著者
油谷 克英
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.226-231, 2009 (Released:2009-09-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

The thermo-stabilization mechanisms of proteins from hyperthermophiles have been thermodynamically elucidated on the basis of protein structures. It focuses on the electrostatic interaction due to ionizable residues unevenly distributed in hyperthermophile proteins and on the denatured structures in equilibrium with the native structures under the physiological conditions. The understanding of the denatured structures under physiological conditions should contribute to studies on folding problems and protein stability.
著者
Soichiro Saeki
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.262-263, 2023-05-05 (Released:2023-05-05)
参考文献数
16
著者
外山 秀一 中山 誠二
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.27-60, 2001-05-18 (Released:2009-02-16)
参考文献数
64

山梨と新潟の11遺跡から出土した縄文時代晩期~弥生時代中期初頭の土器76点を整理して資料化し,このうちの55点を対象としてプラント・オパール分析を行った。土器胎土の定性分析と簡易定量分析の結果,8遺跡の14試料からイネの機動細胞プラント・オパールが検出された。このうちの4試料は弥生時代前期前葉に,5試料は前期中葉に並行する浮線文土器に比定される。また,山梨の宮ノ前遺跡では前期中~後葉の水田址が発掘されている。山梨と新潟では,かかる浮線文土器の段階にイネ資料が増加し水稲作が開始されている。中部日本の稲作の開始と波及を検討する上で,浮線文期は,稲情報の波及や水稲農耕技術の受容という生業の変換期となっており,その重要性が指摘される。当時は,地形や地層,標高などの地形環境に適応した多様な稲作形態であったとみられ,遺跡立地の多様化現象が認められる。さらに,地形分析に基づいて遺跡の時期的・地形的な動向を検討すると,両地域に遺跡立地の低地化傾向がみられ,弥生時代中期以降において水稲農耕の定着化が進む。また,山梨ではネザサ節型,新潟ではクマザサ属型のプラント・オパールが多数検出され,両地域間のササ類にみられる植生環境に違いがみられる。さらに,定性分析や簡易定量分析の結果は,胎土の供給源の違いとともに,土器製作時およびそれ以前の植生環境の違いや,植物質の混入または混和材の可能性を示唆している。
著者
植林 茂
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 = SHAKAIKAGAKU-RONSHU (The Social Science Review) (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.57-76, 2012

山形県では, 三隣亡の年は1年間を通して家を建てることを避けるべきであるという迷信が, 現時点においても広く浸透している。この地域的なアノマリーについて分析すると, 山形県の年間三隣亡は住宅投資(持家の新設住宅着工) への負の効果が認められ, 簡単な計量分析を行えば, 三隣亡の年には住宅着工が平均的に15~20%程度減少している。また, その影響は, 庄内地域だけではなく, 山形県全体に及んでいる一方で, 近隣他県においてはみられない。さらに, 三隣亡という迷信が住宅着工に影響を与えるというアノマリーは, プロスペクト理論を使えば, ある程度説明できる。In Yamagata prefecture, we can find the anomaly that most people avoid building residential houses in the Sanrinbou year which exists three times in 12 years (one circle of the signs of the zodiac in Chinese astrology). Econometric analyses show that the dummy variable of “Annual Sanrinbou” of the estimation equation has a 15~20% negative effect on residential investment. This negative effect spreads to all areas of Yamagata prefecture, but the phenomenon can’t be found in other prefectures. The mechanism of this anomaly can be explained mostly by the Cumulative Prospect Theory.
著者
Shizuo HATASHITA Nobunori KOGA Yasuaki HOSAKA Suguru TAKAGI
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.13-18, 1993 (Released:2006-05-26)
参考文献数
20
被引用文献数
68 75

Sixty patients with acute subdural hematoma were treated at Tokyo Metropolitan Hiroo Hospital between 1981 and 1989. The overall mortality was 55% and the functional recovery rate 30%. Thirteen (93%) of 14 patients with a Glasgow Coma Scale (GCS) score of 3 died, while all eight patients with a GCS score of 7 or more achieved functional recovery. The mortality of patients with GCS scores of 4-6 ranged from 45 to 67%. Patients with GCS scores of 4-6 over 65 years old had a mortality of 82%, compared to 50% mortality for those aged 19-40 years. The mortality for patients with GCS scores of 4-6 operated on within 4 hours of injury was 62% in contrast to 33% for those operated on from 4 to 10 hours. Patients with GCS scores of 4-6 who underwent craniotomy with evacuation of the hematoma achieved significantly better recovery than those treated by burr holes. Four patients with GCS scores of 4-6 died in spite of decompressive craniectomy or craniotomy with duroplasty. The mortality is only influenced by age and type of surgical intervention among patients with GCS scores of 4-6. Shorter time from injury to surgical evacuation does not affect mortality within 10 hours of injury.
著者
関水 徹平
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.69-91, 2018-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
34

本稿は,上野千鶴子によるニーズ概念に基づく当事者論と,その批判として提起された「問題経験の主体」という当事者概念(関水 2011)を,上野の当事者論の源流のひとつであるポジショナリティ概念にさかのぼって再度検討し,そこから得られた新たな当事者論の視角から,ひきこもり経験者の当事者活動の現状を考察し,その課題・可能性を明らかにしようとするものである. 本稿は次の2 点を明らかにした.第1 に,ポジショナリティ概念を用いた当事者性の再定義から,当事者とは自己のポジショナリティに自覚的に向き合う主体であり,自己のポジショナリティに同一化する「位置的主体化を果たす主体」としての当事者性と自己のポジショナリティを模索する「問題経験の主体」としての当事者性という2 つの当事者性の水準を区別することができることを指摘した. 第2 に,ひきこもり経験者の当事者活動にセルフヘルプとセルフアドボカシーという2 側面があることを確認したうえで,「可能性への期待」に基づく当事者活動が,自己のポジショナリティの核心にある「動けなさ」の経験に向き合わない,もしくはそれを否認するものであり,「当事者による当事者のための活動」から遠ざかるものであることを指摘した.「動けなさ」の経験を尊重する,「不可能性への配慮」に基づいた当事者活動こそが,多様な当事者にとって「当事者による当事者ための」場のひとつになりうる.
著者
菊地 勇次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.487-492, 1973-07-15 (Released:2011-11-04)

塩と米酢の味しかしらなかったわが国の古代人が, 中国大陸から伝えられた豆醤と肉醤を, どのように料理に生かしたか。味つけは, 各人が食繕で行なった平安時代の習慣が, 中世のうちに調理中に味つけしてしまう仕方にかわるとともに, 醤や鼓の姿がどのようにかわって江戸から現代まで伝えられてきたか。これは, われわれの先祖が味わい, 伝えてきた醤油や味噌の物語である。
著者
木原 壯林
出版者
日本ポーラログラフ学会
雑誌
Review of Polarography (ISSN:00346691)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.59-71, 2014-05-21 (Released:2014-05-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
平山 和次 松江 吉行 小牧 勇蔵
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.95-102, 1960-10-31 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

1) 恒温動物に対する麻痺毒として知られていたイソメ毒は, 魚貝類に経口的に与えた場合は無害であるが, 飼育水中に加えると飼育動物に強い麻痺作用が起こる。2) 飼育水中に加えたイソメ毒の毒性は, pHの値に大きく支配され, アルカリ域では毒性を示すが, 酸性域では殆んど無毒となる。3) イソメ毒はイソメの体表部組織中のみに含まれ, 他の部分には存在しない。4) イソメ毒はイソメの死後速かに体表にしみ出るが, 生時に分泌されるようなことはない。5) ゴカイ, イトメ, クロイトメなど他の多毛類中にはイソメ毒のような毒は検出されない。6) イソメ毒とフグ毒とを比較すると, 前者は恒温動物に対しても, 飼育水に加えた場合は魚貝類などの変温動物に対しても, 麻痺作用を示すが, 後者は相当量を飼育水中に加えても魚貝類に対しては麻痺作用を示さない。
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2023
著者
中田篤郎著
出版者
南山堂
巻号頁・発行日
1941
著者
中村 博昭 角皆 宏 石川 佳弘 玉川 安騎男 渡部 隆夫 望月 新一 松本 眞 徳永 浩雄 古庄 英和 星 裕一郎 角皆 宏 石川 佳弘 玉川 安騎男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

数論と代数幾何学の交錯する豊かな理論が期待されている分野として,遠アーベル幾何学を推進し,とりわけ代数曲線とそのモジュライ空間から生じる数論的基本群の系列がなすガロア・タイヒミュラー被覆塔について国際研究交流を推進した.特に2010年の10月に京都大学数理解析研究所で第3回日本数学会季期研究所を開催し,その研究成果を論文集「Galois-Teichmueller theory and Arithmetic Geometry」として出版した.また無限遠を除いた楕円曲線の数論的基本群から生じるモノドロミー表現について研究を進め論文発表を行った.
著者
奥中 康人 オクナカ ヤスト Yasuto OKUNAKA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.22, pp.19-36, 2022-03-31

『陸海軍喇叭譜』(1885)が刊行される以前の日本陸軍は、フランスのラッパ譜を用いたことが知られているが、それ以上の詳細はよく分かっていなかった。筆者は、すでに3点の手書きのラッパ譜を用いて調査を行ったが(奥中 2019)、その後、新たに2点のラッパ譜を閲覧する機会を得た。一つは、明治9年頃に野口吉右衛門というラッパ手が記したと思われるラッパ譜、もう一つは、明治15年に渡邉三四郎というラッパ手が記したラッパ譜である。これら5点のラッパ譜を比較検討することで、明治9年から18年までの期間に、陸軍がどのようなラッパ譜を用いたか、その実態をより詳細に明らかにすることが可能となった。調査の結果、フランスに起源をもつ50~70種類程度のラッパ信号が用いられていたこと、隊号は明治9年以降に改定されたこと、そして、2重奏や3重奏を含む6曲のラッパ行進曲が存在したことなどが判明した。

2 0 0 0 OA 甲斐国志

著者
松平定能 編
出版者
温故堂
巻号頁・発行日
vol.第81巻 仏寺部第9,第82巻 仏寺部第10,第83巻 仏寺部第11,第84巻 仏寺部第12, 1884
著者
天江 喜久
出版者
立命館大学 アジア・日本研究所
雑誌
立命館アジア・日本研究学術年報 (ISSN:2435421X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.28-47, 2020 (Released:2021-06-07)

In this day and age of multiculturalism, little is still known about the history of Koreans living in Taiwan. By the end of World War II in 1945, there were nearly 2,800 Koreans living in Taiwan. While the majority returned to newly liberated Korea after the war, close to four hundred ethnic Koreans remained in Taiwan and came to be known as hanqiao, or overseas Koreans. Most men from this group found employment with the Taiwanese Fishery Company, which was forced to fill the vacuum left by Japanese employees who were repatriated after the war. Seasoned Korean fishermen assumed high positions as captains and chief engineers with the company, but soon faced economic hardship after gradually being replaced by local Taiwanese. This article looks at their plight as well as others in detailing a social history of ethnic Koreans in postwar Taiwan. It attempts to construct a narrative through the careful reading of archives as well as an oral history collected through personal interviews.One of the highlights of this article depicts a power struggle between Yim Duuk and Lee Sangman over the leadership of a local Korean association. Yim, who had a record of collaborating with Japanese authorities, defeated Lee who was a long-time Korean independence activist sent by the Korean provisional government in China. This article also looks at the struggles local Korean residents went through as well as how theybuilt institutions such as schools and churches to help maintain their Korean identity.
著者
島宗 理 磯部 康 上住 嘉樹 庄司 和雄
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.46-62, 2000-02-29 (Released:2017-06-28)

都内のある小規模ソフトウェア開発会社において、営業担当者の企画提案を支援する"企画提案思考ツール"を開発し、その効果を検討した。企画提案思考ツールは新聞や雑誌などに掲載された情報処理サービスの記事について以下の質問に答えていくジョブエイドとして開発した。(1)対象となる顧客は誰か、(2)顧客のニーズは何か、(3)ニーズを満足させる技術は何か、(4)これまでの技術と異なるところはどこか、(5)どのように販売しているか。そして、(6)顧客、(7)技術、(8)販売方法のうち、どれか一つを変化させて自分なりの提案を作るように要求された。最初に、5人の営業担当者に対して企画提案思考ツールを導入し、週間営業ミーティングでの口頭発表が向上されることを確認した。その後4か月間、企画提案思考ツールへの適切な記入行動をファックスと電子メールとを使って遠隔より支援した。さらに別の5名の社員に対し、最長は1年間以上にわたり、今度はファックスと電子メールのみを使って遠隔より企画提案思考ツールの正確な使用を訓練し、継続的な利用を促進した。企画提案という複雑な言語行動の自発が比較的簡単なジョブエイドで導くことができること、そしてジョブエイドの継続的な利用を遠隔から支援できることが示された。