著者
Ryo Matsuzaki Yusuke Takashima Iwane Suzuki Masanobu Kawachi Hisayoshi Nozaki Seiichi Nohara Yousuke Degawa
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Soil Microbiology / Taiwan Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Plant Microbe Interactions / Japanese Society for Extremophiles
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.ME21011, 2021 (Released:2021-06-16)
参考文献数
31
被引用文献数
1

Chionaster nivalis is frequently detected in thawing snowpacks and glaciers. However, the taxonomic position of this species above the genus level remains unclear. We herein conducted molecular analyses of C. nivalis using the ribosomal RNA operon sequences obtained from more than 200 cells of this species isolated from a field-collected material. Our molecular phylogenetic analyses revealed that C. nivalis is a sister to Bartheletia paradoxa, which is an orphan basal lineage of Agaricomycotina. We also showed that C. nivalis sequences were contained in several previously examined meta-amplicon sequence datasets from snowpacks and glaciers in the Northern Hemisphere and Antarctica.
著者
Naoki Nago Shizukiyo Ishikawa Tadao Goto Kazunori Kayaba
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.67-74, 2011-01-05 (Released:2011-01-05)
参考文献数
17
被引用文献数
66 66 23

Background: We investigated the relationship between low cholesterol and mortality and examined whether that relationship differs with respect to cause of death.Methods: A community-based prospective cohort study was conducted in 12 rural areas in Japan. The study subjects were 12 334 healthy adults aged 40 to 69 years who underwent a mass screening examination. Serum total cholesterol was measured by an enzymatic method. The outcome was total mortality, by sex and cause of death. Information regarding cause of death was obtained from death certificates, and the average follow-up period was 11.9 years.Results: As compared with a moderate cholesterol level (4.14–5.17 mmol/L), the age-adjusted hazard ratio (HR) of low cholesterol (<4.14 mmol/L) for mortality was 1.49 (95% confidence interval [CI]: 1.23–1.79) in men and 1.50 (1.10–2.04) in women. High cholesterol (≥6.21 mmol/L) was not a risk factor. This association was unchanged in analyses that excluded deaths due to liver disease, which yielded age-adjusted HRs of 1.38 (95% CI, 1.13–1.67) in men and 1.49 (1.09–2.04) in women. The multivariate-adjusted HRs and 95% CIs of the lowest cholesterol group for hemorrhagic stroke, heart failure (excluding myocardial infarction), and cancer mortality significantly higher than those of the moderate cholesterol group, for each cause of death.Conclusions: Low cholesterol was related to high mortality even after excluding deaths due to liver disease from the analysis. High cholesterol was not a risk factor for mortality.
著者
杉村 宗典 貝谷 和昭 吉谷 和泰 高橋 清香 柴田 正慶 橋本 武昌 吉田 秀人 花澤 康司 泉 知里 中川 義久
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.11-18, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
9

症例は45歳,男性.平成20年,エプスタイン奇形に伴うB型WPW症候群に対してアブレーションを施行し,治療に成功した.以後,心電図にデルタ波を認めなかったが,アデノシン三リン酸(ATP)投与にて停止する左脚ブロック型の頻拍が再発し,平成21年5月再治療となった.電気生理学的検査(EPS)において370msec未満の連結期で心房期外刺激を加えると,His束電位の消失とともに頻拍時と一致する左脚ブロック型QRS波形が再現性をもって出現した.そこで三尖弁輪自由壁に多電極カテーテルを留置したところ,電気生理学的三尖弁輪10時方向において,心房波(A波)と心室波(V波)の間に先鋭な電位を認めた.マハイム線維の存在を疑い,この電位(M電位)について検討すべく再度心房プログラム刺激を行い,AH時間とAM時間を比較した.両者の減衰伝導特性は極めて近似しており,かつAM時間はAH時間より常に一定時間の延長を示し,HV時間は不変(45msec)であった.房室結節の不応期の時点でもM電位は記録され,長いAV時間の後に左脚ブロック型QRS波が追従した.誘発された持続性頻拍の逆行性心房最早期興奮部位はHis束記録部であり,電気生理学的検討により本頻拍は右側自由壁房室間に存在するマハイム線維を順行し,房室結節を逆行旋回路とする反方向性房室回帰性頻拍(antidromic AVRT)と診断した.マハイム電位を指標に通電し,頻拍の根治が得られた.マハイム線維の伝導時間が房室結節の伝導時間より常に長く,減衰性が房室結節とほぼ同等であるため,期外刺激にても連続的な心室早期興奮の顕在化がみられないまれな1例を経験したので報告する.
著者
片岡 祐子
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-07-31)
参考文献数
14

小児難聴の中で身体障害者に該当しない軽度・中等度難聴児は約30%を占める。2010年から導入された軽度・中等度難聴児への補聴器購入助成制度は現在すべての都道府県で実施され,その恩恵により補聴器を購入する児は増加している。ただし補聴器を装用しても正常聴力児と同等の聴取が可能なわけではなく,インクルーシブ教育を受ける中で問題に直面する児は多い。その問題は言語発達遅滞や学力の低下,友人とのコミュニケーション,心理面など多岐にわたり,年齢が上がるにつれて顕著化,複雑化する。それらの課題に対して,聴取の環境調整や視覚情報の提示,教育面,心理・社会面も踏まえて個別に介入や支援を行うこと,教育者や周囲の理解を啓蒙することが必要である。難聴児が成長し社会参加をするに当たり必要なセルフアドボカシースキルを確立できるような指導や支援を行うべきある。
著者
藤部 文昭 松本 淳 鈴木 秀人
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.513-527, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

1999~2016年の人口動態統計の個票データを使って,低温死亡率の空間・時間変動と気温との関係を統計的に調べた.空間分布においては,気温の低い都道府県ほど低温死亡率の高い傾向があり,冬季(12~3月)の平均気温1℃当たりの死亡率の変化は約12%である.年々変動においては,冬季(12~3月)の平均気温が1℃低い年は死亡率が20%程度高い.季節変化においては,12~3月の死亡数が年間の78%を占める.また日々変動においては,日平均気温1℃当たり死亡率は15%程度変動する.以上の事実は低温死亡率が気温の地域的・時間的な変動に影響されることを示しているが,熱中症に比べると気温変動に対する低温死亡率の変化率は小さい.また,冬の前半に比べて後半は低温死亡率が低いなど,低温馴化を示唆する事実がある一方で,低温馴化に否定的な事実もあり,馴化の影響は熱中症の場合ほどには明瞭でない.
著者
佐分利 正彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:24326542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.222-225, 1986-06-20 (Released:2017-09-15)

我々の右手と左手のように, 同じように見えて実際には重ね合わせることができない一対の鏡像異性体は, その名の示すように"異性体"の一分類であり, 区別することができる。しかし, 鏡像異性体の左右を化学的に区別するには, 別の鏡像異性体の助けが必要である。このように書くといかにも難しい事柄のようであるが, 実際には化合物の匂(にお)いをかぎ比べ, あるいは味をなめ比べて鏡像異性体はちがうものであることを確かめることができる。例えば, ι-メントールやι-カルボンは, 生活の中でもよく用いられるミントの香気をもつ化合物であるが, その鏡像異性体の匂いは, 我々の知っているもののそれとはかなりちがう。本稿では, "鏡像体はちがうものである"ことを"身をもって"確かめるための具体例のいくつかを示した。
著者
遠山 日出也
出版者
日本女性学研究会
雑誌
女性学年報 (ISSN:03895203)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.40-60, 2023-12-16 (Released:2023-12-16)
参考文献数
62

筆者はこれまで、近代家族は、その基底的特徴である家内領域と公共領域の分離を高い段階で再び統一することによって乗り越えられると論じてきた。「高い段階」と言う理由は、前近代の共同体に戻るのではなく、自立した個人の家族や国家を超えた相互扶助を実現するからである。 公私の両領域の高い段階での統一は、新自由主義がもたらす社会的変化とは方向が逆である。しかし、ナンシー・フレイザーは、第二波フェミニズムと新自由主義の親和性を指摘している。筆者自身も、日本の左派とフェミニズムの一部にある程度そうした傾向が見られること、その背景には、資本主義と家父長制との二元論的理解があることを述べてきた。本稿の第1章では、近代家族論の専門家でありながら「官製婚活」を肯定する山田昌弘にもまたそうした傾向があることを論じる。また、江原由美子のフレイザーに対する応答に関しても、フレイザーの持つ資本主義批判の視点をより生かすことによって、より的確なものになることなどを述べる。 また、家内領域と公共領域の分離の乗り越えは、高い段階の「統一」である必要がある。すなわち、平等主義規範が家族の壁を打ち破るだけでなく、相互扶助を家族や国家の枠を超えて広げることが必要である。さらにそれを人類の枠を超えて「自然」にまで広げるためにはエコロジカル・フェミニズムが重要だが、エコフェミは現在の日本では発展していない。本稿の第2章では、その原因を1980年代のエコフェミ論争に遡って検討し、当時、青木やよひを批判した側が、青木のエコフェミの独自の意義を捉えていなかったことを述べる。さらに、その後のエコフェミの発展も踏まえて、エコフェミを含めた、女性が先覚的におこなってきた社会的再生産のための運動は、近代家族の乗り越えやフェミニズムにとって独自の意味があることやその発展のプロセスを示す。 今後の課題は、一部の左派やフェミニズムにおける新自由主義との親和性の問題とエコフェミの立ち遅れの問題とがどのように関連しているかについて、より具体的に明らかにし、それを通じて、今後のジェンダーをめぐる理論と運動のあり方を考えることである。
著者
吉川 徹
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.92-101, 2002-05-25 (Released:2017-09-22)

現代階層論は、ジャーナリスティックには活況を呈しているようにみえる。しかし同時に様々な困難な課題を抱えていることも指摘される。本稿ではこの現状をふまえて、あらためて1955年以来のSSM調査研究を中核とする階層研究史を見直した。その結果、1980年以降の約20年は、戦後〜高度成長期という前時代と比較すると、十分な説明がなされないままで残されていることを指摘できる。そうであるからこそ、この空白の20年を埋めるものとして、原純輔と盛山和夫は「寛かさの中の不平等」という現代階層論の大きな指針を示しているのである。だがこの論調もなお、「戦後」という|日来の時代認識からは相変わらず自由ではない。それゆえにまた、時系列比較研究に特有の先行研究との分析の重複、新しい時代の特性(=現代社会論)の軽視が繰り返されるおそれがある。同時に現在の微細な階層差(豊かさの中の不平等)は、社会意識局面などに対する階層要因の影響力の弱まりをけじめとしたいくつかの課題を、階層研究のフロンティアにいる次世代の研究者に突きつける。
著者
大尾 侑子
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.143-162, 2022-01-31 (Released:2022-03-29)

After World War II, an action called the “Campaign against Bad Books (Akusho Tsuihou Undou),” rejected men’s entertainment/pornographic magazines, led by many mothers’ groups, police, and the government in Japan. As a part of this movement, in 1963, the “White Post Box” was placed in Amagasaki City, Kobe Prefecture, to collect “bad books.” This post box subsequently emerged in Tokyo in 1966 and spread to many other prefectures in the late 1960s. However, it is rare to see such a post box nowadays, and their number has been decreasing nationwide since the 1980s. This article discusses how this post box was omnipresent and used in the 1960s and the 1970s by exploring mass media discourses and representations. Mothers expected this box to serve as a gatekeeper in protecting underage children from so-called, “harmful books,” which were brought into their homes by the fathers. The police and the national government also wanted this equipment to become a symbol of the “Campaign against Bad Books” movement, to activate and accelerate this atmosphere. The reality differed from their expectations; people often used it as a garbage can. As the number of harmful books did not gradually decrease, the actors of this movement and mass media became indifferent to this box. Unfortunately, some people began to steal its contents, and finally, people started to consider it useless in the early 1970s. In conclusion, the White Post Box was a physical media that worked to visualize the discourse of “harmful media/non-harmful media” through its own body, by being placed in the public space. In other words, this equipment further contributed to this latent function than to a manifest function: gatekeeping to protect children from “bad books.”
著者
滝川 一廣
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.1-8, 2019 (Released:2020-01-24)
参考文献数
5
被引用文献数
1

〈児童虐待〉の増加や深刻化が一般報道ではもちろん専門家の論説でもよく語られ、現代の社会通念となっている。〈虐待〉が深刻な問題なのは論を待たない。しかし、本当に実数的に増えているか、内容の深刻度が増しているかについては、別の検討が必要となる。本論文では、増加や深刻化が進んでいるとは安易に言えず、むしろ逆の可能性すらある事実を検証する。この事実にも拘わらず「増加」「深刻化」が社会的に疑われないのは、厚労省が毎年公表する「虐待相談対処件数」が増加の一途のためであろう。しかし、誤通告も多く含まれる「相談件数」だけでは増減は分からず、対処して実際に〈虐待〉と確認された「実数」こそが重要である。ところが厚労省は何故かその数字を明らかにしない。日本の「虐待対策」は「実数」という基礎データを踏まえないまま進められている。本論文では、そうなった理由についても若干の考察を試みる。
著者
香川 涼亮 小倉 利仁 太田 充 牛島 光一
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.97, pp.126-135, 2017 (Released:2018-06-07)
参考文献数
15

The purpose of this study is to investigate the impact of the Tokyo 2020 Olympic and Paralympic Games announcement on residential land prices. Using the data of official land prices from 2010 to 2015, the degree of the rise of the land prices was measured around the area in which the Olympic Village is built. Just after the announcement of September, 2013 the degree of the rise in land prices was measured around the area in which the Olympic Village is to be built. A rise in land prices of 8.0% around the Olympic Village and an average of approximately 3.0% within 12km of radius was confirmed in 2015 as a result of the estimation. When a proxy indicator of the urban redevelopments was added as a variable, a rise in land prices of an average of approximately 1.6% within the radius 12km from the Olympic Village was confirmed. In other words, these estimated results suggest the possibility that about half of rise in land prices was due to the influence of urban development.
著者
川村 光
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.492-502, 2017-07-05 (Released:2018-07-01)
参考文献数
54

ここ10数年,「スピン液体」あるいは「量子スピン液体」という言葉がよく話題に上る.スピン系を舞台に出現する「液体的な」状態というイメージである.実のところ,そもそもの状態の定義が必ずしも明確にされてきた訳でもないのだが,理論的に期待される磁性体の新たな状態として,実験的にも長く探し求められてきた.強い磁気的相互作用を持ちながら,スピングラス的な磁気凍結現象も含めて極低温まで何の磁気秩序化も示さない,磁性体の低温量子状態という辺りが,大方のイメージであろう.その意味で,スピン系が作る「液体状態」である.言葉の対応上は,高温での無秩序状態―常磁性状態―が「スピン気体状態」,低温で通常形成される強磁性や反強磁性等の磁気秩序状態が「スピン固体状態」というアナロジーになろうか.もちろん,強いスピン間相互作用を持つ磁性体は,通常は低温で強磁性,反強磁性等の何らかの磁気秩序を形成するので,液体的な低温量子状態が本当に可能かどうかは,そう自明なことではない.量子スピン液体状態を実現するには,強い量子効果とともに,磁気秩序を不安定化する,いわゆる「フラストレーション」効果―競合の効果―が重要と広く考えられている.スピン液体状態を作る磁性体の物質探査は現在も続けられているが,ここ10年くらいの間に,有力な候補物質が次々と報告され,多くの実験的情報が集積されている.目下,これらの実験データの解釈を巡って,自然界で現実にも実現しているらしい「スピン液体」(「量子スピン液体」)状態とはどのような状態なのかに関して,色々議論がなされており,大変興味深い状況にある.筆者らのグループは,これら自然界で実現している「量子スピン液体」状態(のおそらく大部分のもの)に関しては,実は,系に内在している「乱れ」ないしは「不均一性」―ランダムネス―がフラストレーションと並んで本質的に重要な役割を果たしているのではないかという説を提唱してきた.その際,「ランダムネス」の概念を通常より広く捉え,適当な条件下で系に自発的に生成される不均一性も含めて考えることで,より統一的な視点が得られる.元々がクリーンな系であっても,多自由度間のカップリング等を通して不均一性が自発的に生成され,重要な役割を果たす場合がある.スピン液体に関するこれまでのほとんどの理論においては,量子スピン液体性は乱れのないピュアな規則系の属性とされ,乱れや不均一性の役割は重要ではないとされてきた.しかし,近年次々と見出されてきた量子スピン液体物質は,それが外因的のものであれ,自己生成された内因性のものであれ,系に乱れや不均一性を顕著に持つ傾向がある.乱れや非均一性がクリーンな系の興味深い物理を“汚染する”余計者なのでは決してなく,興味深い新奇な物理現象を生み出す重要なプレイヤーであることを強調したい.
著者
宮澤 賢司 依田 一豊 原田 岳 井田 恵 平山 伊知郎 何 方 平松 優
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.12-17, 2017-03-10 (Released:2018-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

Lactobacillus rhamnosus GG(LGG 菌)摂取が便秘傾向な女性の排便および皮膚性状に及ぼす影響を投与前後比較試験にて検討した。便秘傾向および皮膚の乾燥を自覚している女性 16 名に 4 週間、LGG 菌(1.4 × 1010 cfu/day)を摂取させた。LGG 菌の摂取により、排便回数は試験開始時の 3.0 回/週から試験終了後には 5.4 回/週と増加し(p<0.01)、便性においては、便の色および形(p<0.05)、排便感(p<0.01)が改善した。皮膚の状態は、皮膚画像解析装置(VISIA)での分析により、皮膚の毛穴、色ムラが改善された(p<0.01)。また、試験前と比較し、頬および前腕部の角層水分量が高まっており(p<0.01, p<0.05)、医師の診断では、皮膚の乾燥および丘疹(p<0.01)、紅斑(p<0.05)が試験前より改善していた。Skindex-16 および被験者のアンケートにより、皮膚の状態は試験終了後に有意に改善し(p<0.01)、自覚症状も改善していた。本試験から、LGG 菌の摂取による便秘および皮膚の状態の改善が認められた。
著者
Satoshi Katano Toshiyuki Yano Ryo Numazawa Ryohei Nagaoka Kotaro Yamano Yusuke Fujisawa Suguru Honma Ayako Watanabe Katsuhiko Ohori Hidemichi Kouzu Takefumi Fujito Tomoyuki Ishigo Hayato Kunihara Hiroya Fujisaki Masaki Katayose Akiyoshi Hashimoto Masato Furuhashi
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Reports (ISSN:24340790)
巻号頁・発行日
vol.5, no.7, pp.271-281, 2023-07-10 (Released:2023-07-10)
参考文献数
41

Background: A multidisciplinary team (MDT) approach is crucial for managing older patients with heart failure (HF). We investigated the impact on clinical outcomes of implementation of a conference sheet (CS) with an 8-component radar chart for visualizing and sharing patient information.Methods and Results: We enrolled 395 older inpatients with HF (median age 79 years [interquartile range 72–85 years]; 47% women) and divided them into 2 groups according to CS implementation: a non-CS group (before CS implementation; n=145) and a CS group (after CS implementation; n=250). The clinical characteristics of patients in the CS group were assessed using 8 scales (physical function, functional status, comorbidities, nutritional status, medication adherence, cognitive function, HF knowledge level, and home care level). In-hospital outcomes (Short Physical Performance Battery, Barthel Index score, length of hospital stay, and hospital transfer rate) were significantly better in the CS than non-CS group. During the follow-up period, 112 patients experienced composite events (all-cause death or admission for HF). Inverse probabilities of treatment-weighted Cox proportional hazard analyses demonstrated a 39% reduction in risk of composite events in the CS group (adjusted hazard ratio 0.65; 95% confidence interval 0.43–0.97).Conclusions: Radar chart-based information sharing among MDT members is associated with superior in-hospital clinical outcomes and a favorable prognosis.