著者
美谷島 杏子
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究ではApc; Id2遺伝子変異マウス(Apc; Id2マウス)を用いて、Id2の腸管腫瘍形成における機能を遺伝学的に解析した。Id2欠損による腫瘍上皮細胞の増殖能とアポトーシスへの影響は認められず、腫瘍の大きさへの影響も僅かであったが、回腸の腫瘍の数が80%減少するという著しい変化が観察された。このことからId2は回腸腫瘍形成のinitiationに重要であることが示唆された。DNAマイクロアレイの解析から、Apc:Id2マウスの腸陰窩ではApc欠損型腸腫瘍形成に必須なc-Mycタンパク質の阻害因子や腫瘍形成抑制因子の発現が変動しておりこれらが腫瘍形成抑制に関与していることが示唆された。
著者
佐々木 建昭 櫻井 鉄也 加古 富志雄 稲葉 大樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近似イデアルに基づいて近似グレブナー基底の理論を構築し、部分終結式様の理論を作成して厳密用算法を浮動小数で実行する場合の不安定性を解明し、ブッフバーガー算法を安定化して近似グレブナー基底の構成算法を呈示した。微小摂動のため多変数多項式イデアルの次元が減少した系として近似特異系を定義し、次元を元に戻す操作として近似特異系の特異化の算法を考案し、近似特異型の悪条件代数方程式系の良条件化法を与えた。線形制御理論で近似無平方分解・有効浮動小数・近似因数分解の有用性を示した。モデルに基づく開発への利用を念頭に、パラメータ係数の疎な線形方程式系の誤差低減解法と系の特徴抽出法などを提案した。
著者
石原 進
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

車車間の衝突防止および歩車間の事故防止のために、車車間・歩車間の距離、相対的位置関係、密度に応じて各車両・歩行者が発する位置通知無線信号(ビーコン)の送信頻度、送信出力を動的に制御し、無線資源の効率的利用と安全性の確保を両立するアルゴリズムを開発した。開発したアルゴリズムでは、短い周期でビーコンの送信出力を段階的に変更することを繰り返す。これにより単純な制御で、様々な車両密度、車両間距離において良好なビーコン受信率、ビーコン到着間隔を達成できる。
著者
木村 凡
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本では、最近、明太子、イクラなど非加熱で食べる水産食品の一部がL.monocytogenesにより汚染されている実態が報告され、申請者らの最近の研究でも確認されている。本研究では、非加熱喫食水産食品に絞り、L.monocytogenesの分布検出調査を実施し、分離した食品分離株の諸性状および水産食品中での増殖性や生存性を調べることにより、水産食品での本菌のリスクに関する基礎知見を得ることを目的とした。平成18年度研究では、汚染実態調査、菌株の分離とともに、基本的な菌株情報を得ることを目的とした。市場流通している水産食品のなかから、すでに実施した調査により高頻度でL.monocyto-genes汚染が認められた明太子、いくら、ネギトロなどについて、網羅的に分布調査、および、菌株の分離を実施した。また、L.monocytogenesの検出は、minividas法(AOAC公認法、免疫法にもとづく)により検出された陽性サンプルについて、鑑別培地塗抹→典型コロニーの同定(公定法に準じた試験に加えてAPI,PCR確認)を実施した。さらに、分離株について血清型、基本的遺伝性状をあきらかにした。平成19年度研究では、平成18年度に引き続き、菌株の病原遺伝子性状等の精査や菌株のタイピング識別法の開発を行なうとともに(病原遺伝子inlAの精査、リステリアの簡易遺伝子タイピング法の開発等)、L.monocytogenesの水産食品中や製造環境等での増殖(ネギトロで5℃保存での増殖試験)や生存性評価(環境でのバイオフィルム形成能試験)への基礎データを得た。これらの結果を踏まえて、水産食品中におけるリステリア・モノサイトゲネスのリスクについての基盤的な知見を整理した。
著者
畑野 相子 北村 隆子 安田 千寿
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、認知症高齢者の行動・心理学的症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia :以下 BBPSD とする)に対する非薬物療法として、赤ちゃん人形を用いたケア(以下人形療法とする)を展開し、その効果を科学的に実証することを目的とした。様々な BPSD を有する高齢者に人形療法を行い観察した結果、焦燥感や暴言・暴力の緩和に最も効果があった。人形に対する態度や言葉を分析した結果、人形の意味として(1)現在と過去の自分の存在をつなげる役割(2)気持ちの移行対象(3)高齢者自身が能動的に働きかけができる存在であることが示唆された。また、療法のポイントは、(1)高齢者が好みの人形を選択できること(2)導入は、自尊心に配慮して、対象者のために人形を準備したのではなく、セラピストの人形として提示すること(3)人形と高齢者の目線をあわせること(4)人形を渡し放しにするのではなく、療法として人形を用いることである。共通して好まれた人形は、目が開眼しているまたは開閉することであった。
著者
山田 健人 林 睦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

CD26は広汎なヒトがんに発現している。ヒト化抗CD26抗体(Ab)でがん細胞を処理するとがん細胞の増殖抑制と共にCD26とAbは細胞質内から核内に移行した。クロマチン免疫沈降法にてCD26とPOLR2Aの転写調節領域が特異的に会合することを同定した。Abに抗がん分子Xを結合させたところ、X結合Abが、Abのみよりも極めて高効率にCD26依存性にがん細胞の増殖能の極度の低下を誘導した。一方、CD26を発現する正常ヒト内皮細胞やTリンパ球では、Ab核内移行はなく増殖抑制は認められなかった。X結合Ab-Xをマウスへ投与したところ、異種移植したヒトがんの増殖抑制能は、Abよりも強い効果が得られた。
著者
根来 龍之 國領 二郎 木村 誠 森田 正隆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラットフォームビジネス・サービスについて、理論追求と事例研究の双方について成果を発表した。前者については、メディア機能型PFBと基盤機能型PFBの概念的区分とその融合に関する研究を行った。同時に、上記の理論的研究に基づきながら、事例研究も進めた。具体的には、電子マネー、ソフトウェアビジネス、ゲームビジネス、ネットプロモーションについて、事例研究を発表した。同時に、研究の背景となる情報システムと競争優位に関する研究も進めた。
著者
三町 祐子 齋藤 公明 久保田 富雄
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ディオファンタス近似理論においてLittlewoodの予想というものがある.n個(n【greater than or equal】2)の任意の実数の,ある種の同時近似問題である.さて,Littlewoodの予想は,n=2の場合に帰着されることがわかっている.そこで,2つの実数が共に2次無理数であるときに,上記の予想に近づくことが本研究の目標であった.平成10年度は,H.Dickinsonの方法(1993,1994)を用いてのアプローチを試みた.同時あるいは非同時の1次形式についてのある種のディオファンタス不等式とエルゴード理論でいうnatural extension, skew pruduct, substitution等を組み合わせるものであったが,これはうまくいかなかった.平成11年度は,Minkowskiのconvex body theoremに基づいた類似の不等式を用いてのアプローチを試みた.この不等式はMinkowski,W.M.Schmidt等によって提示され,さらにCassels, Davenport, Mahler等によってその評価が改良されている.本研究では実数を2次無理数に限定することにより,両者のある種の展開における周期性を用いることができた.このことと,既に得られている結果によって,同不等式の評価を改良することができると思われる.
著者
石崎 博志
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度はポーランドのクラクフ、フランスのパリにて中国の字書の欧州の所蔵状況などを調査し、京都、東京にて関連する漢語資料の調査を行った。そして、来華宣教師および在欧の中国学者がどのような中国の字書を参照していたのか、また中国の字書が欧人の編纂した辞書にどの程度反映されているのかを考察し、口頭発表を行ったのち、論文を発表した。この研究で扱った辞書は『西儒耳目資』、"海篇類"の字書、『字彙』、『正字通』、『諧聲品字箋』、『五方元音』で、以下の結果を得た。"海篇類"の字書については欧州各地に数多くの所蔵がみられ、宣教師やヨーロッパ人学者もそれらの書名を引用するものの、具体的にそれらをベースに編纂された辞書はみあたらない。『字彙』『正字通』も欧州各国に伝わっているが、殆どの場合字彙の筆画検字法の導入に止まり、字書本体を使用した事例は挫折に終わっている。『品字箋』については、Antonio Diazが1704年にVocabulario Hai xing phin tsu tsienを著すが、その序文に『品字箋』の韻分類を示すも、本体は宣教師による辞書を引き写したものとなっている。『五方元音』とラテン語による"Vocabularium Sinico-Latinum juxta. Ou Fang Iuen In."については、発音体系に若干の齟齬があるが、辞書本体の語釈部分については『五方元音』の反映はみられない。
著者
若松 昭子
出版者
聖学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

アメリカの図書館学者ピアス・バトラーについての研究は、従来、シカゴ大学時代の彼の著作を中心に考察されてきた。本研究では、バトラーの書誌学者としての実践にも注目しその意義を考慮しつつ、彼の図書館学をメディア論の観点から再考した。バトラー図書館学の具体的・実証的な裏づけのために、シカゴ・ニューベリー図書館において彼が構築したインクナブラコレクションを分析した。その結果、バトラーが収集した当該館のインクナブラは、15世紀ヨーロッパにおける印刷術の出現と普及、ならびに近代的書物の形成過程を示す代表例であったことがわかった。即ち、バトラーは、15世紀後半のヨーロッパの様々な印刷所の代表的図書を集めるとともに、活字体の変遷を示す様々な活字の実例、あるいは標題紙、ページ付け、目次、索引などの印刷本特有の機能の発展段階を示す実例などを優先的に収集し、体系的コレクションを構築した。また、バトラーは印刷術発明と普及の影響を、書物形態の変化という分析書誌学的な興味からばかりではなく、多様な思想の表現、近代科学の発展、学術出版の広がり、著作者の権利意識の高揚、母国語出版物の普及による言語の標準化、等々の社会的・文化的な変化としてより広範な視野から捉えようとしたことがわかった。バトラーの図書館学の基礎にあるこの書物観は、20世紀後半のメディア論、つまり印刷術発明の社会的・文化的な影響を人間精神や社会構造の変化として解明しようとする視点と共通する。バトラーによる書物の社会史的な論考は、今日の研究と較べると論証性や実証性に不十分さが見られるものの、書物を社会史との関わりで捉え、印刷術の発明をメディアコミュニケーション革命として位置づけようとした今日のメディア研究と同様の視座を持つ、先駆的存在と位置づけることができる。
著者
池田 浩
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、メンバーを奉仕するサーバント・リーダーシップに着目し、その効果を実証的に検討した。その結果、サーバント・リーダーシップは従来の変革型リーダーシップとは異なる効果を持っていた。すなわち、変革型リーダーシップは、有能性を意味するメンバーの「認知的信頼」を引き出していたのに対し、サーバント・リーダーシップは「情緒的信頼」を引き出していた。また、サーバント・リーダーシップは、メンバーの基本的な心理的欲求(有能感、自律性、関係性)を満たすことで、自律的なモチベーションや職務パフォーマンスを引き出していた。さらに、サーバント・リーダーシップは職場全体に波及する効果も持っていた。
著者
小林 恵美子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、未成年大学生が飲酒、喫煙をするか否かを合理的に判断する背景について、次のことを実証した。飲酒に対する社会的制裁と非飲酒に対する社会的報酬の推定値は抑止要因として、そして、飲酒に対する社会的報酬と非喫煙に対する社会的制裁は促進要因として作用していることが明らかになった。さらに、飲酒、喫煙に対する「制裁>報酬」となった時にこれら違法行為を自重すること、また、非飲酒に対する「制裁<報酬」となった時に飲酒を自重することが示された。
著者
市 育代
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

酸化ストレスは動脈硬化発症と進展に深く関与している。セラミドはアポトーシスを誘導する生理活性脂質で、細胞内のセカンドメッセンジャーとして機能していることが知られている。我々は以前、ヒトの血漿セラミドが動脈硬化の脂質マーカーと相関関係にあることを報告している。そこで本研究では、酸化ストレスにおけるセラミド代謝の変化を動物実験によって明らかにするために、四塩化炭素による劇症肝炎時に誘発される酸化ストレスが、肝臓だけでなく、他の臓器においてもセラミド代謝に影響をあたえるかについて調べた。組織のセラミドは、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS/MS)を用いて測定した。次に、ストレプトゾトシンによる糖尿病ラットにおいて、各臓器でセラミド代謝の変化がみられるか、またセラミドの蓄積が糖尿病の合併症に関与しているかについて検討した。肝臓のセラミドには変化はみられなかったが、血漿と腎臓のセラミドは糖尿病ラットで増加した。またセラミドの産生酵素であるスフィンゴミエリナーゼ(SMase)活性は、血中の分泌型SMaseが有意に増加した。このように、酸化ストレスを介した過度のセラミド蓄積は動脈硬化の発症因子のひとつであることが示唆された。
著者
出口 拓彦
出版者
奈良教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

授業における私語の発生過程について, コンピュータ・シミュレーションや質問紙調査等によって検討した。シミュレーションの結果, (1)周囲の状況を考慮せずに私語をする確率が10%程度であっても, 教室全体に私語が広がる可能性があること, (2)教室内の仲間集団の数が多いほど私語が広がりやすくなること等が示唆された。一方, 質問紙調査では, 友人の数と私語の頻度・被私語頻度との間に, 弱い正の関連があること等が示された。また, 私語の発生位置に関するシミュレーションと質問紙調査の結果は, ほぼ一致した。
著者
堀田 政二
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本課題では,あるサンプル集合(陽サンプル)と,その原点対象となる鏡像サンプル(陰サンプル)を一つのガウス分布で表現する分布を提案し,これらから導かれる統計的パターン認識手法を開発し,これまで発見的に拡張されてきた相互部分空間法や複数サンプルの同時クラス分類を効率的に行う手法を統計的に導くことを可能とした.これらの手法を画像認識,音声認識,動画像認識などの大規模データに適用して,その有効性を確認した.
著者
ラムザン 優子
出版者
立命館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は多言語多文化共生日本語教育を実践する教員の多文化性の理解の仕方を明白にし、それが日本語学習者の多文化性の開発にどのように影響を及ぼすのかを明確にし、現在世界の教育一般に求められている多文化間のコミュニケーションを円滑に執行することができる人材育成を目的にした言語教育に貢献するという目的の基に執行された。結果は「多文化共生教育」を目指すに あたり、言語教育の範疇で「多文化性」とは何なのかという教員自身の捉え方の重要さを明白にし、教員のその捉え方によって授業の到達目標、評価基準、授業活動、課題設定が全く違った体を成す事を示した。
著者
柴田 憲治
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

単一の自己組織化量子ドットを用いた単一電子トランジスタ、単一光子発生器などの量子情報処理デバイスは、1つの電子や光子に情報機能を持たせるため、超低消費電力エレクトロニクスの有望な技術と言われている。本研究では、(1)10 nm級InAs(インジウム砒素)量子ドットの位置・形状制御を実現することによって、単一量子ドット機能デバイス作製の歩留まりの飛躍的な改善を達成した。更に、(2)精密に制御された自己組織化InAs量子ドット構造の単一電子・スピン状態の解明を行った上で、(3)それらの物性を応用した超伝導トランジスタや、単一スピン操作素子、THz光エレクトロニクス素子などの例証実験を行った。
著者
馬場 哲晃
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

3年間の研究活動を通じ,論文誌5件,学会発表61件,知的財産5件の成果を残した.身体接触インタフェースでは,商品化4件を通じて,研究成果の周知浸透が実現できた他,福祉施設や教育施設における利用を実践した.
著者
池田 哲夫 斉藤 和巳 武藤 伸明
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、画像や映像などのマルチメディアデータの効率的な類似検索方法を開発することである。具体的にはBustosらのピボットによる類似検索方法を土台として類似検索方法を開発することである。類似検索方法として、Bustos法でのピボット集合要素の交換方法を改良した方法と、マンハッタン距離に基づく一般化ピボット法の2方法を提案した。2方法とも従来方法に比較して、類似検索性能、ピボット集合選択時間が優れていることを実験で確認した。さらに、実験対象データの性質を効率的に解析可能とすることを目的として、ネットワーク内のコミュニティ抽出方法と、ネットワーク可視化方法を複数考案した。
著者
森 寛敏
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アクチニド・ランタニドイオンを選択的に捕捉のために必須となる水和様式の解明を目指した理論的研究を行った。これらの元素は,放射性元素であるものが多く,また,原子番号に比例して増加する核電荷に由来して,その電子状態は,多数の電子が複雑に絡み合う(電子相関)のみならず相対論効果に支配されたものとなる。これまで,電子相関と相対論効果を同時に精度良く取り扱った理論計算は困難であったが,酒井・三好型のモデル内殻ポテンシャル法を拡張することでこの問題を解決できることを示した。