著者
須田 文明
出版者
農林水産省農林水産政策研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

我が国と同様、フランスにおいても、諸外国からの安価な農産物の輸入により国内生産が低迷している。例えば生鮮果実や野菜では、スペインやモロッコなどから安価な産品が輸入されている。こうした背景において、フランスでは育種研究を通じて、自国産品の競争力を高めるべく、嗜好的品質や地域的品質(地域特産品など)をもった産品の開発が進められている。本研究はフランスにおける遺伝資源を活用した育種研究を通じて、農産物の高付加価値化が、具体的にどのようになされているかを明らかにした。
著者
井上 好人
出版者
金沢星稜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

「書生」と呼ばれていた学徒たちはいかにして「学生」になったのか。明治初年から昭和戦前期に至るまで、エリートの卵としての「学生」のアイデンティティは、いくつかの節目ごとに変化をとげてきているが、その過渡期に焦点をあて、学歴エリートの代表たる旧制高等学校の学生を中心に、旧制中学・高等女学校の生徒も含め(彼らを総称して「学生」と表記する)、鍛錬、衛生、娯楽、趣味、恋愛、野心、運動、エリート意識、教養といった身体管理の技法や道徳観をめぐる様々な言説が「学生」たちにとってどのような"世界と自己とを意味づけるコード"として受容あるいは反発されてきたのかを、地方メディア(新聞、雑誌の報道や連載小説など)と「学生」側の校友会誌や日誌類、名簿類を相互に対照させながら分析した。
著者
高橋 日出男 三上 岳彦 境田 清隆 澤田 康徳 横山 仁 瀬戸 芳一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,降水粒子計測,稠密雨量計網やレーダの観測資料を用いた東京圏における短時間強雨の実態把握,並びに稠密気象観測による短時間強雨の予測手法の検証を目的とした.短時間強雨の開始時には,大粒径の雨滴比率が高く,急激に降水強度が増大する.都区部北部から埼玉県南部では,範囲が狭く集中度の高い強雨域の発現が多い.都区部西部では強雨頻度の極大が16時頃と22時頃にあり,日変化する局地風系との関連が示唆された.多数事例の統計的解析から,短時間強雨発生のシグナルとして強雨開始40,50分前から現れる収束量増大の有効性が確認され,予測手法の確立に向けた課題も指摘された.
著者
佐藤 之彦
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フライングキャパシタ方式のマルチレベルコンバータは,キャパシタを小型化できる可能性を持つことから,実用化に向けた集積化に適している。本研究では,この方式に関して,キャパシタ電圧の挙動について詳細に解明し,これを安定に保つための条件を明らかにした。さらに,電磁ノイズの発生機構とその低減に向けた指針を明らかにするとともに,集積化に適したゲート回路方式やその絶縁電源の構成法を明らかにし,これらに基づいて試作回路を製作し,最近の2レベルインバータと同等以上のパワー密度(体積あたりの変換器出力)が得られることを実証した。
著者
鈴木 康夫
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は,組立・解体が容易なリサイクル・リユース橋梁の部材連結構造を具現化するために,これまでに研究代表者らが提案してきた高力ボルト引張接合と摩擦接合を併用した新しい主桁連結構造の高強度化およびその設計法の確立を目的としたものである.フランジ連結部の構造詳細の違いが継手強度および変形性状に与える影響を検討した結果,フランジ連結部の補剛リブを主桁フランジ平行に取り付けた構造よりも垂直に取り付けた構造の方が,最大強度および最大強度字の変形量が増大し,より延性的な破壊モードとなることなどを明らかにした.さらに,従来の強度算定法よりも精度の良い曲げ強度算定法を提案した.
著者
畠山 兆子 松山 雅子
出版者
梅花女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「ハウス食品世界名作劇場」(1985年~1993年)放映の「小公女セーラ」と「ピーターパンの冒険」について、再話のあり方と映像表現手法の構造分析的研究は一応の成果をあげた。海外受容については、フランスで放映された「小公女サラ」の独自のオープニングを分析して、主人公像とオープニングの役割認識の違いを明らかにした。次の課題である、視聴者の映像による物語理解のあり方を国際比較するため、「ピーターパンの冒険」を使った予備調査を大学生と小学生で実施した。
著者
餅田 治之 大塚 生美 藤掛 一郎 山田 茂樹 幡 建樹 大地 俊介 奥山 洋一郎
出版者
(財)林業経済研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、日本の育林経営がビジネスとして経営されるようなるには、どのようなビジネスモデルを想定すべきか、またそのモデルを実現するためにはどうした条件が必要かを考察することである。世界の林業が人工林育成林業化している中で、わが国の育林経営だけが経営として成立しないのは、経営の仕方に問題があるからだと考えられる。現に、国内の育林経営も、速水林業のように近年急速に育林コストを低下させている事例、耳川広域森林組合のように受託経営している市町村有林を黒字化している事例、速水林業および住友林業のように育林をコンサル事業として展開している事例など、ビジネス化の条件が整いつつある事例が見られる。
著者
小林 寛
出版者
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

重合格子法は、互いに重合(オーバーラップ)する複数の格子ブロック間で計算領域をカバーし、計算時には物理量等を補間し合うことで流場を求める手法であり、部分的な物体形状の変更や、多体問題への適用性に優れている。各時刻ステップで重合情報(補間情報)を生成する動的重合格子法を開発し、移動格子法による非定常計算と組合せ、プロペラ周りの流れ場の計算を行うとともに、流場や積分値等計算結果の検証を行い、手法の妥当性を確認した。
著者
川村 静児 FRIEDRICH Daniel FRIEDRICH Daniel
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

当該年度には以下の研究を実施した。(1)鏡は吊り下げらており、原理的には揺れがおさまれば、常に一定の平衡状態の姿勢が再現されるはずである。しかし、我々の吊り下げ鏡は、大きな揺れにより平衡状態が変化したり、また時間がたつと姿勢が変化したりして、干渉計を安定に動作させることが困難であった。そこで様々なテストを行った結果、鏡とワイヤーの接触点を規定するクランプに問題があることが判明した。そこで、ワイヤーのクランプ機構を改良したところ、吊り下げ鏡の姿勢は安定になった。(2)輻射圧の反バネ効果は、20mg鏡の角度不安定性を引き起こすことが分かっている。これに対し、我々は、1インチ鏡の姿勢制御を行うことによりこの不安定性を回避する方法を検討してきた。複雑な制御トポロジーを持つこのシステムについて適切なモデルを構築しそれを使いシミュレーションを行ったところ、以前に得られた実験結果を非常にうまく説明することに成功した。(3)改善された吊り下げ鏡を用い、光共振器を動作させたのだが、実験室の振動が大きく、安定な動作が困難であった。実験室内の振動レベルを測定したところ、数ヘルツの周波数で、引っ越し前に実験を行っていた場所と比べ数倍程度大きく、それにより鏡の姿勢が揺らぎ、昼間は全く動作状態に追い込むことができず、深夜にかろうじて短時間の動作が可能となるような状況であった。(4)装置の振動レベルを抑えるため、より強力な防振システムの開発を行っている。具体的には、装置全体を振り子で吊るし、磁石を用いた渦電流によって共振周波数での揺れを抑える。(5)周期的微小重力環境については、断続的なデータの解析方法を確立した。実験装置に関する種々の改良を行った。いろいろな想定外の困難のため、当初の計画通りには進まなかったが、最終目標に向かって一歩進むことはできたと思われる。
著者
青木 和浩 河村 剛光
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、指導現場で活用できるフィールドテスト種目の提言という観点から簡易的に測定ができる立三段跳・立五段跳に着目し、大学陸上競技者と小学生を対象に跳躍能力の評価方法としてバウンディング能力の有効性を検証した。その結果、大学陸上競技選手だけではなく、小学生においてもバウンディング能力は跳躍能力の有効な指標になることが明らかになった。さらに、疾走能力とも関係のあるテスト項目であった。
著者
呉 志鵬
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

「個人フォトコレクションの分析と可視化」という課題を研究しているが、昨年に画像分析に焦点を置き、「6次元ラベル」に基づく新しい画像アノテーション方法を提出した。その方法は現在流行するソーシャルネットワークを利用し、インターネットにおける画像の視覚的な特徴及びそれに付属するソーシャルインフォメーションへの分析を通じて画像を精確に注釈する。今年度、画像の可視化に注目した研究を行った。具体的には以下の2点に分けられる。1. インターネットにおける大量の画像向けの可視化 : 制約付きコラージュの即時生成本研究では、新しい自動的・高速なコラージュ生成を提案した。複雑な画像顕著性分析をしないで済み、ユーザの定義したキャンパスサイズにぴったりおさまるように入力画像のコラージュを生成する。その方法は大量データのリアルタイム動的画像コラージュの生成に適している。極めて高速であり、100枚の画像を処理するには0.5ミリ秒以内で済み、従来の計算法より速度は何オーダーも桁違いに早くなった。その成果は国際会議APASIPA 2013に発表され、フルペーパー論文をすでにIEEE Transaction on Multimediaに投稿した(査読中である)。2. ユーザー個人向けの画像可視化 : 漫画化等の視覚効果の生成我々の研究は自然的画像の1. 漫画2. 鉛筆手描き3. アニメーション4. 油絵への高速な変換処理を実現した。漫画を例にしてみれば、1000^*800の入力画像である場合、既存研究では数十秒から数分間までの時間が必要であるのに対して、我々の方法では0.8秒だけで十分であり、百倍にも早くなっていると言える。出力画像の品質から見ても、既存の5つの漫画風画像転換Appと比較しても提案手法の品質が遥かに優れていることを確認した。本研究は国際会議PCM2013とICASSP2014にて発表した。また、関連のdemoを超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF2013)で展示した。
著者
赤堀 侃司 中山 実 柳沢 昌義
出版者
東京工業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

目的:本研究の目的は,アバタ自体が休息,もくしはリラックスすることにより,作業者がそれをみただけで癒されるたり,あるいは休息行為を促されるためのインタフェース作りである.これに必要なアバタの見かけや動作を開発・実装し,効果についてアンケート調査を行う.方法:MSオフィスアシスタント(以下MSアシスタント)と同等のサイズのキャラクター(癒しキャラ)を1個作成した.癒しキャラには背伸びなど全8動作を行わせた.これに対して,10個のMSアシスタント(犬,イルカなど)から各8動作,計88動作を抽出した.これらの癒し効果について,Web上でアンケート調査を行った.アンケートは7段階評価であり,分析的項目(5つ)と包括的項目(3つ)から構成された.手順:Web上のアンケートサイトにて,被験者1人あたりMSアシスタント2個と癒しキャラの計3個を評価させた.なお,MSアシスタントはランダムに割りふった.各キャラクターの被評価人数は約30名であった.結果:癒しを促進するキャラクターと行動を明らかにするために,評価項目ごとに,癒しキャラとMSアシスタントの88種類の行動について一元配置分散分析を行った.その結果,全体的な傾向として,犬とイルカの行動が,他のキャラクターに比べ,より癒しを促進していることが明らかになった.考察:花や貝殻など癒しイメージが感じられるものや,火炎放射器を使うなど意外性・非日常性が感じられる行為に癒し効果が認められた.また,キャラクターの「かわいさ」も重要な要因であることがわかった.今後の癒しキャラ開発では,作業者が日常とっている行動との関連や,キャラクターの影響を考慮する必要がある.また,作業者自身が休息行為を行うことによる癒し効果や,脳科学の知見の検証にも展開させていきたい.<スケジュール>平成19年3月日本教育工学会研究会における成果発表
著者
北場 育子
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

地球磁場が気候に与える影響を検証するため、以下の研究を行った。1.複数の地磁気逆転を含む110~70万年前の大阪湾堆積物の古環境解析を行った。本年度は、特に、地磁気の逆転が起こらなかったステージ25の珪藻・硫黄・花粉を分析し、海水準と気候を復元した。また、先行研究による年代モデルの見直しを行い、より高精度な年代軸を入れた。さらに、アリゾナ大学で炭素同位体分析を行い、新たな古環境指標を得た。その結果、全体的な気候変化は、日射量変動に起因する氷体量変化によって生じる海水準変化と調和的な変動を示し、通常、地球の気候はミランコビッチ理論で説明できることを確認した。しかし、ステージ19と31では、最高海面期に日射量変化では説明できない寒冷化が生じていた。この寒冷化は、それぞれ、マツヤマ-ブリュンヌ地磁気逆転期と、ハラミヨサブクロン下限の地磁気極小期に一致しており、約40%以下への地磁気の減少が、約1~4℃の気温低下を引き起こしたことを明らかにした。成果の一部をGondwana Research誌に公表したほか、近日中にScience誌に論文を投稿し、国内外の学会で発表を行った。2.110万~70万年前に生育していたブナ属は、絶滅種を含むため、植物化石に基づく同時代の気候復元は困難であるとされてきた。そこで、この絶滅種の分類学的位置と生育条件を明らかにした。この成果は、第四紀研究に論文を公表し、国内の学会で発表した。3.インドネシアのハラミヨサブクロン下限相当層の花粉分析を行った。この層準では古地磁気強度を得ることが困難であり、地磁気強度と気候の関連を検証するには至らなかったが、地磁気逆転境界付近を境に、環境が大きく変化したことを明らかにした。このほか、共同研究として、新第三紀~第四紀の磁気層序と植生・気候変化に関する研究や、インドネシアのマツヤマ-ブリュンヌ境界付近の人類化石産出層に関する古地磁気・古気候学的研究を行い、論文を公表した。
著者
安達 真由美 水上 尚典 半田 康 多賀 昌江
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

一般に、外部の音は子宮に届きにくいが250 Hz(真ん中のドあたり)以下の音は届く。本研究では、チェロの曲を用い、妊婦がヘッドフォンを通して聴いている時と、妊婦が波のような音を聴いている間にスピーカーを通して音楽が提示された時の胎動の様子を、聴覚システムが完成する以前(27週齢以前)と以降(28週齢以降)で、18組の妊婦と胎児を対象に縦断的に比較した。その結果、28週齢以降において、ヘッドフォン提示時よりもスピーカー提示時の方が、安静時よりも頻繁に四肢が動いていた。また、28週齢以降には、妊婦がヘッドフォンで楽しい音楽を聴取しているときよりも優しい音楽を聴取しているときの方がより動いていた。
著者
一杉 太郎
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

超伝導体は金属光沢か黒色を呈する、というのが常識である。BCS理論に従うと、高い超伝導転移温度を有する物質はキャリア濃度が大きいため、可視光透明性が失われるはずである。しかし、我々は超伝導転移温度13.3 Kを示す、スピネル型LiTi2O4透明超伝導薄膜(可視光を透過する超伝導体)の合成に成功した。この物性を活用することにより、光エレクトロニクスと超伝導を組み合わせた新奇デバイスの構築が期待される。そこで本研究では、透明超伝導メカニズムの解明に取り組んだ。光学特性、電子状態評価、電子輸送特性評価を行い、高いキャリア濃度を有するにもかかわらず可視光透明性を示す理由を検討した。
著者
傳 康晴
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は、人間同士の音声対話コーパスの分析を通じて、「命題要素+インタラクション要素」という観点から自然発話文の構造を記述することを目指した。その結果、以下の成果が得られた。・発話冒頭の語句の再開始 昨年度の成果により、発話冒頭に見られる語句の再開始(「たー、田中真紀子が、えーと、総裁選に出るんだって」)が、発話の滞りを聞き手に事前告知するための合図として機能することがわかったが、この事前告知を有標化する音の引き伸ばし(「たー」)が意図的なものであるか検討するため、類似した現象である語句の言い直し(「た、辻元清美が辞職したって」)と比較した。その結果、言い直しよりも再開始のほうが音の引き伸ばしは顕著であり、自己発話の滞りを話し手が事前に検知して告知するという意図的な方略であることがわかった。・非優先的発話の構造 依頼を断る場面など社会的に好まれない発話(非優先的発話)は、一般に、間延びしたり、回りくどい言い回しになることが知られているが、依頼そのものがぶっきらぼうであった場合には、さらに、呼応の隔りの調整のため、問い返しという方略がしばしば用いられることが実験的検討によってわかった。これは、非優先的発話では、発話が問い返しを含む複数のターンにわたって計画されることを示唆しており、単独文の文法規則によって自然発話文の構造を記述しようという本研究の限界を示し、今後の課題を投げ掛けるものとなった。
著者
神田 真司
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

生殖を制御するという報告があるキスペプチン神経系が持つその他の機能を包括的に理解するため、受容体を発現する細胞をGFPで可視化し、RNAseqによって同定するという新しいアプローチを用い、キスペプチンによって制御される神経系を同定した。また、この方法によって同定したニューロンに対して電気生理学的な手法によってキスペプチンの作用を解析した。キスペプチンによって、摂食や恒常性維持に関連するペプチド神経系、行動への関与が示唆されるペプチドニューロンに対し、持続的な脱分極を引き起こすことが示唆された。また関与が示唆されたいくつかの神経ペプチドについて、TALEN法によるノックアウト個体の作出を行った。
著者
高橋 豪仁
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スペクテーター・スポーツの魅力を権力作用の観点から検討した。(1)女子プロ野球の観客を対象とした質問紙調査を実施したところ、選手との交流が満足度を規定していた。またゲームやそれに伴う儀礼的行為において、「球児の直向きさ」と「かわいさ」が演出されていた。(2)プロバスケットボールリーグの観戦者を対象とした質問紙調査を実施したところ、チームへ投影する地元意識が満足度を強く規定していた。(3)新聞を資料として、プロ野球のイーグルス優勝の物語について検討したところ、優勝というスポーツの出来事を被災という実生活に関連づけた物語が紡がれており、それは生活世界を受容可能にする概念装置であることが示唆された。
著者
村田 勝幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、1960年代以降、アメリカ合衆国、なかでも特にニューヨークへと渡ったハイチ人移民とその子孫を対象に、かれらの特殊な社会的な位置や、かれらと人種を同じくするアフリカ系アメリカ人との関係、さらには他の西インド諸島系住民との関係を、ディアスポラという概念を軸に多角的・学際的に分析することを目的としている。
著者
金子 仁子 標 美奈子 増田 慎也 宮川 祥子 三輪 眞知子 渡邊 輝美 及川 智香子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、青年期の人々が容易に学習機会の得られるインターネットを使用して、子育てをバーチャルに体験しながら、人を世話することの楽しさや人間として成長していくことを実感でき、また人間関係の取り方を学べる子育て学習支援プログラムの開発である。まず、大学生を対象に子育ての経験、子育てのイメージに関する質問紙調査を行った。525名のデータについてクラスター分析を行った結果、子育てに関して5つのタイプに分けられ、学習内容の興味関心もそのタイプによって違いがあった。ドラマ部分の作成は、研究者メンバーの話し合いから導き出した、「12の意図」(子育ての生活のイメージ、子育ての楽しさ・子育ての大変さ、予測していなかったできごとへの対応、子どもの成長を実感(2歳まで)、子どもとのコミュニケーションの取り方、仕事を続けていく母親の子育てについて等)により、その内容を考えさせるものとした。ドラマはフラッシュを用いて漫画を動画化し5話のドラマとしてウェブサイトから配信した。ドラマの配信は平成18年6月から行い平成19年3月までの10ヶ月間のアクセス数は985件で、視聴するための登録者は35名で、うち6割が学生であった。ドラマの内容についてはウェブサイト上のアンケートでは第1話では、仕事との育児の両立を考えながら視聴していることがわかり、また、第2話では結婚・出産・育児についてのことが最も印象に残ったとしていた。このドラマの評価のためのグループインタビューを行った。その中で、学生達は乳児期の育児、仕事と育児の両立について関心が高いことが明らかになった。このドラマを見ることによって、大学生は仕事と育児の両立について具体的にイメージすることができたと考える。登録者同士の交流を図るため掲示板を設けたが記載する人は少なく、登録者を増やすための、ウェブデザインの改良等が必要である。