著者
川名 明 原口 隆英
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.398-399, 1958-09-25

1. 1957年7月5日東京都府中市東京農工大学農学部苗畑の15年生アカマツに高とりきを行い, 一部発根のみとめられた9月26日までの間の枝葉の全炭水化物および全窒素含有率の変化を測定した。2. 葉の部分ではこの処理によつて全窒素含有率が低下している。ただし枝部では認められずまた全炭水化物含有率は枝葉いずれにも処理による差は認められなかつた。3. 葉の全窒素の欠乏を何等かの方法で補うことによつて, 発根率をたかめることができるかもしれない。
著者
南里 明子 早渕 仁美 梅木 陽子 肘井 千賀 大島 晶子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.53-60, 2003-03-20
被引用文献数
2

福岡市健康度診断を受診した一般市民3,492名を対象に,食生活診断の判定に用いている体型分類について検討を行い,食生活との関係について明らかにした。日本肥満学会のBMI基準(普通:18.5〜25.0)による3体型分類では,対象者の70%前後の人が普通体型と判定されたが,対象者の50%前後には,高脂血症,高血糖,高尿酸血症,肝疾患等の異常がみられた。健康度診断システムが,健康増進のためのスクリーニングであり,栄養改善への動機づけとなるように,体型の基準を少し厳しく(19.8〜24.2)すると,普通体型が50%前後となった。一方, BMIが基準以下でも体脂肪率の高い人や. BMIは高いが体脂肪率の低い人が少なくないので,体型の判定にはBMIだけではなく体脂肪率も必要と考えられた。BMIと体脂肪率が,ともに基準内を「普通」,両方少ない「痩せ」,両方多い「肥満」,体脂肪率のみ多い「隠れ肥満」, BMIのみ多い「筋肉」の5体型に分類すると,肥満,隠れ肥満などの生活習慣病予備群や女性若年者の痩せを抽出することができ,栄養アセスメントに有効であると考えられた。また,体型と食生活との関係については,普通体型の食生活診断点数は男女ともに高く,肥満と痩せの量点数は低く,体型には食事の量や食べる速さが関係していることが分かった。なお,痩せや肥満など体型に問題のある人は,好ましくない食習慣の項目が多く,特に肥満では普通体型に比べ,腹一杯,早食い,濃い味,乳乳製品が少ないなどの食習慣が多くみられた。
著者
金子 正光
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.43-56, 2006-03-20

パソコンや携帯電話を使って、誰でも手軽にインターネットに接続できるようなビキクス・ネットワーク社会が到来しつつあります。しかし、外出が困難な高齢者、障害者そして小さい子供を抱えるお母さんによって、インターネット利用は、社会参加はもちろんのこと日常生活情報・福祉情報等を得るのに必要不可欠な通信手段である。本論文においては、少子化に伴う育児不安などが深刻化している現代において、子育て支援に対してIT(情報通信技術)がどのように貢献できるかを課題に、NPO法人ドロップインセンターとの協働研究によって、宮崎市内ではじめて子育て中のお母さんに対するIT意識調査アンケートをもとに、宮崎地区の母親支援ネットの現状とその実践例について述べる。
著者
河村 洋
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-10, 2006-03

本研究は,微小重力科学国際公募(IAO)のテーマの一環として,国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)に搭載される実験装置の相互利用を目的として行われた.ハーフゾーン液柱内の対流場を可視化する方法として,一般にトレーサ粒子法が用いられる.地上実験において,対流場が三次元回転振動流を呈する際,トレーサ粒子が1 つの閉じたひも状に集合する現象を捉えている.これをSpiral Loop Particle Accumulation Structure(SL-PAS)と名づけた.本研究では,実験用小型ロケットMAXUS6 を用いた宇宙実験を,2004 年11 月22 日に欧州宇宙機構(ESA)の支援により行った.これにより,微小重力環境下においても粒子が集合し,SL-PAS が形成されることが始めて明らかになった.さらに周方向波数m = 2 及び3 のいずれの場合もSL-PAS の形成に成功した.SL-PAS の上面及び側面の2 方向からの可視化により,微小重力環境下におけるSL-PAS の三次元的構造を再構築することに成功した.さらに同条件での数値シミュレーションによってもSL-PAS の再現に成功した.
著者
土橋 将弘 施 勤忠 安藤 成将 斎藤 幹雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2007, no.5, pp.351-352, 2007-09-07

In spacecraft system acoustic tests, local sound pressure level increse in the narrow gap between spacecraft primal structure and solar array is generated. This phenomenon is similar to fill effect, which has been recognized since 1990's, that sound pressure level of an interior fairing after filled spacecraft will increase up to 5-10dB compared to an empty fairing particularly at narrow gap between the wall of the failing and the spacecraft exterior. This paper shows investigation results of vibraiton response of spacecraft due to local sound pressure level increase. It shows simulation and experiment results with local sound pressure level increase and without local sound pressure level increase.
著者
大石 克己 荒木 恒彦 前田 惟裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05
被引用文献数
1

21世紀初頭以降、地球周回軌道上における宇宙環境利用、地球観測等の種々の分野で宇宙活動要求の増大が想定される。これらの要求に効率的に対応するためには従来の使い捨て衛星を個別に開発するのではなく、軌道上での補給・交換・組立・回収等のサービスを行う軌道上サービスシステムの概念が有効になる。前回95年3月の信学会総合大会では、21世紀初頭以降における段階的なシステム構築の一環として位置づけられる軌道上サービス実験衛星システムに係わる宇宙開発事業団構想の研究結果を報告したが、本稿では、この実験システムを構成する種々の宇宙機の概念および開発構想について述べる。
著者
黒川 逍
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-"30-2", 1978

当館の井上浩博士が父島で採集した地衣類39種を1969年に報告したが, それらを含めて小笠原諸島産地衣類として報告されているのは74種である。本報告では1977年夏, 筆者が小笠原諸島の父島および母島で採集した地衣類と既に当館に保存されている標本を検討して, 3種について報告した。Parmelia cristifera TAYL. は熱帯に広く分布しているが, 日本では今回の小笠原での記録が初めてである。Parmelia pacifica KUROKAWA は新種として記載したが, 1969年の報告では P. conformata VAIN. として発表したものである。本種は琉球列島にも分布しており, 西太平洋地域に特産と考えられる。アカチクビゴケ Trypetheliopsis boninensis ASAH. は小笠原特産種と考えられていたが, 琉球, 台湾にも産するこを報告した。なお, Lopadium hiroshii も同様の分布を示す。種子植物については, 小笠原産のものと日本南部の温暖な地方, 琉球, 台湾, 中国南部のものと同一種であったり, あるいは極めて近縁であったりして, 西太平洋における, 植物地理学的なつながりのあることが既に報告されている。地衣類についてはこのような研究はなかったが, Parmelia pacifica, Trypetheliopsis boninensis, Lopadium hiroshii は西太平洋地域に特産と考えられ, 種子植物の場合と同じように, 琉球や台湾と植物地理学的な関連を示しているようである。
著者
長友 晃夫 吉田 英一
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.10, pp.512-527, 2009
被引用文献数
7

岐阜県東部に分布する阿寺断層の地質的履歴解析のために断層帯中に発達する小断層群と割れ目系解析および充填鉱物の鉱物学的・地球化学的分析を行った.その結果,小断層群は(1)充填鉱物を伴わないカタクレーサイト,(2)高温性の充填鉱物を伴う断層,(3)低温性の充填鉱物を伴う断層の3タイプに分けられた.小断層群周辺の割れ目にも,石英やプレーナイト等の熱水循環に伴う充填鉱物と,後の天水浸透に伴う鉄水酸化物の沈殿が認められた.これらから阿寺断層は,地下の高封圧下でカタクレーサイトを形成(ステージ I)した後,熱水変質を伴いつつ未固結の断層ガウジを形成し(ステージ II),そして隆起と断続的断層活動に伴う断層ガウジの発達と天水循環による変質拡大(ステージ III),という形成史を経たと考えられる.このような断層および割れ目系とその充填鉱物を用いた多角的応用解析は,断層形成史や断層運動に伴う割れ目発達解析に有効であると考えられる.
著者
桜井 淑子 野々垣 幸子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.71-74, 1980-03-31

今回は前2回に引き続き,電磁調理器の機能性と経済性を知るため,電磁調理器の新製品2種を用い,調理法の種類や試料を前2回と同様の条件にして実験を行い,改良点の有無の検討を試みた.調理時間については出力の大きい新製品も都市ガスに比べるとやはり一歩を譲り,ガスが最も短時間に調理できる.しかし燃料費については大差なかった.新旧製品を比較すると,前回の実験における「焼く」調理の場合,からたき防止装置の警告に従い,絶えず出力調整を行う煩わしさが,新製品においては自動的に行われ,他の調理法の場合同様極めて円滑に加熱できた.今回は主として5種の調理法における調理時間,燃料費などについての比較,検討を試みたのであり,加熱後の食品の成分,食味などの比較は行っていない.電磁調理器の長所が助長され,短所が改良されることを今後に期待したい.

1 0 0 0 OA 電磁調理器

著者
岡部 巍
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.25-31, 1976-04-10
著者
石塚 盈代 大菅 洋子 乗京 逸夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.96-102, 1991-05-20
被引用文献数
1

標準的な家庭を想定し,熱源として電気とプロパンガスを使用した調理を行った結果,調理熱機器の効率,室内環境及び料理の品質等について次のような評価が言える。1.調理熱機器の消費熱量 電気調理機器は消費熱量は少なく,効率は高く,調理に必要な熱量は十分に供給されている。特に煮物のように,弱火で長時間の加熱の料理は電気の調理熱機器が優れている。2.調理熱機器の調理温度 揚物で見られるように,温度は一定の範囲で調整されている。特に,電磁調理器が良好であった。3.室内環境の影響 ガスコンロは二酸化炭素及び窒素酸化物が増加し,使用する時は,十分な換気対策が必晨であり,室内環境に留意しなければならない。4.料理の品質 料理の外観、歯ざわり及び味は,調理熱機器による差は認められず,やや良いと言う評価であった。特に揚物については,電磁調理器はカラッとした揚げ上がりの軽い料理が出来た。また,揚げ油の品質変化は食品衛生の見地から安全であることが確認された。
著者
大藪 一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.242-249, 2001-05-20
被引用文献数
1
著者
石村 哲代
出版者
四条畷学園女子短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

将来の家庭内エネルギ-源として、とりわけ高齢者世帯や高層住宅などでは、安全性やハイカロリ-といった面から、200V電圧の電気エネルギ-の利用が急速に進むことが予測される。既に一般家庭を対象に200V電圧の調理用加熱機器(以下200V機器と略)が市販され始めたが、その実用性についてのデ-タは未だ十分とはいい難い。そこでこれらの新しい電化調理機器について基礎的研究を進め、従来100V電圧の調理機器(以下100V機器と略)や都市ガスコンロ(以下ガスコンロと略)などと比較した場合の有効性や問題点を明らかにすることは極めて重要との考えから本研究を行った。本年度までに明らかになった点は次の通りである。1.ハロゲンヒ-タ-、シ-ズヒ-タ-、電磁調理器などの200V機器の調理機能は従来の100V機器に比べて明らかに有効といえ、中でも電磁調理器は、熱効率、水温上昇速度、食品投入後の水温回復時間などからみて、ガスコンロに匹敵する高温調理機能を備えた極めて有効な調理機器であることが判明した。ハロゲンヒ-タ-、およびシ-ズヒ-タ-については熱効率、水温上昇速度などからみて、経済性、実用性の両面で未だガスコンロの調理機能との開きが大きく、さらに改良の余地があると考える。2.各種200V機器を用いて、従来の100V機器では困難とされていた高温短時間を不可欠とする調理を行い、その加熱調理食品について化学的・物理的成分変化を測定した結果、「青菜を茹でる」など水を熱媒体とする調理では電磁調理器が「炊め物」や「焼肉」などの鉄板焼き調理ではハロゲンヒ-タ-が、ガスコンロに匹敵する有効性を示した。3.省エネルギ-の見地から、200V機器の特性である保温性能を利用した粥炊きを行い、通常の標準的な方法による粥と比較した結果、嗜好的に有意差のない粥が得られ、保温性能の調理への有効利用の可能性を見出すことができた。