著者
内山 進 エレナ クラユヒナ 野田 勝紀
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.12-18, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
加藤 内藏進 松本 健吾 大谷 和男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1.はじめに<br> 東アジアの暖候期には,グローバルな規模を持つアジアモンスーンの影響を受けて,梅雨等の顕著な雨季が現れる。しかし,日本列島付近は,ユーラシア大陸の高緯度域,南アジア域,北西太平洋の熱帯・亜熱帯域,北太平洋高緯度域のようなかなり異なるアジアモンスーンサブシステム間の接点にあたり,僅か1000km程度の東西の違いで,梅雨降水の特徴等も大きく異なる(Ninomiya and Mizuno 1987,等)。例えば,西日本の梅雨前線では組織化された積乱雲の集団に伴う集中豪雨の頻出で梅雨期の総降水量は東日本に比べてかなり多い。但し,東日本側でも,西日本側に比べると大雨日(以下,50mm/day以上の日をさすことにする)の頻度は少ないものの,東日本の大雨日には,10mm/hを下回るような「普通の雨」による総降水量への寄与が大きいタイプが半数程度を占めていた(松本他 2013, 2014,それぞれ,岡山大学地球科学研究報告,Vol. 20,21。本グループの松本他による1971~2010年の解析に基づくポスターも参照)。<br> 但し,種々の広域システムの接点にあたる日本付近では,日々の変動,季節内変動,季節変化,年々変動も大きく,しかも低緯度と中高緯度のシステムの関わり方の違いにより,降水量だけでなく「降水特性」の多様性も大きい。そこで本グループは,本大会の松本他の研究を踏み台に,梅雨期から盛夏期を中心とする降水について,降水量だけでなく降水特性の多様性や,西日本と東日本との違いの詳細についても注目して,1950年以前も含めた長期解析(日本の気象官署の日降水量や天気図などに基づき)にも着手した。長期的な気候変化・気候変動だけでなく,種々の現象を把握して気候学的平均像を長期的なパラメータレンジで把握することも狙う。その際に,限られた過去の地上データや天気図等から,どの程度,日々の現象の傾向を記述する気候学に迫れるかの検討も行う。<br> なお,気象庁が日原簿をスキャンしたPDFファイルも一部の気象官署に関しては古い時期のものも気象業務支援センターを通して入手出来たので,そこに記載された1時間降水量のデータも活用法を検討したい。<br> 2.日降水量データに基づく梅雨最盛期と盛夏期の降水量や降水特性の長期解析(長崎と東京との比較を例に)<br> 本研究ではまず,西日本(特に九州)の例として長崎,東日本の例として東京における長期間の日降水量データを中心に,比較解析した。1901年~2010年における梅雨最盛期(ここでは6月15日~7月15日とした),盛夏期(8月1日~31日)について,総降水量やそれに対する50mm/day以上の日(大雨日)の降水の寄与などの解析を行なった。<br> 従来知られているように,梅雨最盛期には長崎の方が東京よりも大雨日の寄与が大きく総降水量も大きかったが,110年間でみた年々の総降水量の変動も,長崎では大雨日の寄与の変動を大きく反映していた。しかし,東京では,基本的には大雨日で積算した降水量と総降水量の増減の対応も一応みられたが,大雨日の寄与は殆ど無いのに,総降水量は110年間の平均値を上回るような年もしばしば出現する等,降水特性の変動も大きいようであった。また,総降水量に対する大雨日の降水量の寄与の割合も(以下,寄与率と呼ぶ),長崎では11年移動平均ではあまり年々の違いはなかったが,東京では数10年周期で比較的大きな変動がみられる等,降水特性の平均ばかりでなく年々の変動にも東西の違いが見られた。<br> 更に,東京の大雨日の日降水量に対する1時間降水量の寄与も,110年間で集計した(図略)。東京では,110年間でみても,梅雨最盛期の大雨日に比べて盛夏期の大雨日の方が,1時間降水量でみた強雨の寄与が大きい等の季節進行もみられた。発表では,1950年以前の特徴的な状況における1時間降水量や天気図等による事例の吟味も行なう予定である。
著者
藤森 英之 志村 正子
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.67-73, 1987-08-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
32
被引用文献数
1

The authors examined psychiatric emergency cases (n=1219, male 850, female 369) admitted to a psychiatric hospital in Tokyo over a 53-month period (from December 1978 to April 1983), to examine the correlation between monthly numbers of psychiatric admissions and meteorological factors.The results were as follows: 1) Psychiatric emergency admissions of male patients made a peak in spring, whereas female patients showed no obvious seasonal fluctuations. 2) Monthly frequency of admissions was positively correlated with the difference between maximum and minimum temperatures among male non-schizophrenic patients, who consisted mainly of cases of alcohol psychosis including alcohol dependency. 3) Neither of female schizophrenic and non-schizophrenic patients showed any significant correlations with meteorological factors in contrast to male patients.
著者
綾木 雅彦
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.47-49, 2015 (Released:2015-07-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
浅野 善英
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.298, 2014

全身性強皮症(SSc)は血管障害と皮膚および内臓諸臓器の線維化を特徴とする膠原病で,その発症には免疫異常の関与が示唆されている.本症の病因は未だ不明であるが,近年ゲノムワイド関連解析やエピジェネティック解析により様々な疾患感受性遺伝子が同定され,また新規動物モデルの開発も進み,その複雑な病態が徐々に明らかになりつつある.一方,治療面ではボセンタン(エンドセリン受容体拮抗薬)がSScに伴う指尖潰瘍の新規発症を有意に抑制することが明らかとなり,同薬が本症の血管病変に対して疾患修飾作用を発揮している可能性が示唆されている.また,リツキシマブ(キメラ型抗CD20抗体)によるB細胞除去療法がSScの皮膚硬化・間質性肺疾患・血管障害に対して有用である可能性が複数の非盲検試験により示されている.リツキシマブなどの抗体医薬をはじめとし,疾患修飾作用が期待される数々の新規治療薬に対して,現在欧米を中心に無作為化二重盲検試験が行われており,近い将来これらの新規薬剤がSScの治療に大きなパラダイムシフトをもたらすと期待されている.一方,抗体医薬による治療は各種標的分子が病態に及ぼす作用を理解する上でも非常に有用であり,治療の進歩とともにSScの病態理解が進むことが期待される.本講演では,基礎研究や臨床試験のデータを基に,SScの基礎から展望まで最新の知見を含めて幅広く解説する.
著者
春田 吉備彦
出版者
沖縄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究目的のモチーフは、①排他的基地管理権、②間接雇用方式、③日米地位協定とMLCの関係をそれぞれ解明することである。2019年度の研究実績はつぎのものがある。(1)研究目的のモチーフのうち、とりわけ①の問題に焦点を当て、2018年12月18日に在日米軍横須賀基地内に停泊中の「空母ロナルド・レーガン」において実施された「日米合同訓練」の見聞記を執筆した。これが、春田吉備彦「Invisible baseworker(見えざる基地労働者)―ロナルド・レーガン乗船記―」『沖縄大学法経学部紀要第31号』(29頁~36頁)である。(2)日韓の国交が正常化していなかった、1956年に発生した、千代田丸事件をモチーフに「戦争災害(戦災)」「自然災害」 「労働災害(労災)」「NBC災害」 「CBRNE(シーバーン)災害」 「武力事態災害」 等の多様な災害概念を整理、労働者の労務給付拒絶権について試論を展開した。現在、基地労働者が直面している、「労務指揮権」の問題の基礎的考察としての位置づけをもつ、研究業績として、春田吉備彦「災害時の労働者の労務給付拒絶権にかかわる一試論―千代田丸事件最高裁判決(最三判小判昭和43.12.24民集22巻13号3050頁)の再読を通じて」大曽根寛/森田慎二郎/金川めぐみ/小西啓文編『福祉社会へのアプローチ 下巻』(成文堂)(353頁~366頁)がある。両業績とも、主として、日米地位協定上の①排他的基地管理権に関連する考察である。日本国内にありながら、米軍基地内の労働問題や米軍関係の労働問題は、可視化が難しいという特徴がある。両業績は、この点に着目している。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1185, pp.70-72, 2003-03-31

東京都港区六本木にあるダイムラークライスラー日本(DCJ)が入ったオフィスビルの1階。ここに同社の顧客の中でも最上級の人だけが入れる"秘密の部屋"が間もなくオープンする。ダイムラークライスラーが近々、日本でも発売する最高級車「マイバッハ」専用に作られた商談用の部屋である。 「マイバッハセンター」と呼ばれるこの部屋に入れる顧客は一度に1組だけ。
著者
湯沢 雍彦
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
人文・社会科学論集 = Toyo Eiwa journal of the humanities and social sciences (ISSN:09157794)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.173-196, 2001-02

During the last ten years, only Denmark among the developed countries succeeded in increasing the total fertility rate (TFR). It will serve as great reference to Japanese society that suffered from the continuous decline of TFR, to determine the cause of increasing TFR in Denmark by clarifying the relation between TFR and life structure. From August through the beginning of September in 1999, we implemented the field study on this issue in three cities of Elsinore(Helsingor), Odense and Bogense. We visited a Folkeskole (elementary and junior high school), an integrated day care facility for children aged 6 months to 5 yrs old (day nursery and kindergarten), a municipal office, the committee for labor market (Arbejdsskadestyrelsen), etc. We interviewed ten couples with children and observed also three families closely while staying at their homes. Also we made questionnaires on family budget, time budget and life consciousness.The findings are as follows:1. By putting the Social Assistance Act into effect and by revising it thereafter, not only the period of the paid parental leave was extended, but also the facilities for children under nine and child-caring system were well prepared.2. All companies keep up the time of 4 p.m. as the closing time of the day, and parents establish their habits of coming back home straight from jobs after picking up their children at the children's facilities.3. Due to the booming economy since 1993, the income of families has grown up over the rate of inflation. The cost of raising children has not caused families economic burden. It means that families have not been suffering from the cost of child-care.4. In Denmark having many children is perceived as a way to make life lively and enjoyable, and spending time with one's family is considered more important than working.5. The social structure is such that there is no need to save money for education and health care.6. The baby boom generation of 25 ~ 30 years ago is reaching child bearing age. (This fact might have the most direct and the strongest influence on the increasing TFR.)
著者
木内 祐二
出版者
日本医療薬学会
雑誌
日本医療薬学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, 2004-09-01

医薬分業が進展し、病院、薬局ともに患者への服薬指導が重要な業務となった現在、患者とのコミュニケーションは薬剤師に最も必要とされる能力の一つであろう。従来、大学ではコミュニケーションの学習は殆ど実施されておらず、実務の現場においてもコミュニケーションの教育や研修は必ずしも標準化されていない。また、医療の中心は言うまでもなく患者であるにもかかわらず、薬剤師側の視点のみで患者とのコミュニケーションが指導されることも多い。このように、多くの薬剤師は自らの経験や先輩薬剤師の経験に基づいてコミュニケーション能力を身に付けてきたため、得られた能力は個人の経験や資質に依存して個人差も大きく、患者にとっては適切と言えないような対応も時に見受けられる。医学部では患者が求めるコミュニケーション能力の習得のために、数年前から臨床実習前に標準化された医療面接のロールプレーの試験(OSCE)が取り入れられ、近々、必修化される。本ワークショップでは、OSCEなどで患者の立場から医療人教育に参加されている模擬患者(SP)さんとの服薬指導ロールプレーを参加者の代表が体験し、患者にとって望ましい医療コミュニケーションはどのようなものかを参加者全員で討議する。薬局と病棟での3つの場面設定における服薬指導のロールプレーとSPさんからのフィードバックを体験あるいは見学・評価する。この参加型のワークショップが、より良い医療を求める患者の思いを知る機会となることを期待している。