著者
天目 隆平
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,モーションキャプチャ(MoCap)を用いて俳優の生の演技を予めアーカイブしておいたアクションデータ(基本要素)を接合して,1人のCGキャラクタによる一連の剣戟アクションを構築する手法を提案した.また,1人のCGキャラクタによる一連の剣戟アクションを組み合わせて整合の取れたアクションシーンを構築する手法を提案した.さらに、構築したアクションデータを利用して,キャラクタの視点でアクションを体験することが可能な複合現実感システムの開発を行った.
著者
田北 俊昭 松尾 剛次 貝山 道博
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、地域ブランドの理論と実証分析を行いつつ、地元連携型の「創造的地域ブランドの発掘と構築を行うことが目的である。地域ブランドの経済分析は、さくらんぼ、高級米「つや姫」、高級洋梨「ラ・フランス」、イチョウの銘木などをとりあげ、訪問地ブランドとしての各市町村の情報発信能力について分析を進めている。創造的地域ブランドについては、世界最高級の羽前エキストラシルクをはじめ、自然・歴史文化等の地域資源発掘について、博物館・行政・民間団体等と連携を行い、シンポジウム発表会を実施し地域ブランドの構築を進めた。日本・世界ブランドのプロセスを構築し将来価値評価も可能である。
著者
堀内 史枝
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

定型発達児および発達障害児の不眠症の有病率に大きさ差はなかったが,発達障害児の方が,睡眠についての不安が強い可能性が示唆された.入眠までの環境調整を確実にすることが重要であり,その上で認知行動療法的アプローチを加えることが有用であると考えられた.行動療法的アプローチとしては,消去法,入眠儀式,時間制限法などがあり,これらを組み合わせて行うことが有用であるが,症例毎にその特性が異なることから画一的な治療では十分な効果を得ることは困難であり,個々の症例にあわせた治療をの選択が必要である.今後は,大規模調査により本人・家族から得た情報より判定したタイプ別類型と,それに基づく治療法を確立していく必要がある.
著者
根津 由喜夫
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ビザンツ皇帝の帯びる霊性的権威の実像を解明することを目標にしている。11-12世紀における帝都コンスタンティノープルをひとつの神聖空間として俯瞰した上で、そこで行動し、独特な政治文化が醸成されるのに貢献した皇帝以下のビザンツ人たちの行動形態を、極力、同時代の価値観、思考様式に基づいて解き明かしてゆくことを目指している。さらに、時の経過と共にそれらの現象がたどった変遷の過程も探求する。
著者
山田 秀則 花田 信弘 野村 義明 今井 奬
出版者
鶴見大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Corynebacterium matruchotiiはバイオフィルムの石灰化に重要な役割を果たしている。しかし、C. matruchotiiと歯石沈着の関連における疫学調査や臨床データが少ない。その理由は、C. matruchotiiの簡便な検出方法が存在しないためである。本研究では、C. matruchotiiの簡便な検出方法の確立を目指した。C. matruchotiiの分子疫学調査に利用できる比較的安価で特異的な抗原を抽出した。C. matruchotiiのカルシウム結合タンパク質は20種類存在し、そのタンパク質の多くは酸性タンパクであることが明らかとなった。
著者
加藤 佳子 岩永 誠
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

健康生成論にもとづき食嗜好と偏食の機序について検討した。その結果,1)偏食の構成概念が明らかにされ,食嗜好,偏食行動を測定する尺度を開発した。2)首尾一貫感覚は食感覚に対する受容性と正の相関があり,ソーシャルサーポートは,偏食行動と負の相関があった。3)好きな味と嫌いな味に対する前頭前野の反応の相違が示された。4)偏食の改善は,健康状態に影響することを確認した。味覚感受性は,偏食や食嗜好に影響を与える傾向があるが,内的資源や外的資源を媒介とした時,味刺激に対する感情の調節が図られ偏食行動は緩衝される可能性がある。内的資源や外的資源の充実による食行動の改善について今後も検討する必要がある。
著者
冨田 栄二 佐々木 浩一 赤松 史光 池田 裕二 河原 伸幸 明石 治朗
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

マイクロ波プラズマの性質を診断して、予混合バーナーおよび火花点火機関の着火に適用した。マグネトロンを電源に用いた場合から研究を始め、このプラズマ発信源を半導体に置き換えることによって安定したプラズマを生成することができた。エタノールのように含水性のある燃料に、マイクロ波プラズマを利用した着火システムは、含水の効果により有用であることが分かった。さらに、含水エタノール燃料の場合、レーザーブレークダウンによるプラズマ生成によっても着火を促進するなど有益な知見を得た。
著者
鹿島 剛
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は脊髄性筋萎縮症患者由来の繊維芽細胞を使ってこの疾患の原因タンパク質であるSMNタンパク質の発現調節について研究を続けてきた。その結果、RNA結合タンパク質のhnRNP A2がSMNタンパク質の翻訳のレベルでの調節に密接に関与しており、SMNタンパク質の安定的継続的発現にはA2が不可欠であることが解った。このA2タンパク質は最近、同じ運動神経を侵す筋萎縮性側索硬化症に於いてその変異が見つかっており、我々の発見は脊髄性筋萎縮症に於けるSMNの発現の調節を介した神経細胞での役割を理解するうえで重要な意味を持つ。更に、筋萎縮性側索硬化症の発症のメカニズムに於いてのSMNの重要な役割が示唆される。
著者
中村 純一
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は、1990年代以降の日本経済の長期低迷の原因とも指摘された、いわゆる「ゾンビ企業(金融支援を受けて存続している企業)」の発生・復活の実態とその影響について実証的に分析・考察した。その結果、(1)ゾンビ企業の多くは2000年代前半に復活したが、リストラに依存した縮小均衡であったこと、(2)その傍ら「優良企業」の側の投資行動には、ゾンビ企業の復活後も企業統治要因と関連した過小投資・過大投資の共存など固有の歪みがあったことを示し、それぞれがマクロ経済の本格回復の妨げとなった可能性を指摘した。
著者
篠田 哲史
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

希土類イオンと遷移金属イオンからなる複核錯体を合成し、両種の金属イオンの特性を活かしたアニオン認識や、希土類イオンからの増感型近赤外発光を実現した。また、希土類錯体ライブラリーやタンパク質-希土類錯体など、様々な金属錯体系において溶液中での近赤外発光やアニオン性基質に対する応答性を明らかにした。これらの分子は優れた近赤外発光プローブとして生体イメージングの高感度化に向けた応用が見込まれる。
著者
谷田 創 七木田 敦 望月 悦子 木場 有紀 森元 真理
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,「CoP-AAE:動物介在教育のための実践コミュニティ」の構築による心と体を育む動物介在教育プログラムの開発を目指すものである。日本では、幼稚園などで動物を飼育して、子供達の情操教育に生かすという伝統があるが、実際には、幼稚園の教育の知識不足などから、効果的な教育が実施されず、その結果、飼育動物の福祉も脅かされている。そこで本研究では、Copの構築を通した異分野の共同研究と相互交流により、幼稚園のための動物介在教育プログラムを完成させた。
著者
松岡 延浩 今 久
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

超音波風速温度計から得られた気温が湿度の影響を受けることを利用して,超音波風速計と細線K熱電対温度計を用いた潜熱フラックスの簡単な評価方法を提案し,その実現を試みた。このシステムのコストダウンを図るためには,安価な高速サンプリングデータロガーの分解能に合わせて熱電対の出力を増幅するためのアンプ(熱電対アンプ)の開発が必要となった。このシステムを屋外に取り付け,応答特性,ノイズの分離,零点補償部分の精度の検討を行った。
著者
早田 幸政 青野 透 堀井 祐介 前田 早苗 富野 暉一郎 福留 東土
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1.書面調査法科大学院について、日弁連法務研究財団、大学評価・学位授与機構、大学基準協会の専門職大学院認証評価システムを検討し、その特質を把握した(前田、堀井)。また経営系、会計系においては、AACSB等アメリカのアクレディテーションシステムを検討し、併せて国内におけるシステム構築に向けた動向や準備状況をABEST21、大学基準協会等諸機関のそれを中心に把握を行った(福留、渡辺)。公共政策系に関しては、アメリカのNASPAAの公式文書を手がかりに評価基準・プロセス等について詳細な検討を進めた上で、国内における公共政策大学院認証評価のアウトライン、認証評価手続規程案等を提示した(早田)。さらに、大学院プログラムに対する国際的な質保証のあり方についても考察を行った(前田、福留)。2.訪問調査国内の公共政策大学院の関係者を対象に、質保証の仕組み構築の可能性や必要性についての意識を聴き取り調査を通じ把握し、その概要を取りまとめた(早田、富野、渡辺)。またアメリカのNASPAAを訪問し、最新の情報の補充に努めた。3.その他研究代表者及び研究分担者の一部が、日本における公共政策系大学院に係る認証評価機関の設立に参与し、その準備に向けて、アクレディテーションに関する複数の資料(手続規程や訪問調査の手引き等)の翻訳をはじめ必要な諸作業を漸次進めてきた。
著者
小野 貴彦
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

救急車による傷病者の搬送では,迅速性(病院に早く到着すること)と安全性(振動や加速度の影響で病態を悪化させないこと)が求められるが,これらはトレードオフの関係にある.本課題では,この2つの要求をバランス良く達成させるために,傷病者の病態や緊急性に応じて,搬送経路を最適に選択する方法を検討した.広島市の実際の道路情報に基づいて,経路を探索したところ,迅速性または安全性を優先させる場合で,それぞれ異なる経路が導出されるケースを確認した.このことから,特に,道路網が発達している都市部では,搬送経路の最適化によって,より高度な救急搬送サービスの実現が可能であることが示唆された.
著者
三河 隆之
出版者
明治大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

研究課題の最終年度にあたる本年度は、ジャンケレヴィッチの思想にかんしてこれまで行なってきた基礎的な読解作業および考察の成果をふまえつつ、ジャンケレヴィッチ思想の根幹にかかわる部分に関し、問い直しの作業に従事した。より具体的な内容としては、形而上学的色彩が最も強く、哲学史的文献への参照も顕著な著作である『第一哲学』を中心に、同書ほか、主に戦後の著作にひんぱんに登場する、特異な自己性をあらわす「イプセ(ipse)」とその射程をめぐって分析を行なった。従来のジャンケレヴィッチ論では、その議論や用語法の独自性を抽出するといった方向性が顕著であったが、報告者はむしろ哲学史的伝統との密接な接続関係に着目し、そこに彼の師ヴァールにも通底する神人同型論的な視角を再発見するに至った。すなわち、現代の思想家としてのジャンケレヴィッチ像とはべつに、(宗教論的な側面も含め)きわめてオーソドックスな"西洋思想"の系譜上に位置するジャンケレヴィッチの姿が望見できることを示したことになる。なお、前二年度から継続して、本研究課題に相対的観点を導入する目的から、ジャンケレヴィッチと同時代に、かれと同様ソクラテス的道徳実践の考察に注力した日本の哲学者である出隆の思索についても考察した。今年度は、出がある時期から精力的に発表するようになっていったエッセー的著作について、その内容の分析を行なうことを通じ、その動機や存在意義について考察を行なった。
著者
土屋 千尋
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

外国人日本語学習者の日本語発話において、韻律を構成するたかさ・つよさ・ながさのうち、特に、母音のながさに焦点をあてて、研究をおこなうことにした。筆者のこれまでの研究で、日本人の発話の母音の長短をしらべると、長短の区別が明確でないことがわかってきた。日本語教育では、短母音は1拍、長母音は2拍のながさである、とおしえているのだが、これはかならずしも日本人の発話の現実に基づいていないといえる。したがって、外国人学習者が、漢字のよみ方テストで、母音の長短の区別をまちがえるのは日本人の発話の現実を反映して、音声的事実を表記にもちこんでいることによるのではないかとかんがえた。まず、新潟大学留学生に対して筆者が定期的に実施している漢字よみ方テスト(93年度実施、1課〜16課、のべ枚数280枚、1枚につき出題漢字の平均数64)より母音の長短のあやまりを採集し、どの語のあやまりの頻度がたかいか調査した。その結果、拗音をふくむ漢字、および拗音に隣接している漢字に関して、母音の長短のあやまりの頻度がたかいという傾向がみられた。あやまりの頻度のたかい漢字をふくむ25の語彙リストを作成し、新潟大学留学生27名によみあげてもらい収録した。現在、「音声録聞見」で分析をおこなっている。27名の内訳は、中国7、香港1、韓国1、マレーシア9、インドネシア1、タイ1、モンゴル2、イギリス2、イタリア1、ギニア1、中国帰国者子弟1名である。また、標準となすべき日本語音声資料としてNHKお昼のニュースを47日分録音した。今後、この音声資料を留学生にきかせ母音の長短をどのように知覚しているか調査をおこなう。その上で、外国人学習者が、日本語の母音の長短がききわけられないのか、いいわけられないのか、もしくは、ある漢字の音価がながいかみじかいか知識としておぼえていないのか、学習者の母音とも関連づけてしらべていく予定である。
著者
川野 哲也
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

数値モデルを用いて梅雨前線帯低気圧(BFD)の構造と発達過程を調査した。梅雨前線帯の特徴が東西で異なることに着目し,水蒸気が豊富な西部で発達する低気圧をW-BFD,傾圧性が相対的に大きな東部で発達する低気圧をE-BFDという2つのカテゴリーに分け,それぞれの発達過程を調査した。まず,各カテゴリーの典型事例の再現数値実験を行った。有効位置エネルギーの収支解析と潜熱加熱を除いた感度実験の結果は,BFD発達における潜熱加熱の重要性を明らかにした。特にW-BFD発達において潜熱加熱は決定的な役割を果たしていた。さらに,東西一様な環境場を用いた理想化数値実験によってこれらの発達過程の特徴が確認された。
著者
尾崎 一郎 高橋 裕 池田 公博 濱野 亮 ヴァンオーヴェルベケ ディミトリ
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ベルギー、ドイツ、フランスにおいて、陪審・参審員経験者、および裁判官、弁護士、研究者、ジャーナリスト等へのインタビューやアンケートによる調査を行った。その結果、陪審/参審制度に対する、現場を最もよく知る専門家による強い批判ないし廃止論と、無知・無関心だが法廷経験を通じて制度の正統性を肯定的に評価するに至る一般市民の意識変化との、複雑な交錯を見出せた。これは、歴史的に一定の定着を見ている制度をめぐる根源的で非自省的な正統性と、機能主義的で自省的な正統性との、次元の異なる二重の正統性の現れである。
著者
細谷 紀子
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

生殖細胞と癌細胞において特異的に発現する「癌精巣抗原」が体細胞における染色体不安定性の誘導に果たす役割を解明するため、癌精巣抗原であるシナプトネマ複合体形成分子SYCP3とSYCE2について、体細胞を用いた機能解析を行った。我々は既に、シナプトネマ複合体形成分子SYCP3が体細胞において遺伝性癌抑制遺伝子産物BRCA2と複合体を形成して相同組換え修復によるDNA二本鎖切断修復を阻害して染色体不安定性を誘導することを報告している。前年度までに、SYCP3とBRCA2の複合体形成によって相同組換え修復が抑制されるメカニズムを明らかにするために、BRCA2におけるSYCP3との相互作用部位の解析を進め、BRCA2のN末側とC末側の2箇所に、SYCP3との相互作用領域があることを同定した。今年度は、引き続き、SYCP3およびBRCA2の組換え蛋白の作製を行い、in vitro binding assayにより、SYCP3とBRCA2のN末端が直接結合することを明らかにした。シナプトネマ複合体形成分子SYCE2については、前年度までに、体細胞においてDNA損傷応答の活性化とDNA二本鎖切断修復の亢進をもたらすことが示唆されていた。今年度、DR-GFPアッセイやDNA二本鎖切断末端結合解析を行い、SYCE2が相同組換え修復と非相同末端結合の両経路の修復効率を上昇させることを明らかにした。また、DNA損傷応答が活性化する背景を調べるために、SYCE2発現細胞におけるヒストンの翻訳後修飾やクロマチン構造の変化の有無について解析を進めた。
著者
澤内 聡
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

頭部外傷のなかで,最も重篤な病態とされるのが,外傷性急性硬膜下血腫である.この原因は,血腫に合併する治療困難な脳腫脹にあるとされるが,その発症機序は未だに解明されていない.本研究は,外傷性急性硬膜下血腫動物実験モデルを用い,血清S-100蛋白,Neuron Specific Enolase(NSE)を測定することにより,急性硬膜下血腫に合併する脳腫脹の発症機序,病態を解明することを目的とする.過去の急性硬膜下血腫動物実験モデルは,硬膜下に血液を注入するのみで,脳腫脹,脳浮腫を呈することはなかった.しかし,硬膜下血腫にimpact acceleration head injury deviceを用いてびまん性脳損傷を加え,さらに低酸素(2次性損傷)を負荷することで,より臨床の状態に近い脳腫脹を呈する外傷モデルを開発した.Sprague-Dawley ratsを用い,気管内挿管下後,全身麻酔下に外傷を加えた.実験群は1)硬膜下血腫のみ,2)硬膜下血腫+びまん性脳損傷,3)硬膜下血腫+びまん性脳損傷+低酸素の3グループに分類した.外傷直後,外傷1時間後,6時間後,24時間後,48時間後に採取した血清中のS-100蛋白,NSEをlight immunoassay kitを用いて測定した.各実験群の血清S-100蛋白,NSEの測定値および推移より,急性硬膜下血腫に伴う脳腫脹は,血腫のみではなく,びまん性脳損傷かつ低酸素が重要な要因である可能性が示唆された.星状細胞で合成されるS-100蛋白,神経細胞で合成されるNSEの血液中の濃度を経時的に測定することで,その細胞障害のメカニズムの解明の一助になると考えられる.さらに,急性硬膜下血腫に伴う脳腫脹の主因は,従来,血管性浮腫と考えられていたが,むしろ細胞性浮腫が主体であると考えられた.