著者
草部 浩一 丸山 勲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々が開発した電子の相関運動を表現可能とする新しい密度汎関数法によって、遷移金属酸化物など強い電子相関を示す物質の電子状態計算を行った。新手法の特許取得を行って情報公開を進めた。高温超伝導を示す銅酸化物において電子状態の評価を進め、未知の物質相を複数理論的に発見した。既存のHg系やTl系の置換系として見出したものであってこれらと同等の超伝導性を示しうるという理論結果を得た。さらに、α相MNX物質、アルカリドープされたピセンなどの超伝導物質、La2CuO4などの磁性体の電子状態計算を進め、グラフェン中の欠陥起源による強相関電子状態では実験グループとの共同で新構造の発見から決定までを行った。
著者
眞鳥 繁隆
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の腫瘍化機序を理解するために、PDGFリガンド、PDGF受容体の遺伝子異常を検索した。ほぼ全例でコラーゲン1A1-PDGFB融合が存在しコラーゲン1A2とPDGFBとの遺伝子融合は、我々が発見した1症例のみであった。受容体側の遺伝子異常は病理組織での解析で否定した。免疫染色でPDGF-Bの発現を高頻度で確認しPDGF-Bの発現の検索が他の間葉系腫瘍との鑑別の一助となることを確認できた。隆起性皮膚線維肉腫の腫瘍化機序としては全て、腫瘍細胞自身のPDGFの自己分泌により恒常的なオートクラインあるいはパラクラインにより、腫瘍性の増殖をきたすと結論した。
著者
石原 千秋
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

明治30年代の読者が馴染んでいて、なおかつ礎石文学と共通点を持つ女学生小説と家庭小説と漱石文学との違いを明らかにした。第一は、漱石文学の女性主人公は女学校を卒業して以降の女性の運命を書いたものであって、彼女たちは恋愛や結婚生活において自らを「謎」の存在とすることで、男性との関係にいおて主体性を確保したこと。第二は、漱石文学は明治31年に施行された明治民法を意識して書かれており、これは「家族小説」と呼ぶべきで、山の手に形成されつつあった新興の中間層に父権的資本主義下の近代家族の質を提示し続けたことである。
著者
ベンツ ヴォルフガング 矢崎 紘一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

深非弾性レプトン・ハドロン散乱過程におけるクォークの破砕関数についての理論解析を行った。クォークのスピンおよび横運動量を取り入れ、多重破砕過程を記述した。その際、3次元の運動量保存側およびアイソスピン保存側を表している和側を満たしている理論の枠組みを作り上げた。クォークのスピンに依存しない破砕関数をスピンに依存する破砕関数 (Collins 関数)が互いに連立していることが分かった。クォークのダイハドロン破砕関数に関して、破砕チェーンの中間状態におけるベクトル中間子の寄与を取り入れ、数値解析を使ってダイハドロンの破砕関数を定量的に予言した。ハドロン中の分布関数、形状因子および応答関数も求めた。
著者
河村 葉子 六鹿 元雄
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

昨年度の本研究において、ベンゾフェノン類のエストロゲン活性を酵母Two-Hybrid試験により試験したところ、ベンゾフェノン水酸化体19化合物中15化合物で活性がみられ、そのうち4化合物はビスフェノールAよりも強い活性を示した。そこで今年度は、チャイニーズハムスター卵細胞にヒトエストロゲンレセプターα(ERα)あるいはヒトアンドロゲンレセプター(AR)を組み込んだレポータージーンアッセイ系であるERα-およびAR-EcoScreen(大塚製薬)を用いて、ベンゾフェノンおよびその水酸化体のエストロゲン活性および抗アンドロゲン活性を調べた。その結果、ベンゾフェノンを含む18化合物でエストロゲン活性が見られ、中でも2,4,4'-trihydroxybenzophenone、2,4-dihydroxybenzophenone、3-hydroxybenzophenone等ではビスフェノールAとほぼ同等の活性であった。3または4位に水酸基をもつと活性が強く、2位のみでは活性が低い構造活性相関がみられた。本法と酵母Two-Hybrid試験で得られた活性強度には相関が見られた(r=0.79)が、両環に配位した水酸基の影響に相違がみられた。また、誘導された発光強度がエストラジオール(E_2)を上回るスーパーアゴニズムが多くの化合物で観察された。一方、抗アンドロゲン活性においては17化合物で活性が見られた。2,4,4'-trihydroxybenzophenone、2,2',4,4'-tetrahydroxybenzophenone等の活性が強く、これらはp,p'-DDEとほぼ同程度であり、IC_<50>の前後の化学物質濃度で細胞活性は70%以上あり、細胞毒性の影響はほぼみられなかった。これらのエストロゲン活性と抗アンドロゲン活性の強度には相関がみられた(r=0.68)。これらのベンゾフェノン水酸化体のうち、食品用器具・容器包装の紫外線吸収剤として使用される2-hydroxy-4-methoxybenzophenone、2,2'-dihydroxy-4-methoxybenzophenoneについて、製品中の残存実態を調査したところ、ポリエチレン50検体、ポリプロピレン39検体、ポリスチレン25検体、ポリ塩化ビニル39検体、ポリ塩化ビニリデン7検体からは検出されなかった。しかし、ところてんの包装容器(ポリ塩化ビニル製、1997年購入)から前者が70μg/g検出された。このほか、ベンゾフェノン水酸化体は日焼け止めや化粧品に使用され、またベンゾフェノンが体内で代謝されて生成することから、内分泌かく乱作用および人への暴露についてさらに検討が必要であろう。
著者
河野 秀俊 リ ツェンハイ
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

本研究では、ヌクレオソームにおける翻訳後修飾やヒストンバリアントの影響を全原子分子動力学シミュレーションで解析し、ヒストンH3のテール領域がアセチル化やメチル化されると、DNAが解離しやすくなることを見出した。また、新規のヌクレオソーム構造(ヒストン6量体のヌクレオソームとヒストン8量体のヌクレオソームが重なった構造)の構造を決定した。さらに、クロマチンの構造多様性は、H4テールの相互作用の仕方によって生み出されることを示した。
著者
能見 祐理
出版者
新潟薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アミノ基を有するビタミンはカルボニル化合物と競合的に反応することでメイラード反応を抑制するが、反応生成物の化学構造に関する報告は少ない。ビタミン由来メイラード反応生成物の探索を行った結果、ピリドキサミンとキシロースとの反応で生成する主要な化合物 (XP-1)を見出した。構造解析により、XP-1はキシロースとピリドキサミン各1分子から、水2分子、アンモニアと水素各1分子が脱離した構造に相当する新規物質であることが確認された。XP-1の生成条件の検討した結果、高温・短時間の加熱で生成しやすいこと、キレート剤の添加により生成量が増加すること、五炭糖だけでなく六炭糖からも生成することが明らかとなった。
著者
宮下 國生
出版者
関西外国語大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の主な目的は、アジアの主要7か国・地域に適用可能な物流競争力指標を新たに構築することによって、日本の輸入物流拠点の優劣を特定することである。そのために、2000-2011年パネルデータを用いて、計量経済学的方法によって、日本のフォワーダーのアジアローカルビジネスにおける高度物流事業である3PL事業の発展指標を把握するとともに、高度な先進国型物流に追いつくためにアジアのローカルビジネスを支えてきた環境的競争指標を数値化した。推定結果は、日本の支配的輸入物流ハブの優位が、韓国、タイ、マレーシアの順であること、一方WTO加盟後の中国は3PL事業発展指標において劣位にあることを実証している。
著者
徳永 健
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

従来のコンピュータに使用されている中央演算処理装置(CPU)に代わる次世代デバイスとして、4核Ru混合原子価錯体を用いた分子型量子ドットセルオートマトン(MQCA)論理回路に注目し、その実用可能性を探った。4核錯体の周辺に3組の入力を配置したモデルで論理回路としての動作をシミュレートしたところ、全16パターンの論理回路のうち10パターンで理想的に動作することが分かった。本モデルの論理演算時間は1 fs以内(THzオーダーのクロック周波数に対応)であることから、MQCAデバイスが従来型のCPUを上回る演算性能を有する可能性があることを明らかにした。
著者
山崎 博之 船越 哲
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本来Bリンパ球系の表面マーカーであるCD40を介したsignalが、ヒト悪性リンパ腫細胞の増殖を抑制する事が知られているこのが,我々はCD40刺激がヒト前立腺癌細胞の増殖も抑制するのではないかと考え、以下の実験を施行した.ヒト前立腺癌細胞株であるPC3及びLNCaPの細胞表面でのCD40の発現を,抗CD40抗体を用いて、flow cytometryにて検索した.これらがCD40陽性である事を確認した後,遺伝子組み替えにより作られた可溶性CD40ligandを用いて,MTT assayにてその抗腫瘍効果を検索した.PC3及びLNCaPは可溶性CD40ligandとともに培養する事により,その増殖が抑制された.このメカニズムを解明するため,現在TUNEL assay,電顕等にてアポプトーシスの存在の有無を検討中である.またin vivo studyのための基礎実験として,我々はこの細胞株の,severe combined immunodeficiensy(SCID)mouseへの移植実験を行った.まず,5X10^6個のPC3をマウスの腹腔内に注入したところ,第25-30日目で腹腔内播種または肝転移にて死亡した.これらの担癌マウスを,腫瘍接種3日後より可溶性CD40ligand10μgにて治療したところ,コントロール群に比べ,有意な生存期間の延長が得られた.今後はこのin vivoのデータを追試し,確認した後に論文とする予定である.
著者
平竹 潤 渡辺 文太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ヒトアスパラギン合成酵素(hAS)は、急性リンパ性白血病のアスパラギナーゼ療法において、再発や薬剤耐性を引き起こす原因酵素として注目されている。本研究は、hASを特異的に阻害することで、薬剤耐性を獲得した急性リンパ性白血病細胞に対して有効な新しい化学療法剤を開発することを目的としたものである。hASの反応機構にもとづき、その遷移状態アナログとなるN-adenosylsulfoximine およびその誘導体を合成した。その結果、hASを時間依存的に強力に阻害する化合物を得ることに成功し (Ki* = 7.6 nM)、アスパラギナーゼ耐性の白血病細胞に細胞死を引き起こすことを、世界で初めて示した。
著者
石川 陽子 西郡 仁朗 安達 久美子 三枝 令子 成瀬 和子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

EPA(経済連携協定)により来日したインドネシア人、フィリピン人を対象とした学習支援から、日本の看護師国家試験合格に向けた学習、異文化適応にかかる課題を明らかにした。英国におけるONP(外国人看護師研修)の視察から、教育機関と外国人看護師受入れ先の医療機関が連携して人材育成を行うシステムの日本への適用について検討した。
著者
権田 知也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究成果の概要(和文): 歯の欠損に関しては,特定の欠損形態において,より欠損が進み,咬合崩壊が起こるといわれているものの,成立機序および欠損拡大を防ぐ方法については,ほとんど検討されていない.そこで,欠損に応じた歯に加わる応力の特徴,また特定の歯に応力を集中させない対応策を明らかにし,欠損拡大を防ぐことをめざす研究を計画した.その結果,まず下顎遊離端欠損が大きくなるほど上顎前歯の負担は増加することが示された.それに対し,遊離端義歯により,上顎前歯の負担が減少することが示され,さらにインプラント支持遊離端義歯によりさらに上顎前歯の負担が減少することが示された.
著者
尾辻 泰一 ヴィクトール リズィー 末光 眞希 末光 哲也 佐藤 昭 佐野 栄一 マキシム リズィー 吹留 博一 渡辺 隆之 ボーバンガ-トンベット ステファン 鷹林 将 高桑 雄二 吾郷 浩樹 河原 憲治 ドゥビノフ アレクサンダー ポポフ ヴィチェスラブ スヴィンツォフ ディミトリ ミティン ウラジミール シュール マイケル
出版者
東北大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、グラフェンを利得媒質とする新規なテラヘルツ(THz)レーザーの創出に挑んだものである。第一に、光学励起したグラフェンの過渡応答におけるTHz帯誘導放出の室温観測に成功し、自ら発見したレーザー理論を実証した。第二に、グラフェン表面プラズモンポラリトンの巨大利得増強作用を理論発見し、独自の光ポンプ・近接場THzプローブ分光法により初めて実証に成功した。第三に、独自開発した高品質エピタキシャルグラフェン製膜技術とレーザー素子加工技術を用いて電流注入型グラフェンレーザー素子を試作評価し、100Kの低温下ながら、5.2THzの単一モード発振に初めて成功した。第四に、グラフェンTHzレーザー設計論を構築するとともに、より高利得化が可能な独自構造を理論実験両面から明らかにし、室温THzレーザー発振実現の見通しを得た。
著者
橋野 知子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日本経済史の分野における「比較産地発展史」の構築を目指し、西陣・桐生・福井における産地の発展を個々に詳細に分析すると同時に、新技術の導入と制度革新という観点から産地の共通点や相違点を明らかにした。さらに本研究は、産業集積研究が活発な開発経済学の分野と日本経済史研究との融合も試みた。その結果、東西の歴史的産地ならびに現代の途上国の産業集積において、共通した制度や仕組みが重要であったことが示された。具体的には、マーシャルの言う集積の外部経済を超えて、新技術の導入を支えた同業者組織の機能や地方政府のサポートという制度が、産地・産業集積の発展に普遍的に重要であったことが明らかにされた。
著者
塩塚 理仁
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、光応答性超分子ルテニウム(II)-白金(II)複合錯体の光物性及び電子物性を解明し、金属基板上へのルテニウム(II)-白金(II)超分子金属錯体の配列制御法の確立を目的とした。そこで直線的な構造を持ったルテニウム(II)-白金(II)複合錯体を新規に合成し、電気化学的及び光物理的な各種測定結果より、この複合錯体の光誘起電子移動過程に関する知見を得ることができた。更に、基本骨格となるルテニウム(II)錯体を独自に合成し、金基板上に自己組織化する方法で配列制御できることを電気化学的及び光物理的測定により明らかにした。
著者
江淵 直人 中塚 武 西岡 純 三寺 史夫 大島 慶一郎 中村 知裕
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

オホーツク海および北西北太平洋親潮域の高い海洋生物生産性を支えている物質循環のメカニズムを,海洋中層(400~800m)の循環と鉄の輸送過程に注目して,現場観測と数値モデルによる研究を行った.その結果,オホーツク海北西大陸棚起源の鉄分が,海氷の生成とともに作られるオホーツク海中層水によって移送され,千島海峡で広い深度層に分配された後,西部北太平洋に送り出されている様子が定量的に明らかとなった.
著者
森下 亨 渡辺 信一
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高強度レーザーを利用した、原子・分子の超高速実時間イメージングの理論および計算手法を開発した。高強度レーザー電場に誘起される再衝突電子過程を利用することによって、空間的には原子の内部構造(サブÅ)、時間的には電子の運動(数フェムト秒からアト秒領域)の超高分解能を達成することが可能であり、これによって物質の繊維における時間分解電子ダイナミクスの研究に新しい道が開け、またレーザーと物質の相互作用に関する深い理解を獲得した。
著者
植野 雅之 和田 慎二郎 木田 豊 上田 和浩 金村 仁 対馬 勝英
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

3DCGにおける造形能力を育成するための空間的・論理的な操作トレーニングとして,ゲーム的なフィードバックを持った空間トレーニングゲームを複数個考案し,実装をおこなった.また,それらの有効性を検証するための実験環境を構築し,それを用いて実験をおこなった.実験の結果,このようなトレーニングゲームにおいて,熟達者と初心者にパフォーマンスの差が明らかに見られること,フィードバック方法として,得点の表示・非表示,得点の提示方法によって,一定のパフォーマンスの差が見られること,トレーニング状況につられてパフォーマンスが短期的に向上するなどの現象を確認し,トレーニングシステムの設計に対するヒントを得た.
著者
松田 道行 今村 健志 清川 悦子 宮脇 敦史 根本 知己 岡田 峰陽 石井 優 福原 茂朋
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

平成26年度までの計画班員および公募班員の研究報告書を取りまとめ、編集作業を行った後、評価報告書を作成し、関係者に送付した。また、研究終了後も要望の強いDNAの配布や技術講習会も開催した。さらに、Web情報の更新も行った。平成27年度に新しい新学術領域研究「レゾナンスバイオ」が始まったので、この領域への情報の引き継ぎを行った。