pigmentation such as blotches, freckles and wrinkles. Such an attitude like photophobia in daily life might induce vitamin D insufficiency and consequently damage their health. Vitamin D can be produced by sub-erythematous doses of UVB and excess vitamin D is destroyed by UV to maintain a proper level. In general, applications of sunscreen are incomplete, so that people receive a certain amount of UV exposure on the face and dorsum of hands, which produces a necessary amount of vitamin D. In addition to biosynthesis, vitamin D is safely taken orally through proper foods and supplements. Accordingly, there is no reason to recommend sun bathing to avoid vitamin D insufficiency.
著者
櫛引 素夫 三原 昌巳 大谷 友男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2021年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.66, 2021 (Released:2021-09-27)

1.はじめに 整備新幹線の開業は地域に多大な変化をもたらしてきた。しかし、住民の暮らしについては地理学的な検討がそれほど進んでいない(櫛引・三原、2020・2021)。発表者らは加速する人口減少・高齢化を背景として、新幹線の「暮らしを守る機能」に着目し、地域医療に整備新幹線開業が及ぼす効果の検討に着手した。本研究は、その端緒として、東北・北海道新幹線の新青森駅前に2017年開業した青森新都市病院に対するヒアリングの結果を報告、論点整理と展望を試みる。2.整備新幹線の開業と地域医療 整備新幹線の沿線は大半が地理的周縁部に位置し、人口減少や高齢化が著しい。特に東北・盛岡以北、北海道、北陸の路線沿線は積雪・寒冷地域でもある。 これらのうち、例えば新潟県上越市の上越地域医療センター病院は、2015年3月の北陸新幹線開業を契機に富山県から麻酔科医が入職、医師確保を実現したという。長野県飯山市の飯山赤十字病院は、新幹線駅前の立地を生かし、新たに11人の医師を採用した。2020年3月時点で27人の常勤者中、8人が新幹線通勤者である。3.青森新都市病院の事例 青森新都市病院は、函館市の医療法人・雄心会が運営している。同病院へのヒアリングによって、以下のような状況を確認できた。【進出の契機】雄心会は青函地域を営業エリアとする取引銀行の要請により、青森市内の2民間病院の運営を継承、合体・移転する形で、新青森駅前に総合病院・青森新都市病院を開設した。当初は新幹線駅前への進出構想はなかったが、駅前の保留地売却が難航していた青森市からの熱心な誘致と協力を受け、駅前への進出を決めた。【診療面での効果】開院当初は脳血管内手術等の高度な専門医療が行える医師がいなかったため、新幹線の動いている時間内であれば、函館から専門医の業務支援を受けることで、急性期脳梗塞等において早期治療を行う体制を整えることができた。このうち血栓回収療法では1時間程度でカテーテル手術が終わるため、手術を挟んで4時間半ほどで両病院間を往復できる。 青森新都市病院の医師もトレーニングを積んだ結果、現在は血栓回収療法の手術は、同病院の医師だけでも行えるようになり、24時間体制で迅速に対応できるようになった。 また、日本大、岩手医大、慈恵医大などから非常勤医の派遣を受けており、新幹線駅前の立地は、医師確保面でもメリットが あるという。 加えて、同病院の副院長は八戸市から新幹線通勤しており、前の職場だった同市内の病院よりも、通勤時間が短縮しているという。 一方、医療スタッフについては、県外からUターンしてきた人が3分の1を占めているといい、新幹線駅前という立地が、地元出身の県外在住者への知名度アップに貢献している可能性があるという。【当面の課題】同病院は開設当初から、「人の流れ」を生むことによる「病院を核とした街づくり」を目指していた。新青森駅はJR奥羽線の駅を併設、市営・民間のバス路線も乗り入れている。しかし、バス停から病院まで徒歩で10分ほどかかり、高齢者には負担が大きい。病院前まで乗り入れるバスもあるものの、1日3本に限られており、公共交通網の利便性向上が課題と言える。高齢社会への対応を考えると、病院の近傍に日常の買い物機能などがあれば、より大きな役割を果たし得る。4.考察 青森新都市病院は、必ずしも戦略的な展望によって新幹線駅前に開設された訳ではないにせよ、まさに整備新幹線開業が契機となって地元の医療環境が好転し、多くの成果が得られた事例と言える。特に青森県は脳血管疾患の死亡率が全国ワースト級であり、患者負担が小さい血栓回収療法の態勢が整ったことは地域医療に大きな意義を持つ。 ただし、新幹線駅前という立地が普遍的に同様の恩恵につながるとは限らない。同病院は、①新幹線沿線に支援を受けられる系列病院が存在、②新幹線による移動と血栓回収療法の時間的な相性が良かった、③東京など新幹線沿線の複数の病院から多くの非常勤医師を確保していた、といった特徴が有利に働いた点には留意が必要である。 青森市はコンパクトシティ政策時代から新青森駅を重視し、2018年策定の立地適正化計画においても「『コンパクト・プラス・ネットワーク』の都市づくり」の都市機能誘導拠点と位置付けている。市の人口流出が加速する中、病院を一つの核としたまちづくりの行方が注目される。5.展望 今回の調査結果を起点として、青森新都市病院の開設が地域医療にもたらした変化の評価、他地域の新幹線駅一帯の病院に同様の変化が生じているか否かの検証、といった研究の展開が考えられる。一方で、同病院の開設が地域社会に及ぼした地理学的な変化についても、派生的な研究対象となり得よう。※本研究はJSPS科研費21K01020の助成を受けたものです。
著者
三浦 雄一郎 福島 秀晃 森原 徹 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.29-34, 2012 (Released:2012-12-27)
参考文献数
17
被引用文献数
5

The aim of this study was to clarify the function of the abdominal muscles in stabilizing the trunk during shoulder flexion. We used surface electromyographic (EMG) data from the rectus abdominis (RA) and external oblique abdominis (EO) muscles of 7 healthy male subjects (age 29.4 ± 4.7 years). Muscle activities of the right anterior deltoid, serratus anterior (SA), RA, and EO muscles were recorded while maintaining right shoulder flexion. The subjects held a plumb-bob of 5% of body weight. The angles of shoulder flexion were 30°, 60°, 90°, and 120°, and they were maintained for a full 5 s in each position. EMG activities of EO during shoulder flexion of 120° and 90° were significantly greater than that during shoulder flexion of 30° (p<0.05). EMG activity of SA during shoulder flexion of 120° was significantly greater than that during shoulder flexion of 30° (p<0.05). EMG activity of RA during shoulder flexion of 120° was significantly higher than those during shoulder flexion of 30° and 60° (p<0.05). The abdominal muscles are necessary to stabilize rotation of the trunk when the scapula is moved and rotated upward by concentric contraction of SA. Therefore, EO on the side of movement plays a major role in controlling trunk rotation toward the contralateral side. Although the activity level of RA was low, we consider that the finding that this muscle showed significantly greater EMG activity was due to its activity in efficiently fixing the rectus sheath while acting in concert with EO. In physical therapy evaluating motor function of the upper extremities, it is important to evaluate the abdominal muscles as well.
著者
中神 智和 土岐 彰 渡井 有 大橋 祐介 田山 愛 杉山 彰英 中山 智理 鈴木 孝明
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.252-257, 2017-04-20 (Released:2017-04-20)
参考文献数
31

【目的】多精巣症は,「同一固体に3 個以上の精巣が存在する先天奇形」と定義される稀な疾患である.われわれは多精巣症の臨床像,治療方針について検討した.【方法】対象は,昭和大学病院および関連病院3 施設において5 年間に経験した多精巣症の5 症例をもとに,後方視的に検討を行った.【結果】全例3 歳未満で,左側に存在し,停留精巣の手術を契機に診断した.1 例は片側に3 個の精巣を有し,内2 個は腹腔内に位置していた.4 例は,鼠径管内に2 個の精巣があった.いずれも温存し,精巣固定術を行った.術後,1 例は2 個の精巣すべてに発育を認めた.固定した 2 個の精巣中1 個の精巣に萎縮を認めたのは3 例あり,1 例はすべての精巣に萎縮を認めたため摘出した.【結論】余剰精巣は,腫瘍化と造精能の欠如を理由に摘出されることが多い.海外のレビュー140 例中,悪性腫瘍の合併は5.7%で,全例高位に位置していた.造精能の欠如例は26%で,多精巣の50%以上が造精能を有していた.文献的考察から,治療方針として精管との交通性がある小児例では温存し,成人例でも生検後に方針を決めるようにしたい.