著者
山口 一美 小口 孝司
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.83-91, 2000-10-25 (Released:2016-12-20)

The purpose of this study was to investigate the relationship between personality and employment and job satisfaction as an airline cabin attendant (CA) or customer service agent (CSA). Study 1 focused on the initial employment of CAs and CSAs. Study 2 dealt with subjects who succeeded in finding work as CAs and CSAs. Study 3 considered the factors leading to job satisfaction as CAs and CSAs. The subjects of studies 1 and 2 were 154 female students in a vocational school. The subjects of study 3 were 61 female CAs and CSAs. The results of study 1 demonstrated that a greater ability to modify self-presentation was significantly correlated with being employed in these positions. In study 2, lower sensitivity to expressive behavior in others and lower social anxiety were positively correlated with being employed later on. Public self-consciousness and duplicity were found in study 3 to have significant negative correlations with job satisfaction. Consequently, these results suggest that self-monitoring is a significant situational personality that is positively related to employment as a CA or CSA.
著者
入矢 玲子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1027-1035, 1993
参考文献数
21

ILLINETは,イリノイ州全体をカバーする規模のリソース・シェアリング・システムである。1960年代に組織づくりを始め,現在では公共,大学,専門など館種を問わない約2500館が参加し,年間の図書館間貸出冊数は200万冊を超える。この成功は「情報交換」面では,2000万件以上の資料が検索でき,よく改良された貸出システムをもつILLINET-オンラインが保証した。「モノの移動」の面では,ユニークな24時間図書館間バン配送システムが可能にした。さらに「ネットワーク」では,州を15のライブラリー・システムに分割して地域密着度を高めつつ,ILLINETがそれらを統合する高次のサービス組織となったことが注目される。「システム」として,ネット内に階層構造をつくり,サービスの質によって分担を変えたことも成功の大きな要因だろう。この基礎には,情報伝達の効率化への米国人の高い意識があり,それが,州・政府からの予算の額,法制化の迅速さに反映している。
著者
石井 聡
出版者
近畿大学経済学会
雑誌
生駒経済論叢 = Ikoma Journal of Economics (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.1-25, 2016-11-30

[要旨]本稿の課題は,国際労働機関(ILO)創設期における政・労・使三者構成のなかでのILO の議論やそこでの妥協はどのようなものだったのか,国際労働規制の影響力はどの程度のものであったのかについて,1919年の ILO 第1号条約(1日8時間週48時間労働制)を事例として検討することにある。影響力を検討するうえで,射程に入れるのは欧日の主要工業国である。今回は,連載の1回目となり,ILO 史研究の意義,研究史上の位置づけ,ILO 創設に至る経緯について検討する部分から構成されている。ILO 研究の意義としては,(1)産業革命以降の労働条件の改良と国際規制を目指す思想・活動が現実化したのが ILO であり,その活動と影響力の分析は,20世紀の労働史・社会政策史を考えるうえで不可欠の課題である点,(2)政・労・使の三者構成がとられている ILO は,経済と社会のバランスをどのようにとっていくのかという経済学の一つの根本的課題を考えるにあたって手がかりを与えてくれるのではないかという点,(3)ILO の創設期は,今日と並ぶような経済のグローバル化の時代であって,その時期の労働問題への国際的な対応を検討することからは,今日のグローバル化に伴う問題を考えるうえで示唆となりうる材料を得られるのではないかという点,を挙げている。[Abstract] The problem with this article is about the case that the first Convention of the ILO in 1919(Hours of Work)considers a treaty. This is a case about what the arguments of the ILO on the inside of the tripartite structure and compromises there were or to what degree of influence there was on international labor standard. It consists of the first part of the serialization and the part where we pick up on the significance of the ILO history study and the process to the ILO foundation. The significance of the ILO study are (1) it is the ILO that realized thoughts and activities aiming for improvement of working conditions and international regulations after the Industrial Revolution, and when the history of labor and social policy in the 20 th century is considered, the analysis of activities and influences of the ILO is an indispensable problem, (2) when considering the fundamental problem of economics as to how we can balance the market and regulations, we may be able to get some clues by how the ILO made its case under the unique tripartite structure, (3) the fledgling era of the ILO was a time when globalization expanded like today. As we consider labor problems during that time, we may be able to get the ingredients that can provide suggestions for our time now.
著者
加藤 祐三 新城 竜一
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1993年8月、沖縄島中部西海岸読谷村の海岸でハンマーの打撃で発火する物質の存在が確認され、これが天然の白リンであることが明らかになった。このリンの分布を明らかにすることと、実験にたえる量の試料を採集する目的で、第1発見地点付近を中心に、50m×36mの範囲を2m間隔のメッシュで切り、潮溜まりであるために採集できない場所を除いて系401個の試料採集を行った。採集した試料は水に漬けて実験室に持ち帰った。試料は白色の物が多いが、リンを含む地点の周辺では不規則に黒色に着色している。この黒色物質は不安定で、保管するうちに次第に消失し、試料全体が白色に変化していく。全岩分析をしてP_2O_5%を定量・比較すると、黒色部では明瞭に多く、0.15%以上、最大0.82%含有しているのに対して、白色部では平均0.10%である。これらの値は今回沖縄島各地で採集した琉球石灰岩の平均値0.05%より明らかに多い。リンを主成分とする唯一の造岩鉱物であるアパタイトの含有を、黒色部を粉末にし重液分離して調べたところ、極めて僅かであるが共生鉱物としての存在が確認できた。一方、白リンについてX線粉末回折実験を行った結果、人工合成したリンと、産状から見て人工物と判断されるフィリピンで発見されたリンの2試料には、リンのピークには一致しない不明のブロードピークが同じ位置に存在するのに対して、読谷村産のリンにはこのピークが認められない。このことは、このリンが前2者とは成因が異なり天然産であることの傍証となる。
著者
山下昇
出版者
東海大学出版会
雑誌
島弧と海洋
巻号頁・発行日
pp.179-191, 1970
被引用文献数
9
著者
坂元 昂 池田 央 牟田 博光
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.125-136, 1977-12-30

放送大学で将来採用する可能性のある学習形態を想定し,放送その他各種の情報媒体を総合的に活用してどこまで学習効果を高められるかを3科目について検証した.科目の最終学力成績を決める大きな要因は,3科目とも,基本的には個人の能力であるが,能力差を除いて考えれば,放送のみよりは通信教育を加えたほうが,さらにスクーリングを加えたほうが成績がより向上する.その他の要因として,科目によって異なるが,番組内容に対する興味,関心,予備知識の大小,などが成績に寄与しているといえる.成績以外の学習効果として,学習継続意欲をみてみれば,科目によって説明力の大きい変量は異なるものの,内容の興味,関心,期待の充足度,疲労など,概して情意的,態度的要因が寄与している.
著者
荒井 幸代 鈴木 香名子 大喜多 周
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

ナッシュ均衡が複数存在するゲームでは,エージェントが最適な唯一の解に収束するためのインセンティブが必要となる。本稿では,スタグハントゲームを用いてエージェントが協力してスタグ(鹿)を狙うように導く報酬関数を逆強化学習によって推定する方法を提案する.また,本手法に対して,通常のQ学習において「スタグを狙う行動を獲得させる」報酬を試行錯誤的に設計する方法とを比較し,提案手法の有用性を示す
著者
田中竜夫 著
出版者
東京修養社
巻号頁・発行日
1933
著者
三浦 弥生
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.182, 2006 (Released:2007-11-01)

分化隕石の多くは始源的希ガス成分含有量が少ないため、宇宙線照射起源や核分裂起源希ガス成分を研究するのに適している。講演者がこれまでに多数分析を行ったユークライトやオーブライト隕石(いずれも分化隕石の一種)について、(i) 測定値から宇宙線照射起源や核分裂起源希ガス成分を算出する手法、(ii) 得られた各成分の同位体組成、(iii) 宇宙線照射起源希ガスの生成率(81Kr-Kr法に必要なP81/P83の見積もり法を含む)、(iv) 地球大気起源希ガスの影響、等について検討を行った。これらについて報告する。
著者
宮 木 孝子
出版者
実践女子短期大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 = The bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.(1)141-(15)127, 2014-02-04

北原白秋と鈴木三重吉の大正四年から昭和八年に至る十八年間を、書簡を中心に考察する。彼らは既に定説とされている『赤い鳥』の児童芸術運動の中心人物の二人であるが、北原白秋の晩年の『多磨』における短歌論にも影響を与えたこの時期の関係を再考したい。 This paper focuses on the18years relationship between Hakushu Kitahara and Suzuki Miekichi from Taisho4to Showa8from the perspective of their letters.They had already been known as eminent members of "Akai Tori" 's juvenile art movement, but this periodis noticeable for the Theory of "Tanka" especially in "Tama" written by Hakushu in his later years.
著者
ギッツォーニ ルチアーナ
出版者
東京芸術大学
雑誌
東京藝術大学音楽学部紀要 (ISSN:09148787)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.A1-A13, 1994

C.シーヴォリは1815年10月25日ジェノヴァに生まれた。5歳でヴァイオリンの稽古を始め12歳でデビュー、N.パガニーニに「私の弟子と呼べる唯ひとりの人」と言わせるほどの力量で、その直後、パリで当時17歳のリストと共演して注目を集めた。1836年から5年間カルロフェリーチェ劇場で第2ヴァイオリンの主席奏者を務めた後、1841年から46年にかけてヨーロッバ各地を廻り著名な音楽家たちと共演しながら精力的な活動を展開、行く先々で大成功を修め、パガニーニの芸術の後継者と目されるに至った。ライプツィヒ滞在中にはF.メンデルスゾーンから交友を求められ、後に≪ヴァイオリン協奏曲ホ短調≫のイギリス初演を依頼されている。オペラ・コミック劇場でパガニーニの≪ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調作品7≫演奏の際指揮をしたベルリオーズは、シーヴォリの「イントネーションの正確さ、音色の美しさ、弓のしなやかさ」に舌を巻き、「大胆かつ巧み、情熱的で勢いにあふれ、表現力が豊かで天賦の才に恵まれている」と絶賛している。アメリカへ渡ったのは1846年であった。ジャマイカで黄熱病に感染したものの一命をとりとめ、1850年まで北アメリカの67都市からキューバ、リマ、リオデジャネイロその他の地へ好評のうちに公演を続けた。さて室内楽の分野では既に1834年にロンドンにおいて弦楽四重奏の演奏でデビューを果たし、1845年から46年の間にはベートーヴェン四重奏団の一員として、彼の弦楽四重奏の全作品を網羅した初の完全演奏を行っていた。さらに良い共演者と知り合い様々な編成で活発な活動を繰り広げたのは1851年から53年のことである。その後、個人的な不幸に見舞われながらも音楽に邁進、数々の栄誉に輝いた。ナポレオン3世を筆頭に御前演奏もしばしばで、ローマでは非公式に教皇に謁見した。受勲は五指に余り、1868年にシーヴォリに捧げられた劇場は今もフィナレマリーナに見ることができる。G.ヴェルディとの交際は1875年に始まり、翌76年には≪弦楽四重奏曲ホ短調≫のパリ公演の演奏を依頼された。作曲にも意欲を示し、二つのヴァイオリン協奏曲、有名なオペラの主題による変奏曲等その数は50にのぼるが、現在残っているのは≪グノーのファウストの主題によるヴァイオリンとオーケストラの為の幻想曲≫のみである。1880年代になると、各公演が好評だったにもかかわらず彼特有の激しい生活は影をひそめた。しかし病床のガリバルディを音楽で慰めたり、1887年ロッシーニの遺体遷移式の際にG線上で≪モーゼの祈り≫を奏でるなど、演奏活動は衰えを知らなかった。1892年、生まれ故郷ジェノヴァで好評裡に終えた演奏会を最後に自ら引退を決意、以後自宅で親しい友人たちと音楽を楽しみつつ余生を送った。パリ旅行中に病に倒れジェノヴァへ戻ったシーヴォリは、甥たちの手厚い看護も空しく1894年2月19日朝、帰らぬ人となった。死の2カ月前の手紙には、「ベートーヴェンの≪おおサルターリス≫をヴァイオリン用に編曲し、全部のヴァイオリンの調子を合わせました。それをいつ使えるか、神様だけがごぞんじです」と記されている。生涯独身を通し、音楽に情熱を傾け尽くした一生だったと言えるだろう。
著者
加藤,順三
出版者
造船協會
雑誌
造船協會會報
巻号頁・発行日
no.36, 1925-07-15
著者
三神 弘子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

<聖パトリックの煉獄>への贖罪巡礼が毎夏実施されるダーグ湖は、強烈な磁力をもった聖地として、アイルランド人の深層に刻みつけられている。本研究は、ダーグ湖の贖罪巡礼の800年以上におよぶ時間軸を意識しながら、主に19世紀前半から1980年代にかけて書かれたダーグ湖をめぐる諸作品を通して、アイルランド社会がいかに変遷したか分析を試みた。本研究は、以下の3つの観点から進められた。(1)ダーグ湖の贖罪巡礼をめぐる文学の文献研究。カールトンの『ダーグ湖巡礼』(1843)、ともに『ダーグ湖』と題された、カバナーとデブリンの1940年代に書かれたふたつの詩、ヒーニーの連作詩「ステーション・アイランド」(1984)を主に扱い、個人と国家のアイデンティティの問題、芸術的創造性の根源に関する葛藤の問題などについて分析し、ダーグ湖の巡礼が自己と社会を再考する上で、いかに大きな役割を果たしてきたかについて検討した。(2)今日のダーグ湖における賦罪巡礼の社会学的考察。ヒーニーの作品が書かれて20年が経過したが、その間、アイルランド社会がどのように変遷したか、分析検討した。対象としたのは、3日間にわたる巡礼の実体験と現地でのインタビュー(平成14年実施)、新聞記事、大衆文学(旅行記など)に描かれたダーグ湖巡礼などである。カトリック離れがさかんに論じられる現代アイルランド社会で、ダーグ湖への巡礼者の数が減っていない背景には、純粋な宗教体験とは別の、<ツーリズム>の要素があるのではないか、という仮説が導かれた。(3)日本における巡礼(特に四国八十八カ所遍路)、巡礼をめぐる文学との比較研究。ダーグ湖にみられるアイルランド贖罪巡礼の理解を深めるために、海外共同研究者のマッカートニー博士と四国遍路(の一部)をこ体験し、その体験が文学作品にどのようにあらわれているか(いないか)、共同討議をおこなった。
出版者
京都
雑誌
Asphodel (ISSN:02857715)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.97-114, 2015-07-26

The purpose of this study was to extract key words in English physical therapy articles using Random Forests. For the data analysis, the author compiled a corpus of English physical therapy articles (PT). The Corpus of Contemporary American English (COCA) Full-Text version, especially its sub-corpus "Academic Medicine" (CM), was used as a reference. Random Forests (RF), an ensemble classifier originally developed by Breiman (2001), was used to extract key words. Tabata (2012-a) utilized RF to spotlight lexical items that Charles Dickens consistently used. In the study, Tabata pointed out that measures used for key word analysis in previous studies, such as Log likelihood and Chi square tests, extract words that frequently appear in a single text as the key words in a whole corpus and proposed Random Forests as an alternative measure. The author hypothesized that using RF as a measure would extract the key words more consistently since previous studies on physical therapy English have not use RF for key word analysis and corpuses from other medical fields have not been used as references. In the results, words such as rehabilitation, motor, and mobility which are important in the field of physical therapy were extracted and the validity of the key words was demonstrated by an experienced physical therapist. These results confirmed that Random Forests can extract the key words which are consistently used in a corpus.