著者
井上 信宏 中島 りり子 山内 理恵 大野 修司 久保 元 浅井 和範
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.2018-042, 2019 (Released:2019-06-08)
参考文献数
21

本研究では,薬学部6年生に対する改変型team-based learning(m-TBL)の成績向上効果を検討することを目的として,病態・薬物治療分野の問題を用いるm-TBL演習を実施した.従来のTBLと異なり,個人及びグループテストには難易度が同等になるように調整したそれぞれ別の問題セットを用いた.その結果m-TBL演習を行った試験群では,グループテストの得点が個人テストと比較して有意に高かった.また試験群と,同一課題を自主学習する対照群との,演習期間前後の試験成績を比較した結果,その得点向上率は試験群の方が有意に大きかった.さらにアンケートの顧客満足度分析の結果から各試験の難易度は同等と評価され,因子分析の結果と試験成績から,TBLに期待している学生ほど成績が高いことが明らかとなった.以上のことから,m-TBLが6年生の成績向上に効果的であることが示された.
著者
中澤 渉 三輪 哲
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.19-22, 2012 (Released:2013-03-18)
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
余田 翔平
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.98-106, 2018-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
14

本稿の目的は,パネルデータを用いて,有配偶女性の就業とメンタルヘルスとの関係をめぐる2つの相反する仮説を検証することである.第1の仮説は役割過重仮説と呼ばれ,多重役割がメンタルヘルスの悪化をもたらすと予想する.第2の仮説は役割展開仮説と呼ばれ,職業役割の獲得は社会的アイデンティティにつながるためメンタルヘルスにも良好な影響を持つと予想する.クロスセクションデータを用いた先行研究によると,日本ではこれらのいずれの仮説も支持されていない.「全国家族調査パネルスタディ(NFRJ08-Panel)」を用いた分析の結果,時間不変の個人特性を統制すると,有職時は無職時よりもメンタルヘルスが良好なことが確認された.この結果は役割展開仮説と整合的であり,有配偶女性が職業役割から心理的メリットを得ている可能性を示唆するものである.ただし,本稿には方法論上残された課題やデータの制約も多く,それらについて最後に整理する.
著者
中西 啓喜
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.583-593, 2015 (Released:2016-05-18)
参考文献数
27
被引用文献数
1

本稿の目的は、算数・数学の学力パネルデータの分析から、義務教育段階を通じた学力の社会階層間格差の変化についての実態を示すことである。分析より得られた知見は、①学力格差の変化は流動的ではなく、初期に獲得した学力はほとんど変化しないということ、②こうした学力格差は、両親が大卒の児童生徒の方が両親非大卒の児童生徒よりも高い学力水準を維持しやすいこと、③学力に対する個人の努力(学習時間)の独立したポジティブな効果は確認できたが、親学歴による学力格差は維持されること、の3点である。

2 0 0 0 OA 野良に叫ぶ

著者
渋谷定輔 著
出版者
万生閣
巻号頁・発行日
1926

2 0 0 0 OA EBMとは何か?

著者
三瀬 順一
出版者
特定非営利活動法人 日本医学図書館協会
雑誌
医学図書館 (ISSN:04452429)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.377-386, 2001-12-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
14
被引用文献数
1

During the past ten years the phrase EBM (Evidence-based Medicine) has become popular among Japanese medical care providers. Not only the MHW (Ministry of Health and Welfare) but pharmaceutical companies have become interested in EBM. David Sackett says EBM is conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence in making decisions about the care of individual patients. In medical practice, 5 steps for are adovocated EBM: step 1, formulation of medical questions; step 2, a search for good evidence; step 3, critical appraisal of the information; step 4, putting the evidence into practice; step 5, verification of the appropriateness of these steps. There are many barriers to the adoption of EBM by Japansese physicians, such as information technology, tactics for searching evidence, English language, structure of the Japanese literature database, and medical authorities. Medical librarians should be alert to the prosperity of EBM and prepare the best and most appropriate evidence in their libraries.
著者
小松 和彦 板橋 作美 常光 徹 小馬 徹 徳田 和夫 關 一敏 内田 忠賢 高田 衛
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

三年計画の研究は以下の四つのテーマに従って展開され、成果がまとめられた。(1)怪談・妖怪関係資料の収集及び民俗調査:全国各地(青森・東京・福島・千葉・石川・富山・新潟・愛知・京都・香川・愛媛・高知・福岡・長崎・沖縄等)でおこない、報告書(冊子体)に各分担者が三年間の調査・研究をまとめた。(2)怪異伝承データベース構築のための事例収業とカード化:民俗学関係雑誌さらには近世の随筆から妖怪・怪異関連の記事を抜き出し、情報カードの作成を行なった。作成した情報カードの件数は13,364件にのぼり、それらの書誌情報のコンピュータ入力を終了した。一般公開をみこした怪異伝承データベースの利用方法についての議論は今後の課題であるが、民俗学における妖怪・怪異研究の動向把握など現時点でも幅広い活用が期待できる。(3)怪異・妖怪研究の研究動向調査:網羅的な文献リストを作成した。また追加で妖怪・怪異研究に従事している外国人研究者のリストを調査可能な限りにおいて作成した。今回の調査で、日本の妖怪・怪異は近年関心を集め続けてきたことがわかった。.今後予定しているインターネットを通じた怪異伝承データベースの公開は国際的に価値の高い情報発信となることが予想される。(4)一般公開:本研究の成果の一部は、国立歴史民俗博物館の企画展「異界万華鏡」に生かされた。またSCS討論会「異界ルネッサンス」を催した。これは国際日本文化研究センターと国立歴史民俗博物館の間で衛星中継による公開テレビ討諭会である。いずれも一般入場者からの高い関心を得た。

2 0 0 0 OA 冠辞考

著者
賀茂真淵 著
出版者
交盛館
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1894
著者
中瀬 泰然 小倉 直子 前田 哲也 山崎 貴史 亀田 知明 佐藤 雄一 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.557-561, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1

目的:視床梗塞において臨床症状と血管支配を含めた解剖学的構築との関連については様々な報告がある.本研究では急性期両側視床梗塞を呈した連続症例を検討し,臨床像および予後規定因子について解析した. 方法:2001年4月∼2005年3月に入院した脳梗塞症例のうち,入院時MRIおよびMRAにて病巣と血管病変を同定し得た両側視床梗塞9例を対象とした.予後は退院時mRSにて判定した. 結果:予後良好例(mRS 0∼2)5例,不良例(mRS 4以上)4例であった.予後良好例で記銘力低下,失見当識,過眠傾向などの精神症状が認められ,予後不良例では四肢麻痺,動眼神経麻痺,球麻痺が認められた.予後不良例の特徴として,脳幹・小脳梗塞の合併,発症時高齢(72.0±15.3歳vs 58.2±11.9歳)と,脳底動脈閉塞が観察された. 結論:高齢発症,脳底動脈閉塞の有無が予後規定因子となりうることが示唆された.
著者
田中 良平
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.233-250, 1976-04-15 (Released:2009-10-30)
参考文献数
89
被引用文献数
3 1
著者
Mikhail BALONOV
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.161-171, 2019-10-29 (Released:2019-11-21)
参考文献数
32
被引用文献数
1

In the history of the world nuclear industry there were four major accidents of operating nuclear reactors, i.e., at plutonium production facility in Windscale, UK, 1957; at NPP Three Mile Island, USA, 1979; at Chernobyl NPP, USSR, 1986; and at Fukushima-1 NPP, Japan, in 2011. The Chernobyl accident was the most severe, causing a huge release and deposition of radionuclides over large areas of Europe. Only after this accident there were real health effects caused by radiation, including carcinogenic effect among the population of the adjacent areas of Belarus, Russia and Ukraine. In this paper, same-type basic radiological characteristics are presented for four reactor accidents with more detail presented for the Chernobyl accident. The latter include mean radiation doses incurred by various groups of inhabitants of the three more affected countries, Belarus, Russia and Ukraine. Those who were children at the time and drank milk with high levels of radioactive iodine received high thyroid doses. Since early 1990s there was dramatic increase in thyroid cancer incidence among those exposed to radioiodine at a young age. Apart from this kind of health effects there was no clearly demonstrated increase in the somatic diseases due to radiation. The paper discusses the reasons why the Chernobyl accident had severe radiological consequences.
著者
木村 淳夫 WONGCHAWALIT Jintanart
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

単量体アロステリック酵素、すなわちモノマー酵素が示す協同性(基質活性化)の現象例は極めて稀である。我々は、3種類の同酵素(α-グルコシダーゼ・β-グルコシダーゼ・キチン分解酵素)の取得に成功している。従って3酵素が示す協同性の分子機構を究明することは学問上において興味深い。本研究の目的は、単量体アロステリック酵素の分子機構を解明し、応用研究に結び付けることにある。本年度は次の研究成果を得た。アロステリック部位の決定1)X線結晶構造解析:3酵素について結晶作製を継続してきた。キチン分解酵素に関し、X線構造解析が可能な結晶の作製に成功した。2)活性化部位の確認:キチン分解酵素とβ-グルコシダーゼの触媒部位周辺に可動性ループがあり、基質の取り込みにより大きな構造変化の発生が予想された。キチン分解酵素に関し、本ループにある1アミノ酸をTrpに置換し基質分子を与えると、Trp由来の大きな構造変化が観察された。従って基質分子に起因する本ループの構造変化が解明された。またβ-グルコシダーゼに関しては、可動性ループにあるアミノ酸で特に触媒ポケットの入口付近に位置する残基に注目し点置換体を構築した。本変異酵素の解析から可動性ループがアロステリック作用に関わることが判明した。アロステリック酵素の作製ショ糖分解酵素とβ-グルコシダーゼに関し、高い相同性を持つがアロステリック現象を示さない酵素を対象に、アロステリック現象に関与すると予想される構造因子の移植を試みた。ショ糖分解酵素の場合、構造因子の移植によりアロステリックな性質を与えることができた。β-グルコシダーゼは可動性ループ移植を行ったが、酵素活性は大きく減少した。移植位置が触媒部位近傍であるためと考えられ、ループサイズを小さくする工夫が必要と考えられた。なおβ-グルコシダーゼを用いた構造解析で新規なβ-グルカンの取得が明らかになった。