著者
後藤 一寿 井形 雅代 高橋 京子 井上 荘太朗 須田 文明
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

地域経済の成長と国民の健康福祉の向上を同時に実現する方策としては、健康や安全に資する先端科学バイオ技術開発と産業界・経済界への円滑な技術移転による新産業クラスターの創出が必要不可欠である。そこで、バイオ産業・企業と、機能性食品等の開発を行う食品産業・企業との融合による栄養・健康産業クラスターの構築に焦点を絞り、日本・ヨーロッパ・アジアの栄養・健康産業クラスター事例の発掘・評価ならびに国際比較を行った。その結果、オープンイノベーションの視点による研究開発支援の重要性や、機能性農産物、漢方・生薬の自給率向上による医療産業支援などの重要性が明らかとなった。
著者
藤山 和仁 大橋 貴生
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

大腸菌を用いて、ヒト型糖鎖構造を持つ組換えタンパク質生産のための、基盤技術の開発を行った。これまで、大腸菌は糖鎖付加機能がなく、糖たんぱく質の生産に不向きとされていた。当該プロジェクトでは、Campylobacter jejuni JCM 2013の糖鎖修飾関連遺伝子と出芽酵母遺伝子を大腸菌に導入し、合成生物学的手法により、糖鎖修飾能をもった大腸菌を創製した。この技術を発展させると、抗体などの医療用糖タンパク質を大腸菌で簡便に生産できると期待される。
著者
上田 麻理
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

雨天時は,降雨等による環境の変化によって,視覚障害者が危険に晒されている.特に,降雨時に発生する"傘の雨滴衝撃音"によって視覚障害者や聴覚障害者が普段利用している聴覚情報の利用が妨げられており,道路横断時の自動車接触事故経験を示す視覚障害者が多い等,生命に関わる重要な問題であり,解決策の提案は急務である.本研究では雨天時の視覚障害者の歩行の安全を確保するために降雨騒音低減傘の開発,検証実験と評価指標の検討,視覚障害者用補聴器の開発,法制の整備等を行う.視覚障害者のニーズを配慮した雨天時の歩行環境整備として,以下に示す整備を実施した.◆降雨騒音低減傘の開発/検証実験と評価指標の検討(概要:これまで,降雨騒音低減傘のための基礎的検討を行ってきたが,これらの知見を踏まえ,実用化に向けて制振対策と効果の確認旧標値への追従性等),物性値の測定を行う.また,視覚障害者によるユーザビリティに関する検証実験は大変重要である)昨年度及び一昨年度の二年間は,特許修正,製品化へ向けた傘の軽量化,降雨騒音レベル測定,評価実験を実施した.さらに,視覚障害者用補聴器の開発(概要:高度技術支援システム等の新たなデバイスを用いた福祉機器による移動支援を望む視覚障害者のために,視覚障害者用補聴器の開発と提案を行った.雨天時に,傘の雨滴衝撃音等の降雨騒音にマスキングされずに,必要な聴覚情報を聞き取り易くするための補聴器の開発と補聴器のフィッティングである.さらに,どれくらい降雨騒音によってマスクされているかを明らかにするためにマスキング計算モデルの構築を行った.◆視覚障害者用聴覚情報に係る法制の整備と工業規格化,国際標準化(概要:わが国における視覚障害者支援に関する法制では,雨天時等の環境変化に応じた整備指針がないことが問題の一つである.雨天時の歩行は視覚障害者にとって危険であることから,法制の整備や視覚障害者用サイン音の設置・運用に関する標準化は重要な課題である)本研究では,法整備のためのデータ収集を実施した.◆降雨騒音傘を例とした晴眼者の音環境の価値評価に関する経済評価実験:開発した降雨騒音低減傘の販売価格を設定する際の参考にすること及び,低減傘から得られる様々な効用(メリットなど)を経済評価実験により定量化することを目的とした.対象はまずは,低減傘の主な利用者ではない晴眼者を対象として実験を実施した.
著者
大戸 安弘 梅村 佳代 川村 肇 木村 政伸 天野 晴子 八鍬 友広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は概ね以下の三つの方向で行われ、それぞれにおいて一定の成果を収めたということができる。(1)古文書資料合同調査、(2)刊本資料分担髑査、(3)視点別個別研究調査の三っである。このうち中心となったのは(1)と (2)であるが、(3)についても、本格的な展開は今後を待たねばならないとはいえ、注目すべき成果を得ている。(1)の目的は、前近代日本における識字状況を解明するために、民衆の花押(白署)をともなう資料、たとえば、人別帳・起請文・村掟・契約書などを収集することにある。2002年8月から2005年11月にわたって、各地の歴史資料所蔵機関を訪問し、花押を有する原文書ないしはその複製資料を調査し収築した。花押を有する資料は概ね17世紀以前のものであり、貴重資料に属するものが多い。報告書に掲載した資料は、すべてこの調査によって収集されたものの一部であり、識字資料としての花押原型が磯認できるよう、有力な資料を可能な限り採録した。(2)の目的は、公刊されている諸文献のなかに、花押を有する有力な資料、とくに民衆の花押を有する資料を確認することにある。それらのなかには、短期間で原文書を確認することが困難であったり、あるいはすでに原文書が滅失したりしているものも少なくない。「平安遺文」「鎌倉遺文」などの綱羅的資料群、各県で編纂されている自治体史を分担して調査し、数多くの資料を収集した。(3)は、調査結果によりながら、職業・宗教・女性・地域・学問・花押と印章などの観点から、研究代表および各研究分担者において個別に研究を深めた成果である。
著者
野堀 潔
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Double transgenic mice crossed GFP-LC3 transgenic mice with alphaMyHC-mCherry-LC3 transgenic mice are a new and useful tool to examine the role of autophagy in the heart. Terada M, Nobori K, et al. Circ J. 2010 Jan;74(1):203-6.上記論文にて報告した我々が作製したalphaMyHC-mCherry-LC3トランスジェニックマウスを、理化学研究所・バイオリソースセンターに寄託した。C57BL/6-Tg(Myh6-mCherry/LC3)1Acvmという名称で登録となり、2011年5月のRIKEN BioResource Center Mouse Mail Newsにて、Mouse of the Monthとして取り上げられた。alphaMHC-mCherry-LC3トランスジェニックマウスとGFP-LC3トランスジェニックマウスとのダブルトランスジェニックマウスを利用した上記論文に記載したオートファジー解析方法により、心不全を発症するデスミン心筋症モデルマウスα-β-crystallin R120Gにて、オートファゴゾームとライソゾームとの融合障害が起きているかについて検討した。
著者
村嶌 由直 森 義昭 岡田 秀二
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究は,一つは北米における育成的林業の成立過程と,それの採取的林業との併存構造を解明し,木材の対日輸出の経済力を問うこと,あと一つはその結果として,それが日本国内でどのような問題を生んでいるか,とりわけ日本林業との競争関係を解明することであった。明らかになった点をあげると以下のようである。1. 北米における採取的林業から育成的林業への展開は,old growthの生産から second growth の生産へ移行しつつ,その過程でアメリカ国内市場における地域問競争の激化と対日輸出の拡大をよんでいる。2. また一方,old growthの生産は環境保護を求める動きのもとで制約を受け,国公有林の生産規制へと発展している。その結果,輸出は木材企業(紙パルプ多国籍企業)の売り手独占的な構造になり,比較優位をより確実なものにさせている。3. しかも,80年代半ばからの円高ドル安移行とその定着は,製品輸入に中心を移しつつ,より外材化を進めた。それが日本の国内自給率を4分の1段階へといっそう後退させる結果になっている。4. しかし,円高現象は日本の企業の海外活動を活発化させた。日本の紙パルプ企業の北米企業の工場買収や,経営参加,さらには発展途上国における植林など新たな動きが展開した。製材企業や木材問屋の中にも海外投資を展開する企業が現れた。5. こうした外材中心の市場体制のもとで日本林業は後退傾向を強めているし,建築用の木材市場をみたとき輸入製品,国内挽き製品,国産材製品の三者が激しく競争を展開している。この中で日本の森林資源の管理の在り方が問われている。
著者
村上 明美 喜多 里己 丸山 彩香
出版者
神奈川県立保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、熟練開業助産師が後進の助産師に対して行っている卓越した「わざ」の伝承を、D. Leonard & W. Swap(2005)が提唱するディープスマート理論に基づいて分析し、「わざ」伝承の緒相を明らかにすることを目的とした。対象は、熟練開業助産師3名と、そこに雇用されている後進の助産師7名であった。対象者にそれぞれ2回の半構成的面接を行い、面接の様子をフィールドノーツに記載するとともに、対象の許可を得てレコーダーに録音し、逐語録を作成した。分析は、逐語録とフィールドノーツの内容を、まず、ディープスマート理論の構築・形成・選別・移転の段階に沿って分類し、コーディングを行い、「わざ」伝承の視点から内容分析を行った。その結果、以下のようなストーリーラインが描写できた。後進の助産師は「熟練開業助産師に惚れ込む」ことから助産所の一員となって、熟練開業助産師と場や感覚を共有するようになっていた。さらに、後進の助産師は「熟練開業助産師から現場を任される」ことや、たとえ熟練開業助産師が不在であっても「熟練開業助産師が存在しているかのように実践できる」と感じることで、熟練開業助産師の卓越した「わざ」が自身に伝承されていると実感していた。卓越した「わざ」は、HOW TOとしては伝えられておらず、特に、出産の場においては、後進の助産師が[産婦の産もうとする力]と[胎児の生まれようとする力]に熟練開業助産師とともに徹底して寄り添うことを通して、熟練開業助産師の「信念」「責任」「真摯な姿勢」「判断の見事さ」等の卓越性を共有していた。さらに、出産終了後に後進の助産師が熟練開業助産師とともに「出産を振り返る」ことは、相互に共感的な気づきが生じ、熟練開業助産師の卓越した「わざ」が後進の助産師に伝承される場となっていた。
著者
相川 弘明
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ハルナック不等式とは同一の中心をもつ大小の球を考えたとき,大きい球内での正値調和関数の小さい球内での値は中心の値の定数倍で比較されるという不等式である.有限個の球が半径に比例する十分大きい共通部分をもってつながっているものをハルナック連鎖という.ハルナック連鎖を構成する一つ一つの球にハルナック不等式を繰り返し用いることにより,ハルナック連鎖上の正調和関数の両端の値は比較可能なることをハルナック原理という.本研究ではハルナック連鎖の中に容量の小さな除外集合があっても,ハルナック原理が成立することを示し,その応用を与えた.
著者
小野 聡
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

2012年度は本研究計画の最終年度であり、研究計画で位置づけられるところの「事例研究」の取りまとめが行われた。これは、2011年度より行われていた、京都市などにおける再生可能エネルギー普及のための市民団体の役割分析、および埼玉県小川町における有機農業を中心とした民間主導のまちづくりの取り組みの分析を中心に行われたものである。また、掲載されるのは2013年度となってしまうが、研究計画1年目より推進してきた、愛知県日進市における調査結果を元に、環境基本計画の推進における市民ネットワークの機能分析についても取りまとめられた。京都市および神奈川県における研究では、再生可能エネルギーの普及促進に取り組む市民団体は、行政の掲げる政策方針に応じて活動内容や資源調達の方法を変化させていたが、その方法として共通しているのが政策提案のネットワークを自ら形成しているということであった。また、小川町における研究では、創成期に活動した1人の農家を中心として有機農業を支援するコミュニティの輪が広がっていったが、そこには有機農業支援の担い手教育のシステムが組み込まれていたことが確認された。そして、日進市における研究では、設立当初はごみ問題、流水域の緑地保全、農業問題などといった分野横断的に計画を総合的に推進してゆくことを目的としたNPO団体であったが、徐々に各分野内での事業連携を行う上での拠点へと機能が変容していったことが明らかになった。
著者
内田 照章 毛利 孝之
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

1.イエコウモリ精子は、子宮では上皮細胞の微絨毛を被うルテニウムレッド濃染の良く発達した微細な糖衣に精子頭部を接触させ、子宮卵管移行部では上皮細胞の細胞膜弯入部に精子頭部を嵌入させて長期貯蔵される。今回、子宮内膜上皮細胞の微絨毛糖衣は排卵と同調して失われ、そのために精子が上皮細胞から離脱すること、また精子貯蔵部位の上皮細胞にはグリコーゲン顆粒の他に、過蟻酸-燐タングステン酸に濃染する糖脂質様の分泌顆粒が多数認められることを明らかにした。2.イエコウモリ精子の貯蔵に関与する子宮卵管移行部の上皮細胞はまた、精子を貪食する機能を持つ。今回、これら上皮細胞の貪食能を更に確認するため、カチオン化フェリチンを用いて培養実験を行なった結果、貪食能の他に飲食能も認められ、そのために腔内が清澄に保たれることを実証した。一方、子宮内膜上皮細胞は精子を貪食せず、またフェリチンを取り込まなかった。3.今までに、雌性生殖道内に搬入された精子の受精能獲得に要する時間は50日以上であることを実験的に明らかにした。今回、更に既交尾雌の隔離実験と排卵促進剤の投与により、卵の賦活率と正常発生率を詳細に調べた結果、精子は少なくとも85日以上滞留しないと受精能を獲得し得ないことを明らかにした。4.ユビナガコウモリの遅滞着床機構を解明するため、冬眠前・中・後期における血漿プロゲステロン濃度を測定した結果、その濃度は非妊娠期に比して、冬眠前から始まる遅滞着床中は有意には上昇せず、その後の冬眠中の遅滞発生中には有意に低くなるが、冬眠覚醒後には有意に高くなることを知り得た。5.その他、モリアブラコウモリ、コウライアブラコウモリ、オオアブラコウモリ、クロアカコウモリ、テングコウモリなどの精子貯蔵様式を電顕的に比較検討すると共に、これらの受精過程をも観察中である。
著者
北村 圭一
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

研究テーマ「数値的アプローチによる衝撃波安定・全速度流体解析手法の研究」のうち,「衝撃波安定」という側面について,前年度に提案した新規手法(SLAU法,SLAU2法)を用い,その成果を論文や国際会議にて発表致しました.これらの手法は衝撃波を比較的安定に補足できる上に,既存手法のようなパラメタ依存性が無く,幅広い問題への適用可能性が期待されています.またこの成果から,極超音速流れにおける熱流束のシミュレーション技術を一歩,前進させました.更にその応用として,手法の複雑形状の宇宙機空力解析への適用や,非構造格子における新規手法の開発も行いました.そして我々の手法の適用性を拡大し,より多くの問題に利用するため,1年間アメリカ合衆国へ渡航し,NASA Glenn Research CenterのLiou博士と協力しながら混相流の研究を行いました.混相流では低速から高速まで様々な速度領域が存在するため,「全速度」に対応できる手法が望ましく,この性質を備えた我々の手法(SLAU法,SLAU2法)は有望と言えます.私は現時点でこれらを気液二相流に拡張し,例えば空気の流れの中に置かれた液滴に衝撃波が干渉する問題を解く事ができるようにしました.この成果を今年度および次年度の国際会議で発表し,論文にまとめています.今後はこの手法の更なる発展として,粘性・キャビテーション流れ(=水中で飽和蒸気圧以下になると,自動的に気泡が生じる)への応用と,簡単かつロバストな界面補足(宇宙研・野々村博士と共同)についての研究を進めていく予定です.
著者
小林 哲夫
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

デンプン分解に関わる酵素遺伝子群の発現を統括する糸状菌転写因子AmyRの誘導物質依存的核移行メカニズムの解明を目的とし、以下の成果を得た。1.AmyRは誘導物質依存的にDNA結合能を獲得すること、また、AmyRを含むタンパク質複合体の分子量が、誘導条件下で低下することが示された。これらの事実ならびにDNA結合ドメイン内に核移行シグナルが存在することを踏まえ、AmyRの誘導物質依存的核移行は核移行シグナルを含むDNA結合ドメインのマスキング/アンマスキングにより制御されていると考えられた。2.AmyRは誘導物質体存的にリン酸化される。推定リン酸化部位の変異解析により、T424、S436、S445のアラニン置換により、AmyRが構成的に核移行することが明らかとなった。また、T424、S445の変異により転写活性化能が消失するのに対し、S436の変異では構成的な転写活性化が引き起こされた。これらの変異はいずれもMH3ドメインに存在する。MH2が転写活性化ドメインであり、MH4が核移行制御ドメインであるとする過去のデータと考え合わせ、MH2、3、4の複雑な相互作用によりAmyRの核移行や転写活性化能の制御が行われていると考えられる。
著者
名和 行文 丸山 治彦 大橋 真 阿部 達也 緒方 克己 今井 淳一
出版者
宮崎医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

宮崎県下では1988年に我々が世界初のドロレス顎口虫人体感染確定診断例を見いだし、それ以前の7例の類似症例のうち皮膚生検で虫体が確認されていた2例からも、パラフィンブロックから虫体を剖出し、いずれもドロレス顎口虫幼虫であると同定した。それ以後も新規患者の発生が続き、延べ14例(虫体確認例4例)の患者を見つけた。問診上、14例中13例は渓流釣り愛好家あるいはその家族で、渓流魚の生食歴があり、これが感染源として重要であると推測された。また、1例はマムシ生食の既往歴がある。患者への感染源、および流行地域でのドロレス顎口虫の生活環を明らかにする目的で、まず終宿主である野生のイノシシについて調査を実施したところ、宮崎県の中央山地では現在でもほぼ100%の感染率であった。また、雌成虫より虫卵を取り出し、人工孵化して得た第1期幼虫を第1中間宿主である冷水型ケンミジンコに感染させて、第3期幼虫を得ることができた。次に、第2中間宿主や待機宿主について調査をおこなったところ、患者発生と密接な関係のある西都市銀鏡地区に棲息するマムシにはドロレス顎口虫幼虫が濃厚にしかも100%という高率で寄生しており、この幼虫をブタに感染させたところ成虫が回収された。さらに同地区で捕獲されたシマヘビも幼虫を保有していた。聞き取り調査によると野生のイノシシはヘビ類を食するということなので、自然界の生活環のなかでヘビが重要であると推察される。患者への感染を源として、問診では渓流魚が感染源となっている可能性が高い。そこで我々はヤマメについて約200匹を検査したが、これまでのところ幼虫を検出することはできなかった。また、1990年にはブル-ギルを刺身にして食した夫婦が同時に発症したため、一ツ瀬ダムにて捕獲したブル-ギル約200匹についても検査をしたが、幼虫は発見できなかった。したがって今後更に多数の検体についての調査を実施する必要がある。
著者
糸林 誉史
出版者
文化女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

メディア産業の知・権力と番組制作者の解釈枠組みに関して、国際共同制作テレビドキュメンタリーをディスコース実践の問題として捉え、番組制作過程の「行為実践/表象する知・権力」の双方に対して、メディア人類学の視点から多角的に民族誌的な調査と番組内容の分析を平行して行った。よって補助金は、主に上記の研究を遂行するための内外における資料収集と聞き取り調査に当てられた。1.欧米のメディア人類学が、メディア研究全体のなかで大きな成果を収めた、マスメディア・システムを特定の言明を儀礼化する儀礼的エージェントとして見なす近年の民族誌的研究について、その意義や成果を確認し、その成果を論文として発表した。2,英国映画協会(BFI)において、国立映画テレビ放送アーカ'イブス(NFTVA)でのBSC(放送番組基準委員会)に関する資料収集。BBCにおいて、EPUの編集方針、プロデューサー・ガイドラインに関する聞き取り調査を行った。またロンドン大学の「アジアメディアプロジェクト」関連の資料調査をシンガポールの南洋工科大学において行った。3.米国のワシントンDCとメリーランド、さらにマレーシアにおいて、次のような資料調査と聞き取り調査を行った。共同製作者:『ミニドラゴンズ』の制作過程、日本語版へのコメント、ゲートキーパーの役割等の聞き取り調査。米国放送図書館(ABL)および国立公共放送アーカ'イブス(NPBA):放送倫理と第三者機関。米国議会図書館:連邦通信委員会(FCC)と公共放送制度である。4.以上の成果を踏まえて、論文を執筆するとともに、批判的ディスコース分析による調査結果の分析を進めている。本研究課題より派生したメディア言説と国家理念の問題に関して、基盤研究C(一般)による共同研究「新聞広告・読書欄にみる東南アジア域内世論の相互仮響」モデル構築」と題する研究を企図し、準備を進めている。
著者
二宮 崇
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

自然言語処理における識別モデルの素性関数は人手による試行錯誤で設計されているが、数十万から数百万に及ぶ素性関数を人手で発見・制御することは非常に困難な作業となっている。本研究は、素性関数を自動的に選択・構築しつつ目的関数を最適化するオンライン・ グラフティングの効率化およびアンサンブル学習による高精度化の研究を行う。本研究の提案手法はL1正則化ロジスティック回帰の近似手法となっているが、実験により、従来法の精度を低下させることなく、学習の高速化を実現することを経験的に示した。また、確率的アルゴリズムを用いたアンサンブル学習によりオンライン・グラフティングの精度が向上することも確認した。
著者
大澤 舞
出版者
東邦大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、研究代表者が博士論文(Osawa (2009))で提案した、単独では非文(あるいは容認されにくい)と判断されるにもかかわらず、適切な(条件の整った)文脈に生じれば容認されるという振る舞いを示す「語用論的動機付けを必要とする構文」に関する一般化の妥当性を高めるため、不定名詞句主語を伴うcause使役受身文と、cause使役受身に共起するby句の分析を行った
著者
後藤 行延 平松 祐司 揚山 直英 榊原 謙 徳永 千穂
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

(1)骨髄由来白血球(好中球・単球)の体内動態をフローサイトメトリーで解析するカニクイザル体外循環モデルを確立した。(2)骨髄由来白血球(好中球・単球)の血中での半減期および、骨髄通過時間を指標として、これまで示唆さていた体外循環で惹起される骨髄刺激を定量的に証明した。(3)体外循環刺激により骨髄から循環血中に放出された白血球が肺に集積することを示した。(4)体外循環刺激により骨髄から循環血中に新たに放出された白血球が、体外循環術後肺傷害の病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
著者
福井 正博 築山 修治
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

集積回路技術の進展に伴い,回路が大規模化・複雑化すると共に,物理変動によるタイミング動作保証が困難化している.本研究課題は,次世代の集積回路に対して,製造ばらつき,電源電圧,熱変動,トランジスタの経年劣化を考慮し,チップレベルでのタイミング解析を高速に行う技術の確立を目指し,(A) パワーゲーティングによるラッシュカレントに関する信頼性ホットスポットの見える化システム,(B) トランジスタの発熱,電源配線のIRドロップの高速統計的解析技術の解明,(C) NBTI などの経年劣化と製造ばらつきに起因する遅延ばらつきを統一的に取り扱うことができる遅延モデルと統計的静的遅延解析手法を完成した.
著者
濱崎 圭三 岡山 雅信 三瀬 順一 梶井 英治 鶴岡 浩樹 濱崎 圭三
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

【目的】地域医療および総合診療を担うための医師養成の卒前教育における地域医療現場での臨床実習(地域医療実習)の効果的なプログラムの作成である.【方法】デザインはアンケート調査(横断研究)である。対象は医学部5年生で、調査項目は、実習施設と内容、実習の感想、実習前後の地域医療や将来への思いである。実習施設と内容以外の項目はVisual Analogue Scale (VAS)を用いた.【結果】回答率は97%,96%(H12,H13)であった.実習施設は病院のみが42%,31%,診療所のみが22%,14%,病院と診療所が36%,55%であった。実習内容もすべての学生が外来診療以外の地域医療活動を実習した.「実習は意義がある」のVASスコア(平均±SD)は77.3士24.3,86.8±16.3,また「地域の継続が必要である」は76.7±22.6,86.0士20.4と高く,学生から,実習は肯定的な評価を得た.地域医療への動機付けの点で重要な項目である実習前後で「地域医療は夢がある」のVASスコアは7.4,8.2,「地域医療はやりがいがある」は8.1,5.3と増加した(P<0.05).H12年度の結果から,(1)病院と診療所で実習を行う,(2)多くの地域医療活動を実習させるなどの実習プログラムがHl3年度に推奨された.H13はHl2に比べ「実習は意義がある」「実習の継続は必要である」「地域医療に夢がある」でそれぞれ9.6,9.2,5.7と高かった(P<0.05).また外来診療や病棟実習以外の地域医療活動9項目中5項目以上実施した群は4項目以下の群に比べ,「実習は意義がある」「地域医療を担う自信がある」「行政の人と話すのが苦にならない」がそれぞれ8.1,15.1,11.8と高かった(p<0.05).【まとめ】地域医療実習は学生の評価はよく,また地域医療への動機付けの点で効果があったと思われる.H13に推奨された実習プログラムにより,その教育効果が向上したと考える.
著者
阿部 雅二朗 丸山 暉彦 杉本 光隆 志田 敬介 仲川 力 藤野 俊和
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

不整地盤上作業機械とその運転者である人間よりなる系において、複雑条件下の機械転倒安全性を快適に確保するシステムの構築を目的に、運転室シミュレータと小型クローラクレーンおよびその支持地盤モデルよりなるリアルシミュレータに加え、クレーン-支持地盤系のバーチャルシミュレータを開発した。これらシミュレータより機械の転倒限界状態近傍における運転者の運転・生体特性と機械およびその支持地盤挙動との相関関係を総合考察し、転倒安全快適確保のための基本原理を示した。運転支援システムの試作および有用性確認も実施した。