著者
田所 摂寿
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.67-82, 2017-03-15

要約 本論文では、“カウンセリングコンピテンス”という概念を中心として、カウンセラー教育プログラムについて検討を行った。カウンセラー教育において重要な概念となる「科学者−実践家モデル」や、心理臨床実践におけるエビデンスの扱い方についても概説した。本論文のキー概念であるカウンセリングコンプテンスの要因としては、①知識(knowledges)、②素質と経験(senses and experiences)、③人間観(哲学)と態度(veiwof human nature and attitudes)、④スキル(skills)、⑤臨床実践量(practices)の5つを取り上げ、それぞれの要因について詳細な説明を試みた。併せて、これらの要因を「カウンセリングの質」を測るための計算式に表現することも試みた。今後の課題としてはカウンセリングコンピテンスを測定する尺度を作成し、実証していくことが挙げられた。
著者
Begun David R.
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.90-102, 2003-11

現在では,類人猿の生息地域は限られており,種の数も個体数も少ない。しかし,中新世(2200万年?550万年前)の地球には100種もの類人猿が暮らしていた。
著者
田中 乙菜 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.15-27, 2010-01-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、自己陳述を用いて、中学生が学校対人場面で考えている内容を明らかにし、自己陳述と心理的ストレスとの関係性を検討することである。対人ストレス場面6場面、全60項目からなる中学生の学校対人ストレス場面における自己陳述2次調査票が作成され、914名の中学生を対象に実施された。因子分析の結果、ポジティブな自己陳述は、状況を肯定的に評価するもの、ストレス状況に対処するもの等を中心に構成されており、ネガティブな自己陳述は、自己・他者・状況を否定的に評価するもの、不安感情を表したもの、自己の責任を回避するもの等を中心に構成されていた。また、自己陳述の頻度の高低によるストレス得点の差を∫検定で検討した結果、自己陳述の頻度の高い群が低い群よりもストレス得点が有意に高く、自己陳述の内容にかかわらず、自己陳述を行う頻度の高い人がストレスも高いことが示された。
著者
〆谷 直人
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.J91-J94, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
5
被引用文献数
2 4

医療の現場では早期診断,治療の方向づけをするうえでリアルタイムに得られる検査結果が求められている.そこで患者の傍らでリアルタイムに実施して診断,治療に役立つ有益な情報を得る検査がpoint of care testing(POCT)である.感染症領域でのPOCTは,初期治療に役立つ情報を診療時間内に得られる迅速検査として利用価値が高い.感染症迅速診断検査キットは,細菌,ウイルス,真菌,原虫疾患などを対象に多岐にわたり,多くの起炎病原体に対する製品が市販されている.これらのうちPOCTとして用いられている測定法は,イムノクロマトグラフィー法(immunochromatography assay:ICA)である.ICAは操作が簡便であるため,医師や看護師でも検査を行える.わが国の臨床現場では血清診断法を補助的に用いて深在性真菌症を早期に臨床診断し,治療に結びつける努力が行われてきた.しかし,検査法は煩雑で本格的な臨床検査の部類に入るため,POCTのカテゴリーからは外れる.近年,POCTとして米国では真菌感染症の診断にLAMP法が試みられている.深在性真菌症の早期診断のために簡便かつ精度の高いPOCTによる検査法の開発が期待される.
著者
北村 寿 三角 隆 扇田 哲男 浅野 和也 鈴木 則仁
出版者
横浜植物防疫所
雑誌
植物防疫所調査研究報告 (ISSN:03870707)
巻号頁・発行日
no.45, pp.37-40, 2009-03

検疫現場や農業現場における病害虫管理において、臭化メチルは有用なくん蒸剤として使用されてきた。しかしながら、臭化メチルはオゾン層破壊物質に指定されており、現在では検疫と不可欠用途以外での消費が禁止されている。一方リン化水素は、臭化メチルに代わるくん蒸剤として貯穀害虫管理のため広く使用されている。農薬を含む化学物質の食品中への残留については食品衛生法のもとで規制されており、基準値以上の量の農薬が残留する食品の流通が禁止されている。植物検疫くん蒸に使用されるリン化水素も同法により規制されており、その残留分析法については公定分析法として定められている。ヘッドスペースガスクロマトグラフを用いたリン化水素の残留分析は、小麦及び小豆において公定分析法よりも迅速・簡便な方法であるとの報告があり、その分析精度は公定分析法と同等であるとしている。また、この方法は、穀類、スパイス及びハーブの数種においても高感度でリン化水素の分析が可能であるが、大豆など粒が大きな品目ではばらつきの大きなデータとなり、ウコン等においてはくん蒸前に破砕することが残留値に影響を与えることが報告されている。この原因として、リン化水素の残留は一粒一粒の残留量がかなり異なることが考えられる。正確な残留量を評価するためには再現性のあるデータを得る必要があり、その方法の一つとして試料を破砕均一化することが考えられた。また、リン化水素は常圧条件下では揮発性の化合物であり(沸点:-87.7℃)、破砕により熱を発生し試料から揮散してしまう可能性がある。したがって破砕する際には揮散をできるだけ抑えるために低温条件下で実施する必要がある。以上から、低温条件下で穀類、スパイス及びハーブ類を破砕してヘッドスペースリン化水素残留分析を実施し、再現性のある前処理及び分析方法を検討した。
著者
Jieun Lee Young Ah Lee Seong Yong Lee Choong Ho Shin Jae Hyun Kim
出版者
Tohoku University Medical Press
雑誌
The Tohoku Journal of Experimental Medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.256, no.1, pp.53-62, 2022 (Released:2022-01-27)
参考文献数
50
被引用文献数
8

Triglyceride/high-density lipoprotein (HDL) cholesterol ratio (TG/HDL-C), triglyceride-glucose index (TyG), and non-HDL cholesterol level (non-HDL-C) have been proposed as surrogate markers for predicting metabolic syndrome (MetS). This study investigated whether these lipid-derived surrogate markers can predict MetS in Korean children and adolescents. Data from 1,814 participants were analyzed from the 2013-2016 Korean National Health and Nutrition Examination Survey. MetS was defined using three sets of criteria: Cook et al. (MetS1), de Ferranti et al. (MetS2), and the International Diabetes Federation (MetS3). The prevalence of MetS1, MetS2, and MetS3 was 4.6%, 11.3%, and 2.7%, respectively. In receiver operating characteristic curve analysis of MetS and lipid-derived surrogate markers, TG/HDL-C (0.937 for MetS1, 0.894 for MetS2, and 0.897 for MetS3) had the largest area under the curve (AUC), followed by TyG (0.906 for MetS1, 0.864 for MetS2, and 0.887 for MetS3), and non-HDL-C (0.752 for MetS1, 0.708 for MetS2, and 0.703 for MetS3) (all P < 0.001). The cutoff values for detecting MetS with TG/HDL-C, TyG, and non-HDL-C were 2.64, 8.52, and 111.6 for MetS1; 2.23, 8.47, and 110.7 for MetS2; and 2.64, 8.74, and 110.8 for MetS3, respectively. In conclusion, TG/HDL-C and TyG were similarly predictive of MetS. We propose using TG/HDL-C and TyG as surrogate markers for assessing MetS in Korean children and adolescents.
著者
小山 真人
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.323-347, 1998-10-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
74
被引用文献数
5

All available historical documents, which reeord abnormal phenomena relating (or possibly relating) to the activity of Fuji Volcano, Japan, were re-examined and classified aceording to the reliability of each document. Comparisons of the reliable descriptions with geologic evidence were executed and several new correlations between historical records and eruptive deposits are proposed. Volcanic activity of Fuji Volcano was in high-level from the 9th to I Ith century; in this period at least 7 reliable and 5 possible eruptions occurred. Although only 2 reliable and 1 possible eruption records exist from the 12th to the early 17th century, this low-level activity may be apparent because of lack of enough historical records. After the middle 17th century, enough historical records suggest that the activity is generally low except for the 1707 eruption, which is one of the most voluminous and explosive eruptions in the history of Fuji Volcano. At least thirteen large earthquakes (M 8 and possible M 8 class) have occurred near Fuji Volcano (in east Nankai and Sagami Troughs) since the 9th century. Eleven of these 13 earthquakes were accompanied with volcanic events (eruption, rumbling, or change in geothermal activity) of Fuji Volcano before and/or after each earthquake (in ±25 years).
著者
北村 達也 天川 雄太 波多野 博顕
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.165-173, 2019-12-30 (Released:2019-12-30)
参考文献数
29

おそ下がりは,アクセント核に後続するモーラに基本周波数の下がり目が生じる現象である。本研究では,東京方言話者の男性21名,女性27名,計48名が読み上げた230語の単語音声を対象にしておそ下がりの生起条件を調査した。その結果,おそ下がりは(1)男性よりも女性の方が生じやすい,(2)中高型よりも頭高型の語に現れやすい,(3)語に含まれるモーラ数が多い方が現れやすい,(4)アクセント核のあるモーラに後続するモーラに広母音を持つ語で現れやすいことが示された。
著者
長谷川 滋利 上野 陽子
出版者
日経BP社 ; 2002-
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.24-27, 2015-02

元メジャーリーガーの長谷川滋利さんは、野球選手の中でも「流暢な英語を話す」ことで知られていた。そんな長谷川さんも、「どこに泊まっているの?」という簡単な英語の質問に答えられなかった苦い経験を持つ。「当時は全く聞き取れなかった」と言う長谷川さんが、今の英語力を身につけた「学習法」とは。
著者
田村 典子 岡野 美佐夫 星野 莉紗
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.367-377, 2017 (Released:2018-02-01)
参考文献数
20

狭山丘陵の緑地に,2000年に特定外来生物キタリスの野生化が報告された.その後も引き続き本種の生息が確認されたため,2013年11月に,日本哺乳類学会からキタリスの早期対策の要望書が提出された.これを受けて,2014年4月から環境省事業として生息調査および捕獲対策が開始された.目撃情報,食痕,自動撮影による生息調査の結果,17地点でキタリスの生息が認められた.1地点をのぞく16地点は丘陵西側に位置する狭山湖周辺の緑地であった.2014年10月から2017年3月までに,この17地点で捕獲作業を行った結果,このうちの12地点で合計32個体のキタリスと1個体のニホンリスが捕獲された.3年間で,目撃情報数,食痕確認地点数,撮影件数いずれも著しく減少した.今後は,キタリスが狭山丘陵内に残存しているかどうかモニタリングを継続するとともに,周囲の山林へ逸出していないかどうか,広域の調査が必要となる.
著者
白岩 祐子 唐沢 かおり
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.110-117, 2015-03-01 (Released:2015-07-07)
参考文献数
26
被引用文献数
2

The present study focused on the determination factors of the sentencing decisions in the fictional case of accidental mortality from the aspects of the enhancement and inhibiting effects. 71 undergraduate students participated in the scenario experiment and they were subjected to a statement presented by the victim. Multiple linear regression analyses revealed that sympathy for crime victim made the sentence stricter. Furthermore, normative values such as “the trial must be rational, not emotional” had the inhibiting effect on sympathy for victim and the sentence to the defendant. Suggestions for future research on the determination of the punishment were discussed.
著者
田中 清 上西 一弘
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.231-236, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
4

日本人の食事摂取基準2020年版におけるビタミン・ミネラルにつき, 変更点を中心に述べる。脂溶性ビタミンでは, ビタミンDの目安量の根拠は従来健康人摂取の中央値だったが, 近年ビタミンD欠乏/不足者の割合が非常に高いことが明らかとなり, 「骨折予防に必要な量-日照による産生量」に変更された。水溶性ビタミンでは, 葉酸に関して, 食事性葉酸と狭義の葉酸の区別が明記された。多量ミネラルでは, ナトリウム (食塩相当量) の目標量 (上限) は, 高血圧・慢性腎臓病の発症予防のため, 望ましい摂取量 (5 g/日) と日本人の摂取量の中間値に基づき, 男性 < 7.5 g/日, 女性 < 6.5 g/日とされ, 今回その重症化予防のための量 (< 6 g/日) も定められた。カリウムは目標量 (下限) が定められ, ナトリウム・カリウム比の重要性も記載された。微量ミネラルでは, 妊娠中期・後期での鉄の付加量が引き下げられた。策定栄養素には変更なく, クロムについてのみは必須性に関して再検討されているが, これらの必須性は既に確立され, 食品成分表と合わせた活用が重要である。ヒト対象のエビデンスは少なく, 日本人での研究が必要である。
著者
韓 英均
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2013-02

制度:新 ; 報告番号:甲3842号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2013/2/26 ; 早大学位記番号:新6194