著者
加藤 健一
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

システム自身の状態に依存してそのシステムのタイムラグ,すなわちむだ時間が変動する状態依存むだ時間系に焦点を当て,その安定性解析法・制御系設計法を構築することを目的に検討を行った.状態依存むだ時間系の一つである伝播信号の跳ね返りを利用して自己の位置制御を行う一種の自己位置制御系を対象にとり,その状態推定が,離散時間の非線形状態方程式としての近似とオブザーバの拡張設計によって精密に行えることをシミュレーションによって確認した.
著者
町田 好男 森 一生 田村 元
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

圧縮センシングMRIとは、情報技術を用いて少ない計測データから画像を取得する新しいMR高速撮像法である。技術開発が進展する中、臨床応用の立場から見た画像の得失を見極めることが重要であり、適切な画質評価指標が求められている。今回種々の条件で画質評価実験を進めた結果、個々のアプリケーション固有の評価も重要であることが分かった。本研究では特に、臨床上重要なMR血管描出法(MRアンギオ)について、脳血管を模擬した数値モデルを用いて血管描出能の再構成およびノイズ条件依存性を半定量的に評価する方法を提案した。
著者
秋山 泰 瀬々 潤 関嶋 政和
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、無限次数多重検定法(LAMP)を開発し、ヒト乳がん細胞等における制御因子の同定に適用した。形状相補性に基づくドッキング手法MEGADOCKを発展させ、キナーゼ等の標的タンパク質の網羅的解析を実施し、結果をデータベース化した。また化合物プレ・スクリーニングを行うSpressoシステムを開発した。分子動力学計算により熱揺らぎに基づく結合ポケットの変形を評価することにより、バーチャルスクリーニングの性能が向上することも見出した。
著者
塩野 義人
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

未利用な微生物資源の一つに位置付けられる盤菌類(チャワンタケ類)に含まれる生理活性物質を探索した。ツバキ花腐菌核病を誘発する病原菌の完全世代であるツバキキンカクチャワンタケより、植物生長阻害活性物質としてアガリチック酸のモノメチルエステル体を明らかにした。ブナの殻斗に小さな子嚢盤を形成するシロヒナノチャワンタケより、抗菌活性物質としてノルコーレンソイック酸を明らかにした。
著者
桂 良太郎 安斎 育郎 池尾 靖志 阿部 敦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は世界の平和博物館同士のネットワーク構築にむけた基盤整備その活用(応用)に主たる目的がある。第6回国際平和博物館会議(2009年)で21世紀にふさわしい平和博物館のあり方を検討することとし、「世界の平和博物館情報ネット」を立ち上げることを試みた。立命館大学国際平和ミュージアムの協力のもとで、ウェブサイト情報に基づき、各国の平和博物館の動向を検索できるCD-ROMの作成に取り組んでいる。目下、235件の入力が終わった。2011年5月にはバルセロナ(スペイン)で「第7回国際平和博物館会議」、2011年5月「IPRA」にて本研究の成果を発表し、さらに2012年11月の「IPRA」(於:三重大学)においては、ほぼ完成したCD-ROMを参加した内外の研究者や実戦者から高い評価を得ることができた。さらに充実した情報ネットワーク構築のために努力したいと考えているところである。この世界の平和博物館情報を検索できるウェブサイトを、立命館大学国際平和ミュージアムのホームページ上に立ち上げるべくその調整を図っている。本年度の目標であったアジア太平洋の平和博物館会議(ベトナム)は本国の都合により延期となるが、2012年8月の「韓国ノグンリ平和セミナー」およびベトナム平和博物館関係者との2014年開催予定の「第8階国際平和博物館会議」にむけた、アジア地域の平和博物館ネットワーキングに関する「研究会議」を無事ホーチミン市にて行うことができた。韓国、ベトナム以外に中国ロシアの平和博物館関係者及び、東南アジア諸国、インドやパキスタンなどの南アジアの平和博物館関係者も招聘し、本研究成果の発表とさらなるネットワーク構築のための準備を行っているところである。
著者
白木 琢磨 五十嵐 和彦
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞外シグナル分子は膜結合型受容体を介したシグナル伝達に加え、その細胞内代謝物がリガンドとして働くにより直接PPARγを制御している。申請者自身のこれらの研究結果から、「膜型受容体と核内受容体のクロストーク」の解明を目指した。細胞内シグナルと、リガンドによる作用を時間的・空間的に分離し定量化するために、最大6つの転写制御について時間的な制御を視覚化するシステムを開発した。細胞内リン酸化シグナルによる核内受容体PPARγの活性制御を解析し、PPARγ蛋白質の安定化の変化と細胞内局在変化という、代謝物リガンドとは別の次元での制御機構でPPARgの活性調節を行っていることを明らかにした。
著者
岩崎 稔 DRISCOLL M.W.
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

昨年度に引き続き、岩崎稔とマーク・ドリスコルが、総動員システムと植民地支配というふたつの政治文化システムの連関や相互作用を、具体的な文化的表象を用いて分析する作業を続けた。関連する文献を収集し、適宜読解するとともに、認識を共有するための研究会も重ねた。具体的には、岩崎が特に植民地支配における身体と文化の問題に取り組み、コロニアリズムにおける物質的な暴力の思想的な含意についていくどか報告した。とくに性的な身体をめぐって、レイシズムの支配が、統合と排除、包摂と異物化というふたつの作用としてせめぎあすことの動態とその理由を解明することに先進した。他方ドリスコルは、岩崎と認識を共有しつつ、謝金によって翻訳通訳業務を担当してくれるアルバイト学生を伴って国立国会図書館にひきつづき通い、必要な図版、図録を調査してきた。また収集した身体をめぐる表象や図像を具体的にもちいて図像学的読解の実践を試みた。このトレーニングを通じて、図像を分析する際の基本的な枠組みや概念を鍛えることができた。また、とくに新しい視座として、ドリスコルは、コロニアリズム研究の一環である沖縄研究にも研究対象を拡大することができ、複数の研究者や民間の研究者との共同作業をこころみた。これらの作業を通じて、身体や空間をめぐるポリティクスについて、プロジェクト参加者の認識は、初発の時点に比べて格段に深化し、多くの素材を処理可能になった。また、研究のための図像の読解作業を通じて、今後の研究に必要な研究者ネットワークを構築した。
著者
中道 仁美
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

過疎地の地域再生については、活動を起こす・継続する基盤として、住民の意思疎通を図る集会が重視されねばならない。高齢化が進行した限界集落では、集会も開催できず、活性化への取り組みも頓挫する。高齢化した農業の補助労働としての外国人研修生は、今や欠かせないものとなりつつある。外国人研修生の母国での農業教育も重要であり、特に帰国後の研修生支援とともに、彼の地の農業者支援体制の構築が求められる。過疎地では女性起業に期待されているが、女性の起業への住民の理解は十分ではなく、それゆえ、女性起業が十分育成されないなどの課題が残る。
著者
鹿毛 理恵
出版者
佐賀大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

少子高齢化による人口減少と労働力不足の進行は、土木・建設分野、製造業、サービス業、医療・福祉分野、農林水産業の労働力不足が深刻化している。特に地方の人口減少と高齢化は、産業と地域社会の衰退を招いている。本研究は農業分野における技能実習制度による外国人労働者受入れについて検討している。地方は、量、質ともに労働力が絶対的に不足し、規模の経済を狙った経営が難しく、若者を確保する産業が限られている。技能実習生の受入れで、労働力不足の解消に貢献している。しかし、文化の違いや言葉の壁はあるという。また、労使関係上のトラブル、賃金未払い、労働者の脱走は問題との指摘がNGOや送出し機関から指摘された。
著者
風間 信隆 松田 健 清水 一之
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,近年のドイツの企業システムとコーポレート・ガバナンスの動向を検討し,その結果,1)1990年代以降,ドイツの株式市場が外国人機関投資家の株式保有の増加とともに変容し,株式市場による外部コントロールが増大してきたこと,2)「株主価値重視経営」(「選択と集中」によるリストラと短期的利益重視による企業価値の極大化)が経営者に支持されてきたが,これが逆に長期的視点に立つ能力構築を妨げるとともに,業績連動報酬による経営者の高額報酬と社会的格差の拡大に結び付くものとして批判されてきていること,3)1990年代末から2000年代初頭にかけてドイツ工業連盟(BDI)会長ロゴウスキーの「共同決定は歴史の誤り」発言に見られるような,労使共同決定批判が展開されてきたが,今日ではむしろ共同決定に対する再評価が起きていること,4)しかし,グローバル化に伴い,ドイツの伝統的企業システムを支える諸制度(共同決定や労使関係,株式市場,会社機関等)も大きく変化しており,これによってドイツの企業統治の在り方も進化を遂げていることを明らかにした。
著者
影山 悦子 吉田 豊 島津 美子
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、法隆寺・東大寺宝物に見られる「イラン文化」の実態を明らかにすることを目的とし、「イラン文化」=西アジアのササン朝ペルシアの文化という従来の捉え方を見直し、5世紀後半から6世紀前半に中央アジアを支配したエフタルや、ソグドの影響も及んでいることを、具体的な事例を挙げて証明することを試みた。中央アジアや中国で発見された図像資料を検討することにより、東大寺正倉院に伝わる大刀の佩刀方法にはエフタルの影響が認められることや、伎楽面の酔胡王のモデルが北朝期の中国のソグド人聚落の首領であることを示した。
著者
古賀 俊策 福場 良之 福岡 義之 近藤 徳彦 西保 岳
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

人類が直立二足歩行によって獲得した身体活動能力、とりわけ全身持久的運動能力は他の動物よりも優れた生理機能(循環調節や発汗など)によって支えられる。実際の持久的身体活動時には、活動強度や温度などの環境刺激が時間と共に変化する非定常状態が多くみられる。この状態では潜在的な統合生理機能(全身的協関)が顕著に抽出されるので、ヒトが進化過程で獲得した持久的運動能力の特性がより明らかになる。しかし、各々の生理機能(呼吸、循環、筋肉、体温など)が統合的に調節される仕組みについては不明な点が多い。今回は全身的協関がより顕在化する非定常状態に着目して、生理人類学的視点からヒトの持久的運動能力を総合的に検討した。
著者
秋林 こずえ 宮城 晴美
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

米軍による性暴力の問題に取り組んできた基地・軍隊を許さない行動する女たちの会を沖縄フェミニズムの中核と位置付け、検討した。会は米軍が長期駐留する韓国や、米国本土、国連などで市民社会でのトランスナショナル・ネットワーク構築を目指す傾向が強くなってきている。そこでは新たな基地建設に抵抗する連帯とともに、基地の移設ではなく脱軍事化が追求されている。軍事占領下での米軍の性暴力については、沖縄県立公文書館で資料を見つけ、1945年以降の沖縄での米兵による性犯罪の年表を改訂した。国際的な平和構築政策に関しては、紛争下の性暴力が軍隊組織の問題という視点がさらに後退していることが明らかになった。
著者
木船 弘康
出版者
東京海洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

タグボートの低環境負荷化を目的として、ハイブリッドタグボートのシステムについて検討を行った。ハイブリッドシステムと従来方式とを比較して燃料消費傾向がどのように変化するかを推定する必要がある。そこで実機データに基づくデータベースを背景として、タグボートの燃料消費モデルを構築した。これにより様々なシステムのタグボートにおける燃料消費傾向をシミュレーションすることができるようになった。このシミュレーションを運用することで、ハイブリッドシステムの最適化を検討するための基礎資料を作成することができる。
著者
亀田 幸枝
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

目的;妊婦の出産に対する自己効力感を高める介入方略を考えるために,モデリングによる形成に焦点をあて,出産に対する自己効力感の形成プロセスを明らかにする。方法;総合病院で妊婦健診をうけ,経膣分娩を予定していた妊娠後期の妊婦9名(初産婦7名,経産婦2名)に振り返りによる半構成的インタビューを行った。面接内容は逐語録にし,質的帰納的に分析した。結果;モデリングの資源には,ピア・グループ,過去の出産体験の中の自己,助産師や医師などの専門家,パートナーがあった。妊婦の出産に対する自己効力感の形成には,【自己の身体能力への信頼】と【安心できる出産環境づくり】という2つのプロセスが見出された。【自己の身体能力への信頼】のプロセスは,モデリングとなる情報に対して「モデリング情報と自己との距離感の判断」を行い,「自分なりの対処方法の具体化と蓄積」を繰り返すという連続的なプロセスがあった。そこに影響していたのは"妊娠週数","妊娠経過の正常性","胎児の発育状態","生活パターン","専明家や周囲からの支持的関わり"があった。一方,【安心できる出産環境づくり】のプロセスでは,妊婦はモデリングの資源である助産師や医師などの専門家およびパートナーとの間で,「接近」と「自分への関心と承認の確認」という体験を繰り返し,「傍にいてくれる存在」と「緊急時の対応システム」を確認していた。そこに影響していたのは,"プロフェッショナルな雰囲気"や多忙でも笑顔で答えてくれるという"近寄りやすさ","妊娠・出産だけでない会話"があった。加えて,このような形成プロセスは,妊婦が出産に求める「母児の安全性」や「満足感」の優先性と強さに影響されることが示唆された。結論;本研究の結果は,出産に対する自己効力感への介入を考える際のアセスメント視点になると考える。しかしながら,総合病院に通院している妊婦と限定された対象からの結果であり一般化まではできない。今後,助産院で出産する女性など対象事例を積み重ねていくことと,量的に関連性を検証していく課題が残された。
著者
松本 恭治
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

多くの地方都市で中心市街地の空洞化が進行している。既存マンションの足元の店舗も閉店・休業が多い。シャッター街、空き家群の中に新築の分譲マンションが建てられると市街地の再生を望む地域の人々は、これで活気が取り戻せるのではないかと淡い期待を持つ。しかし、期待を込められた新築マンションがたとえ完売しても、さして時間を置かずに低価格化し不良住宅化する懸念を抱かざるを得ない。一方目を郊外に転じると、市街化調整区域と隣接町村では官民が競って宅地造成と戸建て住宅建設に長く邁進してきた。大都市圏に比べて戸建ての敷地は広く価格も安い。住宅市場における分譲マンションの人気が低く、多数の住宅が賃貸住宅に転じている。20年経っても多くのマンションの修繕積立金は当初の低い金額に据え置いたままで大規模修繕を先送りしている。廃墟に等しいマンションも生まれた。群馬県では大都市圏より遅れて分譲マンション開発が進み、大都市圏より早く問題住宅化するが、個人資産の問題としてこれまで行政が積極的に対応したことはない。このような状況では健全な街づくりが困難である。そこで本研究は地方都市における分譲マンションが都市崩壊のキーワードとなるか、都市再生のキーワードとなるかを確認すべく実施した。願うべくは都市再生である。なお従来の分譲マンション研究の大半は大都市圏内で行われてきた。地方都市ではマンション戸数そのものが少ないだけでなくマンション研究者すら殆どいない。地方のマンション実態を明らかにすることはマンションと都市計画との関係を検証する機会となろう。群馬県における分譲マンションの状況について政府統計等の分析結果と現地確認等で得られた情報の分析結果を報告する。
著者
中村 美樹子
出版者
武修館高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究目的 : 本研究は、中国南朝で成立した伝奇文学である六朝志怪を教材として評価し直し、新しい教材としての可能性を提案することを目的とした。研究方法 : 六朝志怪を翻案した日本の古典文学のリスト化を行い、その中でも教科書に採録されているものを東京学芸大学付属図書館や教科書図書館等で調べ、指導書の内容から漢文との連携が指導書上で行われているのかをまとめていった。また、この時点で新しい見地を発見した。国際バカロレア資格のディプロマ・プログラムにおいては「studies in language and literature」(言語と文学の研究)で母語に翻訳された世界文学を読了した上での課題作文が必修となっており、ここでは比較が重んじられる。課題作文を作成するための導入段階の教材として、和漢比較教材が活用できる可能性は十分にあるものと思われる。したがって本来は外国の文学でありながらも、日本文学に取り入れられている六朝志怪は、この国際バカロレア資格における比較文学という視点から、活用が可能であるとし、この可能性について追及していくことにした。研究成果 : 国際バカロレア資格の「言語と文学の研究」の課題作文は一冊を読了して行うため、段階を踏んで短い文章から練習を行うべきである。その際、自国の文化との共通性を持つ漢文教材をその段階の一つとして使うのは理にかなっている。さらにその中で六朝志怪は一つのエピソードが短く、本質が記録であるため内容が簡易でストーリーをつかむことが簡単であるという利点を持つ。また、六朝志怪は本文に口語表現が含まれているため、漢文そのものを読むのは文法的に難しい面があるという欠点があったが、この課題研究は翻訳されたものを比較するため、この活用法ならば利点のみを最大限活用することができる。したがって、国際バカロレア資格の上での指導において、六朝志怪は非常に有用な教材であるという結論に達した。
著者
田中 秀数 小野 俊雄 加倉井 和久
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

スピンダイマー系の混晶Tl_<1-x>K_xCuCl_3において,磁場中比熱測定と電子スピン共鳴(ESR)によって,3重項励起トリプロンの局在による新しいボースグラス相の存在とボースグラス-ボース凝縮転移に特徴的な臨界現象を観測した.外部磁場を加えると量子sine-Gordon模型で記述される1次元反強磁性体KCuGaF_6の素励起をESRで観測し,それが量子sine-Gordon場理論で定量的に理解できる事を示した.スピンの大きさが1/2の籠目格子反強磁性体Rb_2Cu_3SnF_<12>とCs_2Cu_3SnF_<12>を開拓した.また,基底状態が非磁性のRb_2Cu_3SnF_<12>ついて中性子非弾性散乱を行いシングレットが風車のように配置した構造を明らかにした.
著者
松山 恒明 小金沢 孝昭 鎌田 慶朗 渡辺 孝男 田中 武雄 中屋 紀子 本田 強
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、総合講義「学校給食」の実践を行なう中で、研究会や現地見学を行いながら、教員養成課程で行なうべき「学校給食」関連の講義内容を検討してきた。調査・検討の結果、まず第一に学生の反応であるが、学校給食や食に関する内容について関心が高く2年間とも各300人の学生が受講した。学生たちは、学校現場で行われている学校給食に関心が高く、またこれらを客観的に捉えることのできるこの講義に興味を示した。学校給食への理解については、講義開始時のアンケートで子供たちと食べる昼食程度にしか学校給食を捉えていなかった学生も、講義終了時には学校給食が食や環境、健康を理解する上で重要な教育機会であることに気づくようになった。この点については各年度に行なった学生アンケートに詳しく報告されている。第二に講義内容であるが、2年間の講義実践と学生の反応によって教員養成課程の「学校給食」の講義内容は概ね4つの領域で講義すると、「学校給食」の持っている教育機会を説明することが可能であることが明らかになった。1つは学校給食の現状とその安全性についててある。ここでは学校給食がどのような目的のために、どのように運営されているのかを実践報告を交えながら講義した。2つは、こどもたちの食生活がどのような状況にあるのかを明らかにすることである。日々の食生活でどのような点に問題点があるのか、学校給食で補える課題を整理した。3つは学校給食で食べている食がどのように生産されているのか、食についての基礎知識の習得である。とくに食と環境とのつながりにも留意した。4つは食と健康とのつながりについての基礎知識の習得である。食事が健康にどのように関連しているのかを具体例をあげて講義した。これらの研究成果は、昨年度の中間報告書と今年度の最終報告書に整理してあるが、この研究を通じて、学枚での食・栄養教育の重要性ならびに教員養成課程での学校給食に対応した講義の必要性が確認された。また、今後は各教科と学校給食とを連携させた栄養教育の研究が課題となった。
著者
柘植 郁哉
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

安全な経口免疫療法の確立を目指して、加水分解乳を用いた牛乳アレルギーの免疫療法における、アレルゲン特異的T細胞と好塩基球の活性化を解析した。牛乳アレルゲン特異的T細胞は、活性化マーカーCD154 陽性細胞として同定し、同時に細胞質内サイトカインを多重染色して解析した。その結果、牛乳アレルギー患者では、非牛乳アレルギー患者に比し、牛乳アレルゲン特異的Th2サイトカイン産生細胞が有意に増加しており、また、牛乳アレルゲン特異的IL-4産生細胞数は牛乳特異的IgEと正の相関を示した。一方、好塩基球の解析では、症例数は少ないが、免疫療法後にSykの低下が認められた。現在症例数を増やして検討中である。