著者
山下 紘嗣
出版者
慶應義塾中国文学会
雑誌
慶應義塾中国文学会報 = Bulletin of the Keio Sinological Society (ISSN:24328936)
巻号頁・発行日
no.1, pp.68-85, 2017-03

はじめに一, 皇太子受賀二, 皇太子の章服三, 宮臣による「称臣」おわりに
著者
辻田 右左男
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.9, pp.p61-74, 1980-12

ハヅクルートは,わが国では,まだ,ほとんど知られていない名前である.筆者自身もかれの名前だけはかすかに知っていたが,かれが現在に至るまで,地理学の上に大きく,根強い影響力をもつ学者であることを数年前まで明らかにしえなかった.ではRichard Hakluyt(1552-1616)とはいかなる人物であったろうか.かれは,まず,シェクスピアと同時代の,偉大な地理学者の1人であった.つぎに聖職者ハックルートHakluyt,Preacherとしぼしばかれが自署したように,かれは職業的には僧侶であったが,なによりも重要なのは,倦まずたゆまずその一生をかけて,イギリスはじめ近隣諸国の航海文書を収集し,地理学の聖典Bibleともいうべきみごとな『航海記』を後世に遺したことである.17世紀後半から始まるイギリスの領土的拡大,大植民帝国の建設はこの書物の存在に負うところが多い.従来,ハックルートならびに『航海記』Principal Navigationsが,わが国の地理学で不問に付されていたのは,明治中期以後の日本の近代地理学が,まずフンボルト,リッター,ラッツェルを生んだドイツに傾斜し,のちブラーシュによって代表されるフランス学派に左祖したことに遠因が求められる.いずれかといえば,イギリスの地理学は地味であり探検地理,商業地理など実用面を重んじ,理論的でないという理由で,わが国ではこれを軽視する風潮があったことは否めない.たしかに,地理教育の上では,福沢諭吉などの提唱によりイギリスに範を求めた事例も少くはないが,学問としてはイギリスの地理学は敬遠され,当然のこととして,ハックルートのような地理学の巨匠の姿が見失われ勝ちであった.筆者はこの小文において,敢えてこの未知の巨人に接近し,シェクスピアの劇作に匹敵するという偉大な業績,散文で書かれたイギリス国民の叙事詩prose epic of the English Nation と呼ばれる『航海記』の一断面を明らかにしてみたいと思う.
著者
大城 真由美 我如古 梓 三宅 茜巳 仲本 實 後藤 忠彦
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.29, pp.460-461, 2013-11-09

戦後68年を経過し,沖縄戦の体験の継承が危惧されている。沖縄の学校では,慰霊の日に向けて沖縄戦から平和を考える取り組みを行っているが,戦争体験者が高齢化し語り手が減少していく中で,戦争体験者ではない教師がどう伝えていけばよいのかが課題となっている。そのため,小学校で活用できる沖縄戦についてのデジタルアーカイブ教材の開発を考えた。
著者
KENJI OKAZAKI HIROFUMI TAKAMUKU YOSHINORI KAWAKUBO MARK HUDSON JIE CHEN
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological Science (ISSN:09187960)
巻号頁・発行日
pp.210325, (Released:2021-06-19)
被引用文献数
3

The Yangtze River Delta is the best-known homeland of wet-rice agriculture. From the Middle Neolithic, rice farming expanded from the Yangtze region to both the north and the south. However, poor preservation of ancient human skeletal remains in the region has meant that the population history of these expansions has not been fully understood. In order to clarify the ancestry of early wet-rice farmers in East Asia, we conducted a cranial morphometric analysis and comparison of a Middle Neolithic skeletal assemblage excavated from the Guangfulin site, Shanghai. The results of bivariate and multivariate analyses showed that: (1) Neolithic wet-rice farmers from the lower Yangtze retained local morphological characteristics, but were nevertheless morphologically more similar to Neolithic and later populations in northern China, which was home to early millet farmers, than to Neolithic populations in south China; and (2) Neolithic and later agricultural populations in East Asia were morphologically homogeneous compared to pre-Neolithic hunter-gatherer groups even though the area occupied by both was equally vast. These results suggest, respectively, that: (1) Middle Neolithic wet-rice farmers in the Yangtze Delta experienced significant gene flow from regions of northern China such as the Central Plains and Shandong even though there is currently no evidence that millet cultivation itself had yet reached the delta region; and (2) Neolithic populations resulting from interaction between the Yangtze Delta and northern China dispersed widely across much of East Asia including the Japanese archipelago together with the spread of wet-rice agricultural technologies. These two proposals are paralleled by recent stable isotope analyses using tooth enamel and bone collagen, as well as archaeological evidence from Shandong. Finally, a facial approximation was conducted using a cranium (M252) excavated from Guangfulin for the purpose of visually expressing the results of this study.
著者
谷口 浩和 宮澤 秀樹 能登 啓文 泉 三郎
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.70-72, 2005
参考文献数
9
被引用文献数
1

背景. 気管支異物は, 健常若年成人に生じることは極めて稀である. 症例. 33歳の男性で, 主訴は咳嗽と発熱であった. 甘海老の頭部の入った味噌汁を飲んでいた際に強くむせた. その後, 咳嗽が続き, 強く咳をすると甘海老の足が喀出され, 発熱も出現したため, 当科を初診した. 気管支鏡にて, 中間幹内をほぼ閉塞する甘海老の頭部を認め, 把持鉗子を用い摘除した. 摘除後は, 数日の抗生剤投与にて症状の軽快をみた. 結論. 患者背景にかかわらず, 誤嚥の疑われる病歴があった場合には気管支異物の可能性を考えることが重要であると思われた. 気管支異物は, 小児や高齢者に多く発生し, 健常若年成人に生じることは極めて稀である. 今回我々は, 健常若年成人にみられた甘海老の頭部による気管支異物の1例を経験したので報告する. 症例 症例:33歳, 男性. 主訴:咳嗽, 発熱. 既往歴:特記すべきことなし. 職業歴:営業. 生活歴:喫煙歴はなし. 飲酒は, 機会飲酒. 現病歴:2004年6月22日, 甘海老(Pandallus eous, northern shrimp/pink shrimp/deep-water shrimp)の頭部の入った味噌汁を飲んでいた際, 何かが気管に入った感覚があり強くむせた. その後気管内に何かあるような違和感と咳嗽が続き, 強く咳をすると甘海老の足が喀出され, 軽度の呼吸困難が出現した.
著者
中路 恭平 藤本 淳也 間野 義之 本間 浩輔 齊藤 隆志
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会号
巻号頁・発行日
no.54, 2003-08-26

オリンピックや各種競技会において、プロスポーツ選手のオープン化が進んでいる。そしてがんばれニッポンキャンペーンの適用除外選手にみるように、競技選手自らもプロ宣言するようになった。今日では世界レベルを目指した競技スポーツがプロスポーツと大きく関連していることは否めない。また競技力向上ばかりでなく、プロスポーツはスポーツを広く振興するうえで重要な役割を担う。スター選手の活躍が人々に希望と感動を与え、子供には夢を与え、あこがれの選手の活躍が競技活動の動機付けとなっている。そして、その人気が入場料や放映権料収入などクラブや球団経営を支える大きな要素になっている。
著者
福元 健太郎 前田 幸男 飯田 健 大村 華子 籠谷 公司
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、国内外の政治的・経済的な出来事が内閣支持率に対して複雑な影響を与えることを明らかにした。この影響は、時期によって大きく異なることはなかった。また、韓国と北朝鮮に関する報道がそれらの国々に対する好き嫌いの度合いに影響すること、経済に関する報道が内閣支持率に影響することも明らかとなった。さらには、各個人が内閣を支持する確率は収斂することが明らかとなった。これは、内閣が存続すればするほど、情報が行き渡るためである。
著者
網中 昭世
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.72-84, 2021-06-17 (Released:2021-06-17)
参考文献数
18

本稿は、コロナ禍で活動を大幅に制限されたモザンビークの首都マプト都市圏のインフォーマルな越境貿易業者(ICBT)の視点を通じ、インフォーマル経済を取り巻く環境の急激な変化を捉えるものである。本稿では、現地の調査協力者によるICBTへの聞き取りを通じ、ICBTとの関係が深いインフォーマル経済の末端の露天商をめぐる状況の変化を明らかにすると同時に、コロナ禍における移動にかかわる制約に直面するICBT自身の対応を詳らかにし、インフォーマル経済の社会経済的役割について再検討する。
著者
武村 裕之 守川 恵助 今岡 泰憲 稲葉 匠吾 楠木 晴香 天白 陽介 橋爪 裕 廣瀬 桃子 鈴木 優太 畑地 治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.131-135, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
14

【目的】本研究は急性期呼吸器疾患患者における筋力トレーニングの回数が筋肉量に及ぼす影響について調査する.【対象と方法】対象は介入時に病棟ADLが自立していた急性期呼吸器疾患患者20名を介入時期により低回数群(以下L群)12名,高回数群(以下H群)8名に分類した.L群が修正Borg scale 3,H群は修正Borg scale 5 に達するまで筋力トレーニングを実施した.【結果】筋力トレーニングの回数は上肢がL群で54.5回,H群が182.6回,下肢においてもL群で69.0回,H群が182.0回で有意差を認めた.介入前後の筋肉量の比較では上肢がL群で介入時 4.4 kg,退院時 3.8 kg,H群で介入時 3.8 kg,退院時 3.6 kgと有意差を認めなかった.下肢においてもL群で介入時 13.8 kg,退院時 13.4 kg,H群で介入時 10.9 kg,退院時 11.0 kgと有意差を認めなかった.【結語】急性期呼吸器疾患患者に対する筋力トレーニングの回数は退院時の筋肉量に影響を及ぼさなかった.
著者
今岡 泰憲 廣瀬 桃子 山口 みさき 天白 陽介 塩津 裕康
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.442-449, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
27

要旨:本研究の目的は,急性期病院において作業療法士が肺炎患者の病棟トイレ自立使用可能・不可能を判断する下肢機能評価のカットオフ値を算出することである.研究デザインは横断研究とした.対象は肺炎患者56名,調査項目は,SPPB,TUG,膝伸展筋力とした.結果,病棟トイレ使用可能・不可能に関連する因子としてTUGが抽出され,カットオフ値:11.8秒,AUC:0.807,感度:69.4%,特異度:89.5%であった.作業療法士は,算出されたTUGのカットオフ値:11.8秒を用いることで,観察による主観的な評価だけでなく,客観的な評価基準に基づいて,病棟トイレ自立使用可能・不可能を判断することが可能となる.