著者
平井 上総
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.118, no.4, pp.576-589, 2009-04-20

This article attempts a textual criticism of the Chosokabe Motochika Shikimoku (hereafter Keicho Shikimoku) purported to have been promulgated in Tosa Province during the Toyotomi Hideyoshi regime in the second year of Keicho (1597). The article begins with a comparison between Chosokabe family institutions and the content of the Keicho Shikimoku, by focusing on a set of provincial-wide bylaws (Chosokabe-shi Okitegaki) promulgated during that same time. The comparison reveals marked differences between the two documents in both wording and institutional arrangements. The author concludes that the content of the Keicho Shikimoku conflicts with Chosokabe family custom in many ways. Next, a comparison is made between the Keicho Shikimoku and the legal codes promulgated by the Yamauchi family for it Tosa Han fief during the Tokugawa Period, revealing similarities between the two documents in both content and form. The author concludes that the so-called "Keicho Shikimoku" was not a legal code of the Chosokabes, but must have been compiled after the formation of Tosa Han sometime during the 17^<th> century or after. In order to pinpoint the date of compilation, the author compares the Keicho Shikimoku with revisions made in the Tosa Han legal codes between Kan'ei 18 (1641) and Genroku 3 (1690), and discovers that the greatest similarity occurs with respect to the revisions made in Kanbun 3 (1663). Moreover, the fact that the Keicho Shikimoku prohibition on samurai attending dance performances and sumo wrestling tournaments reflects the actual situation during the several years following Kanbun 3 also suggests that the 1663 legal code for Tosa Han was its source. As to the reason why the Keicho Shikimoku was written, the author argues that it was an attempt by local samurai facing extinction in the midst of the political upheaval that occurred in Tosa during Kanbun 3 to reinforce their legitimacy by emphasizing historical ties to the Chosokabe family. The author concludes that the Keicho Shikimoku was a fictitious legal code modeled after legal codes in force in Tosa Han during the late 17^<th> century and shows that the Chosokabe family did not use the phrase "ichiryo gusoku" 一領具足 (allowing cultivators to arm themselves; later how local samurai-cultivators referred to themselves) in any of the legal codes it promulgated or any official document it issued, indicating that ichiryo gusoku was merely a popular phrase, not an official legal institution.
著者
池添 剛 梶川 嘉延 野村 康雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.3201-3212, 2001-12-15
参考文献数
24
被引用文献数
30

本論文では,感性語により音楽を検索するシステムを提案する.提案システムでは,データベース中の曲をマッピングするための検索空間をSD法ならびに因子分析により生成する.また,データベースに新たな曲を登録する際には,GAとニューラルネットワークにより構成された自動インデクシングシステムにより検索空間へのマッピングを行う.検索の際には,8つの感性語対の度合い(1?7)をニューラルネットワークに入力することにより,ニューラルネットワークはそれらの入力に対応する感性空間中の座標を出力するので,検索システムはその出力座標値からユークリッド距離の最も近い曲から順番に検索候補としてユーザに提示を行う.提案システムに対して主観評価実験を行ったところ,検索システムに関しては95%の被験者が満足しており,自動インデクシングシステムに関しては59%の被験者が満足するという良好な結果が得られた.In this paper, we propose a music retrieval system with KANSEI words.In the proposed system,retrieval space in which tunes are mapped is generated by semantic differential methods and factor analyses.When a new tune is registered,the tune is mapped in the retrieval space by an automatic indexing system using genetic algorithms and neural networks.In case of retrieval,arbitrary levels of 8 pairs of KANSEI words are input into a neural network,the neural network outputs the corresponding coordinate value in the retrieval space.Then the proposed retrieval systems show a user some candidate tunes in near order of distance from the output value.The subjectivity evaluation experiments to the proposed system demonstrate the good result that 95% of subject was satisfied about the retrieval system and 59% of subject was satisfied about the automatic indexing system.
著者
田口 進也 田中 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.538, pp.7-10, 2008-03-03
参考文献数
10
被引用文献数
2

本稿では混雑した状況でも正確に人物を検出する画像処理手法を提案する.従来,多視点映像から人物のシルエットを抽出して人物の移動軌跡を推定する手法が提案されている.しかし,満員のエレベータ内や電車のように混雑した状況では人物の体が遮蔽されてしまうため,シルエットから人数を推定することは困難である.そこで本稿では多視点カメラの映像から頭部検出器を用いて検出した結果をステレオ視することにより人物のみを検出可能とする手法を提案する.ステレオ視により検出した頭部候補領域の3次元位置を推定し,推定位置の高さや領域判定により誤検出を削減することが可能となる.実験の結果,1人/50cm^2という状況でも正確な人物検出が可能であることを確認した.
著者
岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.146-153, 1992-03-01
参考文献数
12
被引用文献数
33

AVメディアを介しての音楽聴取行動において、音楽再生音の印象に対する映像情報の影響、並びに映像の印象に対する音楽情報の影響を調べ、どのような視覚と聴覚の相互作用が生じているのかを検討した。迫力、明暗、ユニークといった、視覚と聴覚に共通した性格を通して、聴覚の印象が視覚の印象を強調する共鳴現象が認められた。また、総合的な印象からのフィードバックの介在した協合的な相互作用により、映像を"面白く"する傾向が見られた。更に、映像の付加が、音の"汚さ"を目だたなくさせるような、感覚の感受性の変化も確認された。音楽再生音の最適聴取レベル決定には、再生音の"迫力"のみならず、映像の"迫力"も影響していた。
著者
山村雅幸 亀田祥平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.64, pp.65-68, 2006-06-15

報技術の急速な発展とインフラ化に伴って、さまざまなソースからの時系列データが大量に蓄積されはじめている。時系列データの適切な解析手法の整備が急務である。従来、時系列のクラスタリングにおける類似性は系列間のユークリッド距離をベースに定義されてきたが、多変数に関する情報が失われる欠点がある。本研究では、時系列クラスタリングのために、クモの生態系にヒントを得た新しいアルゴリズムを提案する。そこでは、生態系を通じたクモの棲み分けによって、時系列データの特徴点を巣の位置として抽出し、それらの特徴点の順序相関に基づいてデータ間の距離を定義しクラスタリングに役立てる。オーストラリアの手話の軌跡データを用いて、分類性能が従来の方法より高いことを実験的に調べた。
著者
金子 洋平 中村 仁 塩田 あづさ 鈴木 健 鈴木 達哉 幸 由利香 牛尾 進吾
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.3-10, 2014 (Released:2014-04-05)
参考文献数
10

ナシ萎縮病菌(Fomitiporia sp.)の伝染源と考えられる担子胞子の飛散消長を明らかにした.2008~2011年に野外において,延べ8個の子実体を供試し,それらの直下にグリセリンゼリーを塗抹したスライドグラスを設置して担子胞子を採取した.4年間における胞子飛散は断続的であったものの,開始時期は5月31日~7月7日,終了時期は11月10日~11月21日の間であった.それぞれの時期の気温は,17.0~24.5°C,12.1~14.1°Cであり,飛散開始時期はいずれの年も梅雨期間中であった.12月から翌年の5月までは担子胞子の飛散はほとんど認められなかったことから,1年間における飛散期間は,概ね6~11月であると考えられた.この期間中における飛散の中断時期は,降雨の無い日が継続した時期(主に夏季)と概ね一致した.2011年の夏季に供試子実体に散水を適宜行ったところ,胞子の飛散はほとんど中断しなかった.室内試験において,本菌の胞子の飛散は20~30°Cの範囲で起こり,10,15および35°Cでは胞子の飛散は停止した.また,乾燥条件が継続すると,胞子の飛散は停止することが明らかとなった.気温と水分条件は胞子形成およびそれに続く飛散に影響を与えた.
著者
古澤 仁 高井 利憲 Hitoshi Furusawa Toshinori Takai 鹿児島大学理学部数理情報科学科 産業技術総合研究所システム検証研究センター Department of Mathematics and Computer Science Faculty of Science Kagoshima University Research Center for Verification and Semantics AIST.
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.14-34, 2006-07-26
参考文献数
46

クリーニ代数は正規言語を公理的に取り扱うための代数的枠組みである.正規表現が計算機科学のいたるところに現れることを考えると,クリーニ代数が計算機科学に現れる構造の自然なクラスの性質を公理的にとらえ得るであろうことが容易に推測されるであろう.クリーニ代数の定義は,等式とホーン節で与えられるため,ある現象をクリーニ代数においてモデル化すると,その現象が簡単な式変形によって検証できるという特徴をもつ.本稿ではクリーニ代数の基本的な性質とそのプログラム理論への応用例について紹介する.A Kleene algebra is an algebraic framework to handle regular languages. Considering that regular expressions appear everywhere in fields of computer science, it may be easy to infer that a Kleene algebra can captures properties of natural class of structures appear in computer science. Since Kleene algebras are defined by equations and Horn clauses, if a phenomenon is interpreted in Kleene algebra, reasoning of the phenomenon is performed by simple transformations of expressions. We introduce basic properties and application examples of Kleene algebras to theory of programs.
著者
藤井 俊彰 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.1312-1318, 1996-09-20
被引用文献数
75 6

本論文では, 3次元空間の情報を「光線」により表すという新しい枠組を提案する.この枠組においては, 画像情報の取得を「光線情報をサンプリング」, 任意視点からの画像の合成を「光線情報の読出し」と定式化することができる.さらに, 光線情報を取り扱うのに有用な光線パラメータ表現を導入, 基本的な性質を概観し, 光線パラメー夕が張る空間の観点から視域, 視野を再定義し, 光線の情報量を定量的に表すことに成功した.また, 光線表現を用いたいくつかの応用についても言及する.ここでは, 任意視点画像や可変焦点画像の生成, 自然画像とCGとの合成, 3次元空間情報の冗長性に関する検討, ホログラムパターンの情報圧縮について述べる.
著者
Taslaman Caner
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
no.22, pp.77-101, 2007-03-20

本稿では、「テロterror」と「ジハードjihad」という2つの言葉がいかに誤った用いられ方をしているかを示し、そこでのレトリックが、異なる立場の人々の間の意思疎通の形成を阻害している事実を明らかにする。ここでの「レトリック」の意味は、主に政治的な目的に資するために、言葉を恣意的に用いることをいう。そもそも「権力」は、言葉の使い方を規程することを通じて、その力を行使する。そのゆえ、ここでは、言葉の使い方に現れるこの現象を、哲学的な観点から考察する。戦争に対するコーランの考え方については、倫理的な観点から考察する。コーランからえられるいくつかの重要な原則を提示する。また、同じく、個人的利益、誤解、伝統の影響、政治的な必要性などが、コーランを誤解させ、誤った解釈に導く原因となってきたこと、また、ハディースやファタワーによって覆されてきたことを示す。加えて、世界平和のために哲学が果たすべき役割についても、言及する。
著者
奥山 康治
出版者
桃山学院大学
雑誌
英米評論 (ISSN:09170200)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.183-189, 1994-12-20
著者
越川 靖子
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.161-176, 2013-03-31

最近、活気のある市場としてコンテンツやキャラクターが挙げられるほどに、国内だけでなく国外でも支持を得ている。これにより多くのモノに何かしらのキャラクターが付されることが多く、製作者も消費者もキャラクターの根本的な存在理由を考えずに、ただキャラクター商品を市場に投入しているように見受けられる。よって、消費者にとってキャラクターは全てキャラクターであってそれ以上それ以下でもないもの、つまりコンテンツ、キャラクター、ブランドといった表現として、各々受け取られていないのではないかという疑問がある。本稿ではキャラクターをその根本的な存在理由を基に分類した上で、最近特に盛り上がっているゆるキャラとブランド化についても触れている。