著者
深田 淳太郎
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

1.「数え方」と貨幣の関係についての文献研究現代社会において計算や計量は、世界のあり方を定量的に捉えるというよりは、むしろ世界自体を特定の数量的なスケールを備えたものと見なした上で、そのように作り上げているということは、人類学、社会学、経済学、数学などの分野を超えて論じられている、これらの近年の研究の動向を追い、特に本研究における中心的な関心である特定の物質性・歴史性を備えた貨幣を「数える」実践が、時間や空間のスケールを作り出すプロセスについて考察していくための参考とした。これらの研究の多くが計算のシステムや計量のための言葉や数字について議論をしている中で、本研究の特徴は実際に手指を使って貨幣を取り扱うという微細な実践に注目している点にあると考えられる、この研究成果の一部は、2010年11月に学会発表「交換レートの作り方」で報告した。2.パプアニューギニア、イーストニューブリテン州において現地調査を実施2010年9月に、パプアニューギニア、イーストニューブリテン州ラバウル近郊において調査を実施した。トーライ社会の内部における貝貨流通のひとつの重要な機会である婚資の支払い儀礼を参与観察した。新たに姻族となる親族集団間において、厳密に同じ長さに測った貝貨を送り合い、平等的で友好的な関係を築こうとするのと同時に、オット側からヨメ側に見せつけるように大量の貝貨を展示して支払うことが姻戚関係に含まれる潜在的な敵対関係を示しているということを明らかにすることができた。
著者
トウイディ イアン
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

当初の研究計画はアイルランドの現代詩および現代劇における古典文学の影響を究明することであった。但し、アイルランドとイギリスの現代詩は互いに影響を及ぼして活性化しているところがあるので、両者における古典文学の影響に焦点を当てるのがより生産的なものになると思われた。この研究成果は3点あり、ひとつは国際会議で数多く口頭発表したこと、さらに査読付き学術誌に論文が掲載されたこと、くわえて研究書を出版できたことである。
著者
鈴木 克明 根本 淳子
出版者
熊本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、欧米において「学びたさ」についてのインストラクショナルデザイン研究で注目が集まっている「美学・芸術的な視座」からの設計原理が我が国においてどこまで援用可能かを検討し、我が国独自の原理導出を目指した。教育工学の隣接領域で展開しているペルソナ技法やユーザーストーリー等関連研究の知見を取り入れ、パリッシュが提唱したIDの美学第一原理を検討し、意欲向上につながる学習経験を実現する方策を試みた。
著者
内藤 康彰
出版者
学習院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究では出芽酵母細胞の液胞とミトコンドリア代謝活性の相関についての新たな知見を得た。ある培養条件下で出芽酵母生細胞の液胞中にダンシングボディと呼ばれるブラウン運動する顆粒が出現、消失する事が分かった。ダンシングボディとミトコンドリア代謝活性の相関を調べるために、ダンシングボディ出現・消失時におけるミトコンドリアの時空間分解ラマン測定を行った。その結果、ダンシングボディとミトコンドリア代謝活性に強い相関がある事が明らかとなった。
著者
小嶋 誠司 本間 道夫
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

細菌のべん毛モーターは、細胞表層に自己集合し、エネルギー変換を担う超分子複合体である。モーターの回転力は、エネルギー源となる共役イオンが固定子中を流れる際に生じる、固定子-回転子間相互作用により発生すると考えられている。回転力発生のメカニズムを明らかにするためには、モーターの心臓部である固定子の構造情報が不可欠である。本研究では、ビブリオ菌Na^+駆動型モーターの固定子PomA/PomB複合体の結晶化を試みた。今年度は、これまで困難であった複合体の膜からの抽出の際に、界面活性剤Cymal-5を用いることで可溶化と精製度の向上が見られたので、大量精製し結晶化のスクリーニングを行ったが、現在のところ結晶はまだ得られていない。我々は部分構造の結晶化も同時に行い、H^+駆動型のサルモネラ菌固定子蛋白質MotBのC末端ペリプラズム側断片(MotB_C)の結晶構造を分解能1.75Aで決定することが出来た。固定子はこの領域に存在する推定ペプチドグリカン結合(PGB)ドメインを介してPG層に固定されていると考えられている。またイオンの透過は固定子がモーターに設置されて始めて活性化される。本研究で用いたMotB_CにはPGBドメインだけでなく、ペリプラズム側において運動に必須な部分がすべて含まれている。MotB_Cは1つのドメインで構成され、二量体を形成していた。MotB_Cが予想以上にコンパクトな構造であるため、ペプチドグリカン層に作用し固定するためには、MotB_Cにおいて大きな構造変化が起こらなければならない。構造情報をもとに行った機能解析により、PGBドメインでの二量体形成が固定子のチャネル部分を形成する膜貫通ヘリックスの適切な配置に重要であること、MotB_CのN末端部分の大きな構造変化がPG結合とプロトンチャネルの活性化に必要であることが明らかとなった。
著者
松永 泰弘
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ものづくり大好きな子どもたちを育てる創意工夫教材の開発と教育実践による検証を行った。機能性材料を用いた教材(形状記憶合金エンジン)と2足歩行教材(受動歩行模型, サーボモータを用いた2足歩行ロボット)を中心に教材開発を行い, 小学校(7校20クラス), 中学校(2校)において授業実践し, 教材としての有効性を検証した。教材の不思議・驚きが子どもたちの興味関心を引き起こし, 創意工夫可能な教材であり, 学校全体, 家庭も巻き込むことができる教材であることが明らかとなった。
著者
竹田 雅好 桑江 一洋 塩沢 裕一 土田 兼治 田原 喜宏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ディリクレ形式の理論は, 対称マルコフ過程を解析するための重要な道具として発展してきた. ディリクレ形式の理論はL-2理論であり, そのため特異なマルコフ過程を扱うことができる. しかし, マルコフ過程論はある意味でL-1理論である. そのギャップを埋めるために, マルコフ過程に強フェラー性や緊密性を仮定することで, 半群の増大度に対するL-p独立性を示した. 時間変更で生成される対称マルコフ過程に対してL-p独立性を応用することで, 加法汎関数の指数可積分性や大偏差原理を証明した. 熱核評価がポテンシャル項の摂動で保たれるための必要十分条件も与えた.
著者
唐沢 力 赤井 一郎 小松 晃雄 飯田 武
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

@試料の準備としてすでにあるGaSe単結晶の他に、気相成長法でBiI_3、PbI_2単結晶の育成を行った。@BiI_3結晶中の積層不整二次元界面に励起される擬二次元励起子(SFE励起子)を、窒素レーザー励起色素レーザーを用いて高密度に生成し、ポンプ・プローブ吸収とポイント励起発光スペクトルに空間分解分光法を適用してその空間的挙動を遷移スペクトルの変化より調べた。解析で得られた広い空間域へ拡がる励起子成分に対し、励起子の二次元流として解析して、この成分がコヒーレントな集団運動を行っていることを見出した。この成分が新しい励起子凝縮相である可能性を議論した。@このSFE励起子系に、モードロックNd:YAGレーザー励起のピコ秒色素レーザーを用いて、空間分解した諸種のピコ秒分光を適用した。ポンプ・プローブ吸収および発光の時間-空間分解スペクトルから、高密度成分がポラリトンの群速度に匹敵する速さで空間を移動していることを見出した。さらに、2光束を空間分離した縮退四光波混合(DFWM)信号の検出を行い、高密度下で空間伝播してきた励起子成分による信号の発生を確認した。これら励起子集団の振る舞いとボーズ凝縮との関連を議論した。@GaSe結晶の励起子遷移域を、ピコ秒色素レーザーで共鳴励起してDFWM信号を検出し、励起子共鳴より低エネルギー側に励起子分子によると思われるスペクトル成分を見出した。また、2光束空間分離励起で、高密度励起子の集団運動によると思われる信号強度の波数ベクトル依存性を見出した。@理論的には、電子正孔分離型の量子井戸中の励起子凝縮相の示す超流動が、電流の形で直接観測できることを示した。また、理想的にコヒーレントな高密度励起子集団のダイナミックスを明らかにするため、非線型Schrodinger方程式を解き、その時間・空間発展を明らかにした。その結果とBiI_3高密度SFE系の時間・空間的挙動を比較し、この励起子系のボーズ凝縮相の可能性について議論した。
著者
酒井 康行 EVEOU Fanny EVENOU Fanny
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究では,高酸素透過性かつ微細造形性に優れたポリジメティルシロキサン(PDMS)を用いて,細胞層を三次元的に培養しつつ背面から酸素を直接供給する培養基質表面を作成し,各種肝細胞の組織化と機能を検討した.これにより,細胞の三次元的な組織化と酸素・栄養素の供給とを静置培養にて簡便に両立する新たな肝細胞培養系の構築を目指した.増殖が可能な分化型肝細胞株Hep G2の場合では,酸素直接供給プレート上で細胞は自発的に5-6層まで重層化増殖し,縦断面の組織学的観察から細胞は密な三次元構造と立方体状の形態をとっていることが示された.また,単位細胞当たりで通常プレートの約20倍以上という高いアルブミン分泌能が観測された.本細胞については三次元ピラー構造の影響は少なく,劇的な効果は酸素直接供給に専ら拠るものであった.以上の結果はTissue Engineering C誌に投稿し,査読意見に従って改訂中である.一方成熟ラット肝細胞の場合には,三次元ピラー構造を持つ表面で酸素を直接供給することで,肝細胞が自発的に凝集体を形成し,三次元構造と高い機能とが観測された.三次元ピラー構造無しでは細胞は表面から容易に剥離した.また,酸素供給無しでは細胞は数日のうちに死に至った.酸素消費速度が高い肝細胞の培養については,通常プレートでの培養では圧倒的に酸素不足に陥っていることが指摘されていたが,実際にその制限を取り除いた場合に,細胞がどのような挙動を取るかを観測した例は皆無であった.以上の結果は,スクリーニング目的のための肝細胞培養において,簡便かつ多検体処理に適しているマイクロプレートフォーマットで,各ウェル内に最小限の三次元組織体を容易に形成できることを示しており,肝細胞を用いたプレートアッセイの改善に関する寄与は大きい.
著者
桃崎 有一郎
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究課題に基づき、歴史学研究会においてシンポジウム報告を行い、室町幕府3代将軍足利義満から4代義持への世代交代に際して、朝廷・幕府を一身に統合的に支配する「室町殿」と呼ばれる地位が、義満期に更に上位の地位として形成された「北山殿」の地位と整理・統合され、「室町殿」という地位(とその呼称)が歴史上初めて確定・確立した事実を明らかにした。加えてその報告内容を、シンポジウムにおける質疑・批判を踏まえ、論文にまとめて投稿し、掲載された。また平行して、研究遂行過程で存在が確認された慶應義塾大学メディアセンター貴重書室所蔵の『北条家判尽』と題する巻子本について、踏み込んだ調査を行った。調査の結果、従来写本としてしか知られていなかった鎌倉〜南北朝期の幕府関係者の家に伝わった文書群の原本であることを明らかにし、その内容を紹介して従来の写本に基づく誤りを正すとともに、その伝来経緯・史料的価値・古文書学的価値について論じた。さらに従来はその内容が難解とされていた、鎌倉期公武関係の基礎史料というべき鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』の現代語訳作業に取り組み、共著で刊行した。また研究課題に即した問題関心から、関連する研究書の書評を行い、問題の所在を指摘するとともに私見を提示した。なお上記の研究成果発表と平行して、研究課題達成のために公刊済み・未公刊を問わず関係史料の収集・蓄積と高野山金剛三昧院(和歌山県)・京都におけるフィールドワーク(史料調査・現地踏査)を継続的に行った。
著者
市澤 哲
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本年度は尊氏・義詮期の公武関係を中心に研究を行った。従来当該テーマの研究は、公武の訴訟管轄、意思伝達システムなどの制度史的考察が中心であった。近年、公家家督の認定者が義詮期に室町殿に移行することが指摘されているが、治天の君の権限が室町殿に吸収されていくという従来の図式をでるものではない。そこで本研究では公家社会の根幹にかかわる公家所領の没収・安堵、儀式の運営への公武のかかわり方を検証し、公武関係の枠組みを仮説的に示すことをめざした。1. 公家所領の没収・安堵については、観応擾乱にともなう、不参公家の処分、回復の過程に注目した。まず南朝側の北朝貴族に対する厳しい処遇などの影響で、北朝貴族が北朝の治天の君を絶対視しなくなる傾向が見られること、かかる事態に対し、室町殿は旗幟不鮮明な北朝貴族の処分を実行したことを明らかにした。さらに室町殿による処分は、北朝の治天の君に諮られ、没収所領の返付については輪旨が発給されていることを指摘し、室町殿の行動は北朝の治天の君からの権限吸収ではなく、むしろその権威の維持をめざす行動と評価すべきであるとの仮説を示した。2. 公家儀式の研究では、『太平記』末尾部に天皇の朝儀復興の意志と武家の支持によって開催されたと位置づけられている貞治6年中殿御会に注目し、天皇の楽器演奏、実際の開催過程の検討という二点から検討を加えた。その結果、御会が天皇が公式行事で笙を吹く最初の機会であり、朝儀の復活と同時に新しい朝儀の始まりをも意味した重要なイベントであったこと、さらに他の記録史料から御会は発案の段階から室町殿の意志が強くはたらいたことがよみとれた。以上の結果、室町殿は北朝の権威を確立し、その権威を独占することを基本的な方針としていたという、1の仮説を補強する見通しを得た。
著者
ベセット アラン 権 瞳 佐藤 恭子 有馬 淑子
出版者
プール学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、CALLを利用した外国語学習において、学習者の教材利用と学習ストラテジー活用状況を調査した。学習者は既製英語学習ソフトを利用する際、課題は消化していくものの、学習支援機能を利用することはほとんどなく、自律的学習に不可欠なメタ認知ストラテジーの利用が十分になされていないことが明らかになった。ストラテジー向上のための指導や、学習記録を用いた振り返りなどの手法には一定の効果が見られるが、継続的に行うことが必要と考えられる。
著者
浅岡 陽一 佐々木 真人
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、全天監視高解像度望遠鏡Ashraの性能を最大限に活用し近傍宇宙における重力崩壊型超新星発生頻度を測定することによって、天文学の分野における基礎物理量である星生成率を直接決定することを目的としている。2007年度から、観測地への検出器の設置・データ収集系・モニター系の開発を行い、広視野長期安定観測を開始した。2009年度末までで、実観測時間が計2774時間に到達している。実績として、93%の好天率と99%以上の稼働率を達成しており、超新星探索に必須の長期安定観測が行えている。超新星探索解析に関しては、Ashra光学観測の基本性能といえる限界等級の算出を行った。現在はそれを基に超新星探索システムと感度評価システムの構築を目指して解析を進めている。
著者
下光 輝一 大谷 由美子 小田切 優子
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

運動習慣の獲得・継続に役立っ実践的介入方法を開発することを目的とし、1)行動医学理論モデルであるTranstheoretical Modelにもとづいた「運動行動変容の過程」尺度(POC)の新たな開発、および2)行動医学的手法を取り入れた集団ストラテジーに則った介入の層化無作為割付対照試験による効果の検討を行った。1)POCの開発:45項目,11概念(プロセス)の質問紙を作成した。某社社員を対象に実施し、調査研究に同意が得られた1,287名(対象者全体の53.1%)を分析の対象とした。確認的因子分析の結果,11プロセスのうち項目数3つ以上の9プロセスにおいてCronbachのα信頼性係数は0.7以上であり,高い信頼性が示された。また、対象者の運動習慣のステージ(SOC)とPOC11プロセス各尺度得点との関連を検討したところ、すべての尺度得点において、SOCによる有意差が認められ(p<0.001),SOCが高いほど高得点を示し,尺度の妥当性が確認された。2)介入効果の検討:規模と地域を考慮して、事業所単位で層化後、無作為割付を行い、介入事業所の社員(介入群)に対して、ポスター掲示および社内メールによる情報提供型の介入を、14回、6ヶ月間(1週間隔の集中的介入期間8週間を含む)行った。提供した情報は、身体活動・運動の健康影響や推奨されている活動量に関するもので、ベースライン評価時のSOCに応じて行動医学的技法を用いた情報を追加した。介入の前後で、SOC、POC11尺度得点、日常生活における身体活動量、加速度計による歩数の変化について検討したが、いずれの評価尺度も、介入群、対照群ともに有意な変化はなかった。集団ストラテジーに則った介入は、情報提供型が多いが、SOCに応じた行動医学的技法を取り入れても、行動変容を起こすことは困難であった。今後、効果的な介入方法の開発が必要である。
著者
石川 佳治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

クラウドコンピューティングでは,並列・分散環境において多数のコンピュータを連携してスケーラブルな情報処理が実現される.また,さまざまな情報の連携による高度なサービスが提供される.本研究では,このようなクラウド技術の発展を考慮に入れた大規模時空間データの管理・処理技術に着目した.時空間データの特性を踏まえたクラウド環境上でのデータベース問合せ処理技術や,クラウドシステムの利活用技術などを開発するのみならず,時空間・モバイルデータベースにおけるプライバシー保護などの応用技術についても開発を行った.
著者
松井 健一 増田 美砂 杉藤 重信 伊藤 太一 渡邉 和男 西川 芳昭
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

環境ガバナンスに資するデータベースの概要を研究代表者が管理するウェブサイトに構築するとともに、伝統知とその法的問題点について査読入り学術図書1冊と当該課題に関する査読入り学術論文を4本出版した。学会発表は7回行った。また、毎年著名な研究者を筑波大学と国連大学高等研究所へ招へいし、シンポジュウムと研究者交流を行い、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ドイツ、インド、ブラジルの研究者との共同研究へとつなげることができた。当該課題に関する修士論文を3本主査として指導した。
著者
川村 洋次
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、まず、様々な演出・編集技法操作を行った映像ショットを撮影し、新たに撮影した映像ショットにインデックスを付加した映像データベースを整備した。次に、映像データベースを基に演出技法・映像修辞を操作した広告映像を生成し、その効果について視聴実験した。そして、演出技法・映像修辞の操作と効果の関係を分析し、広告映像のクリエイティブ・ノウハウの抽出・体系化を図った。
著者
三浦 香苗 太田 亨 深川 美帆
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

学生によるビデオ会議(日本語使用)を,タイ,トルコ,豪州の協定校と,1 対1及び多地点同時通信で行った。その結果(1)1対1の方が多地点より議論が円滑であった。(2)会議のturn数を日:豪,日:タイ,日:トルコで比較すると,日:豪が有意に多かった。(3)「結婚」「職業」などは異文化会議を進めやすいトピックである。(4)国によっては,サブトピックより更に下位の話題が活発に出た以上の結果の原因が文化差か,グループの傾向か等は未だ特定できない。
著者
松永 修一 岸江 信介
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

松永・岸江が収集した南九州、特に宮崎県・鹿児島県における在来方言の自然度の高い談話資料のアナログデータをデジタル化し、文字化と音声データの公開の準備を整えることができた。文字化資料の一部は冊子体で公開した。また、新たに奄美大島での調査を進め、奄美大島本島だけでなく、徳之島、加計呂麻島での臨地調査を行い、46 地点の高品質な音声と映像による話者の発話情報を記録・収集し音声言語地図の準備を完了した。
著者
三浦 浩喜
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、学校における芸術教育の危機といわれている今日、IT技術と学校空間を利用し、児童美術文化の再生をしようとする実践研究である。まず、イタリア、レッジョ・エミリア市の調査においては、企業や自治体、海外との連携の重要性が明かとなった。次に、わが国における学校空間を利用した実践は80年代に大きく広がり、90年代に縮小したものの、各地にユニークな実践が存在したことが明らかとなった。また、学校との実際のコラボレーションにおいては、福島市桜の聖母小学校、須賀川市白方小学校、三春町立岩江小学校、伊達市立保原小学校などとプロジェクトを展開し、いずれも成功させることができた。