著者
橋本 晴行 横田 尚俊
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本システムは、全体で9個のサブシステムの構成となることを示した。中でも、浸水被害予測と住民の避難行動のサブシステムが主要部分を形成している。そこで、まず、浸水被害予測のサブシステムとして、福岡市の那珂川下流域を事例として、家屋が密集した河岸における越流量公式の提案、及び、地上・地下空間に対する平面2次元浸水被害予測シミュレーション手法の構築を行った。これに基づく予測情報を住民に提供して早期避難を図るため、次に、避難のサブシステムについて、豪雨時における住民の予測・避難情報に対する危険性の認識と避難行動との関係性などを明らかにした。
著者
小林 銀河
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.30, pp.119-126, 1998-10

Обшеизвестно мнение, что, когда Достоевский описывал приговоренного к смертной казни в романе <<Идиоте>>, он ориентировался на собственный опыт. В этой работе мы рассматриваем роль этого эпизода во всей структуре романа, безотносительно к биографии автора. В первой часги романа Мышкин, находясь у Епанчиных, долго рассказывает о приговоренном к смерти, например об ужасе сознания того, что никак невозможно спастись, о конкретном зрелище около эшафота, о том, что происходит в сознании преступника до совершения казни, и т.д. Но эти разговоры окончательно сводятся к сюжету картины для Аделаиды. Самый главный, центральный аспект картины-лицо казненного по смертному приговору. Все прежние и последующие разговоры ведутся вокруг описания одного этого лица. Выражеиие этого лица производит сильное и тяжелое впечатление на читаеля. Об этом лице Мышкин сказал : <<Я поглядел на его липо и все понял... Впрочем, ведь как это рассказать!>> Но нельзя считать эти слова отказом от описания лица. Во-первых, они передают шок, испытанный героем. Во-вторых, то, что Мышкин рассказал не все, напротив, еще больше усиливает воображение читателей. Кроме того, можно сказать, что и молчание, вызванное сильным впечатлением, внесено в этот стиль. Мышкин сетует на неспособность рассказать об этом лице-и это создает самый большой эффект. Портрет приговоренного к смерти в действительности продолжает оказывать подспудное, но сильное влияние на весь роман. Сходное выражение появляется на лицах некоторых других героев в следующих сценах и усиливает впечатление. Рогожин охвачен болезненно сильной страстью к Настасье Филипповне. Поэтому ее реакция для него равна приговору. Ипполит, страдающий неизлечимой болезнью, является точно прпговоренным к смерти. В картине Гольбейна <<Мертвый Христос>> зрители чувствуют сильную и беспощадную силу природы. Лицо Христа на этой картине может лишить людей веры в его воскресение. Им кажется, что никак нельзя победить силу природы, которая сравнивается с <<какой-нибудь громадной машиной новейшего устройства>>. Лицо Настасьи Филипповны также производит большое впечатление на читателей. Оно часто становится предметом изображения. В ее сознании сталкиваются дв
著者
谷川 好男 金光 滋 塚田 春雄 秋山 茂樹 木内 功
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

この研究課題では,ゼータ関数の対称性,すなわち関数等式をモデュラー関係式を通して一般的に捉えることにより,従来の数多くの研究を高い見地から見直し,更なる一般化を試みることが目的としていた.この研究において,モデュラー関係式を,メイヤーのG-関数やフォックスのH-関数を積分核とすることにより,最も一般的な形で定式化することができたことは大きな成果である.これにより従来の多くの研究の意味がより明確に理解できるようになった.たとえばダヴェンポート-セガルに始まる数論的フーリエ級数の公式を,モデュラー関係式の観点から一般化し,多くの新しい例を与えることができた.またフルウィッツゼータ関数に対しても関数等式の新証明を与えることができたし,エスピノザ-モル,ミコラシュに触発され,関数等式をフーリエ級数展開とみなすことで,数論的に興味深い多くの積分公式を得た.これらの成果は現在,本にまとめるべく執筆中である.多重ゼータ関数も当研究の大きな研究対象であった.特にオイラー・ザギヤー型の2重ゼータ関数の,いわゆる「臨界領域」における虚軸方向の大きさの評価において,クラッツェルの2重指数和の理論を駆使することにより,非自明な結果を得,従来知られていた結果を大きく改良することができた.これは今後数論的関数の和の研究などにおいて多くの応用をもつと期待される.また3重ゼータ関数に対しても同様の研究を進め論文としてまとめた.上記以外のゼータ関数として,多変数の多項式ゼータ関数を扱った.ある種のクラスの多項式について,対応するゼータ関数の解析接続可能な判定条件を与えるとともに,自然境界を持つような例を構成した.
著者
加納 修
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

西洋中世初期のフランク王国では贈与などの契約や紛争解決において多様な象徴物が用いられていた。その中でも、とりわけフェストゥーカと呼ばれる棒や茎は、フランク王権の伸張に伴ってブルゴーニュ、バイエルン、あるいは南仏へと広まっていった。しかし、その際に、各地の法的伝統にしたがってフェストゥーカの用い方や意味が変えられていった。王権の主導のもとフランク王国に同質的な法文化が広まったように見えるが、実際には地域的な法的多様性が残存していたのである。
著者
影山 輝国
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
no.133, pp.1-32, 1997-03

中國漢代的刑罰除「謀反」等大罪外,大都在秋冬季執行,而不是在春夏季。東漢時稱此為「順気行罰」或「順時之法」。這裏的「氣」即陰陽二氣,而「時」則為春夏秋冬四時之意。當時,人們認為四時之循環由陰陽二氣的盛衰所致,春夏陽盛時期為生長季節,秋冬陰盛時期為殺藏季節。因此,春夏季執行死刑或其它刑罰是逆天時之行為。此種天人感應的時令思想在漢代以前已有所見,但按照這一思想具體實施順氣行罰是從何時開始的,漢代的實施状況又是怎様的。本文將就這些問題進行具體的探討。
著者
森 英季 干野 隆之 大日方 五郎 大内 一弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.625, pp.25-30, 2001-02-09
被引用文献数
2

直動型空気静圧軸受けを有するリニア・アクチュエータを用いて、高精度トラック・フォローイング及び高速なシーク動作のための位置決め機構を提案した。試作したアクチュエータの共振周波数は、市販HDDに搭載されているロータリ型に比べ、約2倍程高いことが確認できた。このトラッキング・システムを用いてトラッキングを行なったところ、一般に許容されるトラッキングエラー(トラック幅の1/10)の更に1/2でトラック・フォローできることを確認した。またPDコントローラを用いたフィードバック制御によって、100Gbit/in^2以上の高TPIで必要となる10nm分解能の高精度位置決めが可能であることをステップ応答やランプ応答から検証した。
著者
土井 まつ子 八島 妙子 中川 善之 脇本 寛子 篠田 かおる 高橋 知子 近藤 陽子 三善 郁代 三鴨 廣繁 仲井 美由紀 山岸 由佳 根子 亜弓
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究で作成した感染対策支援プログラムを使用して、中小規模の病院5施設と老人保健施設2施設及び軽費老人ホーム1施設の計8施設に対して、感染対策の向上を目指し、1年間の支援を実施した。支援終了後に、支援中の記録、視察、質問紙調査、環境調査の結果を分析し、支援の効果を検討した。その結果、感染対策チームや感染対策マニュアルが整備され、全ての施設において組織横断的な感染対策活動が進展した。
著者
富松 宏太
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

Ge(001)表面にIV族元素X蒸着すると、XとGeからなる二量体(X-Geダイマー)が表面に形成される。平成19年度までの研究で、走査トンネル顕微鏡(STM)探針からのキャリア(電子・正孔)注入により、Sn-Geダイマーの表面からの傾斜を反転できることを明らかにした。さらに、STMで電子定在波を測定することにより、Sn-Geダイマーによる表面一次元電子の散乱を明らかにした。当該年度は、(i)X-Geダイマーの散乱ポデンシャルの形成機構と(ii)キャリアによるダイマー傾斜の反転機構を解明する目的で、Si-Geダイマーを作成し、Sn-Geダイマーの結果との比較を行った。実際にSi-Geダイマーは作成可能であり、これらのダイマー傾斜もSTMで反転できる。我々は、電子定在波をSTM測定し、電子伝導経路にX元素が位置するダイマー傾斜において、Si-GeダイマーとSn-Geダイマーが逆符号(引力または斥力)の散乱ポテンシャルを形成することを示した。さらに、清華大学(北京)の理論グループとの協同研究により測定結果を理論検証し、散乱ポテンシャルは伝導経路にある元素の原子軌道エネルギーから説明されることを見出した。これらの研究成果は、学術誌(Physical Review B誌)および国内外の学術会議で論文発表した。国際会議(ISSS5)において招待講演発表も行った。また、我々は、Si-Geダイマー・Sn-Geダイマーの傾斜反転に必要な電子エネルギーをSTMで精密測定した。上述の清華大学の理論グループと協同して、測定した電子エネルギーは表面周期欠陥の局在電子状態によって特徴付けられていることを示した。これらの実験・理論結果に基づき、ダイマーの傾斜反転は、「共鳴散乱」と呼ばれる電子の非弾性散乱過程により誘起されていることを解明した。一連の研究成果は、学術誌(Surface Science誌)で論文発表を行った。
著者
小野 尚之 堀江 薫 上原 聡 ハイコ ナロック 中本 武志
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、語彙意味論モデルと構文研究を基に語彙情報と事象構造の融合に関する日英語の比較対照研究を行うものである。中心課題は次の3つに集約される。(1)生成語彙意味論によるレキシコン研究の推進。生成語彙意味論モデルのクオリア(語彙情報)が事象構造の解釈をどのように決定するかという問題の解決を目指す。(2)言語における主観性(subjectivity)問題の解明。主観性が事象構造の解釈(例えば、心理状態述語など)にどのように影響するか。そして、構文選択にどのように影響するか。(3)語彙化・文法化における語彙情報と構文の融合についての新たな提案。語彙情報が構文に融合しさらに文法化していく過程には、類型論的に捉えるべき普遍性があることを示す。
著者
佐久間 亮
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

英領植民地における野生動物保護政策、とりわけ国立公園設立のプロセスの比較検討を 1930 年代に焦点をおいておこなった。その結果、英領アフリカにおける国立公園形成においては英本国の保護団体の影響力が行使され、それが現地社会の著しい軋轢をもたらしたこと、これに対して、英領アジア(とくにマラヤ)においては現地社会との媒介を果たすローカルな保護団体の存在が、保護政策をスムーズなものとしたことなどが明らかとなった。
著者
磯本 一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

内視鏡下に食道癌症例の癌部・周辺非腫瘍粘膜から生検サンプルを用いてマイクロアレイで同定した12種のヒトマイクロRNA(食道扁平上皮癌部で2倍以上の発現変化)を定量的に分析してみると、miR-1246、miR-1290、miR-196a、miR-196b、miR-1914、miR-424、miR-130b、miR-7、miR-455-3pが2倍以上発現上昇した。miR-203が2分の1以下に発現低下した。食道扁平上皮癌組織のmiR発現と臨床病理学的因子の関連性を明らかにするために、多段階に食道癌が発癌する過程においてmiRが果たす役割を解析する。しかしながら、異形成~上皮内癌~早期癌のサンプルが十分でなく、内視鏡下粘膜下層剥離術を用いて切除標本、施行時の血液サンプルを集積して、臨床病理database を構築した。化学放射線療法前後における非腫瘍部食道粘膜のmiRの変動を、6症例において統計的に解析した結果で有意差がなかったが、2倍以上増加したmiR-1914については放射線応答性miRである可能性があり、症例を追加し治療前後でその発現変動を追求する。食道扁平上皮癌における特性をさらに検討するため、アカラシア患者の食道粘膜における発現変化を検討した。対照群と比べて、アカラシアの食道粘膜では12種類のmiRで有意差がみられた。7つが有意に上昇、5つが有意に低下したmiRであった。注目すべき点は、食道癌をはじめとする多くの癌腫で発現上昇が報告されているmiR-21がアカラシア食道粘膜で上昇している点である。miR-21の標的分子として報告されているPDCD4、 SPRY1やCCDC12のmRNAが低下している。しかし、一方でmiR-1246、miR-196a、miR-196b、miR-1914、miR-424、miR-130b、miR-7、miR-455-3p、miR-203 はいずれもアカラシア食道粘膜では変動しておらず、食道扁平上皮癌の発癌過程における特性が示唆された。miR-1290は食道扁平上皮癌において血清miRが上昇している。miR-1290をターゲットに、食道扁平上皮癌特異的miRの特定を確かなものにしたい。
著者
岩崎 倫政 笠原 靖彦 船越 忠直 金城 政孝 藤崎 和弘 三浪 明男
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Stromalcell-derivedfactor-1(SDF-1)を高純度硬化性ゲルに添加し、ウサギ膝軟骨損傷部に移植することで良好な軟骨組織再生が獲得された。本研究成果より、軟骨損傷に対する無細胞移植治療の可能性が示唆された。
著者
永井 敏雄 小室 一成
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

心血管再生治療、なかでも細胞移植治療は新しい心不全治療法として脚光を浴びているが、その効果の詳細な機序は不明である。我々は、自己組織化ナノペプチドPuraMatrixTMを用いたマウス心筋前駆細胞移植モデルを用いて、抗炎症作用を有する心筋前駆細胞分泌因子soluble junctional adhesion molecule-A (JAM-A)が、心筋梗塞後のリモデリング抑制効果の一部を担うことを解明した。また、新生心筋を評価するための遺伝子改変マウスを用いて、leukemia inhibitory factorおよび心筋前駆細胞移植のそれぞれが心筋再生効果を有することを明らかにした。
著者
有泉 高史 高橋 秀治
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ツメガエル胚の未分化細胞塊(アニマルキャップ)を個々の細胞に解離し、アクチビンとレチノイン酸で処理してできた再集合体は膵臓に分化する。これを他の胚に移植して成体まで育てると、正常な膵臓と同じ構造をもつ第二の膵臓(異所性膵臓)が作られた。異所性膵臓の機能を摘出実験や糖負荷試験を通して解析した結果、異所性膵臓は形態だけでなく、血糖調節能力においても正常な膵臓と同等であることが確認された。
著者
王 芙蓉 加藤 伸郎 須貝 外喜夫 孫 鵬
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アルツハイマー病は大脳皮質での緩慢な神経細胞減少を特徴とする。神経幹細胞で補充する手法を開発し、その神経生物学的根拠について特に脳由来神経栄養因子の関与の面から明らかにすることを目的とした。アルツハイマー病モデルマウスにおいて、脳由来神経栄養因子を発現させることが知られている経頭蓋磁気刺激によって学習能力が改善することを見出した。蛍光を発する神経幹細胞を単離し、これを脳内へ移行させるための手技を利用可能にした。