著者
楊 立明 中村 みどり 池上 摩希子 周 飛帆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、中国人留学生を英語、日本語能力によりグループに分け、言語能力と社会適応の諸側面を調査した結果、以下の成果を得た。(1)適応意識の多様化(2)適応戦略の変化(3)日本語習得と使用意識の相違また、日本で就職した留学生への面接から、大学生活には適応しても企業での適応には困難を抱えているとわかった。環境要因を加味しつつ、就職後、留学生がどのように適応を図っていくか追跡調査をすることが今後の課題である。
著者
石黒 浩 中村 泰 池田 徹志
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本年度は体全体を表現メディアとした人間に親和的なアンドロイドシステムの開発を目指して, 親和的動作の生成メカニズムの実装と効果の検証, さらに状況の応じたアンドロイドの振る舞い変化による人間との親和的な関係構築について検証した. 動作の生成メカニズムとして, アンドロイドの動作の印象に大きな影響を与える体全体の振動を軽減する枠組みを提案した. 神経減衰振動子と呼ばれるパターン生成器を用いた制御法とその学習アルゴリズムからなる枠組みで, この手法により振動現象を軽減することができた. この手法は関節間の連動性を調整する枠組みとしても利用可能であり, 学習の目的により動作の印象を変えることが可能であることから, 体全体の自然な動作を生成する枠組みとして期待できる. また, リアルな環境における振る舞いの違いがコミュニケーションへ与える影響の検証を目的として, アンドロイドを病院の診察場面に陪席させる実験を行った. 患者の笑顔や頷きに同期してアンドロイドに笑顔や頷きを表出させた場合に患者の医師に対する印象や診察への満足度が向上するなど, アンドロイドの振る舞いを変化させることにより, 患者の診察への印象が変化することを示した. この研究は, 人間との親和的な関係を構築できる情報メディアとしてのアンドロイドを開発するだけではなく, 人間のロボットの関わるシステムの構成要素を明らかにするものである. すなわち, 三者間のコミュニケーションにおける親和的な関係構築への影響を調査したものであり, アンドロイドが今後, どのような社会的な役割を担い, 親和的なコミュニケーションの実現に寄与するかを検証するための重要な一歩となっている.
著者
石田 容士 阿部 純一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.485-493, 2010
被引用文献数
1

Sperber and Wilson (1981) proposed that the speaker who uttered the expectation that is contradicted by irony is identified as the victim of the irony by the echoic mention of his/her utterance. We conducted two experiments to explore whether the victim of irony is identified by echoic mention. Experiment 1 examined the validity of this hypothesis using three conditions. In the Hearer (H) echo condition, the speaker who is echoed is the hearer of the potential irony. In the No-Hearer (NH) echo condition, the speaker who is echoed is not the hearer of the potential irony. The third condition is the no-echo condition. The result supported the hypothesis. In Experiment 2, we manipulated the H echo factor and the NH echo factor in 4 conditions. The results replicated Experiment 1, and showed that the NH is identified as the victim of irony more than the H. These results suggest that echoic mention and also status in the discourse are factors in the comprehension of irony.
著者
工藤 眞由美 山東 功
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ボリビア沖縄系移民社会(沖縄第1移住地)では、琉球語(沖縄中南部方言)、本土日本語、スペイン語とのダイナミックな言語接触が起こっている。談話録音については、世代ごと(1世成人移民、1世子供移民、2世、3世)に、文字化を行い、報告書『ボリビア沖縄系移民社会における談話録音資料』としてまとめた。沖縄県那覇市を中心とするウチナーヤマトゥグチ的な表現形式(~シヨッタ形式、~ワケサ等)も使用されていることが明らかになった。言語生活調査については、ブラジル沖縄系移民社会(サンパウロ市)と比較した結果、ブラジル(サンパウロ)では、ポルトガル語へのモノリンガル化が急速に進んでおり、ボリビアでは日本語が維持されるバイリンガルな状況にあることが多面的な調査項目から明らかになった。
著者
神里 志穂子 星野 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
巻号頁・発行日
vol.97, no.599, pp.1-7, 1998-03-13
被引用文献数
11

沖縄県の舞踊カチャーシーの主観的評価を規定する動力学的要因を明らかにするため, 第一に, 意味微分法を用いてカチャーシーの上手さの感性評価を行った.第二に, 3変数の多変量自己回帰モデルにより, 肩, 肘, 手首の3関節動作の随伴性について考察した.計測には, ビデオカメラ1台を用い, リング状光源を肩, 肘, 手首, および点光源を指先に装着し, 光源の変形具合と遮蔽方向により各関節の回転中心と3関節運動の時系列データを算出した.実験の結果, カチャーシーの主観的評価は2因子で行われ, しかも, 上手さの評価は陽気さと相関が高いことが明らかになった.また, 感性評価の得点が高い踊り手ほど, 肩と肘の関節動作が同期しており, 角度変化も滑らかであった.とくに低周波振動成分において顕著であった.しかし, 手首運動は従属度が低かった.一方, 感性評価の得点が低い踊り手では, 肩と肘の同期性がより低く, 肘動作の滑らかさも少なくなり, 手首運動も不規則であった.
著者
山口 作太郎 浜辺 誠 山本 勇 ファマキンワ トーシン 飯吉 厚夫
出版者
中部大学
雑誌
中部大学工学部紀要 (ISSN:09108629)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.45-52, 2007-12

One of the superconducting (SC) applications is the electric power transmission line, and the alternate current (AC) power transmission lines are developed in many countries as the national projects. On the other hand, direct current (DC) power transmission line has many technical merits to in SC technologies. For example, short circuit current is low, we can neglect the AC loss of the SC power cables and the SC cable cost is low. Therefore, we started to construct an experimental device of the DC SC power transmission line in Chubu University from 2005 by using the high temperature superconductor. In this paper, we describe the experimental device, the first results of the experiment and its future vision of the technology and the relation with the renewable energy sources, such as solar panel and wind firms.
著者
明星聖子 永崎 研宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している"Der Jaeger Gracchus"のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。This paper describes the collaborated electronic editing system of Franz Kafka's work that we are now developing. The concept behind this system is based on German scholarly editing theory, especially the methodolgy of historical-critical editing. As the first step of constructing the database, we structured information about Kafka's texts, including historically significant editions and their editorial information (such as pagination and linage). This same information was also cross-referenced. This model was implemented via an existing system originally developed to analyze Buddhist texts.
著者
三戸 公
出版者
中京大学
雑誌
中京経営研究 (ISSN:09199209)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.109-134, 2006-02
著者
金本 宣保
出版者
広島大学
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.185-190, 2005-03-22

「高校生の小説の読み方は変わったか。」という問があり、「そう変わっていないのではないか。」という思いもあり、確かめたいという課題意識があった。2004年度高等学校2年生で、夏目漱石「こころ」を教材とした授業をし、作文「『こころ』について」を書かせた。1986年度の高等学校2年の「こころ」の授業の記録の作文と比べたが、大筋は変わっていない。2001年度の当校の江口修司教官の高等学校2年生での「こころ」を教材とした授業をしたときの学習者の作文と比べてみても、変わっていないものがある。「こころ」の授業では、かってと今との作品の受けとめ方はそう違っていないことを、学習者の作文によって確認した。

3 0 0 0 IR 月曜日の朝

著者
T・O
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.33-33, 1985-04-01
著者
菱沼 典子 川越 博美 松本 直子 新幡 智子 石川 道子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.31, pp.46-50, 2005-03
被引用文献数
1

聖路加看護大学看護実践開発研究センターでは,2004年5月に,市民に健康情報を提供する場として,聖路加健康ナビスポット「るかなび」を開設した。本論文は,「るかなび」開設までの経過,開設から5ヵ月間の来場者の現状の報告である。医療の主体は病んでいる患者にあり,医療者はその回復を手助けするパートナーであるという関係を構築していくには,まず,市民と医療者の間の圧倒的な情報量の差を埋めることが必要である。主体的に健康生活を創り,自分の健康を自分で守る市民社会をめざして,必要な健康情報を得る方法ならびに,健康情報の使い方に関して情報を提供することを目的に,「るかなび」を開設した。「るかなび」は,月曜日から金曜日までの10時から16時までをサービス時間とし,スタッフとしてヘルスコーディネーターまたはヘルス・ボランティア1〜2名が常在,書籍,パンフレット,血圧計,身長・体重計,コンピュータを備えている。開設から9月までの来場者は428名で,利用目的は健康相談が26%,立ち寄りが22%であった。来場者のうち,アンケートに回答を得られた90名では,40〜60歳代が7割,女性が7割であった。市民が欲していることに合わせ,教育,研究にも活用できる場になるよう工夫を重ねたい。
著者
佐藤 真 田中 克明 赤石 美奈 堀 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.159, pp.19-23, 2007-07-17

蓄積された電子文書を活用するために,物語構造モデルに基づき,複数の文書にまたがる話題の連鎖を抽出し,情報にアクセスする手法を提案する.ある話題を含有する場面を表す特徴量として共起依存度行列と吸引力ベクトルを定義する.これに基づき場面間の類似度を求め,これに場面の連鎖関係を抽出する.検索語間の場面連鎖関係を探すことで,場面連鎖の組み合わせを検索結果の候補として提示する.