著者
北山 夕華
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、イングランドとスコットランドのシティズンシップ教育についての政策分析と現地調査により、両国におけるシティズンシップ教育政策の社会的・政治的背景について検討を進めた。両国に共通しているのは、グローバル化とそれにともなう共同体内部の文化的多様性の深化を受け、その対応をシティズンシップ教育が担っている点である。一方、連合王国(UK)、EUといったより上位の共同体との関係性や、文化的多様性をめぐる課題の違いが、両国の国民/市民概念の形成への姿勢に影響を与えていることが分かった。特にスコットランドにみられる国民国家をシティズンシップの第一義的な帰属先としないアプローチは、シティズンシップ教育におけるポスト・ナショナルな次元と多文化社会における統合が両立しうる可能性を示唆するものである。
著者
中山 幹康
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

国際河川や国際湖沼の流域国が,「エスポー条約」に準拠する越境環境影響評価の枠組み策定に合意する要件は,カスピ海のように流域国への悪影響が非対称的ではなく全ての流域国が影響を受ける場合,カナダと米国間の国際河川のように幾つかの河川では一方の国が上流国であるが他の河川ではその国が下流に位置するという地政学的な関係にある場合,メコン川のように地域内での経済的な統合が進み流域国間には相互依存関係が存在する場合,であることが判明した。
著者
一ノ瀬 孝恵
出版者
広島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

生物多様性条約第10回締約国会議(2010年10月名古屋)が開催され,SATOYAMAイニシアティブを含む持続可能な利用,バイオ燃料,農業,森林,海洋など各生態系における生物多様性の保全及び持続可能な利用に関わる決定の採択などがなされた。人と自然との共生を考える取組みが今こそ社会レベルでも生活レベルでも実践されなければならない。そこで本研究では,世界最古の薬学書「神農本草経」に記述され薬効のある食材「小豆」を切り口に,家庭科からESDへのアプローチを試みた。具体的には,コスタリカを訪問し,多様な自然環境を体験するとともに,豆を使用したコスタリカの代表料理ガジョピントの調理方法を現地の方から学ぶなど,環境に配慮した生活や食生活についての資料収集を行った。また,有志生徒と本校グランド横にある広い荒地を開墾し,小規模ではあるが有機の畑を作った後,小豆や十六ささげ,じゃがいも,だいこんなどの栽培を行なったり,農家に出向いて作物の収穫体験をすることで,都市部での生活において自然を上手に利用する方法や自給食材を使用したバリアフリーな料理を考えさせた。さらに「豆食文化と未来の食卓」と題し,切り口の小豆をはじめ,コスタリカで取材したフリーホール豆やガジョピントなどの資料を組み込み,マメ科植物に共生する根粒菌の力について荒地開墾を熱心に行う生徒に調査発表させたり,家庭とも連携を取りながら,豆を知り,豆を極め,豆を活かす授業実践を試みた。豆は乾燥することで長期の保存ができるため,世界中で利用されており,多くの個性豊かな豆料理や加工食品がある。豆を中心にした栽培を体験させ,世界のさまざまな国の人々が培ってきた豆食文化を理解させることにより,人と自然との共生とは,未来の食卓のあり方とはどうあるべきかを考えさせることができた。
著者
木戸 雅子 鈴木 杜幾子 大原 まゆみ
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

従来日本のみならず、西欧でもほとんど研究対象とされてこなかった独立戦争以後のギリシャの近代絵画を、ヨーロッパとギリシャ側からの視点で検証した。ギリシャ近代絵画の創生期には、主としてドイツ(バイエルン)の画家(P.フォン・ヘス等)の描いた独立戦争をテーマにした絵画が、ギリシャ人画家の手本となり主題や表現様式などにおいて、その後の近代ギリシャ絵画の方向づけに影響を与えたというその過程を追うことができた。
著者
小山 恵美 仲 隆介 松本 裕司
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

執務空間の光環境を非定常的に時間変化させるようにデザインすることで、知的「ひらめき」につながる覚醒度、自律神経活動、心理状態などを含む生理的・心理的活性度が向上する傾向がみとめられた。また、心拍変動をモニターし、ワーカー個人の生理的・心理的活性度変動を反映した光環境の制御タイミングを盛り込むことで、光環境の非定常的時間変化が知的「ひらめき」につながる活性度に及ぼす影響が増大する可能性がみとめられた。
著者
三島 一晃 小川 月彦 北岡 隆 藤川 亜月茶 今村 直樹 三島 一晃
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

(1)光刺激による網膜色素上皮の変性ラット網膜に光刺激を与えることで感覚網膜や網膜色素上皮が変性するか検討した。Wister Kyotoラットに強度の緑色光を24時間照射し、電子顕微鏡にて網膜を観察した。網膜の他の層に著変は無かったが、視細胞外節の蓄積と網膜色素上皮細胞の変形を認めた。光毒性による酸化ストレスや視細胞外節の蓄積で生じる酸化ストレスの影響で網膜色素上皮が変性し、加齢黄斑変性が誘導されると推測した。次に酸化ストレスが循環ホルモンであるレプチンによって誘導されることを検討したかったが、生体では困難であり、培養細胞で研究した。(2)レプチンによる酸化ストレス培養網膜色素上皮細胞と血管内皮細胞にレプチンが酸化ストレスを与えるか検討した。具体的には、網膜色素上皮細胞ARPE-19および血管内皮細胞EA hy926に活性酸素マーカーであるH_2DCFDAを導入した。その後様々な濃度のレプチンに曝露し、活性酸素を測定した。その結果、EA hy926においてレプチン1000ng/mlの曝露で活性酸素が有意に増加した。ARPE-19では活性酸素の増加はみられなかった。今回の研究では高濃度のレプチンが網膜色素上皮細胞ではなく、血管内皮細胞において酸化ストレスを生じることが示された。(3)色素上皮由来因子(PEDF)によるレプチン酸化ストレスの抑制レプチンの酸化ストレスを抑えるため、PEDFが有効か検討した。レプチンの溶液にPEDFを加え血管内皮細胞EA hy926の活性酸素を測定した。100nMのPEDFを加えると活性酸素の増加はみられなかった。PEDFは血管内皮細胞においてレプチンによる酸化ストレスを減少させる事がわかった。以上の研究により、色素上皮由来因子はレプチンによる酸化ストレスを減少し加齢黄斑変性を抑制する可能性がある事が示唆された。
著者
松田 磐余 宮野 道雄 荏本 孝久 正木 和明 瀬尾 和大 〓木 紀男
出版者
関東学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

平成10年8月25日から荏本・正木・前田、および、〓木(関東学院大学の研究費で参加)がカラカス市に赴き、ベネズエラ地震研究所研究部長ヘルベルト・レンドン、主任研究員のミヒャエル・シュミッッなどと、本年度の研究実施計画について打ち合わせ、12月に開かれるワークショップにベネズエラ側研究者の来日計画について同意した。同時に、カラカス盆地内で建物の常時微動の測定を、ベネズエラ側研究者と協力して実施した。その結果、カラカス市内で42棟、バルキシメト市内で11棟のビルディングの自然周期を観測できた。観測結果をベネズエラ、日本の両者で解析し,、クイックレポートを作成した。12月5日には、研究分担者の瀬尾と〓木がそれぞれ研究代表者になっている国際学術研究(共同研究)と合同で、ワークショップを開催した。このワークショップにベネズエラ地震研究所より、ミヒャエル・シュミッツとホルヘ・ゴンザレスを招聘し、昨年のカリアコ地震についての調査結果の発表を求めるとともに、常時微動測定結果の解釈・カラカス盆地の地形などについて検討した。さらに、カラカス盆地のゾーニングとビルディングの危険度について検討を加えた。2年間の調査期間では短すぎるため、来年度の国際学術研究(共同研究)に荏本を代表者として、再度補助金を申請し、幸いにも採択された。
著者
中村 敦雄
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,これまで教科書に印刷された文字教材が学習における中心を成してきた国語科にあって,映像や図表等もテクストとして位置づけ,メディアの技術革新に対応させた「よむ」学習活動を支える理論的基板を解明することを目ざした。そのアプローチとして,戦前から現代にいたる広範な期間における「よむこと」の実態を解明するとともに,周辺関連分野の先行研究を渉猟し,理論的な枠組みを解明した。また,試行的な教育実践等を対象とした参与観察研究として,群馬大学の附属学校において実証実験を行い,国語科としての新しい学習指導のあり方の概容を解明した。
著者
玉村 公二彦
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

該の研究期間内に障害者権利条約を批准した国はおおよそ100ヵ国となった。障害者権利条約の第24条は、教育の条項であり、障害のある子どもを含めたすべての子どものためのインクルーシブ教育を発展させることを求めている。本研究では、権利条約の批准を念頭において、アメリカ、イギリスやオーストラリアにおける教育システム検討した。当アメリカは、障害者権利条約を批准してはいないが、障害のあるアメリカ人法の下で、インクルージョンの多様な形態を教育条件の整備をともなって実施しており、また、高等教育等においては「合理的配慮」と同時に、「自己権利擁護」への支援が特徴として捉えられた。イギリスは、障害者差別禁止法のもとで特別ニーズ教育を進展させてきたが、2009年に障害者権利条約を批准したが、一般教育システムに特別教育を含むと解釈し、特別学校の位置づけをおこなっている点が特徴であった。オーストラリアも、イギリス同様障害者差別禁止法を制定していたが、障害者権利条約の批准にあたって、障害者差別禁止法を改定するとともに、2005年に「教育に関する障害基準」を制定し、「合理的調整(reasonable adjustment)」をインクルーシブ教育の中で具体化していた。日本での権利条約批准の視点として、差別の禁止の観点から学校教育における「合理的配慮」の具体化、特別ニーズ教育の実践などが重要視されよう。また、障害者権利条約の「非差別」の理解との関係で、特別学校や特別教育のシステムをどのように位置づけるのかという課題が残された。
著者
佐野 隆弥
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

大学才人の劇作家たちが1580年代から1590年代にかけて生成・発展させた演劇文化および散文文化の状況を、歴史的・政治的・宗教的コンテクストにおいて調査分析し、エリザベス朝後期における演劇文化ならびに散文文化と英国国教会との関係を、取り分け動態的諸相に注目しながら実証的に記述した。今回のプロジェクトでは特に、大学才人の中でも英国国教会体制との繋がりが緊密だと考えられる3人の劇作家──ロバート・グリーン、クリストファー・マーロウ、ジョン・リリー──に焦点を絞り、彼等の劇作の有りように影響を与えた政治・宗教的側面の特質とその限界を具体的に明らかにした。
著者
我部山 キヨ子 永山 くに子 坪田 明子
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

1.助産学担当教員198人に卒業時までに必要とする臨床経験回数と経験させたい技術を郵送による質問紙調査を行った。健康診査、助産技術、保健指導などの49項目のうち、経験必要と考える臨床技術で多かったのは、分娩監視装置の装着と判読、分娩経過中の産婦診察で、いずれの項目も、大学教員は他の教育機関の教員に比べると、有意に低率であった。また、7割以上の教員が経験させたい技術項目として挙げたのは、分娩時の酸素吸入、妊娠期の超音波診断、妊娠反応テストであった。2.助産師学生700人(有効回収率90.8%)に対して、卒業時の臨床技術経験の到達度調査を行った。全34項目の平均到達度は2.44で、時期別到達度の平均は分娩期が最も高く(2.60)、以下産褥期(2.47)、新生時期(2.42)、妊娠期(2.38)となった。全項目の平均到達度は専門学校が最も高く(2.55)、次いで専攻科(2.46)、大学(2.29)であった。学生による臨床技術到達度は、実習期間が長いほど到達度が高くなっており、実習時間数が短い大学教育への移行が進む昨今、助産教育における臨床実習のあり方を検討する必要性が示唆された。3.京都府内の産科を要する35施設300人(回収率84.7%)の助産師に対して、卒後教育に関する調査(調査内容:対象の属性、新人助産師の教育システム、施設における助産師の卒後教育とその内容など)を行った。年齢層は20歳代35.8%、30歳代29.9%であった。新人助産師の教育システムはプリセプター制度が最も多く、実践能力の査定時期は就職1年目が多かった。卒後教育上の問題としては、「時間がない」「受講料が自己負担」「助産師独自の内容が少ない」がほぼ半数を占めた。卒後教育の時期で最も重要な時期は1年目と2〜3年目で、卒後教育内容で最も求められているのは「産科救急」「新生児蘇生」「乳房管理」「異常周産期管理」「分娩診断」「分娩技術」でいずれも高次の知識・技術を要する内容であった。卒後教育では新人教育の重要性が指摘されており、卒前教育と卒後教育の連携に重要性が示唆された。
著者
鈴木 昌和 内田 誠一 岡本 正行 玉利 文和 藤本 光史 金堀 利洋 山口 雄仁 藤芳 明生
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

科学技術文書のスキャン画像を検索や音声や点字などのアクセシブルなデータに変換可能な電子データに変換するシステム構築に不可欠な数式認識と、数式を含んだ文書のレイアウト解析の高精度化に関する研究を行った。特に大量の頁の文書の電子化に有効な適合型認識システムのアルゴリズムを文字認識、数式構造解析、レイアウト解析の各レベルで開発し実装を行った。また、類似記号が多い数式の文字認識精度向上のため、サポートベクターマシンを用いた類似数学記号識別の評価テストも行った。
著者
水川 克
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グリオーマはグリア細胞由来の原発性脳腫瘍で、原発性脳腫瘍の約1/4を占める悪性脳腫瘍である。Olig2はグリア前駆細胞に発現し、オリゴデンドロサイトの分化に関与する転写因子である。しかし、Olig2はオリゴデンドログリオーマだけでなく、astrocytomaにも発現している。オリゴデンドログリオーマはアストロサイトーマよりも予後良好であることが知られており、オリゴデンドログリオーマではアストロサイトーマと遺伝子の発現パターンが異なっている。Olig2はグリア細胞の細胞周期を調節しているとも報告されている。そこで、悪性アストロサイトーマのうち、グリオブラストーマ(GBM)および退形成アストロサイトーマ(AA)でのOlig2の発現率と予後について詳細に検討し、Olig2遺伝子導入が治療ターゲットになりうるかについて検討した。(結果)対象はGBM : 43例、AA : 75例。118例のパラフィン包埋されたGBMあるいはAAの腫瘍サンプルを解析。症例は、1987~2007年に手術・治療を行い、追跡可能であった症例。平均Olig2陽性細胞率はGBM : 16. 0%(0~ 64. 7%)、AA : 45. 11%(0. 1~ 89%)であり、AAでは平均陽性細胞率が高かった。GBMではOlig2陽性細胞率の差による予後の差を認めなかったが、AAではOlig2陽性細胞率が40%以上と40%未満で分けると、生存期間中央値は40%以上の群で98. 6ヶ月、40%以下の群で30. 6ヶ月であり、2年生存率は40%以上の群で61%、40%以下の群で31%であり、有意に生存期間の延長を認めた。以上より、AAではOlig2発現細胞が多い方が予後良好である傾向があり、グリオーマにおいてOlig2を発現させることで、腫瘍の悪性度が低下する可能性があることが示唆された。(結論) Olig2の発現は、GBMよりもAAの方で有意に高く、Olig2の発現が高いAAは、発現量の低いAAに比べると、統計学的に生存期間が長かった。一方、GBMでは、Olig2の発現は予後と相関しなかった。以上より、AAではOlig2の発現を誘導することで、予後が改善する可能性があると思われた。
著者
萩原 守
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、崇徳3(1638)年のモンゴル文法規、康煕6(1667)年のモンゴル文法典、康煕35(1696)年のモンゴル文法典を比較研究し、清朝前半期における蒙古例の起源を問うという目的を持っていた。このうちまず、崇徳3年軍律と同年の漢文版軍律との対応関係を解明した。次にこの軍律は、康煕6年法典には含まれず、康煕35年に初めて蒙古例法典へ入ったことがわかった。さらに康煕35年版や後の乾隆年間の法典中の条文の改変状態より、八旗の法から蒙古例への編入という蒙古例形成課程の一類型を抽出できた。
著者
新藤 浩伸
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、市民文化活動の支援方策の国際比較として、(1)文化政策、生涯学習政策における市民活動支援プログラム、(2)民間の文化活動支援ネットワーク、(3)劇場を含めた文化施設・機関の教育プログラムという三つの観点から、イギリス(平成23年度)、アメリカ(平成24年度)、EU(平成25年度)における文化施設および団体の訪問調査を実施した。調査からは、ハイカルチャーだけでなく、文化多様性を重視し、福祉等の関連領域も視野に入れた多様な文化活動支援がなされていること。そして、民間の文化活動支援ネットワークが緊密に市民文化活動への情報提供およびエンパワメントを実施していることが明らかになった。
著者
麻田 豊 藤井 毅 石田 英明 ムイーヌッディーン アキール 萩田 博 粟屋 利江 AQEEL Moinuddin ムイーヌッディーン アオール ムイーヌッディーン アキ アキール ムイーヌッディ
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

1.南アジア近代諸語文献の所蔵調査を行う目的で、初年度の平成9年度においては、ヨーロッパ大陸では特にロシアとフランスに的を絞り、サンクトペテルブルグの東洋学研究所とパリの国立図書館において予備調査を行った。イギリスではロンドンの東洋学・旧インド省コレクション(OIOC)とロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)をはじめ、マンチェスター、エディンバラの図書館、また、インド・パキスタンでは各都市の文書館を精力的に訪問し、各言語による中世の写本や19世紀の刊本の文献所在調査・検索調査を遂行した。2.2年度目の平成10年度は、前年度のロシアとロンドンのOIOCとSOASにおいて重点的に文献所蔵調査を実行するとともに、ドイツとチェコにまで調査範囲を広げることができた。特に、ドイツではこれまで知り得なかった、写本に関する有益な知見を得ることができた。3.最終年度の平成11年度は、ヨーロッパではスペインとオランダ・ドイツを中心に調査を行った。インド・パキスタンにおいては、大都市の機関や図書館のみならず、これまで未訪問でありその所蔵状況が判明していなかった大小さまざまの図書館や文書館をできるだけ多く訪問した。また、各地のイスラーム聖者廟やモスクに附属する図書館および旧藩王国の図書室にまで調査範囲を拡大した。各年度において、最も基礎的な資料でありながらこれまで収集を怠ってきた各言語の写本・刊本目録の収集に力を注いだ。4.3年間の海外調査では、特にインド・イスラーム関係(ウルドゥー語・ペルシア語・アラビア語による)の写本目録類をかなりの量、収集することを大きな目的とした。これら写本目録は通常の図書流通ルートにのらないため入手が極めて困難であり、発行元の図書館をひとつひとつ訪問して収集することは今回のようなプロジェクトが組織されて初めて可能になったといえる。収集された目録類は量的にも我が国最大のコレクションであろう。ほかに、マラーティー語・パンジャービー語・マラヤーラム語の写本・刊本に関するかなり密度の高い所蔵情報が得られた。これらは分冊1の報告書として、また個別テーマ書誌として、カースト族諸関係およびインドの言語問題関係の文献目録を分冊2の報告書としてまとめることができた。
著者
松本 啓子
出版者
公益財団法人大阪市博物館協会
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

鎖国期、17世紀後半の輸入陶器のマジョリカ・アルバレルロは、寸胴形の壺で、foglie文の葉を縦に描く。ヨーロッパには部分的に一致するものはあるが、同一型式の壺はない。foglie文も16世紀後半に限られる。アルバレルロは同一規格の薬壺で薬局や病院の棚に並ぶ。これらを運営するカトリック修道院からの注文品である。マジョリカ窯調査例では、アルバレルロの窯の占有割合は高く、カトリックの意匠も見られることから、マジョリカ工房にとってカトリックは最上の顧客とみられる。宗教改革によるカトリック衰退に伴い、旧来のマジョリカ工房も17世紀に入ると廃れ、代わってカトリック色の薄い工房がオランダ語圏北部で台頭する。大坂出土品は後出の窯で注文焼成された可能性が高いことがわかった。
著者
塩野 義人 POUMALE POUMALE Herve Martial POUMALE POUMALE H.M
出版者
山形大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

【目的】カメルーンは中央アフリカに位置に生命活動が非常に活発な地域であり、未だ、多くの薬用植物の成分が明らかになっていない。そこで、今年度は、カメルーン産薬用植物に寄生する植物内生菌菌類より、生理活性物質を探索した。【平成22年度の研究結果】カメルーンの森林地域で、採取した薬用植物サンプルより分離した植物内生菌類の培養物のメタノール抽出物について、抗菌活性や細胞毒性試験を用いて、スクリーニングを行いカッコウアザミ(Ageratum conyzoides L.)の樹皮より分離された糸状菌Fusarium equieti SF-3-17を選択した。次にSF-3-17株の培養物をカラムクロマトグラフィーにより精査し、2種の物質(1,2)を単離することができた。それぞれのNMRを中心とした構造解析の結果、既知のネオフサピロンの新規誘導体であることが判明した。詳細に構造を解析したところ、両物質は、分子内にマグネシウムを含有し、二分子のネオフサピロンがピロン環を介して、マグネシウムに配位した非常にユニークな構造をしていることが判明した。次に抗菌試験を行ったところ、物質(1,2)は、モノマーのネオフサピロンと同程度で活性を示し、さらに、植物に対する根の伸長阻害活性試験おいては、既知のネオフサピロンと比較し、強い阻害活性を示すことがわかった。
著者
高瀬 将道
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

6次元球面に埋め込まれた3次元球面がすべて、1989年にデニス・ローズマンによって導入された部分多様体に沿うスピニングという操作で構成できることを示した。また、このような6次元球面に埋め込まれた3次元球面に対して定義されるある種のHopf不変量の取りうる値の考察を行った。さらに、3次元球面から4次元空間へのはめ込みに対して、そのボルディズム類をジェネリック写像による拡張に現れる特異点の幾何的情報から読み取る公式を与えた。
著者
宮脇 秀貴
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、従来のエンパワーメント研究では解明されてこなかった「経営理念・組織文化」と「組織成員」のインターラクションプロセスの解明に重点を置いたものである。理論的なフレームワーク作りを、新しい脳科学の分野等の文献(例えば、共感覚、社会脳、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚、乳児・幼児の心理やコミュニケーションの発達過程、組織の免疫力等)を用いて考えると共に、3年間、地元Jリーグクラブのイベントを私の研究室の学生を中心に行ってもらい、香川県庁や高松市、他大学の学生や高校生と協働していく過程で、文献研究等で得たエッセンスを学生に適用しながら彼らの成長を観察することでケースを蓄積してきた。