著者
土屋 耕治
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.70-81, 2016
被引用文献数
1

<p>本論考では,組織開発における組織診断が組織のその後の経過に与える影響について事例を用いて検討し,組織診断という働きかけがどのようなプロセスで組織の「時間」に影響を与えるかを論じた。組織開発における組織診断とは,何が,どのように起こっているのかという組織の行動と現状を組織自身が理解することを目指して行われる。組織診断とフィードバック,その後のフォローアップの事例におけるアンケートから,組織診断が組織のダイナミックスへ与える影響が考察された。具体的には,組織診断とフィードバックにより,組織の「今」をどう捉えるのかという共通認識が生成されたこと,また,フォローアップのインタビューとアンケートの結果から,組織診断後に協力的コミュニケーションの兆しが見られたことが示唆された。最後に,組織診断とその後の組織内の対話を経て,組織の時間的展望が生成され,それがモラールへ影響したという視点で今回の事例が考察された。具体的には,時間的展望の発達が個々人の主体性・能動性に繋がったという視点と,時間的展望が問題意識を共有する成員を結びつける形で協力的コミュニケーションに繋がったという視点から考察された。</p>
著者
横田 澄司
出版者
明治大学経営学研究所
雑誌
経営論集 (ISSN:0387298X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.p1-24, 1984-03
被引用文献数
1

マーケティング・コンセプトの中核に、「顧客志向」「消費者志向」が設定されねばならないことは周知のことと思われる。つまり、顧客のニーズ、ウォンツがどのように尊重され、製品計画、販売促進活動、広告活動などに反映されているか、である。特に、製品計画については、大半の企業が、マーケティングリサーチの手法により、顧客のニーズやウォンツを探索し、新製品開発に活用してきたことは充分評価されるところである。しかし、こういった新製品が、いったん市場に導入されて既存製品の見直しが行われる場合も、その製品がライフスタイル別にどの位置に所属するのか、そしてどのような製品属性が消費者に「期待される条件」として強くのぞまれるのかについて、詳細な実証的研究はなかったように思われる。
著者
岩渕 茂
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.718, pp.72-75, 2015-03-23

インターネット接続に利用する機会が多い無線LAN。しかし、さまざまなリスクがあるので適切な設定をしたい。今回は、無線LANの安全対策を紹介する。
著者
福川 伸次
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.645-649, 1989

1. 最近,米国で日本の研究開発タダ乗り論としての批判があり,これを解決する道は,日本が基礎研究を進め,その成果を広く人類に均てんさせることである.<br> 2. 最近におけるわが国の研究開発の評価を試みると,基礎研究,基盤技術への挑戦の遅れ,研究人材の不足,研究環鏡の立ち遅れ,国際研究交流の低さが指摘される.<br> 3. 技術開発政策の戦略としては,創造的な基礎研究の強化,とりわけ,国においては,リスクや連鎖的波及の大きい根源的,基幹的研究開発や地球的課題の解決に資する公共性,国際性の高い研究開発に重点を置くとともに,国際研究交流,国際協力の推進を図る必要がある.
著者
宮川 泰夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.25-42, 1976

大都市零細工業的性格をもった眼鏡枠工業は,今日では,その約80%を地方の町鯖江に於て産出している.この地への導入は,大阪へ出稼者や移住者を出しながら絶えず地場産業を求めていた北陸の一寒村の地域性と東京の名工と大阪の問屋がもつ「都」「市」的機能と地場の低廉な労働力の結合を可能にした増永家の家業性を基礎に置く.明治末に生野に定着した眼鏡枠工業は,大正に入ると同様の地域性をもち帳場の親方の出身地である東部地域に分家的独立の形態をもって展開し,技能と低廉労働力に基礎をもつ村の工業となってゆく.それが昭和になり機械化が進み組立工業的性格を強めながら低廉な技能者の集積によって大阪・東京といった大都市産地との競合に打勝って産地規模を拡大してゆくにつれその生産流通機能の展開に適した新興の町に生産拠点を移し町の工業へと転換していった.戦後は繊維や漆器といった地場産業の展開する町を棲み分けつつ,拡充した町の生産流通機能に主導された町から村へ連らなる一大産地を眼鏡枠工業は形成している.このように眼鏡枠工業の配置は工業がその発展段階に応じて性格を異にする地域を棲み分けることによってもたらされたといえる.
著者
今田 有美 小野寺 健一 直木 秀夫 安元 健 Imada Yumi Onodera Kenichi Naoki Hideo Yasumoto Takeshi 科学技術振興機構沖縄県地域結集型共同研究事業 Okinawa Prefecture Collaboration of Regional Entities for the Advancement of Technological Excellence Japan Science and Technology Agency
出版者
南方資源利用技術研究会
雑誌
南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical resources technologists (ISSN:09129588)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-16, 2006-10-01

沖縄産の水産資源の機能性素材としての利用を目的に、血圧調節機能と深く関わるACE阻害活性を調べた。オキナワモズク、オキナワモズク盤状体、ヒジキ、アナアオサ、クビレズタ、ヒメシャコガイのペプシン分解物について試験をしたところ、いずれにおいてもACE阻害活性が認められた。今回、最も強い活性を示したのは、沖縄での陸上培養が可能なオキナワモズク盤状体であった。これら沖縄産水産資源を、健康機能を有する素材として広く利用していくことが期待される。
著者
川上 大喜 大久保 寛 内田 直希 竹内 伸直 松澤 暢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.474, pp.169-174, 2015-02-23

相似地震(微小繰り返し地震)とは,同一のアスペリティ(固着域)が原因となって発生する地震のことを指す.相似地震は発生時刻が異なってもほぼ同一な波形,つまり相似な波形を伴う性質を持つことがわかっている.この相似地震を解析する事によって,個々の地震の原因となるアスペリティの特性を抽出することや,プレート境界で生じるすべりの時空間発展をモニタリングする事が可能となる.本研究では相似地震の検出法としてフーリエ位相相関法とその手法に対して地震の主要周波数を考慮して帯域制限を施したフーリエ帯域制限型位相相関法,直交3成分地震波データに用いたコヒーレンス関数を適用し,その有効性について検討した.また近年,演算能力の高さから関心を集めているGPU(Graphics Processing Unit)を利用した汎用計算アーキテクチャであるGPGPU(General Purpo Secomputation on GPU)を応用した並列計算処理による高速化についても検討し,処理に要する計算時間を比較した.加えて,これらの一次元信号の対する相関処理演算に対してマルチGPUによるGPGPUを適用し,その有効性についても併せて検討した.
著者
吉川 ひろみ
出版者
日本作業科学研究会
雑誌
作業科学研究 (ISSN:18824234)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.20-28, 2009-11
被引用文献数
1
著者
北村 博嗣
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.400-408, 1956-10-25

福島県喜多方営林署内天然生キリ材について圧縮強さ, 曲げ強さ, 及び比重等を調べた。その結果を前に調べた新潟県産人工植栽林の材と比較しながらまとめると次の如くになる。1)圧縮及び曲げ試片より求められた平均年輪幅をみると福島は平均7.58mm, 新潟19.1mmで新潟は福島の2.5倍に及ぶ。更に辺材部と心材部がどのような年輪幅で構成されているかをみると, 両地方の材共に心材部の方が年輪幅が広い。つまり, 幼令の時に大きな年輪幅を形成し壮老令になるに従い狭い年輪幅を造るが, 新潟県産の場合は生長のよい時に平均18〜19mm以上の年輪を, 福島産の場合は7〜8mm以上の年輪を多く造つている。2)各試片の平均年輪幅とその試片の比重との関係をみると年輪幅の増大と共に比重は低下する。一般環孔材と逆の関係であるが柔細胞が多いための影響と考えられるが今後明らかにしたいまた前報した新潟産のものと合わせてみると平均年輪幅17〜19mm付近に最小の比重を与えるものと推定され, それ以上年輪幅が広くなると比重は逆に上昇する(第5,6図参照)。3)福島産材の気乾比重は0.30,新潟産材のそれは0.25で福島の方が高い。これは福島の年輪幅が狭いことおよび同一年輪幅でも福島の方が比重が高いことに原因がある。辺心材間比重の大小は福島産材と新潟産材とで少しく異なるが両者同一程度か, あるいは心材の方が高い。心材部は年輪幅広いものを多く持つているが(広いものは比重が小さい), 同一年輪幅でも心材の方が辺材より比重が高いために広い年輪を持つ心材が高い比重を示す結果となる(第7図参照)。4)圧縮強さを求めた福島産材は大約250kg/cm^2,新潟産材は200kg/cm^2で福島の方が強い平均年輪幅が大きくなると圧縮強さは減少してくる。これは比重と関係のあることで福島産材のように年輪幅割合狭くその増加と共に単純に比重が減少してくる場合は圧縮強さも単純に減少してくるといえるが, 新潟産材のように年輪幅が極端に広くなり, 比重が年輪幅に対し複雑に変化する場合は, 圧縮強さの変化も複雑となり, 平均年輪幅17mm付近で一旦圧縮強さの谷を出現し, 以後年輪幅の増加と共に強さの上昇をみる(第9図参照)。5)比重と圧縮強さの関係はσ_<12-15>=9・γー25で表現した。ここにσ_<12-15>は含水率12〜15%の時の圧縮強さ(kg/cm^2)γは試験時の比重の1O0倍値である。6)辺材と心材の圧縮強さを比較してみると, 心材は辺材と同程度或いはそれ以上の強さを持つている。心材の年輪幅は広いものが多いが同一年輪幅でも心材の方が比重高く圧縮強さが高いためである(第8図参照)。7)曲げ試験の結果は, 福島産材曲げ破壊係数450kg/cm^2曲げ弾性係数560×10^2kg/cm^2新潟産材曲げ破壊係数370kg/cm^2,曲げ弾性係数530×10^2kg/cm^2であり(第3表参照)福島の方が強い。8)比重と曲げ強さの関係は直線式を適用しσ_<11-17>=20・γ-156とした。ここにσ_<11-17>は含水率11〜17%の曲げ破壊係数kg/cm^2,γはその時の比重の100倍値である。9)年輪幅により曲げ強さが変化するが年輪幅の増加と共に直線的に強さが低下するとみられる(第17図参照)。新潟産材の場合は比重あるいは圧縮強さの時と同様に年輪幅17mm, 付近で一旦曲げ破壊係数の下降をみて以後再び上昇をみる。10)辺材と心材で曲げ強さの差はない。このことは新潟産材についてもいえたことである。比重あるいは圧縮強さと同様に同一年輪幅でも心材の方が曲げ強さが高いことが関係している。11)曲げ弾性係数σ_Bと比重γの関係式は, σ_E=210000γ-7900と与えられた。
著者
山田 浩章 松下 泰弘 井岡 良太 平野 辰昇 川口 浩二 猪股 勉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_19-I_24, 2015
被引用文献数
1

GPS海洋ブイは,現在,国土交通省港湾局のナウファスの「GPS波浪計」として日本全国に18基設置され,沖合の大水深海域で波浪の定常観測を実施している.GPS海洋ブイは津波観測も可能であり,東日本大震災による大津波発生時には,岩手県釜石沖などに設置されていたGPS波浪計が津波を観測し,気象庁の津波警報の更新に利用されたが,津波をより早期に観測するには更に沖合にGPS海洋ブイを設置する必要がある.しかし,従来のGPS海洋ブイではGPS測位法と無線通信によるデータ伝送の制限から設置可能距離は沖合20km程度までであった.本稿では,更なる沖合観測のために開発した新型GPS海洋ブイの概要と実海域での実証実験の状況について報告する.
著者
Saito Naosuke
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.99-117, 1976
被引用文献数
3

i)二次元非圧縮仮定の海陸風数値シミュレーションモデルを作り,陸地の温度日変化が一様な場合の海陸風循環が,海岸線に沿った都市の熱的特性によっていかに変化するかを調べた。ここでは都市は郊外より日平均気温が高く,日変化の振幅は郊外より小さいとしてある。計算は水平間隔が6km,高さ1.8kmまでを15のレベルに分解した大きさ(35×15)の格子を用いた。前記の条件下では都市の存在は海風の内陸部への侵入をおくらせ,夜間の陸風を強化する。海岸線の近くと,都市と郊外の境界に収束場ができて,都市のない場合の単一の鉛直循環は二つの循環細胞に分れる。日中は都市の上空200m付近に発散場,夜間は都市の海岸寄りの部分の上空に収束,都市の郊外寄りの上空に発散が出来る。<BR>ii)二次元モデルを三次元に拡張し,関東地方を大きさ35×35×15の格子(水平間隔は同じく6km)でおおい,海岸線を近似して三次元の海陸風循環の数値シミュレーションを試みた。ここでは陸地の温度の日変化の振幅は一様とし,山脈や川河はなく陸地は一様と仮定した。積分は2日分行なった。海陸風の交替,海岸線の曲率に対応した陸風,又は海風の収束,発散,特に房総半島の海風の収束による渦の形成, 海風前線,陸風前線の形成,海風前線の内陸侵入に伴う内部重力波の発生等の結果を得た。本文では陸地の温位の日変化の振幅を6°Kとした場合の結果を示す。この場合,海岸線での海風の極大は1.5m/s,厚さは400mに達し,その上に極大0.5m/s,厚さ725mの反流がみられた。夜間は海岸線上で陸風の最大は0.5m/s,厚さ125m,陸風の極大は沖合20km前後にみられた。
著者
山崎 敦子 渡邊 剛 川島 龍憲 小川 奈々子 大河内 直彦 白井 厚太朗 佐野 有司 植松 光夫
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.406-406, 2008

サンゴ骨格の窒素同位体比を用いて過去の海洋表層の栄養塩濃度とその起源を復元し、新たな古環境指標としての可能性を検討するため、外洋の沖ノ鳥島と石垣島轟川河口からサンゴ骨格試料を採取し、その成長方向に沿って窒素同位体比・総窒素量を1ヶ月の分解能で測定した。また比較のため、それぞれの窒素同位体比の測線に平行して沖ノ鳥島サンゴではBa/Ca比、Mn/Ca比を、石垣島サンゴではMn/Ca比を測定した。その結果、窒素同位体比・総窒素量の平均値は共に石垣島の方が高く、沿岸の方がサンゴの窒素同化が盛んであることを示した。さらに石垣島サンゴでは、河川からの流入物質の影響が窒素同位体比、総窒素量とMn/Ca比に反映し、沖ノ鳥島サンゴでは、海洋の鉛直混合や湧昇に伴う深層からの栄養塩の供給と海洋表層の窒素固定が窒素同位体比の変動要因として考えられる結果となった。今後、サンゴ骨格の窒素同位体比は海洋の栄養塩の挙動を復元する指標となることが期待できる。
著者
橋本 由利子 大谷 哲也 小山 洋 岩崎 基 笹澤 吉明 鈴木 庄亮
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.792-804, 2007-11-15
被引用文献数
2

<b>目的</b> 花粉症発症には花粉への曝露の他に様々な修飾要因が関わっていると考えられているが,その詳細は未だ十分に明らかにされていない。そこで「花粉症有り」の人の宿主要因を中心に花粉症の修飾要因を広範囲に調べることにした。<br/><b>方法</b> 1993年に開始した群馬疫学コホート(こもいせ)調査結果およびその第 2 波として2000年に行った47-77歳の男女住民10,898人の生活と罹病・死亡リスクについての調査結果を利用した。既往歴の「花粉症有り」を目的変数として,その他の基本属性,生活習慣・行動,既往症,職業などの項目を説明変数として,ロジスティック回帰分析によって検討した。この分析では,性・地域・年齢で調整した。<br/><b>結果</b> 花粉症の既往がある者は全回答者の17.1%であった。「花粉症の既往有り」は男性より女性の方が多く[調整オッズ比(aOR)=1.31, 95%信頼区間(CI):1.17-1.46],村より市の居住者の方が多かった(aOR=1.56, 95% CI:1.39-1.76)。40歳代より70歳代の方が花粉症は著しく少なく(aOR=0.19, 95% CI:0.15-0.24),花粉症の最近 1 年の寛解者は年齢が高くなるにつれ増加した(傾向検定 <i>P</i> 値<0.001)。<br/> 健康面では,「花粉症有り」は,寝つきが悪い・眠りが中断されること,および心臓病・高脂血症・喘息・消化性潰瘍・腰痛・うつ病有りとの間に有意な関連がみられた。糖尿病有りとは逆の関連がみられた。<br/> 生活面では,「花粉症有り」は,収入のある仕事をしている,サラリーマンである,仕事で精神的ストレスが多い,間食をよくする,お腹一杯食べる,食事が規則正しい,甘いものをよく食べる,日本酒・ワインを月 2, 3 回飲む,ビール・発泡酒を飲む,焼酎・ウイスキーをほぼ毎日飲む,よく長い距離を歩く,よく運動をする,よく家の掃除をする,芝居・映画・コンサートなどに行く,食料品・衣類などの買い物に行く,結婚経験がある,子どもが問題を抱えている,年収が1,000万円以上であることと有意な関連が見られた。農業従事者,たばこを吸っていること,パチンコやカラオケによく行くこととは有意な逆の関連がみられた。<br/> 過去の食生活では30歳代の頃パンを摂取したことと弱い関連がみられた。<br/><b>結論</b> 花粉症の既往と生活習慣・行動など多くの要因との間に関連性がみられた。花粉症は,老年より比較的若年層に,農村より都市地域に,農業従事者よりサラリーマンに,ストレスの多いことや食べ過ぎあるいは洋風の食生活に,生活水準が高く近代化の進んだ生活により強く関係しているなど,宿主・環境に関る一群の修飾要因とその重みが明らかにされた。
著者
林 公彦 牛島 孝策 千々和 浩幸 姫野 周二
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.346-353, 2004-07-15
被引用文献数
1 7

高木性であるカキの作業性を改善し、低樹高栽培を可能にするための手段として、カキの平棚仕立て栽培を検討した。高さ3.5mで栽培している慣行の立木仕立ての'松本早生富有'を供試して、樹高を高さ1.5-1.6mの亜主枝まで一挙に切り下げ、樹形を改造して高さ1.8mの平棚仕立てへ移行して新梢の発育、収量性、果実品質について慣行の立木仕立てと比較した。平棚では樹形改造1年後の樹冠の拡大率が高かった。樹形改造当年はせん定後の結果母枝数を立木より約20%多く残す弱せん定を行うことで、樹冠占有面積当たり新梢数は平棚で多かったが、1結果母枝当たり新梢発生数および平均新梢長には平棚と立木で差がなかった。平棚では収量が立木よりも多く、樹冠占有面積1m2当たり着果数は10果以上、収量は3kg以上を毎年確保した。結果母枝1本当たり着花数は4年間で平棚が多く、生理落果率は3年間で平棚が立木より少なかった。果実重は平棚で立木より有意に大きかった。果実重が260gを越える2Lおよび3L階級が平棚では全果実の61.2%を占め、立木より明らかに大玉果実が多く分布した。果実肥大第I期後半の満開後40日から70日の間は平棚も立木も果実肥大に差は認められなかったが、第II期に入った満開後80日以降は平棚の果実肥大が良好で、第III期の収穫期に至るまで平棚の果実肥大が優れた。果実の着色は平棚で立木より早く開始し、収穫基準のカラーチャート色標値5には平棚が立木より約3日早く到達した。