著者
Omar Baharudin Sulaiman Sallehudin Jeffery John
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.147-149, 1991
被引用文献数
2

マレー半島のカメロン・ハイランドの野菜畑に多量発生しているイエバエMusca domestica L.の天敵調査の結果, 寄生蜂Spalangia spp.に混じってチビクロセスジハネカクシAnotylus latiusculus (Kraatz)がイエバエの囲蛹より羽化してきた。天敵としての重要性については未知であるが, 本種のイエバエ囲蛹寄生例としては初めてと思われるので報告する。
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.
著者
内田 良
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.89-108, 2002-10-31

The purpose of this study is to consider the definitions of child abuse by professionals, and the aims behind these definitions, and to clarify, with reference to the opinions of abusers, the issue of definitions in the course of support. The nuance of cruelty of the word "abuse" (in Japanese, gyakutai), is a key to this discussion. In recent decades, broad definition based on the welfare of children has become popular, but we have not paid great attention to the way the word gyakutai is used. Some earlier literature have suggested, in a summary way, the problems of definition, while others have researched and illustrated differences and consensus among professionals or lay people, leading to quantitative analysis. This literature is lacking in examinations of the relation between the professional and the abuser. In this study, with the aim of achieving the purpose suggested before, I conducted interviews with eleven helpers engaged in different jobs, and also interviewed a mother who had abused her child and referred to autobiographies and articles written by abusers. In analyzing the data, I took the stance of presuming that what a person perceives to be problems is precisely what should be looked at by the researcher. The results of the research are as follows. The definitions formulated by helpers were not necessarily based on social roles. Although many mothers felt that their treatment of their children was inappropriate, they did not define their actions as gyakutai. The definition by a helper depends more on whether he/she is mainly concerned with the welfare of children, leading to a broad definition, or the emotion of mothers, leading to narrow one, rather than on his/her social role. It is interesting to note that in the course of providing support, helpers who agree on the broad definition avoid using gyakutai, just like those who prefer the narrow sense, because of concern over the nuance of cruelty that gyakutai can have. It should be concluded, as stated above, that when we support or intervene in a case, or enlighten people, it is necessary to propose that gyakutai be the term not for condemning the abusers but for promoting the welfare of children and supporting the parents.
著者
土田 豊 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.715, pp.35-40, 2005-03-07

ディジタル放送やホームシアターの普及に伴い, 一般家庭においても映像、音の高臨場感化が進んでいる。音については、複数のスピーカを用いたマルチチャネル再生となり、ITU-R勧告BS.775-1の3-2方式が推奨されている。しかしながら、一般家庭において部屋の形状や設置スペースの問題から、スピーカを3-2方式で配置することは困難な場合が予想される。3-2方式と異なるスピーカ配置では、音像定位に影響を及ぼすことが考えられる。そこで本報告では、3-2方式と異なるスピーカ配置で、仮想音源を生成することにより、3-2方式と同等な音像定位を得る補正方法を提案した。仮想音源の再現精度について客観評価、主観評価試験を行い、更に音像定位補正効果の検証を行った。その結果、提案した音像定位補正方法は、3-2方式と同等な音像定位知覚を得るのに有効であることを示した。
著者
内田 良
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.11, pp.263-269, 2008-02

本稿の目的は,児童虐待防止の前提となっているいくつかの知識を批判的に捉えなおすことをとおして,虐待問題の今日的な性格を明らかにすることである。これは,「虐待」という行為がいかなる社会的・文化的状況下において,「回避すべき問題」とみなされているのかを見極める作業となる。今日の虐待防止活動を支える代表的な視座に,「子どもの権利擁護」「子育て支援」「心理学」の3つがある。虐待は,一枚岩的に「悪」として論じられているのではない。上記にあげるような複数の視座のもとで,それぞれに特有の問題化がなされている。虐待について考察する際には,これら3つの視座を十分に意識することが重要である。ところで「虐待」とはそもそもなぜ問題なのか。この問いを考えるために,まず「虐待」ではなく,「暴力」・「放置」という表現を用いたい。「虐待」には,「回避すべき」という意味が強く含まれているため,実態ベースの議論が難しくなるからである。客観的な行為に注目した「暴力」・「放置」の視点から子どもの養育・教育をながめると,虐待問題における「安全と危険のパラドクス」を見出すことができる。「安全と危険のパラドクス」とは,安全が当たり前になるほど危険が目立っていく事態を指す。すなわち,しつけの基準が高まり暴力・放置がおこなわれなくなってきた安全な今日において,子どもへの暴力・放置が危険なものとして顕在化するのである このように考えると,虐待は「子どもへの人権侵害だ」(子どもの権利擁護の視座),「子どもの心の成長を妨げる」(心理学の視座),「都市化・核家族化によって起こる」(子育て支援の視座)という説明は,すぐれて現代的で都市的な解釈のもとに提起されたものであることがわかる。虐待防止活動は,現代においてこそ虐待の危機が高まっていると説明する。またそれと連動して,根拠もないままに虐待の増加が叫ばれることもある。だが,暴力・放置は増加していなくてもよいし,都市化による一種の文明病である必要もない。虐待を考えるうえで重要なのは,冷静に暴力・放置の行為を見極め,暴力・放置の原因や問題点を追究することである。学校現場と虐待問題との距離が急速に近づいている今日,教育に携わる者には,暴力・放置防止への熱き思いと冷静な判断力が求められている。
著者
田代 操 牧 善輔
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.29-34, 1988-11-18

米糠トリプシンインヒビター(RBTI)分子中のAsp (19)-Pro (20)結合の開裂が酸性pH下で非酵素的に生じた。このことは,pH3.0でのRBTIのインキュベーション,開裂したペプチド結合を有する修飾RBTIの単離,さらに修飾インヒビターの還元およびS-カルボキシメチル化によって得られたペプチドの分析などにより明らかにされた。修飾RBTIのトリプシン阻害活性は未修飾のものに比べ著しく低下しており,これはRBTI分子中のAsp (19)-Pro (20)結合の開裂により阻害活性部位周辺の立体構造に変動が生じたためであると考えられた。
著者
古井 陽之助 島崎 眞昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.49-50, 1992-09-28

アプリケーション内部の並列性を活用しマルチプロセッサで実行することによって処理効率向上を図る並列処理技術は、現在最も盛んに研究されているテーマの一つである。本研究では特に共有メモリ型マルチプロセッサ・マルチユーザ・マルチジョブ環境に議論の焦点を絞る。マルチユーザ・マルチジョブ環境でプロセッサ間の負荷分散を図るにはOSによるスケジューリングが必要であり、オーバーヘッドが非常に大きい。逆に、負荷分散を犠牲にして処理の粒度を相対的に大きくすることによってオーバーヘッド削減を図ると、システム全体の効率は上がるがジョブごとの処理効率は逐次処理のそれに近づいてしまう。このような状況をある程度解消する方法として、マルチプロセッサをクラスタ化し、OSはクラスタ単位のスケジューリングのみ行なうようにして、クラスタ中にあるプロセッサのスケジューリングはアプリケーション自身に任せることでオーバーヘッドを抑える、という方式が考えられる。本稿では、クラスタ化された共有メモリ型マルチプロセッサでdoall型ループの並列処理を行なった場合の実行効率をシミュレーションによって評価し、クラスタ化方式の可能性を論じる。
著者
松原 麻子 車谷 洋 村上 恒二 青山 信一
出版者
広島大学保健学出版会
雑誌
広島大学保健学ジャーナル (ISSN:13477323)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.27-34, 2004-03
被引用文献数
1

頸髄損傷者の食事動作に関して,スプーンの使用方法を替えることにより,上肢各関節(肩・肘・前腕・手関節)の角度と運動の範囲がどのように変化するかを明らかにするために,三次元動作解析を行った.対象はC6レベルの頸髄損傷者5人で,「ヨーグルトを食べる」という課題を2種類の自助具(自助具1:母指側使用,自助具2:手掌側使用)を用い実施した.撮影された画像から時間と上肢各関節角度を求め,自助具1,自助具2使用時で比較検討した.結果,自助具1使用時には自助具2使用時と比べ,1回の食事動作におけるすくう動作が占める割合が多い傾向にあった.また,食物をすくう際に肩関節屈曲,肩関節外転の運動が多く必要とされ,一連の動作を通じて前腕が回内方向に移行し,肩関節が屈曲・外転方向に移行することが明らかとなった.以上より,前腕の回外運動が十分可能である場合には手掌側使用の自助具の導入が望ましく,また母指側使用で食事を行う場合には,食物を口へ運ぶ動作だけでなく,すくう動作においても肩関節の運動が必要になることを十分に考慮した上で,自助具の提供やセッティングを行うことが重要であることが示唆された.The purpose of the present experiment was to examine how the upper limb movements (shoulder, elbow, forearm, wrist) of patients with spinal cord injury (C6 level) were affected while using two types (type 1: pronation type, type 2: supination type) of self-helping device. Five subjects were required to eat 5 spoonfuls of yoghurt. We recorded the position of 11 light reflecting markers attached to the subjects' body with three cameras. We divided the eating action into three phases, the scoop phase, reach-to-mouth phase, and reach-to-plate phase. These kinematic landmarks were used to define the dependent variables. We calculated five joint angles (shoulder flexion, shoulder abduction, elbow flexion, forearm supination, wrist extension) with a three-dimensional video-based motion analysis system (APAS System, Ariel Dynamics), and analyzed how they changed at each phase. We compared them while using type 1 and type 2. While using type 1, the scoop phase played a larger part than other phases, and shoulder flexion, shoulder abduction and elbow flexion angles increased, not only in the reach-to-mouth phase but also in the scoop phase, and the supination angle decreased. This result suggests that patients who can supinate their forearm had better use type 2, and also that it is important to consider upper limb movements in the scoop phase when we provide patients with a self-helping device. In this study, however, we focused only on upper limb movements. We also have to analyze head, neck and trunk movements and examine the relationship among upper limb, head, neck and trunk.
著者
副島 匡暢 宇津宮 孝一 肥川 宏臣 児玉 利忠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.273-274, 1992-09-28

マルチロボットによる協調問題の研究は、人工知能やロボティクスなどのさまざまな分野で豊富な概念試行の環境を与えている。近年、マルチロポットを用いた研究は盛んであるが、これらの研究の多くは仮想環境による概念シミュレーションによるものが多い。これは、適切なハードウェアが使用できないことや、リアルタイム性の高い実験が難しいことによる。完全なロボットシステムは複雑であり、必要なハードウェアの開発もかなりの時間を要する。以上のことを踏まえて、我々はマルチロボットシステムのテストペットとして、Gung-Ho("work together"の意味)システムを構築している。このシステムは、協調動作の基本概念を評価するためのマルチロボットシステム開発を支援するものである。特に、Gung-Hoシステムでは、ロボットの制御にUNIXワークステーションを利用することにより、UNIX上のソフトウェア開発ツールやマルチタスク機能、TCP/IPやXウィンドウシステム等のネットワークコミュニケーション機能やユーザインタフェース機能などを最大限に利用できる。これらの環境により、マルチロボットシステム開発における仕様確認の迅速性や変更の柔軟性を達成することができる。
著者
堀川 教世 中山 英明 境田 彰芳 田中 道七
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.426-432, 2000-04-15
被引用文献数
2 4

Load-controlled fatigue tests were carried out on PAN-based monofilament carbon fibers under cyclic tensile load conditions at a frequency of 10Hz.Fatigue strength data are obtained under pre-determined maximum load P_max with three different stress ratios of R(=P_mix/P_max)=0.1, 0.5 and 0.7.The maximum load P_max is not an appropriate parameter to evaluate the fatigue strength behavior because the cross-sectional area of monofilament carbon fiber is not constant and varies along the longitudinal direction.This fact results in a large scatter of fatigue lives when the data are plotted on P_max-N_f diagram.In order to evaluate the evaluate the fatigue strength behavior more precisely, the fatigue strength data must be plotted on S-N diagram by using the maximum tensile stress σ_max determined from the crosssectional area of the fracture surface.It is found that S-N properties of monofilament carbon fibers clearly show the fatigue behavior, depending on the stress ratio R.It is also found that the fatigue strength of monofilament carbon fiber is governed by two parameters such as the maximum stress σ_max and the stress amplitude σ_a, and that the combined stress parameter σ_max~(1-α)×σ_a~α is useful to describe the fatigue strength behaviors of the different stress ratios.
著者
高木 良介 宮下 知幸
出版者
近畿大学生物理工学部
雑誌
Memoirs of the Faculty of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
no.25, pp.17-24, 2010-03

Departmental Bulletin Paper貝殻形成に関与するタンパク質の多くはカルシウム結合能を持ち、加えて様々な結合様式を呈する。その中で、翻訳後修飾が関与する機構は重要であり、主に2つの機構が考えられる。1つは糖鎖に結合した硫酸基を介するもので、もう1つはリン酸基を介するものである。これらの修飾を受けた部位は負電荷を持つためにカルシウムイオンを引き寄せる。本研究では、カルシウム結合部位と予想されるリン酸基に注目し、パーリンのリン酸化修飾について検証した。パーリンはアコヤ貝の真珠層に含まれる分子量約16KDaのタンパク質で、カルシウム結合能があり、炭酸カルシウムの結晶形成を抑制的に制御する機能を持つ。ウェブ上のリン酸化修飾を予測するプログラムを用いてパーリンのリン酸化部位を予測し、パーリンは7ヶ所のリン酸化修飾される可能性がある部位を持つと予測された。リン酸化タンパク質検出試薬で解析した結果、パーリンはリン酸化タンパク質であることが証明された。また、アルカリホスファターゼを用いてパーリンの脱リン酸化を行った。その結果、パーリンは1分子当たり1個から2個のリン酸化修飾を受けていることを示唆した。
著者
大城 淳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.139-140, 1992-09-28

近年,PCはハードウェアの性能・価格面の進歩,LANの普及により,大量に導入されるケースが増えており,ソフトウェアもマルチタスクOSからGUIを備えたアプリケーションまでそのサイズをますます膨張させている.一方,それに伴い点在する大量のPCの管理や個々に行なわれるソフトウェアの導入およびレベル管理に費やされるワークロードは年々増大している.このような環境の中,LANに接続されたPCの各種情報の収集およびソフトウェアの導入を行なうためのPC管理支援システムを構築した.本稿では,当該システムの中でクライアントPC側における管理情報の収集およびソフトウェアの配布/導入を行なう部分について述べる.
著者
村上 知嘉子 安田 剛 植木 克彦 中村 英夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.155-156, 1992-02-24

最近の組み込みシステムでは、リアルタイムOSを用いてマルチタスクのアプリケーション・プログラムを制御するようになってきている。しかし、アプリケーション・プログラムは大規模化の傾向にあり、ひとつのマイクロプロセッサでは処理が困難になっている。そこでターゲットシステムの処理能力を高めるために、複数のマイクロプロセッサを使用し、その上でアプリヶーショシ・プログラムを分散処理するという方法がとられている。そのため、従来から行われているクロスソフトウェア開発手法において、複数のマイクロプロセッサから構成されているターゲットシステムについてもホストマシン上からデバッグを可能にする必要がでてきている。そこで、このようなデバッグ環鏡を整えるために、必要な機能について報告する。
著者
元田 敏浩 黒川 裕彦 徳丸 浩二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.141-142, 1992-09-28

我々はこれまでに垂直分散型のデータベースシステムにおける分散不可視化およびユーザインターフェース向上の手段として、データベース検索結果を一時的に蓄えて利用する一時データ管理方式を検討してきた。またこの方式を、MS-DOSのシングルタスク環境で動作する垂直分散型データベース応用システムにデータベース検索結果の格納機能として実装してきた。今回、同システムをマルチタスクOS上に実現するにあたって、これまでの一時データ管理方式をマルチタスク環境下で動作し、しかもユーザインターフェースの高度化に対応した一時データ管理方式とすべく検討を行った。本稿では、これまでに検討を行った一時データ管理方式である『データリスト方式』について述べる。
著者
橋本 一也 金子 善則 高倉 規彰 中島 隆
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.331-332, 1996-09-04

近年、マイコン組み込みシステムにおいて、プログラミングの容易さや並列処理による効率化のために、リアルタイムOS(以下OS)を用いることが多くなってきている。これに伴い、OS上のタスクを効率よくデバッグできるタスク・デバッガが開発されてきた。従来、タスク・デバッガは、モニタやデバッグ用のタスクで実現されていたが、これらの方式では、ユーザによる組み込み作業が必要であることに加えて、メモリの制約を受けるという欠点があった。特にメモリ容量の小さなマイクロコントローラを利用するとき、この制約により、タスク・デバッガを実現するのは困難な場合が多い。そのため、一般的にデバッグ装置として利用されているインサーキット・エミュレータ(以下IE)上でタスク・デバッガを実現することが望ましい。一方、デバッグを行なうターゲット・システムが自動車のエンジン制御やモータ制御などのリアルタイム制御装置である場合に、ターゲット・システムのソフトウェアが停止してしまうと装置を破損してしまう恐れがあるが、リアルタイム応答性を保証することによって装置の破壊を回避することが可能になる。上記理由により、ターゲット・システムのソフトウェアのリアルタイム応答性を損なわずデバッグ可能とすることがタスク・デバッガの重要な機能として要求されている。本論文では、このタスク・デバッガの実現にあたっての必要機能を洗い出し、その実現方式について考察する。