著者
日下田 岳史
出版者
大正大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

第一に、女性の大学教育にかかる事後的収益率の計測を行った。その結果、(1)学歴の主効果が最も高いのが高卒であるということ、(2)短大卒と働き方(ライフコース)との交互作用項は統計的に有意でないということ、(3)大卒と就業継続型のライフコース(育休含む)との交互作用項は統計的に有意であるということ、(4)就業継続型のライフコース(育休含む)の大卒女性の事後的収益率は、調査への回答時点で、1.025%だと推計されるということが、それぞれ明らかとなった。第二に、以上のような女性の経験や認知が、その子供(高校1年生)の認知と希望進路に対して如何なる影響を与えているのか検討するため、実証分析を行った。その結果、(1)母親の学歴や配偶者の年収は、母親が認識する教育上の様々な便益への認知を促し、それが子供に伝播するということ、(2)教育上の様々な便益に関する母子の認知のうち、子供の希望進路に有意な影響を与えるのは、母親のそれのみであるということ、(3)子供の認知が希望進路に影響を及ぼすという構図があるとすれば、それは母親の認知が無視されることによって生じる見かけの相関であるということが、それぞれ明らかとなった。以上の成果は後述の学会発表の形で公開されるともに、博士論文に反映された。第三に、母子を対象とする追跡調査を実施した。実施時期は、子供が高校3年生の3月(すわなち2018年3月)という、卒業後の進路が概ね確定したと思われる頃合いとした。
著者
原口 強 下田 一太 杉山 洋 登坂 博行 内田 悦生 山本 信夫 中川 武
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は密林に覆われた古代都市アンコール帝国の実像解明を目的としている.2012年に取得されたLiDAR地形データから作成した高分解能赤色立体図は密林下の地形と遺構を鮮明に描き出し,王都アンコール・トム周辺地域を含む往時の都市構造を解読することが可能となった.LiDAR地形データをベースに王都内の現況水路網の配水・排水検証と降雨に対する挙動を数値計算した結果、自然勾配を生かした水路網と溜池群などの水利都市構造が,雨季と乾季に二分されるこの地域の気象環境条件を克服し,多数の人口を維持するために機能していたことが推定された.
著者
小野 田元 小野 晃夫 下田 勉 小野 田憲 岩野 鐵夫 長崎 泰一 千葉 末作
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.151-157, 1998-09-30 (Released:2010-06-22)
参考文献数
16

水稲の周年養液栽培法と生産性の高い栽培技術を確立する目的で, 高圧ナトリウムランプとメタルハライドランプを設置した完全制御室, 太陽光併用高圧ナトリウムランプ室, 混合光室, メタルハライドランプ室および太陽光室を利用し, 1994~1995年に3回, 栽培試験を行った.PPFDの大きさは補光ランプを点灯した完全制御室>高圧ナトリウム室>混合光室>メタルハライド室の順で, 太陽光室は最も小さかった.PPFDは玄米重との間で有意な正の, 屑米重歩合との間では負の有意な相関がみられた.また, 玄米重を決定する変数増減法により重回帰分析を行った緒果, PPFDは第1ステップで取り込むと寄与率は96%で, 水稲の生育・収量に大きく影響を与えていた.とくに完全制御室と混合光室では, ランプの光合成増進効果により生育・収量は優るとみられた.また, 全平均照度は玄米重の決定に寄与するが, PPFDよりも寄与率は大きく劣るとみられた.このように, 高圧ナトリウムランプおよびこれとメタルハライドランプの混合光およびこれに太陽光を併用した場合は玄米重は増収し, 植物工場における増収技術になると考えられるが, 実用場面ではさらに検討を要する.本論文を作成するにあたり, 弘前大学農学部卜蔵健治教授から有益なご教示を賜った.また, 青森県農業試験場育種部長中堀登司光氏, 同前栽培部長玉川和長氏には調査にご協力を戴いた.ここに厚く謝意を表する.
著者
下田 和孝
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.754-757, 2012 (Released:2012-09-08)
参考文献数
36
被引用文献数
5 9 2
著者
下田 昌利
出版者
湘南工科大学
雑誌
湘南工科大学紀要 = Memoirs of Shonan Institute of Technology (ISSN:09192549)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.17-29, 2003-03-18

In this paper, a numerical shape optimization method of continua is presented for typical strength, rigidity and vibration problems in structural designs. As the strength problems, the minimization problem of maximum stress and the shape determination problems that achieve a given desired stress distribution are formulated. The rigidity problems involve the minimization problem of external work and the shape determination problems that achieve a given desired displacement distribution. Also, the vibration problems involve maximization of eigen frequency with mode tracking. Each problem is formulated and sensitivity functions are derived using the Lagrangian multiplier method and the material derivative method. The traction method, which is a shape optimization method, is employed to find the optimal domain variation that reduces the objective functional. The proposed numerical analysis method makes it possible to design optimal structures efficiently. Examples of computed results are presented to show the validity and practical utility of the proposed method.
著者
小野田 元 小野田 晃夫 下田 勉 小野田 憲 岩野 鐵夫 長崎 泰一 千葉 末作
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.151-157, 1998-09-30

水稲の周年養液栽培法と生産性の高い栽培技術を確立する目的で, 高圧ナトリウムランプとメタルハライドランプを設置した完全制御室, 太陽光併用高圧ナトリウムランプ室, 混合光室, メタルハライドランプ室および太陽光室を利用し, 1994~1995年に3回, 栽培試験を行った.<BR>PPFDの大きさは補光ランプを点灯した完全制御室>高圧ナトリウム室>混合光室>メタルハライド室の順で, 太陽光室は最も小さかった.PPFDは玄米重との間で有意な正の, 屑米重歩合との間では負の有意な相関がみられた.また, 玄米重を決定する変数増減法により重回帰分析を行った緒果, PPFDは第1ステップで取り込むと寄与率は96%で, 水稲の生育・収量に大きく影響を与えていた.とくに完全制御室と混合光室では, ランプの光合成増進効果により生育・収量は優るとみられた.また, 全平均照度は玄米重の決定に寄与するが, PPFDよりも寄与率は大きく劣るとみられた.このように, 高圧ナトリウムランプおよびこれとメタルハライドランプの混合光およびこれに太陽光を併用した場合は玄米重は増収し, 植物工場における増収技術になると考えられるが, 実用場面ではさらに検討を要する.<BR>本論文を作成するにあたり, 弘前大学農学部卜蔵健治教授から有益なご教示を賜った.また, 青森県農業試験場育種部長中堀登司光氏, 同前栽培部長玉川和長氏には調査にご協力を戴いた.ここに厚く謝意を表する.
著者
下田 功
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.173-175,167, 1960-02-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
36
著者
石田 和子 下田 薫 中村 美代子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-47, 2000-03

骨髄移植を受けた患者が退院後抱える適応問題を分析し,入院中における効果的な看護介入の方法を明らかにすることを目的に研究を行った。村象は同種骨髄移植を受けた40歳代の男性患者3名であり,半構成的面接法により1回につき30分から60分の面接を行った。面接内容を逐語録に起こし,ロイの適応モデルの自己概念様式,役割機能様式,相互依存様式を用いて分析した。その結果,自己概念様式としては「死への恐怖」「再発への不安」「夫婦関係」の3カテゴリーが抽出された。また役割機能様式では「経済的問題」「役割の変化」の2カテゴリー,相互依存様式では「食事に対する不満」「趣味の変化」の2カテゴリーが導き出された。以上のことより,1.「死への恐怖」「再発への不安」は病名告知時,移植を受容する時,移植後まで引き続く問題であり,患者とともに話し合い,患者の立場で生きる希望を失わず,頑張れるよう精神的な支えになることが必要である。2.「夫婦関係」「経済的な問題」「役割の変化」「食事に村する不満」「趣味の変化」は退院直後からの問題であり,家族を含む個別的な指導が必要であり問題が継続しないよう,患者と話し合うことが大切である。など有効な看護介入が示唆された。
著者
下田 吉之 高原 洋介 亀谷 茂樹 鳴海 大典 水野 稔
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.555, pp.99-106, 2002
被引用文献数
11 2

The energy flow which consists of inflow, conversion, consumption and discharge of energy is estimated for the region of Osaka Prefecture. To estimate energy flow in commercial and residential sector, we used not only the statistic but also our field survey results. We classified the phase of anthropogenic heat into sensible, latent and hot water discharge and examined the accuracy of the classification. The estimated energy flow is evaluated from the viewpoint of environmental impacts such as heat island, global warming and local/global atmospheric environment. Energy saving potential of heat cascading is also evaluated. In the final part of this paper, the impact of diffusion of DHC with cogeneration system in residential and commercial sector on total anthropogenic heat and emission is evaluated.
著者
下田 薫菜 田中 共子
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学
巻号頁・発行日
vol.3, pp.33-52, 2006

「ホストとの文化間距離が近い留学生はより適応に有利」とする予測を背景に、日本ホストと留学生を対象とするシリーズ研究の一環として、今回は留学生の比較対照となるホスト集団の情報を得ることを目的に、留学生版と同様の項目構成による調査を行った。集団主義-個人主義と高-低コンテクストコミュニケーションの「自己評定」と、周囲の人たちを評価する「日本人評定」を、日本人学生に求めた。集団の平均値と各自のスコアとの差(集合的文化間距離)、周囲の人への評価と自己評価の差(日本内文化間距離)を算出し、適応との関連を検討した。高コンテクスト度合いが、集団の平均値より自己評価の方が高い人は、平均と同じか低い人と比べて、対人関係や日本的規範への適応が良い。周囲の人より自分の方が集団主義度合いが高い、あるいは高コンテクスト度合いが高いと評価する人は、同じか低いとする人よりも、対人関係の適応が良い。留学生ではこれらの特性が日本人の平均に近いと適応的と推測されるが、日本人学生ではより高く持つ方が適応的であり、社会的に望ましい特性を備える有利さが示唆された。
著者
下田 博司 川守 秀輔 河原 有三
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.279-287, 1998-10-10
被引用文献数
11 25

スリランカに自生するニシキギ科の植物サラシア・レティキュラータ (<i>Salacia reticulate</i>) より得た水抽出物 (SRE) の, 食後の過血糖に及ぼす作用を, ラットおよびヒトボランティアで検討した。SREはショ糖, 麦芽糖およびα化デンプン負荷によるラットの血糖値の上昇を用量依存的に抑制した。しかしながら, ブドウ糖や乳糖による血糖上昇に対しては, 抑制作用を示さなかった。ショ糖に対する血糖上昇抑制作用は, 他の麦芽糖やα化デンプンより強く, ショ糖負荷直前の投与で奏効し, 投与量の増加に伴い作用の持続時間も延長した。<br>次に, 各種グルコシダーゼおよびα-アミラーゼに対する阻害活性について検討を行ったところ, SREは酵母およびラット空腸由来のα-グルコシダーゼに対して強い阻害作用を示すとともに, α-アミラーゼに対しても阻害作用を示した。一方, β-グルコシダーゼの活性には影響を及ぼさなかった。SREのラット空腸由来各種α-グルコシダーゼに対する阻害活性の強度は, スクラーゼ=イソマルターゼ>マルターゼの順であった。さらに, 健常人ボランティアにショ糖 (50g) を負荷した耐糖能試験において, SREはショ糖負荷5分前200mgの服用で, 30分後の血糖値を有意に抑制した。<br>以上の結果より, SREはα-グルコシダーゼおよびα-アミラーゼ阻害作用に基づく過血糖抑制作用を有し, ヒトにおいても少量で食後の過血糖を抑制することが明らかとなり, 糖尿病患者の食事療法に応用できる有望な食品素材であると考えられる。
著者
下田 和孝 中野 繁 北野 聡 井上 幹生 小野 有五
出版者
北海道大学
雑誌
北海道大学大学院環境科学研究科邦文紀要 (ISSN:09116176)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-27, 1993-03-30
被引用文献数
9

魚類群集への人為的影響を評価する目的で,知床半島の8河川で魚類相を調査し,標識再捕獲法による個体数推定を行なった.さらに,3河川では,知床半島の淡水域における優先魚種であるオショロコマについて,個体群構成を調査した.これらの調査の結果,国立公園に指定されているために,比較的良く自然状態が維持されてきた知床半島においても,魚類群集は砂防・治山ダムや遊魚などの人為的を受けていると考えられた.1.3科5属8種の魚類を確認した。これらの魚類は遡河回遊魚(カラフトマス,サクラマス,シロサケ),両側回遊魚(カンキョウカジカ,エゾハナカジカ,ウキゴリ,ミミズハゼ)および陸封魚(オショロコマ)の3タイプに大別された.2.遡河回遊魚は,堤高の小さい落差工の上流域においても生息が確認されたが,その上流に位置する堤高の高い落差工によって,遡上が制限されていると推定された.3.小型の底生性魚類である両側回遊魚の分布域は,主に最下流に位置する落差工よりも下流域に限定され,遡河回遊魚は遡上可能な堤高の小さい落差工であっても,両側回遊魚の遡上を制限している可能性が大きい.4.オショロコマの生息密度は,堤高の大小にかかわらず,落差工の上流・下流間では差異は認められなかった.しかしながら,砂防・治山ダムの設置にともなう土砂堆積のため,河床地形が改変されている場所では,オショロコマの生息密度は,自然河川に比べかなり低かった.5.遊魚漁獲による影響を受けやすいと考えられる河川のオショロコマは,河床地形が自然状態を維持している場合であっても,そうでない河川に比べ,生息密度が低いかあるいは,個体群構成が小型低年齢であった.
著者
下田 誠
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-136, 2008

筆者は2008 年8月26 日に上海博物館所蔵青銅兵器の調査を実施した。上海博物館は銘文を持つ戦国時代(紀元前5世紀半ばから紀元前221 年)製造の青銅器を多数所蔵する。 今回、総合的な金文著録である『殷周金文集成』(全18 冊、中華書局、1984 年~ 1994 年)に収録されている15 件の有銘青銅兵器について調査を実施した。本稿はその調査報告である。この15 件は戦国七雄の中でも中原に位置した戦国三晋諸国(韓・魏・趙)において製造された青銅兵器(以下、三晋兵器と略称)である。 2007 年4月、『殷周金文集成(修訂増補本)』(全8冊)が刊行された。本書は『集成』の修訂増補版であるが、とりわけ戦国青銅兵器部分について面目を一新する内容となっている。本調査は新版の性格と出版の意義を改めて示すことになった。本稿では実見した15 件の青銅兵器銘文の分析を基礎に、『集成』収録の三晋兵器全体(141 件)について旧版との移動を確認した。 検討の結果、新版では60% を超える新模本の作成が見られ、近20 年の戦国青銅兵器研究の成果をふまえた時期区分の精密化や新しい研究の積極的な採用など見られることを指摘した。本書は今後の戦国文字・戦国史研究の展開にかかせない必備の金文著録といえる。This article describes our investigation report which was carried out on bronze weapons at the Shanghai Museum, on 2008/08/26. The Shanghai Museum has a collection of numerous bronze weapons (of the San Jin 三晋), created during the Warring States Period in China. With the provision of scientifi c research expenses and also of support from all concerned, we were able to gain access to collections normally inaccessible. As a result of our investigation, we succeeded in confi rming the erroneous/missing world and phrases in Shiwen 釈文(The Chinese University of Hong Kong Institute of Chinese Studies,2001),which is supposed to contain the same contents as Yinzhou Jinwen Jicheng (Zhong Hua Book Co.1983 ~ 1994).The result of our investigation reveals the characteristic features of Yinzhou Jinwen Jicheng (revised and expanded edition)(Zhong Hua Book Co,2007), and also the signifi cance of its publication.
著者
高信 智加子 下田 芳幸 石津 憲一郎
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
no.7, pp.21-26, 2013-01

文部科学省の調査(2012)によると,平成22年度の中学生の不登校生徒数は97,428人であり,4年ぶりに10万人を下回ってはいたものの,依然として高い数値であると言わざるを得ない状況である。出現率は2.73%であり,37人に1人の割合である。これは,通常学級1つにつき1人存在するという計算になり,学校における不登校問題は現在でも大きな課題であるといえる。このような中,学校現場においては,1995年からスクールカウンセラーの配置がなれ,現在では全校配置となっている。さらに2008年からスクールソーシャルワーカーが設置されるようになり,それぞれについて様々な支援に関する報告がなされている(レビューとして有賀・鈴木・多賀谷,2010;井上,2008;井上・窪島,2008;若本・山下・下舞,2009)。しかし,このような現状の中で,中学校の教師自身が不登校状態の生徒や保護者に対してどのような支援を行っているのか,という点については,少数の事例を考察するタイプの研究は散見されるものの,実態を幅広く調査し分析したものは多くない。このような現状の中で教師の支援の実態を調査したものとして,例えば山本(2007)は小中高の教員を対象とした調査において,不登校状態を捉える尺度を作成して支援方法との組み合わせを検討し,自己主張ができない場合は学習指導・生活指導とともに家族支援が有効である,といった対応関係について考察している。また岸田(2012a)は小中学校の教員を対象に調査を行い,教師がうまくいったと認識している支援方法として,家庭との連携や心理面への支援が上位に来ることを報告している。ただしこれらの調査は,小中高といった様々な学校段階が含まれている。しかし,不登校は学校段階で出現率が異なっており(文部科学省,2012),また教科担任制といった制度の違いや発達段階の視点から考えても,各学校段階における不登校の状態像や教師に求められる支援方法は異なることが考えられる。以上のことから本研究では,不登校の出現が最も多い中学校の教師を対象とし,不登校生徒に対する教師の支援がどのように行われているかを調査し,効果のある支援のあり方について検討することを目的とする。