著者
新藤 辰二 佐々木 義幸 三木 啓道 江口 通 萩原 清和 市川 富夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422_1, 1988-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15
被引用文献数
23 34

新しい天然甘味料として期待されるエリスリトールのイオン交換樹脂カラム CK 08SHを使用した, 示差屈折計付き高速液体クロマトグラフィーによる迅速, 簡便な定量法を検討し, 良好な結果を得た. この方法により, 清酒, ワイン, しょう油, みそそしてビール中の含量を測定した. この結果エリスリトールは清酒, ワイン及びしょう油0.015~0.09w/v%, みそ0.13%, ビールには微量含まれていることが分かった.
著者
東西田 奈都子 齋藤 明良
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.473-477, 2014 (Released:2017-02-01)
参考文献数
17

アルキルグルコシドは親水基ユニットとして糖骨格を有する天然原料由来の非イオン性界面活性剤である。一般的な非イオン性界面活性剤であるエチレンオキサイド付加型の界面活性剤に比べて,非常に高い起泡性を示し,これは相状態の観察や気液界面での表面圧測定の結果より,親水基である糖骨格構造に由来する分子の配向のしやすさが影響していると考えられる。また,アルキルグルコシドは蛋白質や肌に対してマイルドであり,水生環境に対しても適合性の高い基剤であることから,安全性や低環境負荷への要求が高まる現況において注目すべき基剤である。本稿では,アルキルグルコシドの物性および特徴的な性能ついてご紹介する。
著者
小幡 啓靖
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部教育行政学研究室紀要 (ISSN:02880253)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.67-92, 1995-04-15

Tenri high School was established to educate the students from the Tenri-kyo believers' family. The education based on the philosophy of Tenri-kyo has been done there. Even though as the background of teaching there is the paticular unique God (Tenrioh-no-mikoto=Oyagami) originated from the religion of Tenri-kyo, the education in that school seems to provide universal resourse for ethical education in general. In this paper I tried to review the principle of Tenri-kyo and from the point of teaching ethics, by students' impressions and evaluations toward entire school life. Thus I would like to extract possibility for ethical education.
著者
青池 亨 木下 貴文 里見 航 川島 隆徳
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.115-120, 2019-12-07

国立国会図書館電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室(次世代室)では,機械学習技術を図書館サービスに取り入れ,応用することで,資料の検索可能性と提供可能性の拡張を実現するべく調査研究活動に取り組んできた[1].また,これらの研究成果を活用したサービスを一般に利用可能な形で提供する場として,2019 年3 月に「次世代デジタルライブラリー(https://lab.ndl.go.jp/dl/)[2][3]」を公開した.他方,国立国会図書館のデジタル化資料の利活用促進や学術コミュニティへの貢献の観点から,外部の研究者やエンジニアが研究・技術開発用途に利用可能なデータセットを公開することも大きな意義がある.本論文では,国立国会図書館デジタルコレクションのデジタル化資料を活用して作成・公開したデジタル化資料のレイアウトのデータセット(NDLDocL)について,その特色や先行する他機関のデータセットとの相違点を紹介する.また,実際の構築過程における検討事項や開発したアノテーションツールの紹介と,現時点で想定している活用方法のアイデアについて述べる.
著者
南 了太
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_85-1_92, 2021-01-31 (Released:2021-03-15)
参考文献数
39

本論は,人文・社会系産官学連携の現状に関する考察である.1995年に「科学技術基本法」が制定され,四半世紀の間,理工・生物系分野に偏重した産官学連携が推進されてきた.近年,人文・社会系分野の知識の活用が望まされる一方,人文・社会系分野のいくつかの事例は見当たるもののこれまで十分な考察がなされてこなかった.そこで,政策や官民の人材の状況,大学の研究支援者,共同研究数・金額,先行研究より現状の考察を行った.その結果,人文・社会系分野の共同研究金額件数は全体の2%で,日本の公的機関における専門別研究者の内,人文・社会系分野の研究者は3%で,企業における人文・社会系分野の研究者は1.3%であった.また,大学における人文・社会系分野の産官学連携の支援者は8%であった.理工・生物系分野に比して,人文・社会系分野はリソース投入が僅かであり支援体制の在り方そのものを考える必要がある.本視点は今後人文・社会系産官学連携を推進する際の基礎データとして参考になるものだと考える.
著者
Hiroko IIMA Hiroki TERAOKA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.20-0565, (Released:2021-03-11)
被引用文献数
1

An adult Red-crowned crane in captivity that had a displaced compound fracture of the middle upper beak caused by an accident was treated by using Type I-a external skeletal fixator (ESF). The ESF was equipped with a unilateral epoxy putty fixator with 5 half-pins was fixed on the premaxilla bone. The crane with the ESF on the beak was able to feed smoothly by itself. The ESF was removed 49 days after the first surgery. Beak malocclusion, which was observed in the latter half period of fixing, spontaneously improved within one month after removal of the ESF. This is the first successful case of repair of an upper beak fracture in a Red-crowned crane.
著者
佐々木 雅也 荒木 克夫 辻川 知之 安藤 朗 藤山 佳秀
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2005 (Released:2005-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

腸管粘膜細胞の増殖・分化は,消化管ホルモンなどの液性因子や食餌由来の腸管内増殖因子などにより巧妙に調節されている.腸管内の増殖因子として,ペクチンなどの水溶性食物繊維には顕著な腸粘膜増殖作用があり,それには発酵性と粘稠度が関与している.発酵により生じた短鎖脂肪酸,特に酪酸は大腸粘膜細胞の栄養源であり,腸管増殖因子としても作用する.一方,酪酸には抗炎症作用があり,傷害腸管の修復にも関与する.これらは,デキストラン硫酸(DSS)にて作成した潰瘍性大腸炎モデルにおいても確認されている.さらに,酪酸産生菌である Clostridium butyricum M588経口投与によってもDSS大腸炎の炎症修復が確認された.一方,発芽大麦から精製されたGerminated barley foodstuff (GBF)は,潰瘍性大腸炎モデルなどによる基礎研究の成績をもとに臨床応用され,優れた臨床成績から病者用食品として認可されている.また,レクチンにも食物繊維と同様の腸粘膜増殖作用があるが,これらは腸内細菌叢に影響を及ぼすことなく,おもに腸粘膜への直接的な増殖作用とされている.これらの増殖因子は傷害からの修復にも寄与するものと考えられる.
著者
桐生 習作 村田 直樹 藤堂 良明
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.119-133, 2012-12-25 (Released:2014-04-04)
参考文献数
57

Throughout the course of the popularization of judo, Jigoro Kano refined kitoryu-no-kata (a technique in judo having a profound theory) and developed it as koshiki-no-kata. The purpose of this study is to clarify: (1) the details of kitoryu-no-kata, (2) the development from kitoryu-no-kata to koshiki-no-kata, and (3) Kano’s strategies on the popularization of kata as to which parts of kitoryu-no-kata he valued the most, the methods of the development of kitoryu-no-kata, its meaning and the development from kitoryu-no-kata to koshiki-no-kata. The results are shown below:(1) Kitoryu is based on a state of unity between the imperturbable mind and body, which is called hontai. According to the Kitoryu jujutsu code, hontai places a strong empathies on spiritual training and harmonizing the mind and body with the universe’s energy source — ki, without being distracted by the moves of the kata or the opponent’s moves. In establishing Kodokan judo, Kano adopted kitoryu-no-kata (grappling techniques in armor which was used in times of war), as a kata with noble principles. In the kitoryu-no-kata style, Kano valued a steady posture (hontai), an imperturbable mind and techniques that disturb the opponent’s posture.(2) Kano changed the name from kitoryu-no-kata to koshiki-no-kata sometime after 1901. When comparing the two kata, it can be seen that there are five waza (techniques) that acquired a different name and two waza (techniques) that have a reverse order. In the Kitoryu style, a 14-technique session begins and ends with a courtesy greeting. In the Kitoryu style, 14 techniques and seven mudan techniques have been recognized as different forms of kata. Although there is a movement that disturbs the opponent’s posture by grasping and holding his neck in the kitoryu-no-kata style, Kano changed it to pressing against the opponent’s chest instead— from the point of view of safety and elegance.(3) Ever since the very founding of Kodokan, judoka have been neglecting kata. Kano tried a variety of ways to popularize kata because he felt that students should learn the principles of correct throwing techniques through kata.
著者
松尾 藍 吉田 富二雄
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.40-49, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
14

本研究では,性ステレオタイプ行動に含まれるネガティブな側面に着目し,性ラベルが,性ステレオタイプ行動を行う人物の好ましさに及ぼす効果を検討した。実験は,実験参加者の性(男・女)と性ラベル(男性・女性・ラベルなし)を要因とする2要因混合計画(後者は実験参加者内要因)であった。実験参加者(N=182,男性87名,女性95名)は,男女の性ステレオタイプに沿った行動傾向の記述文を読み,その記述文に示された行動の行為者の性が明示されない場合(ラベルなし条件)と,行為者が男性の場合(男性ラベル条件)および女性の場合(女性ラベル条件)における行為者の好ましさを評価した。その結果,ネガティブな性ステレオタイプ行動に対し,行動と一致する性ラベルが与えられた場合,対象人物(ステレオタイプ一致人物)のネガティブな評価が緩和された。この効果は評価者が対象人物に対し外集団成員であるときのみ生起した。また,ネガティブな性ステレオタイプ行動に対し,行動と不一致の性ラベルが与えられた場合,対象人物(ステレオタイプ不一致人物)はよりネガティブに評価された。この効果は,女性ステレオタイプ行動に対して男性ラベルが与えられたときに,最も顕著であった。
著者
渋谷 哲也
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戦後ドイツ映画における移民表象の変遷を辿りながら、移民をめぐる社会状況の変化を考察した。とりわけ日本では無名ながらドイツでは高い評価を受けているトルコ系移民二世の映画作家トーマス・アルスランの作品を取り上げ、トルコや移民というテーマを扱う際にいかに紋切り型的表現から距離を取り、社会の多様性を浮き彫りにする手法を明らかにした。
著者
二宮 麻里 濵 満久
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.55-65, 2019-01-17 (Released:2019-01-17)
参考文献数
28

近年,いかに顧客の「経験価値」を高めるかということが課題になっている。それに対し小売業では,店舗ごとに「特別感」を演出することも行われている。顧客への個別対応は,独立小売商に強みがあるといえるが,販売局面の属人的コミュニケーションだけでは十分でない。そのためには,生産局面にまで踏み込んだ仕入れ活動による品揃えの差別化が課題となる。しかし,経営資源の限られた零細小売商にとって品揃えの差別化がどのようにおこなわれるのか,その実態はほとんど明らかではない。個別小売商の経営実態をとらえるには,特定業種における小売商の品揃え形成活動にまで立ち入って分析する必要がある。そこで,本稿では野菜・果実小売業「やおや植木商店」を事例として,経営実態を分析した。従来の研究では,小売商の活動についても,商品取扱い技術についても,仕入・販売局面のみに絞られていたが,植木商店は,生産と消費の局面にも積極的に介入し,その結果として新たな需要を生み出していることが見出された。
著者
吉田 明子 加藤 正人 谷内 一彦
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.387-396, 2004-10-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
41

痛みの受容には多くの分子が影響を与えるが, ヒスタミンもその一つである. その作用点は, 一次性求心性神経線維と中枢ヒスタミン神経であるが, H1受容体はおもに一次性求心性神経線維上にあり, 末梢からの情報を脊髄や上位中枢へ効率よく伝達する役目を担っている. また脊髄や上位中枢にはH1受容体やH2受容体が存在して興奮性の作用を共同して担っている. とくに中枢ではH1, H2受容体ともに大脳皮質の機能賦活作用として覚醒や認知機能亢進に関与している. 最近, ヒスタミン関連遺伝子のノックアウトマウスが開発され小動物における生理学的・病態生理学的研究の新たな展開が進んでいる. 本総説では, 抗ヒスタミン薬を用いた薬物研究, 近年開発されたヒスタミン関連遺伝子ノックアウトマウス (H1, H2受容体ノックアウトマウス, ヒスタミン合成酵素ノックアウトマウス) を用いた研究, モルヒネなどのオピオイドと併用した疼痛研究の結果をもとに, 痛みの受容とヒスタミンの関与について概説する.
著者
廣澤 愛子
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.217-224, 2011-02-18

本研究では、病的解離から正常解離まで、幅広く「解離」の実態について論じている。病的解離に関する先行研究は多く、それら内外の研究を概観しながら、本研究では特に「解離性同一性障害」に焦点を当て、その状態像や発症要因、治療的スタンスなどを考察した。
著者
北原 克宣
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.61-94, 2011-03

本論文は,戦前から戦後にかけての日本の食料需給政策の背景と性格に関する分析および考察を通じて,戦後日本資本主義の展開の中で食料自給に対する認識がどのように変遷してきたのかを明らかにすることを課題としたものである.この課題を明らかにするため,本論文では,まず近年における食料自給をめぐる議論について,浅川芳裕氏の近著を取り上げ批判的に検討した.そのうえで,戦前の食糧需給政策について整理し,戦前日本において食料(糧)自給が追求されたのは第二次世界大戦前と戦後の一時期に過ぎず,しかも,これが実際に達成されたのは植民地からの移入米を含めてようやく「自給」を達成した戦前の一時期に過ぎないものであることを明らかにした.戦後における食料(糧)需給政策については,当初,食糧増産政策はとられるものの,MSA協定などを通じてアメリカ余剰農産物の受け入れ体制が構築されることにより,日本は米を除く食糧の自給は放棄する方向へと進むことになった.これを決定づけたのが農業基本法であり,これ以降,日本の土地利用型畑作は壊滅的状況となり,麦類や大豆の自給率は大きく低下させることになった.その後,1980年代半ばまでは,食管制度を通じて農業・農村もかろうじて維持され,これが米過剰をもたらす要因ともなるのであるが,1985年以降,新自由主義的政策への転換の中で,さらに自給率を低める方向へ作用していった.本論文では,この段階を食糧自給放棄から食料自給放棄への転換点と捉えた.さらに,食料・農業・農村基本法の制定以降,食料・農業・農村基本計画の策定にともない食料自給率目標が設定されることになったが,それを実現できる政策が構想されているかどうかという点では疑問の残る内容にとどまっている.以上を踏まえ,本論文では,これからの食料自給のあり方について,グローバル段階における広域的再生産構造を前提としたうえで基礎的食糧の自給は目指しつつ,東アジア圏での貿易による補完的関係を構築していくなかで食料自給を達成する方向性を提起した.
著者
佐久間 悠太
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.20, pp.135-158, 2014-02-28