著者
永田 明徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = THE JOURNAL OF THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFOMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.142-146, 2008-02-01
参考文献数
23
被引用文献数
2

人間同士がコミュニケーションを行うとき,相手の頭部の動きと眼球運動からなる視線の位置や表情など,音声以外の様々な視覚情報が重要となってくる.また,マガーク効果などに見られるように,発話時の視覚情報である口の形状と音声による聴覚情報とが矛盾する場合,視覚情報が優位となることも知られている.ここでは,人間とコンピュータがより自然なコミュニケーションを行う際に重要となる顔から得られる視覚情報を中心とした様々な非言語情報について概説し,顔の表情や発話時の顔の生成について紹介する.
著者
細川 友秀
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.115-123, 2008-09

新生児期から幼児期における言語習得は,大脳における複雑な神経系ネットワークの形成と更新に依存する。母親や家族などの話し相手の音声を聴覚で,また,表情や反応を視覚や皮膚の触覚で捉えるなど様々な刺激を大脳の神経細胞が受け取り,多数の脳神経細胞が関わって正しく言語が習得され記憶される。言語習得の過程は侵入抗原に対する免疫反応の過程と驚くほど類似している。私たちの身体に侵入した抗原は免疫細胞を刺激して免疫反応を誘発し,反応が進むにつれて免疫系はその抗原の識別の精度を増し,その抗原を記憶する。この過程には抗原の立体構造を特異的に識別するきわめて多数の免疫細胞が関わる。神経系が外界からの多様な刺激を感覚器官で捉えて処理するのに対して,免疫系は神経系が捉えられない感染などによる抗原刺激を捉えて処理する。この意味で両者は広義の感覚系として必須の役割を果たし,その仕組みが類似すると考えられる。ここではその類似性について考察した。Language learning in infancy depends on the formation and renewal of complex neuronal networks in the cerebrum. Many neurons in the cerebrum receive signals from sensory neurons that transmit the excitation of sense organs stimulated by sounds, voice, and expression of mother and someone to talk to, resulting in the progress of proper and accurate language learning and memory formation. The process of language learning seems amazingly similar to that of an immune response with immunological memory formation. Thus, an antigen that invades our body can stimulate immunocompetent cells that distinguish specifically the third dimensional shape of the antigen, resulting in an antigen-specific immune response. During the immune response, our immune system improves accuracy of the antigen recognition and produces memory cells. The nervous system perceives various stimuli from the environment and the immune system senses infectious agents that the nervous system is unable to perceive. Thus, broadly speaking, the two systems sense environmental stimuli and they have a similar mechanism crucial to our survival. Here, I discuss similarities shared by the two systems.
著者
中野 良樹 伊藤 由美
出版者
JAPAN SOCIETY FOR RESEARCH ON EMOTIONS
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.195-208, 2009
被引用文献数
2 1

Human communication of emotions is achieved through both facial and vocal information. The purpose of this study is to investigate the dominant sensory modality in recognition of emotions to the multi-modal expression. In Experiment 1, expressions of happiness, surprise, sadness, or aversion was presented vocally, facially, or in both modalities through the expression of an interjectory word "eh". Participants were required to judge the emotion that was expressed. In Experiment 2, recognition of conflicted emotions between modalities was investigated by combining different emotions between facial and vocal expression. Results of the two experiments indicated that the observers predominantly recognized happiness and surprise that was expressed facially rather than vocally. Furthermore, the expression of happiness was often mistaken as surprise, and the expression of sadness was often mistaken as aversion. Importantly, however, the reverse of these mistakes was little observed. Such the asymmetries of confusion were consistently obtained in every modality including bimodal presentations. This evidence is suggestive that an amodal processing system exists in multi-modal recognition of emotions.
著者
生駒 忍
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.110-110, 2009

生駒(2008)は,笑いのオノマトペが表現する笑い声の大きさと笑い感情の強さとについて,定量化した上で次元性を検討し,笑い声は1次元とみなせるが笑い感情はそうではなく2次元であるという,次元性の乖離を報告した。では,笑いの視覚的な現れである笑い表情についてはどのようになるだろうか。そこで本研究では,大学生58名を対象として質問紙調査を行い,笑いを表現する7種のオノマトペについて,感じられる笑い表情の強度を数値で評定させた。この評定値に因子分析を行い,適合度を検討したところ,3因子解を許容する結果が得られた。よって,オノマトペが表す笑い表情の強さは,笑い声とも笑い感情とも異なる次元性を示すことが明らかになった。
著者
伊東 和廣 望月 要 大西 仁 中村 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.191, pp.49-52, 2009-09-03
参考文献数
5
被引用文献数
6

人間は音声言語を使ってコミュニケーションする場合でも,相手の表情から様々な情報を読み取り,それによって音声情報を補うことでコミュニケーションを円滑にしている.特に音声の補完を行う場合には,話者の口唇の動きから聴覚だけで聞き取れなかった情報を補っていると考えられる.本稿は,発話内容の聞き取りにおける,発話者の顔面の視覚情報の役割を実験的に検証したものである.実験では,短文を発話する映像を用いて,「音声のみ」を聞いた場合と「音声+顔映像」を提示した場合とで音声聞き取りの正確さの比較を行った.この時,音量の異なるノイズを音声に重ね合わせることで,聞き取りの難易度と,顔映像の聞き取り貢献の関係を探った.同時に,被験者の視線の動きをアイマークレコーダで計測し,視線の動きと音声補完との関係を調べた.その結果,ノイズを付加しない場合には,顔映像を提示しても音声の聞き取り率は向上せず,被験者は発話者の目元を注視する傾向が認められたのに対し,ノイズがある場合には,顔映像を提示することで音声の聞き取り率が向上し,被験者は発話者の口元を注視することが多いことが明らかになった.このことは,音声言語を主体とするコミュニケーションにおいても,音声情報が劣化した場合には,視覚情報を利用して音声を補完していることを示している.
著者
田中 章浩 小泉 愛 今井 久登 平本 絵里子 平松 沙織 de Gelder Beatrice
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.42-42, 2010

情動認知の文化差に関しては、顔の表情を用いた研究を中心に検討が進められてきた。しかし、現実場面での情動認知は、視覚・聴覚などから得られる多感覚情報に基づいておこなわれている。そこで本研究では、顔と声による多感覚情動認知の文化差について検討した。実験では日本人およびオランダ人の学生を対象に、情動を表出した顔と声のペア動画を提示した。顔と声が表す情動が一致している条件と不一致の条件を設けた。声を無視して顔から情動を判断する顔課題と、顔を無視して声から情動を判断する声課題の2種類を実施した。実験の結果、オランダ人と比べて日本人被験者では、顔課題における不一致声の影響が大きく、声課題における不一致顔の影響が小さかった。この結果は、日本人は多感覚情報に基づいて情動を認知する際に、声にウェイトを置いた判断を自動的におこなっていることを示唆している。
著者
井上 義文 居倉 裕子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.EbPI1400-EbPI1400, 2011

【目的】<BR> 当施設では、理学療法士の個別の関わり方には限界があるため、より多くの利用者にリハビリテーションを提供するために、集団体操を行っている。集団体操は、画一的かつマンネリ化しやすいという側面があるため、これの活性化を図るために、平成21年8月より音楽を取り入れた集団体操を試みた。今回は、集団体操に音楽を介入させたことによる利用者の参加状況の変化について報告し、集団体操の特性および可能性について考える機会としたい。<BR><BR>【方法】<BR> 入所者に対し、運動機能の維持・向上および運動機会の確保を目的に行っている集団体操(2回/週、20~30分/回)に、音楽を介入させる。音楽の介入方法は、以下の通り。理学療法士1名は、インストラクターとする。季節感や記憶に作用するような話を交えながら、運動量を調節しつつ、集団体操の進行役を務める。もう1名の理学療法士は、運動の動きやテンポに合わせ、利用者の反応に応じたピアノ伴奏を行う。体操中の伴奏は、運動の動きやテンポに合わせた伴奏と、利用者の好みに合わせたものや季節感をとりいれた曲を演奏し、利用者が歌いながら体操をする場面もある。使用器具として、電子ピアノ(カシオ社製Privia PX-120)を用いた。集団体操への参加状況については、各階毎に、音楽導入前後の10回について、利用者の反応を「自発的に参加」「促しにより参加」「拒否」「無関心」の4つに分類し、比較した。また、集団体操に関わったことのある介護職員を対象に、音楽導入前後の利用者の集団体操時の様子について、アンケート調査を行い、「良くなった」「変わらない」「悪くなった」から答えを一つ選択し、また、気づいた点を自由記載してもらった。<BR><BR>【説明と同意】<BR> 利用者・家族には、リハビリテーション実施計画の説明とともに、本研究について十分な説明を行い、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR> 2階入所者(平均要介護度;3.1)は、10回の延べ参加人数合計は、音楽導入前:218人、音楽導入後:248人。音楽導入前の反応は「自発的」:142人・65.1%、「促し」:41人・18.8%、「拒否」:13人・6.0%、「無関心」:22人・10.1%。音楽導入後の反応は「自発的」:179人・72.2%、「促し」:32人・12.9%、「拒否」:12人・4.8%、「無関心」:25人・10.1%。職員アンケートの結果は、「良くなった」:9名・81.8%、「変わらない」:2名・18.2%、「悪くなった」0名・0%であった。3階入所者(平均要介護度;3.6)は、10回の延べ参加人数合計は、音楽導入前:291人、音楽導入後:278人。音楽導入前の反応は「自発的」:151人・51.9%、「促し」:61人・21.0%、「拒否」:25人・8.6%、「無関心」:54人・18.5%。音楽導入後の反応は「自発的」:168人・60.4%、「促し」:50人・18.0%、「拒否」:21人・7.6%、「無関心」:39人・14.0%。職員アンケートの結果は、「良くなった」:12名・100%、「変わらない」:0名・0%、「悪くなった」0名・0%であった。以上の結果から、概ね、利用者の反応が良い方向へ変化したことが確認できた。<BR><BR>【考察】<BR> 昨今、高齢者が音楽で得られる効果には、様々な報告がある。それは、身体的、生理的、心理的、社会的(対人)なプラス効果である。今回、集団体操にピアノ伴奏を取り入れたことで利用者の反応が良好となり、参加状況が改善した。これは、ピアノ伴奏の意味合いは、バック・グラウンド・ミュージック的なことではなく、利用者の反応や体操の内容に合わせてピアノ伴奏することが、利用者の興味をひき、このような結果につながったと思われる。また、随時、テンポや音の強弱の調整が可能であるため、体操の内容にメリハリがつき、利用者が最後まで集中して参加したり、歌に合わせて体操したりすることで、あまり疲労感を感じることなく、運動量を確保できた。コミュニケーションの観点からも、音楽を介入させることにより、理学療法士側の非言語メッセージ(顔の表情、声の表情、身ぶり等)が強調され、利用者と良好な関係性を築き、活気ある集団体操となった。当施設の「集団体操」の主目的は「より多くの利用者を対象に、身体機能維持・向上のために、効率よく効果的に運動させること」であったが、音楽を取り入れたことにより、様々なプラス効果が得られ、体操の内容だけではなく、導入や進行方法も再考するいい機会となった。今後も、理学療法士の専門性、音楽のもつ特性、そして集団体操という環境条件を生かしながら、今後は当施設のオリジナルとなるよう、さらに工夫を重ねていきたいと思う。<BR> <BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 音楽を介入させることで、集団体操を活性化することが出来た。音楽の特性を生かしながら、理学療法士の専門性を発揮することの重要性が伺えた。
著者
高木 幸子 平松 沙織 田中 章浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.283, pp.51-56, 2011-11-03
参考文献数
19

本研究の目的は,日本人による感情を含んだ表情と音声を組み合わせた刺激セットを作成するため,音声動画を収録し,評価実験を行うことであった.日本人では,基本6感情を表した表情・音声動画を21人のモデルで収録し,8名(男女各4名)を選出した.これらのうち,基本6感情の表現に焦点を当て,576(8(モデル数)×6(感情の種類)×4(発話内容)×3(繰り返し))の動画を,表情のみ・音声のみで被験者99名に呈示し,カテゴリカルな感情判断を求める評価実験を実施した.その結果,正答率は表情と音声の両方において喜び感情がもっとも高く,恐怖感情はもっとも低いことが示された.また,表情と音声の比較においては,概ね表情の方が音声よりも正答率が高いことが示唆された.さらに,恐怖感情については表情よりも音声において正答率が高いことが示唆された.本稿では評価実験における正答率および回答率を混同行列にまとめ,統計的分析結果についての解釈を行い,作成した刺激の信頼性を評価するとともに,日本人の表情と音声による感情理解の傾向を考察した.
著者
篠原 一之
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.S6-4, 2012

最近、自閉症や注意欠陥障害などの発達障害が増加していることや、疾患とは診断されない、衝動的暴力、ひきこもり等の思春期問題行動が増加していることから、対人関係の問題と化学物質の関連性が指摘されている。 しかし、対人関係能力の定量的評価法が確立されていないため、それら対人関係の病態・病因は明らかにされていない。つまり、これまでの対人関係能力の評価は、医師の問診・行動観察による診断や心理アンケートによる調査であり、定性的評価の域を出ず、定量的評価が行われてこなかったのである。 そこで、我々はPCベースの思春期以降の対人関係能力評価法を確立し、検証を行ってきた。①情動認知能力評価課題(モーフィングテクニックを用いて情動表出強度を変え、表情や音声から相手の情動を読み取る能力を測定)を用いて、思春期生徒の表情と音声による情動認知能力とダイオキシン受容体(AhR)遺伝子多型が相関していることを明らかにした。また同じ課題を用いて、自閉症群と健常群を比較したところ、自閉症群は音声による情動認知能力は低下するが、表情による情動認知能力はあまり低下してないことも示した。その他、②衝動性評価課題、③不安、孤独感、ネガティブ感情評価課題を用いて、それら項目と化学物質の影響を受けうるホルモンの濃度との相関等を見いだしている。 一方、化学物質の脳への毒性作用は、胎児期に起こると考えられているので、直接的に「化学物質の母体血中濃度や新生児体血中濃度」と「児の対人関係行動」の相関を調べるためには、乳幼児の対人関係能力を調べなければならない。我々は、乳幼児期の対人関係行動の定量評価を行うための手法(④共感性、⑤衝動性)を開発し(PC上のプログラムを用い、画像や音に対する乳児の反応を記録)、現在、コホート集団における母と子のPCB類濃度と乳児期の対人関係行動能力との因果関係について検討している。
著者
瓜生 幸太郎 花沢 俊明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.227, pp.17-20, 2012-09-27
参考文献数
4

会話において人は,言語情報だけではなく,身振りや声,表情など非言語情報と含めて総合的に相手の意図を判断する.その中で,身振り手振り,うなずき,姿勢,表情といった非言語行動は大きな役割を持つ.我々は,他者から説明を受けた際に生じる被説明者の頭部領域の動きから被説明者の理解度の把握ができないかと考えた.本研究では,説明者と被説明者の動きの同調や動きの傾向から非言語行動による被説明者の理解を知るため,説明者と被説明者の動き情報の相互相関を用いて,定量的な被説明者の理解の把握及び指標の算出を試みた.
著者
相澤 侑斗 片桐 恭弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.238, pp.11-14, 2012-10-06
参考文献数
10

表情や環境などの視覚的情報や音声などの聴覚的情報を基に他者の心理的状態を推測し、他者とコミュニケーションを行なっている。特にヒトは霊長類現生種の約半数の内で眼裂横長度及び強膜露出度が最大であり、唯一強膜に色素がなく白色である[1]ことからもヒトの眼はコミュニケーションに特化した形状であることがわかる。しかしながら、この眼裂のみに着目した研究は少なく、小文ではこの眼裂の変化に着目し基本6表情の判別実験の結果からどのような傾向が見られたかを記述する。
著者
高木 幸子 田部井 賢一 HUIS IN'T VELD Elisabeth GELDER Beatrice de 田中 章浩
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.29-39, 2013

Information derived from facial and vocal nonverbal expressions plays an important role in social communication in the real and virtual worlds. In the present study, we investigated cultural differences between Japanese and Dutch participants in the multisensory perception of emotion. We used a face and voice that expressed incongruent emotions as stimuli and conducted two experiments. We presented either the face or voice in Experiment 1, and both the face and voice in Experiment 2. We found that both visual and auditory information were important for Japanese participants judging in-group stimuli, while visual information was more important for other combinations of participants and stimuli. Additionally, we showed that the in-group advantage provided by auditory information was higher in Japanese than Dutch participants. Our findings indicate that audio-visual integration of affective information is modulated by the perceiver's cultural background, and that there are cultural differences between in-group and out-group stimuli.
著者
宮澤 史穂 高木 幸子 田中 章浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.149-154, 2013-03-04

本研究は,複雑な高次感情について概念構造(研究1)と,認知および表出(研究2)の2つの側面から検討を行った.研究1では質問紙を用い,高次感情にどの程度基本6感情が含まれているかを,それぞれ7段階で回答させた.研究2では参加者は,基本6感情を表す表情と音声を組み合わせて,指定された感情を最も適切に表すような発話動画を作成することを求められた.その結果,本研究で扱った6種類の高次感情は,概念構造と,認知および表出において共通した4つの基本感情の組み合わせに分類された.したがって本研究では,少なくとも一部の高次感情は,基本6感情の組み合わせによって説明できることが示唆された.
著者
森田 紗也子 中野 良樹
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.9-16, 2013-03-31

The purpose of this study is to investigate whether the familiarity of a face affects on recognition of emotion which expressed by face and voice. In the experiment, participants observed a video image of one woman who has selected among four women, the two were known for the participant and the others were not. The woman expressed one of four emotion, happiness, surprise, sad and disgust, via face and voice. In these stimuli half of them expressed the same emotion from the face and the voice, while the other half expressed the different emotion between the two modalities. The observers were required to assess how much they felt the four emotions from the expression of that woman. Results suggested that the participant predominantly recognized surprise and disgust that were typical expression among the four emotions when they observed a familiar woman. Furthermore, the familiarity let an observer to proceed information and predominant modality, when the participants recognized happiness and sadness that were involved surprise and disgust respectively.
著者
髙木 幸子 平松 沙織 田中 章浩
出版者
Japanese Cognitive Science Society
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.344-362, 2014

This study aims to further examine the cross-cultural differences in multisensory emo-<br>tion perception between Western and East Asian people. In this study, we recorded<br> the audiovisual stimulus video of Japanese actors saying neutral phrase with one of the<br> basic emotions. Then we conducted a validation experiment of the stimuli. In the first<br> part (facial expression), participants watched a silent video of actors and judged what<br> kind of emotion the actor is expressing by choosing among 6 options (i.e., happiness,<br>anger, disgust, sadness, surprise, and fear). In the second part (vocal expression), they<br> listened to the audio part of the same videos without video images while the task was<br> the same. We analyzed their categorization responses based on accuracy and confusion<br> matrix, and discussed the tendency of emotion perception by Japanese.
著者
金杉 高雄
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-36, 2014-03

「毎度 ! 儲かってまっか 」,「えぇ、ぼちぼちでんなぁ」。大阪人のことばの文化, 話の本題へ入る前のこのようなあいさつの文化の背後にはその地域の人々にしか分からない伝えることばの奥深さがある。ことばを使って相手に自分の意図を伝える場合, 直接的もしくは間接的に伝える方法がある。話し手が字義通りに解釈することを聞き手に期待するのではなく, 言外の意味を読むことを聞き手に期待する間接的な表現の場合, ことばと真意との間にはギャップが生じる。間接的に自分の意図を相手に伝える場合では, 聞き手はそのことばの背後に隠された素顔の人間心理を顔の表情, 声のトーン, 身振り, 手振り等から読み取らなければならない。このような自分の意図するところを字義通りではなく間接的に相手に伝える活動は人間のみが発達させた手法である。そこでは, 時にメタファー・メトニミーのレトリックが用いられる。言外の意図を探ることを話し手が聞き手に求める人間心理の背後には話し手の置かれた状況と生まれ育った環境、経験からの背景知識が相互に関わりあっている。話し手が伝えたい真の意図を聞き手がうまく捉えられない場合に考えられることは認知主体間の主観性が大きく影響を及ぼしていることである。