著者
大嶋 直一 櫨山 淳雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.33, pp.37-42, 2009-03-11

現在,版管理システムによるソースコードの構成管理はソフトウェア開発において一般的である.このシステムのソースコード編集方式の一つにマージ方式と呼ばれる方式がある.この方式を採用している開発現場では並行性を維持しつつ,できる限り競合が回避されることを目指したルールを同一開発集団内において設定している.しかし,実状はルールが適切ではない (ルール不適切) ,遵守されない (ルール不遵守) ,共有されない (ルール非共有) ことにより,十分な成果が得られない場合が考えられる.そこで本研究では,上記の問題 (不適切,不遵守,非共有) を解決するための支援手法を提案し,それを実現するシステムの構築と適用実験を行った.その結果,議論によってルールが適正化することと,ルールの一元管理が遵守の意識付けとなることが分かった.Configuration management of source code by using version control systems is commonly practiced in software development. Merge is a method for editing source codes. A development site establishes a set of rules that aimed at avoiding collisions as many as possible while maintaining concurrency. However some rules are inappropriate, some are not observed, and some are not shared in a group. This paper proposes a supporting method for solving these issues and constructs a support system based on the method. This paper also describes an experiment to evaluate the method. The results show that rules are justified by discussions and management of rules motivates observance.
著者
宮城 健太 河野 真治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.33, pp.49-54, 2009-03-11

我々が提案している Remote Editing Protocol (REP) は、テキスト編集に特化したアプリケーション間通信プロトコルである。ここでは、エディタへのユーザ操作の煩雑さを改善するため、REP の接続プロトコルの変更を行った。また、マージアルゴリズムについても変更を行い、その変更に伴う問題点の解決法についても論じる。Remote Editing Protocol which we introduced is inter-application communication protocol for text editing. In this paper we improve the connecting protocol to remove cumbersome operation of user interface of Remote Editor. In addition, we discuss about solution of the problem that caused by changing the Merge Argorithm.
著者
二宮 利江 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.88, pp.27-31, 2008-06-07

分散認知を含む社会的分散活動における知識創造プロセスの記述方法として、オブジェクト指向ペトリネットを用いることを提案した。特に教育活動を記述するために、Learning Design Information Modelとの整合性を図り、2つの特徴的なモデルを記述した。このモデルから、知識創造プロセスがデッドロックに陥るパターンを事前予測し、その回避対策をモデルに基づく実践で検証した。実践結果より、構造化された知識の獲得を目的とした活動においては、学習目標に関連した情報を埋め込んだ人工媒介物が、活動の推進を促すことを示した。
著者
宮田 仁 鈴木 真理子 赤松 辰彦 深堀 康子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.27-36, 2008-12-05

中学生・高校生を対象として携帯電話を活用した月観察支援プロジェクトを実施した.携帯電話で使用できる「月観察支援システム」を開発し,学習者が野外で月を観察し,その観察データを各自が携帯電話からサーバへ送信し,サーバ上で自動的に観察記録をデータベース化して,各学習者が全員の観察記録を共有し,議論できるCSCL (Computer Supported Collaborative Learning)機能も実装している.今回の試行実践への参加者は少人数であったが,実践の結果,参加した生徒は手軽に野外での月の観察記録を携帯電話から送信することができ,自然観察に対する興味・関心,態度・意欲が向上したと考えられる.また,自分や他者の観察記録をWebデータベース上で共有し,議論した結果,月の見え方に関する「月は夜にしか見えない」や「月の出る時刻はいつも同じである」という生徒のもつ誤った素朴概念を転換させるきっかけを生徒に与えたと推察される.
著者
青木 志乃 長瀧 寛之 大下 福仁 角川 裕次 増澤 利光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.79-84, 2009-01-15

本稿では,協調学習において議論活動を行う学習者に対し,多角的な視点から議論をさせるための助言を与える議論支援システムの提案を行う.本システムは複数グループがチャットを用いた同一テーマの議論を行うことを想定しており,各グループの学習者は議論前に WWW から収集した Web ページを調査資料として提示しつつ議論を行う.本システムは,議論中の発言と提示された資料を基に,複数グループの議論の状況を計算機によってリアルタイムで把握し,状況に応じた助言を各グループに対して自動的に行う機能を実現する.本システムによって,各グループは調査資料収集時に得られなかった情報や異なる見解の意見を他グループから得ることができる.また,提案手法を実装し評価実験を行った.評価実験の結果,本システムが学習者に未知の情報を与える事ができると判明した.In this paper, we propose an online discussion system for collaborative learning which advises a group on information of other groups. The system supports collaborative learning of the following style: Learners search useful online documents on the Web in advance. Then, they are divided into groups and simultaneously discuss online with the system, like online chat. The system gives online discussion space in which learners easily make use of online documents, and at the same time, the system identifies the topic of each group's discussion. If the system catches a group whose discussion is not active, the system gives the group a suitable document which was referenced by someone in other group with his/her words which were said near the words referencing the document. This paper reports outline of implementation of the system and evaluation of test operation.
著者
島川 はる奈 山田 亮太 森谷 俊洋 乾 和志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.591-600, 2008-08-15

近年,日本ではマザー工場制を採用している企業が増えている.マザー工場制とは,メーカーが海外生産子会社に対して技術支援を展開する際,そのモデル工場となる本国工場が窓口ないしは担当工場となり,現地にあるサテライト工場に適した技術者や管理者を派遣し,現場指導を展開する人材派遣を中心とした技術支援方法である.サテライト工場で生産した製品に不具合が発生し,その原因が現場担当者では判断できない場合,本国にいるマザー工場の熟練者に出張を依頼した上で不具合を解消してもらう必要がある.このため,マザー工場の熟練者の出張費かかさみ,莫大なコストが必要となる.また,熟練者がサテライト工場に到着するまで不具合が放置されてしまう.更に,熟練者を長時間拘束することで,生産性の低下にもつながってしまう.そこで我々は,オンラインノウハウ伝承システムを開発した.これは,遠隔コミュニケーションの基盤技術であるSOBAフレームワークと,暗黙知を形式知化することができる知識管理システムを利用したものである.本稿では,オンラインノウハウ伝承システムの導入によって,どれくらいの効果が得られるかを検証する.
著者
渡辺 晃一郎 竹内 達史 井上 智雄 岡田 謙一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.2755-2764, 2008-12-01
被引用文献数
3

近年,協調作業・協調学習支援の分野において,対面環境における支援に関する研究が行われてきている.また一方で,テーブルトップインタフェースやタンジブルインタフェースといった実世界指向のインタフェースに関する研究も行われている.そこで我々は,テーブルトップ環境においてディジタルデータや実物体を効率良く扱えるようにするため,電子情報と実物体の両方の操作者を識別できる環境を構築した.複数のユーザが参加するような対面環境において,電子情報だけでなく,それぞれの実物体がもつ情報に関しても操作しているユーザに合わせた表示ができるようになり,情報の共有がしやすくなる.また,各ユーザの作業を区別することができるので,それぞれのユーザの操作履歴を取得・活用することができ,ユーザ同士が作業・意識の共有をしながら協調作業を進めることができる.本論文においては岩石学を学習するアプリケーションを実装するとともにいくつかの機能を実現し,評価実験を行うことで本システムの有用性を確認した.
著者
柴山 直樹 古田 一雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

確率的潜在意味解析(pLSI)のトピック分布に相関を考慮した拡張型pLSIの提案を行う。pLSIは単純な行列計算で実装できるスケールしやすいアルゴリズムである。だが、理論の単純さから、検索に有効なディレクトリ型表現やネットワーク型表現に対応しない。そこで、トピックに相関を考慮した生成モデルに拡張することで、この問題に対応できるアルゴリズムを提案する。また、提案アルゴリズムと従来手法との比較を行う。
著者
分山 達也 江原 幸雄
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.58-69, 2009 (Released:2009-02-01)
参考文献数
25
被引用文献数
7 6

The purpose of this study is to improve accuracy of the renewable energy assessment in order to promote renewable energy utilization. We have a local renewable energy assessment in the local new energy vision by NEDO. But NEDO assessed potential of local renewable energy with different methods for different energies. Some of these assessments are not accurate enough to decide policy for promoting renewable energy. Therefore, the authors developed a new method of renewable energy assessment and improved the assessment more systematic and accurate by using GIS. The new method evaluates amount of renewable energy as frequency distribution and shows spatial distribution of renewable energy. The authors applied the new method to Unzen City in Nagasaki Prefecture as an example and showed availability of the new method. The result showed that Unzen City has practical potential of 45MWe for geothermal energy, 7.6 MWe for wind energy, 1.1MWe for solar energy and 1.7MWe for small-scale hydropower as a most probable value and that wind and geothermal energy are concentrated to the specific areas and hydropower and solar energy are distributed in whole Unzen City.
著者
Hidero Ohki Mitsuhiko Matsumoto Mitsuharu Hasegawa Osamu Shimizu Shotaro Mukae Yusuke Amano Kazuo Komiyama
出版者
Nihon University School of Dentistry
雑誌
Journal of Oral Science (ISSN:13434934)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.219-222, 2005 (Released:2006-01-17)
参考文献数
8

A 54-year-old male presented with the complaint of a painful sore on the left side of his tongue. Our examination found an ulcer 15 × 20 mm in size on the left edge of the tongue, with peripheral indurations. The lesion was diagnosed histopathologically as squamous cell carcinoma (T2N0M0). Consequently, the lesion was surgical removed and radical neck dissection was performed. Four months after the operation, two unusual cyst-like lesions were identified in the parapharyngeal space by CT and MRI. A biopsy specimen revealed recurrent carcinoma with a cyst-like structure. The route of the tumor metastasis into the parapharyngeal space was obscured, but it was speculated that the excessive lymph accumulation was due to a lymphatic occlusion caused by the surgical procedure, proliferation of the metastatic carcinoma, or stagnation and accumulation of tissue fluid caused by parapharyngeal invasion by the recurrent lesion. (J. Oral Sci. 47, 219-222, 2005)
著者
依田 育士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.10-16, 2007-01-15
参考文献数
13
被引用文献数
3

ステレオカメラを多地点に配置し,ネットワーク利用を前提として,人を中心とする(人の存在,姿勢,顔,意図したジェスチャなどの)リアルタイム認識技術に関する研究を行っている.実時間実環境でのヒューマンセンシングを提供するために,ステレオカメラを利用することで激しい影の変化などを含む屋内外のいかなる場所でも設置可能にすること,距離情報と画像情報を同時に利用して役立てることに研究の中心をおいている.そのために独立した複数ステレオカメラによる複数対象の認識を前提とし,距離情報から対象領域を着目する手法,対象の記述・認識手法を開発している.その典型的な応用事例として,5年以上にわたり安全・安心を実現するための継続的な実験を行っている踏切監視,駅ホーム端監視のためのヒューマンセンシング事例について述べる.
著者
松井 敏也 篠塚 富士男
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2009-05

展示および収蔵施設を持つ図書館での環境調査を行なった.調査項目は光,空気環境,虫害の3項目である.光は照度による評価を行ない,年間の開館時間を元にその照度の強さを算出しなおした.空気環境は簡易検知管を用い,アンモニア,ホルムアルデヒド,酢酸,アセトアルデヒドなどのガス測定を行なった.これは短時間でその場の雰囲気が検知できるため博物館などでも利用されている.虫害調査はトラップを20箇所に仕掛け,捕獲された虫の把握を行なった.その結果,チャタテムシやシバンムシが捕獲され,また屋外から侵入したと思われる虫が多数確認された.継続的なモニタリングを行なう必要がある.これらの調査は常勤スタッフでも簡便に行う事ができるほか,経済的にも安価であり長期的に収蔵庫および展示室の環境を管理するための有用なデータとなる.また,こういった一連の作業が図書館におけるリスクマネージメントの一翼を担うことになる.
著者
勝川 木綿 宮本 健一 松田 裕之 中西 準子
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.83-92, 2004-06-30
被引用文献数
2

化学物質の生態リスク評価では,内的自然増加率γを指標の一つとして使うことができる.しかし,数多くの卵を水中に放出する多くの魚種では,自然環境下の卵から仔稚魚までの生存率を得ることは困難である.データから推定されたγの絶村値は,推定誤差が大きい.本論文では,化学物質の毒性が魚類個体群に与える影響を評価するため,不明または推定誤差の大きいパラメータを使わずに生態リスクを評価できる簡易方法を提案した.はじめに,化学物質による内的自然増加率γの減少分(Δγ)をリスク評価の指標と定義し,齢構成モデルから計算可能であることを示した.Δγは推定誤差の大きい初期生残率のデータを用いずに計算できる値であり,化学物質が魚類個体群に与える影響を相対的に比較することができる.次に,生活史パラメータが不明な場合,種間外挿によって未知のパラメータを求め,齢構成モデルを構築する方法を示した.Δγは,個体の繁殖率や生存率の減少など化学物質の毒性が生活史パラメータに与える影響により決まる値である.内的自然増加率の減少率Δγを指標として使う場合,(1)成熟齢や極限寿命など生活史の異なる生物の生態リスクを相村的に比較することが可能である,(2)卵の受精率,孵化率の減少や仔稚魚期の生存率の減少,あるいは成魚の生存率や繁殖率の減少など暴露が様々な生活史段階に与える影響を評価できる,(3)推定誤差が大きい初期生存率のデータを用いずに,化学物質が個体群に与える影響を相対的に比較できる,(4)乱獲など質の異なる生態リスクとの比較が可能である.実際に,ブルーギルについて個体への影響を調べた毒性試験結果から,Δγを用いて個体群への影響を評価した.