著者
三上 剛史
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.453-473, 1998
被引用文献数
1

「ポストモダン」とか「複合社会」とか呼ばれる現代社会において, 〈公共性〉はいかなる形で可能となるのか。これまでの公共性概念はハバーマスの「市民的公共性」に代表される近代市民社会の前提--「大きな物語」--に支えられたものであったが, 物語の衰退は公共性概念の曖昧化をも招来せずにはおかない。<BR>そこで, まずハバーマス型の公共性概念の変容を辿り, これを「大きな物語」の衰退に伴う物語の修復と捉え, そこに見られるモダン的要素を取り出したい。その上で, さらに, メルッチに代表される社会運動論の視点からも公共性問題を再考し, メルッチもまたハバーマスとは別の形でのモダン的物語の修復を志向している点を確認する。<BR>このようにして, 公共性論の抱える問題をハバーマスとメルッチに託して検討し, 彼らの到達した観点を批判的に摂取することで, これからのありうべき新たな公共性概念と公共空間の可能性に言及してみたい。<BR>NPO/NGOに代表される新しい「アソシエーション関係」を念頭におきながら, ルーマンの機能主義的視点とベックのリスク社会論を援用しながら, 試論的に論じたい。
著者
伊藤桂一著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1967
著者
雨宮 智宏 荒井 滋久
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.501-506, 2016-06-10 (Released:2019-09-26)
参考文献数
24

光学迷彩を実現するにあたっては,立体的な構造をもつ3次元メタマテリアルを作ることが必須となる.このような3次元メタマテリアルを簡易に作り上げる手法として,我々は「メタマテリアルを内包した有機薄膜フィルム(Metafilm)」を開発した.Metafilmの特長は,膜厚1µm以下の有機薄膜内にメタマテリアルを実装することで,所望の光学特性(誘電率・透磁率)をもったフィルムを実現できる点にある.本フィルムを重ね合わせることで,光学迷彩に必要な光学特性の3次元分布を,容易に作り出すことが可能となる.また,本稿の後半では,従来型の光学迷彩の枠組みを超える「非対称性」をもった迷彩を作り上げるための理論を述べる.本理論は,「空間の歪(ゆが)み」の代わりに「電磁場下における電子の動き」を介して光の軌道を考えることで,さまざまなタイプの非対称光学迷彩を汎用的に構成可能とする.
著者
長谷川 浩平 栗谷 良孝 足立 充司 新家 惠子 西井 諭司 藤田 芳一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.800-804, 2008 (Released:2010-02-07)
参考文献数
7
被引用文献数
8 9

In order to ensure that drug therapy is effective,it is important for patients to understand dosage regimens correctly and take drugs properly.For the purpose of enhancing compliance,we conducted a survey of the dosage forms and dosage regimens of choice for inpatients.The survey was conducted between March 1 and April 22,2005 and responses were obtained from 449 patients,aged from 3 to 92 years.Regarding number of doses,patients between 30 and 59 preferred a lower number of doses,but patients in their 70’s and older tended not to care so much about this.Patients who answered that they had missed doses accounted for 59.8 percent of the total,and missing doses tended to be more frequent after lunch when dosing regimens were three times a day,after meals.Patients desiring the Unite Dose Package (UDP) accounted for 37.9 percent,66.9 percent of whom were not receiving UDPs from the dispensing pharmacy.Informing doctors of these findings will lead to better patient compliance and raise safety for patients.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1926年05月26日, 1926-05-26
著者
待鳥 聡史
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.19-31, 2015

現代日本の首相は,政策過程においてどの程度まで自律的に主導的な役割を果たしているのだろうか。この点に関しては,しばしば「官邸主導」「強い首相」といった語が用いられるようになっているように,近年では役割が拡大しているという理解が広がっている。本稿では,メディアに公表された首相の面会記録をデータ化し,大平首相から現在の安倍首相までの37年間の変化を検討した。この首相動静データを分析する作業を通じて,首相が官房長官や閣僚といった執政中枢部の狭いネットワークに依拠し,他のアクターとの接触をあまり行わないという意味で,自律的に主導的役割を果たす傾向を強めていることを明らかにした。政権交代に伴う与党構成の変化や首相の交代にもかかわらず,この方性はほぼ一貫しており,背景に選挙制度改革や内閣機能強化といった制度的変化があることを示唆する。
著者
河野 秀克
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.352-353, 1979-06-15 (Released:2011-11-04)

コップ酒はガラの悪いものと定評があった。「日本酒用にもっと品の良いグラスを造っては?」。「そんなことをすればそれでワインやウイスキーを飲まれてしまう」。カンカンガクガクの議論の末にやっと産まれた『清酒グラス』。手にすればおのずとお酒が呑みたくなるという方もあり, おおむね好評のグラス。その難産物語。
著者
原田 泰 安武 伸朗 横溝 賢
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.214-215, 2018 (Released:2018-06-21)

リアルタイムドキュメンテーション(RTD) の目的の一つである「議論の見える化」が場の活性化や相互理解に有効であると言われてはいるが、視覚化すれば自動的に効果が現れる訳ではない。RTD 表現物が道具である以上、そのリテラシー(読み/描き)が問われることになる。本項では、RTD をデザイン研究の手法に昇華させるため、RTD スキルの観点から今後の課題についてまとめた。RTDプロセスを俯瞰すると、対象となる出来事の捉え方からアウトプットの方法までを図解し、各項目における課題を指摘することができた。それは(1)何を記録の対象とするか(2)事前打ち合わせの有無(3)スクライバーの記録対象に向ける視点(4)何を表現として残すか(5)メディア表現のスキル(6)スクライバー以外の関与、の6項目である。これらからRTDはグラフィックデザインのアプリケーションであり、グラフィックデザインのスキルがRTDのクオリティに寄与すると言える。また、このプロセスから導き出されるRTDスクライバーの人材観、RTDの将来的な活用方法についても言及した。さらに、このプロセスから導き出されるRTDスクライバーの人材観はそのままデザインの研究や学びに適用でき、RTDの将来的な活用方法についてもその視座が明らかにした。

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1925年07月11日, 1925-07-11

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年11月16日, 1918-11-16
著者
伊藤 士郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.388-395, 1982-05-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
14

ここ一両年, 外国電波によるわが国テレビの受ける混信が顕著になってきた. これはスポラディックE層によるVHF電波の伝搬に伴う現象であり, ここでは, 混信妨害対策を検討する際に必要となるこの種伝搬の諸特性, 近隣諸国における関連周波数送信局の配置および混信の実情について述べる.
著者
古賀 光生
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.143-158, 2014 (Released:2018-01-05)
参考文献数
60

この論文の目的は,西欧の右翼ポピュリスト政党に見られた,経済政策の転換について検討することである。具体的には,以下の2つの論点を提示する。まず,台頭初期の1980年代においては新自由主義的な改革を主張していたこれらの党が,1990年代半ば以降,社会保障を重視して,「福祉排外主義」と呼ばれる姿勢に転じたことを明らかにする。次に,こうした方針転換が党勢の維持と拡大に貢献したことを示す。前者については計量的な手法を用いて,後者については,経済政策を争点の1つとして分裂を経験したオーストリア 自由党とデンマークの進歩党の事例を比較して,仮説を検証する。西欧における右翼ポピュリスト政党の研究は,マクロな台頭要因の研究から,党勢維持をめぐるメゾ・レベルの研究に関心を移している。本稿は,先行研究の間で論争となっている経済政策と党支持の関係について,新たな知見を提示する。
著者
宮 信明 飯島 満
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

現在、正本芝居噺のほぼ唯一の継承者である林家正雀師による正本芝居噺映像記録会を、東京文化財研究所において開催した。正本芝居噺を継承・研究する上での需要な基礎資料を作成しえたことは、本研究の大きな成果である。記録会が一般に公開されたことは、芸能を記録するという側面からも、成果を広く発信するという観点からも、非常に意義深い試みであったといえよう。また、速記や点取り(覚書)、草双紙、キッカケ帖などの文字テクストを比較考察することで、正本芝居噺の特徴(話法や演出、様式など)を正確に把握した。さらに、三遊亭円朝以降の正本芝居噺の系譜についてオーラル・ヒストリーを収集し、文字資料の空白を埋めた。