著者
入江 一樹 山下 洋史 荒川 豊 岡本 聡 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.233, pp.25-30, 2008-10-02

本論文では,大容量コンテンツ配信におけるコンテンツサーバ側の負荷軽減を目的とし,コンテンツの一部を,すでにダウンロード済みのコンテンツ保持ノード(協調ノード)から受信し,それらをコンテンツを要求するノード(要求ノード)間において協調し,互いにコンテンツの残りの部分を補完しあう二段階配信方式を提案する.提案方式を用いることによりコンテンツサーバの配信負荷を軽減すると共に,複数の協調ノードおよび要求ノードのアップロード帯域を有効利用することによりダウンロード速度向上を実現可能である.シミュレーションにより特性評価を行い,ダウンロード時間の低減の効果を明らかにした.
著者
冨永 章 木野 泰伸
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.35-37, 2007-06-15

研究会として新しく「パーソナルPM研究会」が設立された.パーソナルPMとは,ここでは「個人の目標達成にモダンPMのノウハウを適用すること」で,大勢に役立つ内容を追究すべく活動を開始した.この研究会の目的の1つはパーソナルPMをモダンPMの1領域として確立することである.本稿で,目的,対象分野,狙い,活動方針について報告する.
著者
Ichiro SATOH
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E91.A, no.11, pp.3261-3268, 2008-11-01 (Released:2008-11-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1 10

A formal approach for specifying and reasoning about earth-friendly logistics management systems is presented. To reduce fossil fuel consumption and carbon dioxide emissions resulting from transport, we must enhance the transport efficiency of trucks, which play an essential role as carriers in modern logistics services. This paper addresses the milk-run approach. It is one of the most effective and popular solutions to this problem, but it makes it be complicated to implement in a logistics management system. We propose a language for specifying the routes of trucks and an order relation between the requirements of routes and the possible routes of trucks. The former is formulated as process calculus and the latter selects suitable trucks according to their routes.
著者
佐藤 嘉一 中川 勝雄 森田 浩平 池内 靖子 木田 融男 佐々木 嬉代三 奥川 桜豊彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は国内外の社会移動に注目し、(1)移住の動機・誘因、(2)移住後の生活実態、(3)UターンやJターン現象にみられる「帰郷意識」、(4)移住に伴うアイデンテイテイ問題などの実証的研究によって、社会移動についての社会学的分析を試みたものである。具体的には、戦前・戦後を通じて海外や本土に大量の移民・出稼ぎ者を供給してきた沖縄県の北部地域である今帰仁村を対象地域に選定し、現地の移住体験者と移住先の今帰仁村出身者についての綿密な聞き取り調査を実施した。本研究によって明らかにされたことは、次のような諸点である。第1に、移住の誘因としては後進的農業地域ゆえの現地での雇用機会の少なさがあるにしても、個人レベルに立ち入ってみると大きな夢や高い理想の実現をめざそうとする気概をもって出て行く者も少なからず存在した。第2に、移住の経路として先行する移住者の親戚・知人を頼る「呼び寄せ」を経由する者が大半である。第3に、にもかかわらず多くの移住者は沖縄文化と異質の異郷にあってさまざまな苦労を体験することで、ある者は移住先で郷友会に入り沖縄文化を享受し、ある者は再び帰郷している。その結果、母村と各地の郷友会の濃密な社会的ネットワークが形成される。第4に、この社会的ネットワークが母村を支え人口増、農業振興など本土農村と異なる様相がみられる。第5に、移住先で郷友会に組織されなかった者のなかには、異郷に適応できず社会的転落を余儀なくされる事例があり、また沖縄本島においてもハンセン病患者に対するような深刻な差別があったことも看過できない。第6に、移住者一世によって形成されてきた社会的ネットワークは近年世代交代の局面を迎えており、一世から二世・三世への継承のありかたが課題となっている。
著者
耿 競 清水 浩勝 青木 直和 小林 裕幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.27-30, 2009
参考文献数
1

デジタル写真から、デューラーの銅版画風画像を自動的に作成するシステムを構築した.本方法は,ハイパス・フィルタを用いての輪郭線の取得と,デューラー銅版画から取得したいろいろな濃度のトーンを利用した明暗の付加よりなる.まず,バイラテラル・フィルタを用いてノイズを除去した後にハイパス・フィルタを用いて輪郭を獲得し,次にオリジナル写真濃度に応じたトーンを与えることにより目的の画像を得る.
著者
大場 公隆 武藤 啓太郎 玉川 洋一
出版者
福井大学
雑誌
福井大学大学院工学研究科研究報告 (ISSN:04298373)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-8, 2008-03-31

The damage tests of microprocessors were carried out under γ-rays. The PIC microprocessors produced by Microchip Technology Inc are inexpensive and popular CPU. so that they are used in autonomous small robots.Under γ-rays,we tested the reliability of the PIC12F675 and PIC16F84A that belonged to mid-renge of the 8-bit PIC microprocessor's family. The source of γ-rays was Cesium 137.The source of γ-rays was mounted on the PIC directly.The PIC's plastic package was scraped by 0.7 mm in order to increase the exposure dose of the γ-rays to silicon chip in the plastic package of PIC. The LEDs connected to I/O Ports of the PIC were blinked by programs,Which was monitored by video camera.Seven days radiation ofγ-rays did not affect the function of PIC microproccssors.
著者
増田 聡 村山 良之 佐藤 健
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、自然(災害)科学の研究成果として公開が進むハザード情報が、「行政やプランナー、地域住民からどのように受け止められ」、「今後の都市計画制度や防災まちづくりに如何に反映されるべきか」について、地震災害を中心に、重層的リスク・コミュニケーションをキー概念に据えて、人口減少期を迎えた我が国の市街化動向を踏まえた検討を行い、(1)地域コミュニティにおけるリスク・コミュニケーションと行動変容の課題と、(2)自治体内リスク・コミュニケーションを核とする防災都市計画の実態を明らかにした。
著者
矢澤 信雄 平澤 〓
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.214-226, 2003-08-06

本研究の目的は,LC(life cycle)全コスト指標を新たに定義し,それを客観的判断指標とした政策形成のあり方について検討をおこなうことにある。事例として各種発電技術をとりあげ,LC全コスト指標の推計をおこなった。推計結果から政策形成のあり方にかかわる次の示唆が得られた。太陽光発電と風力発電のLC全コストは,他の発電技術のLC全コストより極めて大きい。また,太陽光発電および風力発電のLC全コストは,その約8割以上が政策コストによって占められている。発電設備の普及ないし,公的支出による研究開発投資の削減をめぐる政策のあり方の検討が重要である。また,火力のレベルにまでこれらを下げるには,さらに建設費の低減ないし発電効率の一層の向上も必要である。原子力と水力は最も低コストの発電技術であり,火力の約半分程度以下である。原子力発電のLC全コストにおいては,廃棄コストが約1割と,他の発電技術に比べて廃棄コストが大きな割合を占めている。これを,安全性を低下させずに削減することが,これからの研究開発政策課題として重要である。火力発電のLC全コストにおいては,環境コスト,特に二酸化炭素処理コストが占める部分が5割以上を占めている。これを低減させることが,今後の研究開発課題として重要である。
著者
木下 泉 青海 忠久 田中 克
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

四万十川河口内で浅所と流心部の仔稚魚と魚卵の出現状況から,アユ,ハゼ科等の河川内で孵化し,成長した後,河口内浅所に接岸するグループ,カサゴ,ネズッポ科等の河口付近で孵化するが,その後他の水域へ移動するグループ,ボラ科,ヘダイ亜科等の沖合で孵化し,成長した後,河口内浅所に接岸するグループの3つに分けることができる.河口内浅所のアマモ場,非アマモ域と河口周辺の砕波帯を比べると,アマモ場と砕波帯には各々特徴的な種がみられた.本河口内には海産魚類の仔稚魚が多く出現し,砕波帯にも共通している.しかし主分布域は種独特の塩分選好性により河口内浅所と砕波帯に分かれ,河口内浅所はプロラクチン産生等で低塩分適応を獲得した特定の仔稚魚が成育場としていると考えられる.河口内浅所と砕波帯との共通種の加入サイズは一致し,これら仔魚は砕波帯を経由せず沖合から直接河口内に移入し,浅所に接岸すると考えられる.本河口内と沖合との間には著しい塩分勾配がみられ,河口内への仔稚魚の移入に塩分の水平的傾斜が関与している可能性が高い.成育場での仔稚魚郡集は滞在の長短によりresidentグループとmigrantグループに大別されるが,本河口内浅所の仔稚魚の多くは前者に属する.この点で殆どがmigrantグループである砕波帯の仔稚魚相とは大きく異なる.しかし河口内浅所におけるresidentグループには成長に伴ってアマモ場に移住する種が多い.一方,アマモ場は本河口内浅所が仔魚から若魚期に至る成育場として重要な環境要素となっている.本河口内で生活する仔稚魚は枝角類・橈脚類に加え,流心部に多く分布するハゼ科・アユ仔魚を多く摂餌している.浮遊期仔魚は浮遊甲殻類に比べて,はるかに質的に重要な餌生物であろう.以上のように,本河口域浅所は豊富で独特な餌料環境を形成するとともに,逃避場所や定着場所として利用されるアマモ場が周年存在することにより,低塩分環境に適応した特定の魚類にとって,初期生活の大部分を過ごすことができる重要な成育場となっていることが分かった.
著者
林 正子
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

日清戦争後から大正期にかけての日本におけるドイツ思想・文化論が、当時の知識人の意識や国情の実態を反映していることを確認し、国民国家確立期の日本におけるドイツ哲学・芸術の受容の意義について論じるというのが、本研究の目的であった。次のようにその結論の概要を挙げておきたい。1.当時の青年知識人たちにとって、ショーペンハウアー、ニーチェ、ウァーグナーらが代表するドイツ思想・文化は、俗化の方向をたどる文明の改革と主体性のない社会の道徳への反抗を実現するための支柱となった。2.ドイツ思想・文化受容の成果が雑誌「太陽」に掲載されたことで、数多くの読者に具体的な情報が与えられ、相対的・客観的な日本文化論の展開によって、日本(=自己)自身への認識を深めさせるというパラダイムが創り上げられ、時代精神そのものが形成されていった。3.<生の哲学>(Lebensphilosophie)の受容とその評論の隆盛は、明治というひとつの時代を閲した時期の[日本=自己]の存在の基盤を問う風潮と精神性を象徴的に表わすものであった。4.オイケンの<新理想主義>が移入されたことによって、現代文明・自然主義の超克、精神生活の建設が提唱されることとなった。5.<文明>と<文化>が、当該の社会状況や思潮の動向に応じ、用語として区別されるようになるのは1910年代であり、ドイツ語<Kultur>の翻訳である<文化>概念の登場が<文化主義>を導き出した。その要因としては、明治期における<日本文明>の進展についての自覚、<国民文化>確立の重要性の認識、ドイツ思想の受容による<教養>の練磨などが挙げられる。
著者
平田 光弘
出版者
星城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の主要目的は、日本の不祥事企業に着目して、不祥事企業が必死の思いで経営再生に取り組み、社会からの信頼回復に立ち向かう事態をつぶさに観察することによって、「社会に信頼される企業」形成の実践的条件を探ることにあった。1不祥事企業が経営再生するための鍵概念は、「持続可能な発展」「社会に信頼される企業」「新しい企業の社会的責任」「コーポレート・ガバナンス」「コンプライアンス」「内部統制」および「リスク・マネジメント」である。これらの鍵概念は同時に、不祥事とは一見無縁の、堅実に経営業績を上げている企業が、いまの経営を、そしてこれからの事業展開を考えていく上で欠かせない鍵概念でもある。2不祥事企業が経営再生するための必要条件は、(1)起業の原点に帰り、自社の社会における存在意義と使命を改めて問い、確認し、それを全社員が共有すること、(2)不祥事の芽は現場にあるとの認識に立って、全社員が常に危機意識を共有すること、(3)企業はこぞって、地球社会の持続可能な発展に貢献することが期待されているとの認識に立って、杜会から信頼される企業づくりに努め、そして、それを可能にするのがCSR経営であることを自覚し、実践することである。これらの条件は同時に、「社会に信頼される企業」形成の実践的条件をもなしている。3「社会に信頼される企業」形成の実践的条件は、(1)経営者は明確な経営倫理観・経営姿勢を持ち、常に起業の原点に帰り、自社の社会における存在意義と使命を問い、社員との対話等のコミュニケーションを通じて、これを社員とともに確認し共有すること、(2)経営者は社員とともに、不祥事の芽は現場にあるとの認識に立って、危機意識を共有すること、(3)経営者は社員とともに、社内の聖域をなくすことに努め、風通しの良い企業風土を醸成し、経営の透明度を高め、情報開示すること、(4)経営者は社員とともに、自社も地球杜会の持続可能な発展に対する貢献を期待されているとの認識に立って、社会から信頼される企業づくりに努め、そして、それを可能にするのがCSR経営であることを自覚し、実践することである。
著者
林 勲男 杉本 良男 高桑 史子 田中 聡 牧 紀男 柄谷 友香 山本 直彦 金谷 美和 齋藤 千恵 鈴木 佑記
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008-04-08

大規模災害被災地への人道支援や復興支援は、災害規模が大きくなるほど、地域を越え、国を越えたものとなる。そうした支援が被災地の従来の社会関係資本を正しく評価し、それを復旧・復興に活用し、さらにはその機能と価値を高めることによって、将来の更なる災害に対する脆弱性を克服することに繋がる。しかし、地域や国を越えての異なる文化や社会構造の理解は容易ではなく、多分野の専門家や住民との協働が求められる。それは、開発途上国の被災地への支援だけでなく、先進国で発生した災害の被災地支援についても同様であることが、2011年3月発生の東日本大震災で示された。平穏時から、対話と協働に基づく活動と研究が重要である。