著者
藤 正督 ラザヴィ ホソロシャヒ ハディ 高井 千加 佐藤 知広 尾畑 成造 立石 賢司
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.609-615, 2018-10-15 (Released:2018-11-08)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

Sintering of most ceramic and composite materials are only possible at temperatures over 1000°C due to their high melting point. Sintering is acknowledged as an expensive process, which takes several hours to several days. In addition, high temperature sintering affects the final product by causing undesired grain coarsening or changing the initial chemical stoichiometry. Our research group has proposed a “non-firing sintering”, where no firing process is required for achieving high densities. The underlying idea of this method involves the chemical activation of powder surface via ball milling, where the surface of particles is rubbed against balls. In this review, we will introduce the mechanism of the method as well as some process know-how, with some examples of preparing solidified bodies of silicon carbide, composite of carbon nanotube (CNT) and silica, and organic/inorganic composite materials.
著者
福田 央 韓 錦順
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.112, no.6, pp.423-431, 2017 (Released:2017-10-02)

日本産ラム酒(n=18)とカリブ海諸国及びインド洋諸国のラム酒(n=32)の低沸点香気成分及び中高沸点香気成分84成分を分析・比較し,日本産ラム酒と当該ラム酒では34成分に有意差が認められた。これらの成分の内6成分(1-ヘキサノール,グアイアコール,コハク酸ジエチル,活性酢酸アミル,アセトアルデヒド及びフルフラール)を用いた日本産ラム酒及びカリブ海諸国及びインド洋諸国のラム酒の判別分析では50点の内50点が正しく判別され,更に,判別精度を検証したところ100%の精度であった。得られた判別係数の頑強性を調べるため,上記試料と異なる海外産ラム酒(n=40)と日本産ラム酒で判別分析したところ,92.5%が適切に分類された。以上の結果から,日本産ラム酒は揮発性成分を用いた判別分析により比較的高い精度で,海外産ラム酒と判別されると考えられた。この他,成分から推定される日本産ラムの製造工程についても考察した。
著者
高須 遼 中村 啓信 岸本 泰士郎 狩野 芳伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1J4OS13a04, 2022 (Released:2022-07-11)

メンタルヘルスは社会的に重要な問題である。近年、メンタルヘルスの問題はインターネット上の活動と密接に関係している。そこで我々は、Twitterユーザーがメンタルヘルス問題を抱えているかどうかを分類するシステムを開発した。特定のパターンに合致するアカウントはメンタルヘルス問題を抱えている可能性が高いと仮定し、この仮定に基づいてポジティブな例とネガティブな例を100万件規模で収集した。また、キーワードに依存する先行研究とは異なり、メンタルヘルスに特化したキーワードを含まないユーザの発話を分類する可能性を検討するため、そのようなキーワードを含むツイートはデータセットから排除した。BERT、LSTM、SVMを学習させ、分類性能を比較した。BERTについては、大規模ツイートデータを用いた事前学習を行った。BERTが最も高い性能を示し、Accuracy 0.83, Recall 0.8, Precision 0.88,F1-score 0.84という実用レベルの高い分類性能を達成した。文脈情報の重要性とともに、一般的な発話からメンタルヘルス不調を推測しうることを示した。
著者
前田 宜包 樫本 温 平山 雄一 山本 信二 伊藤 誠司 今野 述
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.198-204, 2010-04-15 (Released:2010-06-05)
参考文献数
12

症例は56歳,男性。単独で登山中,富士山8合目(海抜3,100m)で突然昏倒した。居合わせた外国人医師が救助に当たるとともに同行者が8合目救護所に通報した。自動体外式除細動装置(automated external defibrillator; AED)を持って出発し,昏倒から30分後胸骨圧迫を受けている傷病者と接触した。AEDを装着したところ適応があり,除細動を施行した。まもなく呼吸開始,脈を触知した。呼吸循環が安定したところでキャタピラ付搬送車(クローラー)で下山を開始。5合目で救急車とドッキングし,約2時間後山梨赤十字病院に到着した。第1病日に施行した心臓カテーテル検査で前下行枝の完全閉塞,右冠動脈からの側副血行路による灌流を認めた。低体温療法を施行せずに第1病日に意識レベルJCS I-1まで回復し,とくに神経学的後遺症なく4日後に退院となった。富士山吉田口登山道では7合目,8合目に救護所があるが,2007年から全山小屋にAEDを装備し,山小屋従業員に対してBLS講習会を施行している。今回の事例はこれらの取り組みの成果であり,healthcare providerに対するBLS・AED教育の重要性が再確認された。
著者
西垣 通 加納 寛子
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.37-44, 2018 (Released:2018-12-04)
参考文献数
10

この論文は,人間の自由や尊厳にAI(人工知能)がもたらす影響についてのインタビューである.とりわけ,AIのくだす判断と自律性の関係,AIが心をもつ可能性,AIエージェントとモラル,AI倫理教育,そして今後の高等教育の望ましいありかたなどの諸問題に焦点があてられる.人間の尊厳ある自由を守るためには,AI技術の本質をただしく理解し,あまりに過剰な期待をさけなくてはならない.
出版者
東京大学理学部
巻号頁・発行日
1969
著者
本田 博巳 吉武 直哉 山本 修治 芦田 貴史 川本 友久 辻 隆司 轟木 俊男
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.61-67, 2013 (Released:2015-04-03)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

The On'nagawa Formation in Akita Sedimentary Basin is composed of siliceous mudstone and volcaniclastics. The volocaniclastic facies have been productive reservoirs of oil and gas fields in the Neogene Akita Basin, North Japan. The mudstone facies have been recognized to be potential source rocks for hydrocarbons pools in the reservoirs. After a long period of oil and gas production in the basin, a potential exploration concept of a new play in the siliceous rocks is required to keep the productivity of the basin.This study reports a basic description of physical properties of the siliceous mudstone facies in order to provide a basis for the idea of shale play in the On'nagawa Formation. Wireline logs (GR, Δt, ρb) are basic data for our description of the physical rock properties as well as descriptions of cutting lithology.
著者
篠原 久枝 藤井 良宜 武方 壮一
出版者
宮崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

(1)アンケート調査の実施小学校、中学校における身体性の統一した名称を探るために、2004年度は幼稚園から中学校の保護者(関東、中国、九州地区)、小学生(関東、中国,九州地区)、中学生(九州地区)、高校生(関東、九州地区)、大学生(関東、近畿、中国、四国、九州地区)を対象にアンケート調査を実施した。調査に先立ち、2003年度の小学校教科書検定により今までの小学校保健の教科書で多く採用されていた「ペニス」「ワギナ」が文部科学省の学術用語集に準拠していないとの理由で、「陰茎」「膣」になったとの情報を得た。発達段階に相応しい名称として、男性名称は保護者回答では就学前〜小学校中学年で「おちんちん」、小学校高学年以上で「ペニス」が多くなっていたが、中学生回答では、小学生では「おちんちん」、中学生では「ペニス」が多くなっていた。女性名称については、保護者回答では就学前、小学校低学年で「おまんまん」「おまた」が多く、小学校中学年以上では「ワギナ」「膣」が多くなっていた。中学生回答では小学生、中学生ともに「大切なところ」「性器」が多くなっていた。自由記述として「名称1つで恥ずかしさを持つか、大切に思うか変わるので、自分の身体に責任をもてきちんと向き合える外性器やプライベートゾーンが良い」などの意見が見られた。(2)第2回アジア性教育学術交流会参加(2004年8月20日〜25日、台湾高雄市)日本、台湾、中国、香港、マレーシア、アメリカ、オーストラリアから約300名の参加があり、性教育の実践プログラムのみならず、「性と医療」「日本におけるDV加害者プログラム」などの幅広い知見を得ることが出来た。特に台湾の発表では、「政府による2つの性教育実践モデル」(エネルギー分布モデルと濾過器モデル)、「SAR(Sexual Attitude Restructuring)の応用」、「全年齢における全方位科学的性教育の概念」などの新しい試みが紹介された。
著者
矢守 克也 松原 悠
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.si5-6, (Released:2022-10-05)
参考文献数
34

新型コロナウイルス感染症に対する日本社会の反応の中で,特に目を引いたことの一つは,「外出自粛」,「旅行自粛」,「営業自粛」といったフレーズに登場する「自粛」という現象やそれをめぐる論争である。本論文では,まず,「自粛ムード」,「自粛要請」,「自粛警察」などのワードに暗示されているように,自粛が,一方で,当事者の主体性に基づく行為のようでもあり,他方で,他者からの強制・誘導に拠る行為のようにも見えること,つまり,主体性と従属性とが両義的に混在した行為として生み出されていることを確認する。その上で,以下のことを明らかにする。第1に,主体性と従属性との混在は,「(コロナ)自粛」という例外的な事象にのみ観察される特殊なものではなく,主体性というもの一般が,もともと,主体性と従属性をめぐるグループ・ダイナミックスを通して形成され,自粛はそのあらわれ方の一つである。第2に,とは言え,現代の日本社会には,自粛という特殊な様式を採用したくなるだけの特別な背景―〈マイルドな個人主義〉―が存在する。最後に,この様式が日本社会で支配的であることは,コロナ自粛とは別に,「中動態」および「ナッジ」といった概念に対する大きな社会的注目によっても傍証される。
著者
國友 万裕
出版者
学校法人 京都外国語大学国際言語文化学会
雑誌
国際言語文化学会日本学研究 (ISSN:2424046X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.21-30, 2018 (Released:2022-01-18)

Zac Efron, a two-time winner of MTV Movie Award for Best Shirtless Performance, objectifies his bodies in movies such as That Awkward Moments (2014), Neighbors (2014), and Dirty Grandpa (2016). Although bodies of Hollywood male stars have been portrayed as spectacles since the beginning of movies, representations of Efron’s bodies are somewhat different from those of other macho stars. The movies in which he shows his naked body are comedies on male friendships. These relationships are not gay ones. However, the characters are conscious of gay men and portray male relationships as close to homosexuality. Therefore, Efron’s body could be shown as symbolizing homoerotic desires. Moreover, the friendships in these movies lack male dominance and aggressiveness that ordinarily characterize male buddy movies. Efron appears to be enjoying his body and looks rather cute and innocent. Male audiences can easily identify themselves with him owing to these attributes. They could be muscle men without being like “wolves.” His body could be said to be a symbol of a new kind of male body of the 21st century.
著者
田中 秀男 池見 陽
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-17, 2016-03-08

ユージン・ジェンドリンがフォーカシングを提唱したきっかけとして、カール・ロジャーズのもとで行われていた以下の2 つのリサーチ結果が、著作『フォーカシング』(Gendlin, 1981)で挙げられている。「1.心理療法の成功と相関があったのは、クライエントが“何を”話したかではなく、“いかに”話したかであった」「2.心理療法が成功するか/失敗するかは、ごく初期の面接から予測できてしまう」。実は、この2つは、ジェンドリンに先行する研究者たちによる別のリサーチの流れだったことがわかってきた。上記の1.がEXPスケール(体験過程尺度)の源流であり、上記の2.がフォーカシング教示法の源流である。本稿では、こうした2つのリサーチの流れがジェンドリンに継承されることで、どのように合流して現在の「フォーカシング」となったのかを提示する。

2 0 0 0 逍遙選集

著者
坪内逍遙 [著] 逍遙協会編
出版者
第一書房
巻号頁・発行日
1977
著者
北村 晃寿 矢永 誠人 岡嵜 颯太 片桐 悟 中西 利典 森 英樹
出版者
国立大学法人 静岡大学理学部地球科学教室
雑誌
静岡大学地球科学研究報告 (ISSN:03886298)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.87-95, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)

On July 3, 2021, a debris flow caused by a landslide from an embankment occurred along the Aizome River in the Izusan area of Atami City, Shizuoka Prefecture, central Japan, and buried sabo dam which was located approximately 450 m downstream of the embankment. Shizuoka Prefectural Government sampled one 13.1-m long core of deposits buried in the sabo dam in late August 2021. In this paper, radiocesium concentration was measured and grain compositions was investigated for this core sample. As a result, 134Cs and 137Cs released from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in mid-March 2011 were detected, and these markers specified the depositional surface at mid-March 2011 at 3.95-3.85 m core depth. In addition, the occurrence of fragments of both mudstone and chert in the overlying sediments indicates that the 3.74 m-thick portion was definitely the debris flow deposit.
著者
坂本 遼太 前多 裕介 宮﨑 牧人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.595-600, 2021-09-05 (Released:2021-09-05)
参考文献数
15

生命現象において,対称性とその破れは生命機能の制御に重要な役割を担う.鳥の翼は左右対称だが,ヒラメやカレイは左右非対称という特有の形態を示すことで知られる.よりミクロなレベルでは,球形の細胞は同じ大きさの二つの細胞に対称分裂を行うが,発生過程では非対称な分裂を行うことで,腹や背,頭や足などの体軸形成が行われる.このように細胞は,対称性とその破れをうまく活用している.特に,細胞内における核配置の対称性に注目すると,哺乳類の卵母細胞(卵子の基になる細胞)では,球形の細胞内で細胞核が中心または端(辺縁)のいずれかに配置されている.配置対称性の制御に関わる分子系は,力生成を担うモータータンパク質のミオシン分子と,その力を伝える網目状のアクチン線維から成る「アクトミオシン細胞骨格」である.アクトミオシンは化学エネルギーを消費して収縮力を発生する非平衡状態にあり,「アクティブ・ゲル」とよばれる.アクトミオシンという一つの分子セットを用いて,細胞核を中心もしくは端という異なる配置に選り分ける物理的メカニズムとは何であろうか?細胞内では数万種ものタンパク質がひしめき合い,分子活性が時空間的に制御された複雑なシステムである.この生きた細胞の複雑さが,細胞核配置の力学的な理解の妨げになっていた.そこで我々は,細胞から細胞核配置に必要と考えられる分子群を取り出すことで単純化した,人工細胞を開発した.人工細胞は,細胞サイズや界面の物理的性質の制御を可能にし,細胞核配置のメカニズムの理解に適している.本研究では,アクトミオシンを含む細胞抽出液を油の中に分散することで,円柱形の油中液滴(本研究の人工細胞)をつくり,この液滴の内部でのアクトミオシンの収縮現象を解析した.液滴内ではアクトミオシンが収縮力で凝集した球形のクラスター構造が形成され,大きい液滴ではクラスターが中心に位置し,小さい液滴ではクラスターが端に位置する,「配置対称性の破れ」を見出した.このクラスターを細胞核のモデルと見立て,配置現象のメカニズムを探求した.生きた細胞では,アクトミオシンは細胞膜直下では殻のような頑強な裏打ち構造をつくる一方,細胞内では網目状のネットワークを形成している.我々の人工細胞においても同様に,液滴界面におけるアクチン線維の重合と,液滴内部でのアクチン線維ネットワークが形成された.このとき,液滴界面で形成されたアクトミオシンの波が中心へ向けて収縮し,クラスターが中心へ運ばれた.他方,液滴内部ではクラスターと液滴界面を繋ぐブリッジ状のアクチン線維が形成され,クラスターが端に運ばれた.このことから,対称性を維持しようとするアクトミオシン波と,対称性を破ろうとするアクチン線維のブリッジが競合し,綱引きのようなバランスで対称性が決まると考えられる.配置現象に物理的理解を与えるため,アクトミオシンの収縮を記述するアクティブ・ゲル理論と,アクチン線維の確率的な結合を記述するパーコレーション理論を組み合わせた「綱引きモデル」を構築した.その結果,アクトミオシン波の発生周期と,アクチン線維のブリッジ形成に要する時間,これらの特徴的時間の大小関係でクラスターの配置対称性が決まることを説明でき,対称性を破る液滴の特徴サイズも定量的に予言された.以上の結果は,細胞核のような構造物を中心または端に配置するメカニズムとして,細胞内の対称性の制御原理に力学的な理解を与えるものである.
著者
石川 有三 松村 一男 横山 博文 松本 英照
出版者
Japan Society of Geoinformatics
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.10, pp.19-34, 1985-08-31 (Released:2010-02-26)
参考文献数
17
被引用文献数
21

SEIS-PC is a BASIC program system for interactive analyzing for seismicity with graphic display by a 16-bit personal computer ; NEC PC-9801 series. The system is composed of 6 programs as followed: 1) seismicity analysis, 2) making the random file of hypocenter catalogue, 3) adding hypocenters to the random file, 4) making map-file, 5) printing the parameters of hypocenters, and 6) shoeing the saved screen-image. The program of the seismicity analysis will help researchers to get figures of b-value, magnitude-time, number-time depth-time, space-time, cross-section, e.t.c..