著者
鶴ヶ野 しのぶ 井上 まり子 中坪 直樹 大井 洋 矢野 栄二
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.15-18, 2009 (Released:2009-04-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

年越し派遣村村民の健康:鶴ヶ野しのぶほか.帝京大学医学部衛生学公衆衛生学―わが国では雇用の流動化が進行している.2008年からの世界的不況により,2009年には派遣労働者をはじめとする非正規雇用者の大量解雇が予測されている.海外の先行研究では,不安定な雇用形態そのものが健康に影響する可能性が示唆されている.2008年の年末,職と住まいを失った労働者の緊急の避難所として「年越し派遣村」が東京に設営された.我々は2009年1月8~10日に東京都福祉保健局が行った健康相談及び健康診断に参加したが,そこでみられた村民の健康状況について報告する.健康相談に訪れた村民は89名であった(平均年齢48歳).身体症状としては多い順に,呼吸器症状(咳43%,痰36%),微熱(16.9%),筋骨格系症状(13.5%),皮膚症状(5.6%),消化器症状(3.4%),神経症状(3.4%)その他で,不安や不眠などの精神症状(10.1%)もみられた.個別の相談では,自覚症状があっても医療機関の受診が困難であったり治療が中断されているケースが多かった.また,1年以内に健康診断を受診した村民は23.8%(84名中)にとどまっていた.非正規雇用者の健康問題については十分認識されていないが,注目していく必要がある. (産衛誌2009; 51: 15-18)
著者
児玉 真樹子 深田 博己
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.6, pp.19-25, 2006

本研究は,生産性に関連する態度,行動・行動意図に及ぼす職業的アイデンティティの影響を検討することを目的とした.企業就業者約600名を対象とし,調査を行った(有効回答者数353名).第1ステップに職業的アイデンティティを,第2ステップに生産性に関連する態度(職務満足,仕事への内発的動機づけ,キャリア形成に対する積極性)を,第3ステップに生産性に関連する行動・行動意図(離転職意志,出社拒否による突発的な休み,残業の頻度)を設定し,パス解析を行った.その結果, 職業的アイデンティティは,生産性に関連する行動・行動意図に対して直接的に,もしくは生産性に関連する態度を介して間接的に影響を及ぼすことが確認された.
著者
佐藤 真一 中村 裕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.207, pp.77-80, 2003-07-10
被引用文献数
2

映像処理は,近年特にその発展や応用が期待されている情報処理分野であり,パターン認識・メディア理解にたずさわる多くの研究者が挑戦してきている研究テーマである.その10年あまりの歴史を振り返ってみると,多くの成果が得られたものの,社会的に求められている要請に対しこたえられるのか,映像処理の提示する将来展望は何なのか,などに対する回答を明確にしなければならない時期に来ていると考えられる.本パネルでは,映像処理に関係する気鋭のパネリストを迎え,映像処理の意義を明確にするべく討論を行う.
著者
黄 建成 田辺 賢二 板井 章浩
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.259-264, 2003-12-15
被引用文献数
2

アジアハス(Nelumbo nucifera),アメリカハス(Nelumbo pentapetala)ならびに種間の雑種を含むハス85品種を供試して,品種識別法としてISSRマーカーによるバス品種のDNAフィンガープリントを行った.5種類のISSRプライマ-(UBC811, 818, 840, 855, 857)から品種間の多数なバンドパターンが得られた.黄花色系をもつアメリカパスはアジアハスに比べて独特な多型バンドを示し,または中国からの紅蓮および日本由来の品種も多型バンドが存在することが示唆された.さらに85品種を識別できる最少のISSRプライマーのセットを選んだ.その結果,5種類のプライマーから得られた20本のISSRマーカーを用いて85品種の識別が可能となり,各品種に特異的なDNAフィンガープリントが得られた.
著者
田中 祥夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.450, pp.103-112, 1993-08-30
被引用文献数
3

"Kasaku Tatekata Jomoku" is important as germination of the .modern building codes system in Japan. This paper investigates the enacting conditions of this code, and reports the following points. (1) Kanagawa Prefecture was aiming at the promotion of urban sanitation, mainly owing to a proposal of D.B. Simmons (1872). (2) Kanagawa Prefecture put an urban renewal project into practice in 1873 as a part of (1), and enacted "Kasaku Tatekata Jomoku" as the building rules of the new urban area. (3) I am convinced that the governor, Oe chiefly promoted enacting this building code.
著者
竹井 成美
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育学部紀要. 芸術・保健体育・家政・技術 (ISSN:02858592)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.15-29, 1985-03

In this study I made researches into the fiield of "consonantia (harmony)" in Boethius' work "De institutione musica" from the standpoint of the musical education.### Boethius not only makes clear the definition of "harmony", but also deals with the problem in relation to "auditus (audition)" and "ratio (reason)" in the judgment on harmony. And he deals with the view of harmony by Pythagoras, Aristoxenus and Ptolemaios, and the episode in time Pythagoras found out the ratio of harmony. In addition to these matters he deals with the difference of the view of harmony by Plato from one by Nikomachus and the factors deciding the ranking of harmony.### Especially the problem in relation to "audition" and "reason" in the judgment on harmony was taken interest in by the scholars in Ancient Greece and in Medieval Europe. So it is important to elucidate these problems in a sense of making clear the view of music in Ancient Greece and in Medieval Europe.### In the modern musical education in Japan the basic studies on "principles of harmony" are scanty. So Boethius' consideration about the field of "harmony" will give the big suggestions to the future musical education in Japan.
著者
竹井 成美
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02869756)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.31-42, 1982-03-31

Boethius is one of the important theorists who transmitted the musical thought in Ancient Greece to the Middle Ages's. In the Chap. 2 of Vol.1 "Tres esse musicas; in quo de vi musicae (three classifications of music)" of his work「De institutione musica (theory of music)」, he classified music into musica mundana (harmony in the macrocosmos), musica humana (harmony in the microcosmos, i. e. man), and musica instrumentalis (practical music). Not only had this classification of music been quoted heavily by later (A. C. 9-15) theorists of music, but also it had had much effects on the musical thoughts until the time of Renaissance. But, it seems that these problems have been scarcely discussed in the musical fields of Japan. This study deals mainly with Boethius's classification of music in his work「De institutione musica」and takes its contents and its effects on later musical thought in research. Especially the modern musical thoughts are very complicated. Therefore, it is very valuable in the musical studies that we try to research into the Medieval musical thoughts by Boethius's classification of music, and it can be to lead to define the music from more theoretical and systematical point of views.
著者
高木 美也子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.47-51, 2004-09-17

ES細胞とは生体を構成するあらゆる組織・器官に分化する能力を持つ細胞のことであり、アメリカ、ウィスコンシン大学のJ.A.トムソンらは、1998年11月、ヒト胚から初めてES細胞を樹立した。ES細胞は新規の医療に結びつくものとして大いに期待される反面、不妊治療のために作られ凍結保存されているヒト受精胚(余剰胚)から採取されるため、生命の源を壊すという倫理問題が存在する。この問題の本質は、ヒト胚の潜在性をどのように捉えるかであろう。反対する人は、ヒト胚はまだ人間の状態ではなくても、人となる潜在性を持っており、それを遂行する権利があると主張する。しかしながら人になる潜在性とは、ヒト胚が人にまで成長することを、賦与するものではないと考える。文部科学省では、現在、特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会において、各研究機関から提出された樹立計画及び使用計画を審査している。私もその一委員として関わっており、審査で問題になった点等も考察した。さらにヒトES細胞研究では、文化的・宗教的な背景が大きく影響してくる。日本では、ヒト胚を壊してES細胞を樹立するという問題に、国民からのそれほど強い反対はない。反面、生命最後の部分では拘っており、国民的総意として心臓死しか受け入れられない。これが脳死問題である。日本は文化的にも、脳死体からの臓器、組織提供の医療ではなく、移植用材料を作り出すES研究に向かわざるを得ないのではないか。
著者
伊賀 健一 小山 二三夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

この2年間における面発光レーザの発展は目覚ましく、100μA以下のしきい値電流動作が目に見えてきた.また,応用分野でも特に並列光インターコネクト用に大規模アレーの商品化が進んでいる.図1に,現在考えられる面発光レーザのスペクトル領域を示す.1.55-1.3μmの長波長帯面発光レーザは光ネットワーク用に重要であるが,技術的に最も低しきい値化が難しい状況にある.熱伝導の良い反射鏡の使用が鍵となる.0.98μm帯のGaInAs系面発光レーザは最も高性能になっており,μAオーダーの低しきい値動作がターゲットになってきた.また,アレー化された実用デバイスが商品化され始めた.GaAs系レーザもSiフォトダイオードとの連携から応用が進んでいる.0.6μm帯の可視光レーザも1mA程度の低しきい値デバイスが研究レベルで達成され,実用化がそろそろ目前になってきた.これから興味がもたれるのが,青から紫外域にわたる極短波長の面発光レーザであろう.ZnSe系,GaN系など研究がホットになってきた.面発光レーザの適用分野で至近距離にあるのが光インターコネクトであろう.装置間の連絡,ビットの並列伝送など,光ファイバとの高効率結合と低しきい値動作を武器に新しい分野を形成しそうである.もちろん,長波長の面発光レーザの実用化は光ネットワークの様相を変える基となろう.いずれにしても面発光レーザを基礎とする並列機能デバイスは新しいオプトエレクトロニクスを切り開く原動力となるであろう.
著者
神田 直之 駒谷 和範 中野 幹生 中臺 一博 辻野 広司 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.12, pp.55-60, 2006-02-04
被引用文献数
4

複数のドメインを扱う音声対話システムにおいて,対話の文脈や進行に関する特徴量を導入してより精度よくドメイン選択を行う手法を開発したので報告する.本稿ではドメイン選択問題を,応答すべきドメインが,(I)ひとつ前の応答を行ったドメイン,(II)音声認識結果に対する最尤のドメイン,(III)それ以外のいずれかのドメイン,のどれに該当するかを判別する問題と捉える.ドメイン選択の正解を与えた対話データから,対話の文脈や進行に関する特徴量を用いて上記を判別する決定木を学習することにより,ドメイン選択器を構成した.5ドメインのマルチドメイン音声対話システムを用いた10名の被験者による評価実験の結果,音声認識尤度に基づく従来のドメイン選択手法に比べ,ドメイン選択誤りが11.6%削減された.We have developed a robust domain selection method using dialogue history in multi-domain spoken dialogue systems. We define domain selection as classifying problem among (I) the domain in the previous turn, (II) the domain in which N-best speech recognition results can be accepted with the highest recognition score, (III) other domains. We constructed a classifier by decision tree learning with dialogue corpus. The experimental result using 10 subjects shows that our method could reduced 11.6% domain selection error, compared with a conventional method using speech recognition likelihoods only.
著者
上田 要一
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.197-200, 1997-08
被引用文献数
5

昆布だしの呈する特有の"あつみ"成分をオミッションテストにより検索した結果、グルタミン酸、カリウム、マンニットの3成分が有効成分であった。また、ニンニク、タマネギを食品に使用した時発現する"あつみ"、"ひろがり"、"持続性"は、アリイン、S-プロペニルシステインスルホキシド等の含硫化合物による発現する事が分かった。最近、牛肉だし中の"こく"、"あつみ"成分として新規のアミノ酸誘導体及び筋肉タンパク由来の高分子成分が検出されている。
著者
吉里時雄
雑誌
沖縄医会誌
巻号頁・発行日
vol.22, pp.192-193, 1985
被引用文献数
1