著者
坂元 章
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、2つの実験によって、攻撃型テレビゲームでの遊びがその後の攻撃行動に影響するか、などの問題を検討した。実験1では、女子大学生52名を5つの条件の1つに割り当てた。それらの条件は、被験者が現実的なゲーム(ヴァーチュアコップ)で遊ぶ条件、非現実的なゲーム(スペースインベーダ)で遊ぶ条件、現実的なゲームの進行をただ見る条件、非現実的なゲームの進行を見る条件、中性的な映像を見る対照条件であった。被験者には、ゲームや映像に接触した後で、サクラに対して電気ショックを与える機会が与えられ、そこで被験者がどれだけの電気ショックを与えたかが攻撃行動の測度となった。また、被験者の血圧や心拍を、ゲームや映像に接触する前後で測定した。実験2では、実験1の手続きを変更し、その知見の妥当化と拡張を行った。実験2では、現実的なゲームとして、エリア51をパァーチャガンとともに使用し、格闘ゲーム(鉄拳2)で遊ぶ条件を加え、更に、攻撃行動の指標としてサクラに対して雑音を聞かせる行動を測定した。ゲームの進行を見る条件は設置しなかった。被験者は、41名の女子大学生であった。これらの実験の結果、次のことが明らかになった。(a) テレビゲーム遊びは攻撃行動を促しうること。ただし、(b) テレビゲーム遊びの影響は、ゲームの種類によって大きく異なっていること(例えば、バーチュアガンを用いたエリア51では影響が検出されたが、バーチャルコップでは検出されず、スペースインベーダーについては、2つの実験で結果は一貫しなかった)。(c) テレビゲーム遊びが攻撃行動を促す影響は、その相互作用性のために生じている可能性があること。(d) テレビゲーム遊びの影響は、それが運動による生理的喚起を引き起こすからではないこと。
著者
大本 義正 戸田 泰史 植田 一博 岡田 将吾 西田 豊明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

ファシリテーションによって議論を効果的かつ円滑に行なえることが知られているが、どのような情報に基づいて介入すべきかはよくわかっていない。本論文では上手なファシリテータが介入する直前の議論の状態と参加者の態度を、発散収束と視線・発話の有無に基づいて分析し、どのような状況でどのようなファシリテーション行動が行われるのかを検討した。この知見は、人間の会話への人工物による介入の実現に役立つと思われる。
著者
三野 陽子 小林 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

今日,生活習慣病などの有病者が増加しており,国民の健康改善への意識が向上している.そこで本研究では健康管理の一つとして,食事に注目した.個人のスケジュールを考慮しカロリー摂取量を制限したレシピの候補を選択し,更に線形計画法を用いて栄養バランスの良い健康面に配慮したレシピを推薦する手法を提案する.また,推薦された食事を食べなかった場合など様々な状況にも柔軟に対応し,レシピ推薦を行う.
著者
植村 八潮
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.356-365, 2010-12-04 (Released:2010-12-30)
参考文献数
10

2010 年は「電子書籍元年」と呼ばれる熱狂的な電子書籍ブームとなり,電子書籍コンテンツの制作と流通対応が急がれている.このためには電子書籍コンテンツの生産性を向上し,さらに制作した電子書籍を多種多様なプラットフォーム・端末において利用し,提供できる環境作りを行う必要がある.このような環境整備の一つとして,日本語電子書籍ファイルフォーマットの標準化が求められている.電子書籍交換フォーマットの現状と標準化について報告する.
著者
鬼頭 秀一 丸山 康司 佐藤 哲 井上 有一 池田 啓 桑子 敏雄 丸山 徳次 白水 士郎 森岡 正博 松田 裕之 森岡 正博 蔵田 伸雄 松田 裕之 瀬戸口 明久 立澤 史郎 福永 真弓 吉永 明弘 富田 涼都 安田 章人 二宮 咲子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

生物多様性保全と自然再生の理念は、地域社会の文化や社会のあり方と密接に結びついており、そのようなものを統合した「地域再生」の理念と深い関係がある。そのため、自然と社会や文化の入れ子状態の中で、「サステイナビリティ」などの自然にかかわる理念も社会や文化の理念から再定義されなければならない。そのようなことを実践的に可能にするための人材育成のあり方を実践的に提示するとともに、生物多様性保全や自然再生が、治水や災害などの問題も含めた包括的な環境や社会のあり方、さらには、エネルギーや脱炭素化社会の構築にも展開できる社会的な論理を提示した。『環境倫理学』(東京大学出版会)を出版してその成果の内容を提示した。
著者
薮下 史郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、これまで行ってきた『不完全情報と金融市場』に関わる研究の延長線上にあるもので、情報の不完全性や取引費用観点から貨幣金融制度の役割およびその発展過程を理論的に考察し、さらにそれらを日本とアメリカに関して歴史的に比較分析を行ったものであった。完全情報や完全競争市場を前提とした新古典派経済学においては「貨幣」、「金融機関」や「制度」は重要な役割を果たさないが、不完全情報や取引費用が存在し、市場が不完全な経済においては、貨幣制度や金融システムなどの制度のあり方によって、経済活動や経済発展が大きな影響を受けることになる。また、こうした問題を分析するためには経済と政治制度や政治過程との関連を重視した政治経済学的アプローチが不可欠になる。本研究で行った研究は大きく次のように分類することができる。(1)これまでの成長理論や内生的成長理論における貨幣の役割を整理するとともに、貨幣金融制度と経済成長との関連を理論的に分析した。(2)中小企業金融の問題点がどこにあるかを情報の不完全性から明らかにするとともに、それを経済発展と関連づけて考察した。(3)経済制度の意味を明らかにし、また、そうした制度の成立および変化をゲーム理論や新制度学派のアプローチなどを用いて理論的に考察した。(4)明治初期およびアメリカの19世紀における貨幣制度の成立過程を比較検討することにより、政治と経済の相互依存の重要性を明らかにし、理論的分析を補完した。こうした研究成果を『貨幣金融制度と経済発展:貨幣と制度の政治経済学』(有斐閣:2001年9月)としてまとめ刊行した。また、大学内外の研究会などで発表するとともに2002年3月末には上掲書の内容に基づき、『不完全情報下の金融システムと経済発展』と題して南開大学(中国天津)において集中講義を行った。本研究から導いた結果は、今後進める予定である中小企業金融や開発金融に関する研究の基礎となるものであった。
著者
寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.266-275, 2003-02-15
被引用文献数
6

近年のモバイルコンピューティング技術の発展により,ユーザは自分用のPDA(Personal Digital Assistant)を持ち歩くようになった.PDAの用途は多岐にわたり,特に今後は音楽を中心としたエンターテイメント利用の重要性が高まると予想される.しかし,現在の音楽アプリケーションは基本的に聴くだけのものが多く,演奏を楽しんだり周りの音楽に参加したりするといった能動的なものがほとんど存在していなかった.そこで,筆者らの研究グループでは,PDAを用いて場所を問わずに気軽に音楽演奏を楽しむためのモバイル楽器に関する研究を進めている.本稿ではそのようなモバイル楽器の1つであるDoublePad/Bassを構築することを目的とする.DoublePad/Bassはタッチパネル式のPDAを2つ用いたシステムで,それぞれのPDAを左右の手の入力に割り当てることでエレクトリックベースの奏法を想定した入力方法を実現している.したがって,本物のベースを演奏できる人が場所を問わずにその腕前を披露できる.また,楽器初心者でもある程度の演奏ができるように簡易演奏モードを用意している.本システムを用いることでいつでもどこでも気軽に演奏でき,同じように演奏をしている人たちとのコラボレーションも可能となる.As a result of advancement in mobile computing technologies,it becomes common for users to carry a PDA (PersonalDigital Assistant) with them wherever they go. PDAs can be used forvarious purposes, and applications for entertainment, especially thosecentering on music, are expected to gain more importance. However,most current mobile applications only allow users to listen to music andthere are few applications that enable users to enjoy and participatein playing music. Therefore, our research group proposes mobile electronic musical instruments to enable users to enjoy playing music anywhere. In this paper, the goal of our study is to construct theDoublePad/Bass as such a mobile musical instrument. The DoublePad/Bass uses two PDAs with a touch panel display, and realizes the input by allocating two PDAs for inputs at each hand like playing an electric bass. Thus, musicians who can play an electric bass can also play the DoublePad/Bass with little practice. Moreover, the system provides asimple playing mode for users who are not familiar with playing musicto enable them to play music easily. Using this system, users can playmusic no matter where they are, by themselves or by collaborating withothers.
著者
渡辺 晃生 安藤 大地 丹治 信 稲田 雅彦 伊庭 斉志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13, pp.5-10, 2009-02-11

昨今,コンピュータに歌を歌わせることのできる VOCALOID というアプリケーションが注目されている.このアプリケーションにおいてはメロディラインや歌詞だけでなく,歌声のパラメータ調整を行う事によって様々な表現が可能であるが,歌声パラメータの調整は知識のないユーザには非常に大きな負担となっていた.今回は対話型進化手法 (IEC) と呼ばれる GA の一手法を用いて,ユーザはコンピュータによって提示される歌声パラメータから好みの物を選ぶという比較的簡単な操作によってパラメータの最適化を行うシステムを実装した.またシステムの評価として手動で調整した歌声パラメータにどの程度のユーザの負担で近づけるかを調べるための実験を行った.VOCALOID is an application that realize singing by computer. VOCALOID enables users to create songs sung by computer only with inputting of melody and lyrics. However, for higher quality of song, complex optimization of voice quality parameters is required. For optimizing problems, genetic algorithm is commonly used. In this paper, we introduce a prototype of an application for optimizing parameters of singing voice easily by using Interactive Evolutionary Computation (IEC). which adopt perceptual evaluation of human for evaluation functions. Besides, to examine the number of times of evaluation by human, we made an experiment to recreate the parameter of some music.
著者
立田 ルミ 富澤 儀一 大西 雅行 中西 家栄子
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、日本文化が若い世代にどのように捕らえられているかをインターネットを通じて知らせ、また、英語圏の外国人学生が日本文化に対してどのようなイメージを抱いているかの意見を載せ、ホームページを見た人達がこれらに対してどのように感じるかの意見交換の場を設けることにより、よりよく日本文化を理解してもらうことを目的としている。これらのホームページから、日本人学生は日本文化がどのように英語と日本語で紹介されているかを知り、英語圏の外国人学生は日本語と英語でどのように日本文化が紹介されているかを知ることにより、日本文化に対する理解を深めることの助けとなる。以前に開発した茶道のコースは教える側からの日本文化紹介が主であったが、本システムの開発に当たって研究会で何度も議論した結果、教える側からの日本文化の押し付けではないような形にすることに決定した。そこで、獨協大学学生と東京理科大学学生がもし日本文化を紹介するならどのような事を紹介したいかを調査し、それらの調査結果をまとめたものを土台としてシステム開発することにした。それと同時に、獨協大学に滞在中のエセックス大学学生に対して、自分の国に帰ったらどのように日本文化を紹介するかも日本語で書かせた。またイリノイ大学で日本文化を学んでいる学生に対しては、どのような日本文化をもっと知りたいかを調査した。イリノイ大学に留学中の日本人学生に対しても、どのような日本文化を外国人に知らせたいかを調査した。また、日本語をこれから教えようと思っている獨協大学学生に対して、どのような日本文化を通じて日本語を教えたいかを問うた。これらの学生の意見を土台にして、各日本文化の項目について日本語と英語の両方の言語で個々にホームページに載せるとともに、それと関連する写真も載せた。またこれらをデータベース化して、そのトップ3位について詳しく解説を載せた。またこれらのページを見た学生が、自分の意見を追加できるように設計した。この意見交換については文字情報だけでなく画像情報も載せ、ページを見た人はいつでも日本文化に対する意見を投票できるように工夫した。