著者
武田 康祐
出版者
拓殖大学経営経理研究所
雑誌
拓殖大学経営経理研究 = Takushoku University research in management and accounting (ISSN:13490281)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.105-118, 2018-03-28

安倍内閣では,人口減少,少子高齢化に真正面から立ち向かうという強い決意の下に,「一億総活躍社会」の実現を最重要課題に掲げている。その最大のチャレンジとして位置づけられたのが「働き方改革」である。働き方改革については,総理が議長,労使のトップを含む有識者からなる「働き方改革実現会議」を開催し,議論を積み重ね,合意形成した「働き方改革実行計画」を決定した。「働き方改革実行計画」においては,同一労働同一賃金の実現に向け,正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で,待遇差が存在する場合に,いかなる待遇差が不合理なものであり,いかなる待遇差が不合理なものでないかを示す政府のガイドライン案を示すとともに,ガイドライン案の実効性を担保するため,裁判で救済を受けることができるようにするための法改正の方向性を示している。また,長時間労働の是正として,経団連及び連合による労使合意を踏まえ,従来,上限なく時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても,上回ることができない罰則付きの上限を設定することとしている。その他,テレワークや副業・兼業など柔軟な働き方がしやすい環境整備,女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備,病気の治療と仕事の両立など,その他の課題についてもその方向性を示している。その後,労働政策審議会で法律案要綱が答申され,厚生労働省としては法案の国会提出を目指している。
著者
樽野 博幸
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.31-55, 2022-03-31

淡路島北部東岸沖の大阪湾海底から,底曳き網漁に伴い,シカ類,イノシシ類,魚類,そして淡水貝類を含む,多くの種類の化石が引き上げられており,その年代は軟体動物の生層序,貝化石の母岩の花粉分析と,近接する陸地の地層の年代に基づき,後期鮮新世から前期更新世と推定される.それらの中のナマズ(Silurus)属の頭骨化石4点は極めて保存状態が良く,現在,琵琶湖淀川水系に固有のビワコオオナマズ( Silurus biwaensis)と同定された.この発見により,ビワコオオナマズは,過去には現在より広い分布域を持っていたことが明らかとなり,現在の分布は遺存的なものであるとする説(Kobayakawa and Okuyama, 1994)が追認された.またナマズ属の系統を明らかにするため,頭骨の各部分の形態(例えば矢状稜の形態,神経頭蓋を構成する各骨相互の隣接関係など)について,さらに詳細な比較形態学的研究が必要であることが示唆された.
著者
木村 和宏 Kazuhiro Kimura
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2011-03-24

Mobile satellite communication network systems have been developed and putto practical use. However, the network systems using geostationary satellites have aproblem of signal blocking caused by buildings because of a low elevation angle. Lowearth orbit satellite network systems which consist of many satellites are also proposed.However, the commercial services were abandoned because of high cost. As for thesatellite navigation network system, the global positioning system has been put to fullcivilian use. However, it also has the building blocking problem.To solve these problems, quasi-zenith satellite system (QZSS) is proposed, andthe project to provide communications and navigation services using QZSS has beenstarted in Japan. The QZSS network consists of three satellites deployed into inclinedsynchronous orbits.In order to realize the system, the author established the method of optimizingthe satellite constellation, satellite orbit maintenance technologies, and networkoperation technologies.The first issue is the optimization of satellite constellation. After the orbitalmotion for circular orbit constellations is formulated, the equations for calculating theoptimum orbital parameter are derived. The author also found optimum elliptical orbitconstellations under several typical conditions.The second issue is satellite orbit maintenance. It was believed that theconstellation is impractical, because the required velocity increment for orbitmaintenance is very large. The author found out that the velocity increment can bereduced by the trimming of the satellite orbital period and proper selection of the initialorbit. The method of orbit maintenance is optimized considering the total amount ofvelocity increment.The third issue is satellite network operations. The author introduced indicatorsfor the satellite crossing distance. The indicators can be easily calculated from theorbital elements of the crossing satellites, and it is useful for collision avoidance aroundthe crossing point. Strategies for spare satellite deployment are also investigated.The experimental satellite "Michibiki", which demonstrates satellite navigationtechnologies by QZSS, has been successfully launched in September 2010.衛星を用いた移動体通信ネットワークシステムが、1990 年代から実用化されてきたが、静止衛星を用いた場合には、例えば、東京からでは最大でも仰角48度にしかならず、都市部でビル等により電波が遮断されるブロッキングが問題となる。また、多数の低軌道衛星を用いたイリジウムのようなネットワークシステムが複数提案されたが、仰角の確保や衛星ダイバーシティの実現には多数の衛星が必要で、ネットワーク構成に高いコストがかかる問題がある。衛星を用いた測位ネットワークシステムに関しても、GPS(Global PositioningSystem)の民生利用が浸透し、カーナビゲーションや測量等の用途に幅広く利用されるようになったが、ブロッキングにより、測位に必要な4機以上の衛星からの信号が受けられず、測位ができないことも多い。これらの問題を解決する衛星ネットワークシステムとして、わが国の官民が連携し、準天頂衛星ネットワークシステムの開発が行われてきた。準天頂衛星ネットワークシステムは、日本付近で8 時間高仰角が保たれる衛星3 機でネットワークを構成し、順次、切り替え(ハンドオーバ)しながら天頂付近の衛星から移動体に通信・測位のサービスを行うものである。筆者は、準天頂衛星軌道の基礎研究を行うとともに、2003 年に準天頂衛星プロジェクトが開始されて以降は衛星システムの概念設計に参画し、衛星軌道に関する課題について研究を行った。赤道に対して45 度程度の傾斜角をもち、衛星が地球の自転と同じ周期で地球を周回する楕円軌道の傾斜同期軌道において、その軌道面と楕円の長軸方向を一定に保持するためには、静止軌道の軌道を保持する場合の3倍程度の制御量が必要になり、準天頂衛星ネットワークシステムは当初実用にならないと考えられていた。そこで、本研究では、最初にこの衛星軌道保持制御量の問題について再検討を行い、準天頂衛星ネットワークシステムのミッション要求条件とネットワークの幾何学的配置を考慮して、衛星高度の調整で地球に対する相対的な軌道面を保つとともに、適切な初期軌道を選ぶことで、静止衛星と同程度以下の制御量で軌道保持ができることを明らかにした。このことにより、準天頂衛星ネットワークシステムの実現可能性が示され、計画の実現に向け大きく前進した。本研究では、準天頂衛星ネットワークシステムの軌道に関する以下の三つの課題について検討を行った。一番目の課題は、衛星の軌道配置の最適化である。円軌道の場合は、軌道運動が解析的に定式化できるため、軌道傾斜角の関数として運用最低仰角が最大となる緯度を計算するための数式を導出した。円軌道の場合でも、日本の主要部分で70 度以上の仰角を常時確保できるものの、一般的には楕円軌道の方がいい仰角特性が得られる。このため、円軌道での検討で得られた知見を活用し、楕円軌道について、南北両半球へのサービスに適した軌道や、北半球限定で非常に高い仰角が得られる軌道配置、衛星間でのハンドオーバが地上から見てほぼ同一位置で可能となる軌道パラメータを導出した。二番目の課題は、衛星軌道保持制御量の最小化とそのための制御方法の確立である。楕円軌道の場合には、円軌道の場合と比較して、楕円の長軸方向を保持する制御も新たに必要になる。また、軌道上のどの位置でどの方向に加速制御するかによっても制御量が異なる。実際に衛星を制御する場合には、運用上の制約で制御ができない軌道上位置もある。これらの条件を考慮した上で、初期軌道投入パラメータなどさまざまな要因を含めて検討し、軌道保持制御方法の最適化により制御量の最小化を行った。この一般的な検討に加えて、実システムの概念設計段階で以下の検討を実施した。初めに、プロジェクトで候補となった複数の軌道案について比較評価を行った。次に、通信・測位の複合システムの要求条件に合わせ、通信ミッションに必要なハンドオーバ条件を維持しながら軌道制御による測位精度劣化を回避するために、軌道保持制御間隔を可能な限り延ばすことを検討した。最適な制御方法を導出することにより、40 日程度まで間隔を広げられることを示した。最後に、測位のみのミッションで仰角条件を緩和した場合には、1 年に1 回程度の制御に減らせる可能性を示した。三番目の課題は、衛星ネットワーク運用に関するものである。提案した同一位置ハンドオーバを実現する軌道の場合には、衛星衝突が起こりうる。安全に運用するための方法とそのための軌道変位量について検討し、衝突回避運用方法を確立した。さらに、ネットワークを構成する衛星が故障した場合に備えた予備衛星の配置方法や、予備衛星の軌道変更によるネットワーク構成復旧制御方法についてトレードオフ検討を行い、指針を導出した。本研究により、準天頂衛星ネットワークの実現可能性を示し、軌道に起因する諸問題を解決するための指針を明確にした。このことにより、準天頂衛星プロジェクトが開始されることになった。2010 年9 月には、準天頂衛星システムの測位ミッション実証衛星である「みちびき」が打ち上げられた。
著者
須藤 春佳 Haruka SUDO
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.87-102, 2011-12-20

In this thesis, we discuss two aspects of close friendship. First, the positive aspects- in other words, the light of friendship. Second, we focus on the problems and difficulties of friendship- that is, the shadow of friendship- and discuss the reason why such problems occur. It seems that problems with friendship are more complicated for girls than for boys, so we discuss friendships among girls in a later part of the theses. At the same time, we examine gender differences in friendship. Sullivan(1953) pointed out the positive aspects of close friendships. According to him, around the time of pre-adolescence, close friendships develop between two children of the same sex and age; Sullivan called this "chum-ship." He explained that such close friendships heal any distortion within the child's former development and promote the child's psychological development. Many researchers suggest that an individual's experience of chum-ship is associated with subsequent positive aspects of psychological adjustment. There are a number of reasons why close friendships become important at this time. First, they play a role of psychological protection during a time of transition, Second, a close friend can act as a model or mirror for the child- someone the child can identify with. Finally , a close friends can act as a mediator between the child's internal and external words. To ciscuss the shadow aspects of close friendship, we focused on a number of phenomena, namely bullying school refusal, and the occurrence of traunatic encounters between two girls. We discuss how bullying occurs according to peer pressure, which demands sameness within peer groups. Next, we introduce cases in which girls have refused to go to school because of trouble among friends, and we examine the background problems in these cases. Finally, we discuss traumatic encounters between two girls who were previously friends, in referece to the mirror stage theory(Lacan,1949). In such cases, the function of mirroring in the friendship is considered to have worked negatively.
著者
上原哲太郎 喜多一 池田心 森幹彦
雑誌
分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2006論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.13-18, 2006-11-23

平成15年度に始まった高等学校普通科における教科「情報」を履修した学生が大学に入学しはじめている。これに伴い大学では従来の情報リテラシ教育のあり方の見直しを迫られている。そこで本学では、教科「情報」の履修状況と関連した情報リテラシ修得状況を、本学の平成18年度新入生についてアンケート調査した。その結果、高校における教科「情報」の履修実感が極めて多様であること、アプリケーション利用に関するスキルは身についているが情報セキュリティに関するリテラシが十分とは言いかねることなどが明らかになった。
著者
加藤 聖文
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature, Archival Studies (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
vol.50, no.15, pp.1-16, 2019-03-15

敗戦時に大量の公文書が焼却処分されたという証言は数多い。しかし、具体的に何が焼却対象となったのか、またどのような経路で焼却が指示されたのかについて明らかになっていない点は多い。本稿では、国内でわずかに残存する焼却指示文書を手がかりに、敗戦時の焼却は内務省系統と軍系統の二系統が存在し、焼却対象となったのは内務省系統では法令に基づいた機密文書であり、軍系統では動員関係文書が中心であったことを論証していく。また、筆者はこれまでの文書焼却をめぐる研究が進まなかった要因は、焼却対象となった機密文書や兵事関係文書に関する分析がほとんど行われていなかったことにあると考える。したがって、本稿では機密文書および兵事関係文書の構造にも触れることで、今後の研究の進展の足掛かりとする。There are many testimonies that a large number of official documents were disposed of by burning at directly after the end of WW2. However, it has not been completely clarified what official documents were disposed and how the disposition was ordered taking what routes. In this article, using documents of the disposition order slightly left in Japan as a clue, It will be demonstrated that the target of disposition were two types-classified documents were ordered by the Ministry of Home Affairs and mobilization documents were ordered by the military and naval forces-. In addition, a study on classified documents and military affairs documents is not making progress in Japan. Therefore, this paper also mentions the structure of classified documents and military affairs documents to make that to be a foothold for future progress of study.
著者
須崎有康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1602-1609, 2010-12-15

Amazon EC2を代表とするIaaS(Infrastructure as a Service)型クラウドコンピューティングでは,不特定多数のユーザから複数OSをホスティングするマルチテナントのために仮想マシンは必須の技術になっている.仮想マシンのセキュリティについてはアメリカ国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)から出された導入ガイドライン(SP 800-125 DRAFT Guide to Security for Full Virtualization Technologies)などで導入の注意点は指摘されていているが,具体的な技術的詳細については解説されていない.本解説では技術的な問題点を掘り下げてIaaS型クラウドコンピューティングでの仮想マシンセキュリティの課題と対処方法を仮想マシン内(VM Internal)と仮想マシン間(Cross VM)に分け,クラウドの利用にする際に契約するSLA(Service Level Agreement)の参考になることを念頭に解説する.
著者
川瀬 正樹 カワセ マサキ Kawase Masaki
雑誌
修道商学
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.165-187, 2003-02-28

The purpose of this study is to review gender studies in Japanese human geography, focusing mainly on studies of women's employment and commuting. First, I examine gender differences and regional differences in employment. I point out that, while women's employment rates are high in urban region compared with rural region, the white-collar worker's ratio are high in urban region. In other words, two variables show negative coefficients. Regional differences in men's employment rates, however, originate in regional characteristics or regional culture. Next, I explain that women's employment has been approached through analysis of regional labor markets in Japanese economic geography. Moreover, while referencing Anglophone literatures, I argue that gender difference in life actions has been mentioned in commuting studies and time geography. I point out that the average commuting time of unmarried women is longer than unmarried men in urban regions. Finally, I predict how the future of gender studies will progress in Japanese human geography, considering the development of feminist geography and the increase of gender studies outside of the field of employment in recent years. In the future I expect that the notion of gender will establish itself as an important issue and will be discussed more frequently within the discipline of Japanese human geography.
著者
永田 大輔
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.321-337, 2022-10-31

本稿では、批評的な言論の中で二次創作がいかなる文脈において「消費」と呼ばれてきたのかについて議論する。なかでも大塚英志の「物語消費」とそれを引き継いだ東浩紀の「データベース消費」がどのような文脈で論じられるようになったのかを指摘する。とりわけ大塚の議論は東を経由して理解されることが多く、大塚の議論そのものが注目されることは少ない。 これらはオタクというファン集団の「受容の様式」として論じられており、キャラクターに着目するのか、物語の受容の様式にあるのかといった形で議論されてきた。だが、そもそも「二次創作」という「創作」行為が「消費」と語られてきたのはなぜなのか、という問題については議論がなされて来なかった。実際にあるものを作ることが「生産」ではなく「消費」と呼ばれることは自明ではない。また、生計に必要なものを作っていないという意味でそれは「趣味」とも呼ばれうるが、二次創作に関しては「消費」という受動的な概念で呼ばれている。本稿では「物語消費論」において「消費」という語が用いられたことの意味を考察する。 「物語消費」において真に重要なのは、これまで制作と見なされていた行為が消費と見えるような形で、巨大企業の新たな市場戦略が現れてきたということである。それによってただ新しいものを作るだけでは生産活動という送り手側に立つことにはならず、受容者の一部になっているに過ぎないという批判的な意味が込められたものだったのである。東の「データベース消費」も実はその問題系を正確に引き継ぎつつ、もはやそうした「生産者」というものは不可視になり、誰もが受容者(「消費者」)になっているのではないかという意味で議論を展開したのである。その上で両者の論争は「生産者/消費者」という線引きがどこで行われるかを論じるものであったのである。この創作を消費と呼ぶこと、それを納得させることが可能になるような文脈を踏まえた上で、どこで「消費」と「生産」の線を引こうとしているかに個々に着目することがこれらの概念を継承していく上では重要なのである。
著者
松山 麻珠 池内 淳
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-162, no.2, pp.1-8, 2015-03-06

本稿では,校正を行う場面での読みにおける作業効率の差や校正者が受ける影響を測定するとともに,その要因を考察することを目的として二つの実験を行った.実験 1 では,24 名の被験者に対して,2 種類の問題を用いて実験を行い,校正作業の効率,正解率,主観評価いずれにおいても液晶ディスプレイに比べ,紙の方が優れていた.実験1の結果を踏まえ,その違いとなる具体的な要因を探るため,反射光と透過光の違いに着目した実験を 20 名の被験者を対象として実施した.その結果,誤り発見数・誤回答数・読書時間・主観評価について差は認められなかったものの,誤り発見数の平均値,校正作業の精度と再現率について反射光のほうが優位であった.
著者
大橋 照枝 Terue Ohashi
出版者
麗澤大学経済学会
雑誌
麗澤経済研究 = Reitaku International Journal of Economic Studies (ISSN:09196706)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.19-49, 2009-09-30

Sustainable welfare indicator HSM (Human Satisfaction Measure) including Triple bottom line (Society, Environment and Economy) was proposed by Ohashi in 2000 and developed from Ver. 1, Ver. 2-(1), Ver. 2-(2), Ver. 3-(1), Ver. 3-(2), Ver. 4, Ver. 5 with help of Dr. Hong Nguyen and Professor Nobuyuki Kimata.For the further development of HSM, Ohashi tried to introduce weighting research of 6 categories (Labor, Health, Education, Gender, Environment and Income) using AHP (Analytic Hierarchy Process ) Method, conducted in Japan ( 2007 ), and Sweden ( 2008 ), named "Questionnaire on Ideal Society PartI".In the questionnaire Ohashi included one open-ended question " What is your Ideal Society?".Using the text mining software named True Teller of Nomura Research Institute, analyzing the open-ended answers of both countries to "words mapping", Ohashi found the interesting results. The keywords mutually found in both countries are " environmental consciousness" and "stability of life". The keywords appeared only in Japan is "no social gap" and only in Sweden "democracy", "equality" and "education".Democracy was considered as key factor of social sustainability from 19th century in Sweden.HSM is composed by triple bottom line : Society, environment and economy, as indispensable factor for social sustainability.But democracy is also important as healthy society.So, Ohashi conducted the research named "Questionnaire on Ideal Society Part II" in Sweden and Japan in May 2009.In the research , Ohashi included one open-ended question, "What kinds of aspects of Sweden do you like most?" in Swedish research, and "What kinds of aspects of Japan do you like most" in Japanese questionnaire.Analyzing the answer using True Teller as word mapping, the keywords appeared in both countries are quite different.In Sweden, "Democracy", "Freedom of speech" and "Equality" are the keywords of most favorite aspects of their country. In Japan, "Nature", "Environment", "The national character","Peace", and "Culture" are the aspects Japanese like most about their country.Swedish respondents love the foundation of country people depend upon, but Japanese love the aspect of software of their country and they don't aware the foundation through which they can enjoy peace, culture and so on.In Sweden, Social Democratic Party is established in 1889 as the first political party and it was the main party governing most of the political history and contributed forming the democratic and welfare society of Sweden.Japan, on the other hand, got democracy after the defeat of World War II with the help of GHQ (General Headquarters). Thus, Japanese have almost no history to endeavor to make democracy by their own.So there is some delay in democratic thinking in Japan comparing with Sweden, and it makes unhappy phenomena in Japanese society.Such findings Ohashi got the results of this research.Through the research, Ohashi concludes that in order to increase the HSM value of Japan,the key is to raise the consciousness of democracy in Japan.
著者
尾関 航也
出版者
政策研究大学院大学 / National Graduate Institute for Policy Studies
巻号頁・発行日
2015-03-18

政策プロフェッショナルプログラム / Policy Professionals Program