著者
中山 健二郎 松尾 哲矢
出版者
一般社団法人 日本体育学会体育社会学専門領域
雑誌
年報 体育社会学 (ISSN:24344990)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-75, 2021 (Released:2021-05-14)
参考文献数
35

The purpose of this study was to examine the reproduction of high school baseball “narratives” and its media effects focusing on media representations of the change in approach for competition and practice. Previous studies about high school baseball “narratives” focused on analyzing the “narratives” as a fixed structure based on ritual theory. However, only few studies have focused on the fluctuation, including the fluctuation and change, of the “narratives” itself. Therefore, it is necessary to analyze the reproduction of the “narratives”, while considering the change in approach for competition and practice in recent years. In the national high school baseball tournament in Japan called “Koshien”, tactical change from only one pitcher completing whole games to successive pitching has occurred in recent years. Following this tactical change, we analyzed messages and significations from media representations of complete games and games with successive pitching by a media text analysis of the sport documentary entitled “Fierce Battle Koshien”(entitled “Netto Koshien” in Japanese).The analysis showed that the media representation of complete games focused on the signification of “the spirit conveyed by the pitcher overcoming difficulties”, whereas that of games with successive pitching concentrated on the signification of “friendship conveyed by two pitchers working together”. It seems that both semantics “spirit” and “friendship” are elements of traditional high school baseball “youth narratives”. The present result therefore suggests that media representations in practice change within the possible interpretative framework of “youth narratives”. Further, the study suggests that through that media representation the framework of high school baseball “narratives” itself has been reproduced with the internal fluctuation of “how ‘youthfulness’ or ‘youth’ should be”.
著者
土田 満 伊達 ちぐさ 中山 健夫 山本 卓 井上 真奈美 山口 百子 岩谷 昌子 陳 浩 田中 平三
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.35-44, 1991 (Released:2010-04-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

健康な20歳代男子5人を被験者として, 連続3日間, ナトリウム (Na), カリウム (K), カルシウム (Ca), リン (P), マグネシウム (Mg), 亜鉛 (Zn) の出納実験を行った。この結果に基づいて, 摂取量と糞中, 尿中排泄量または血清中濃度との相関を解析した。1) 出納実験より, Na, K, Pは摂取量の大部分が尿中へ排泄されていた。摂取量に対する尿中への排泄率はNaが85%と最も高く, Pが84%, Kが74%であった。逆にCa, Mg, Znは糞中へ排泄される割合が高く, 尿中への排泄率はCaが38%, Mgは25%と低かった。 Znのそれは7.1%であった。2) 摂取量と糞中排泄量との相関を検討してみると, Kのみが統計学的に有意の正相関を示した。3) 摂取量と尿中排泄量との間には, Na (r=0.974) とK (r=0.891) が統計学的に有意な正相関を示した。4) 各ミネラルの摂取量と血清中濃度との間には, 統計学的に有意な相関関係が認められなかった。5) Na, K, Ca, P, Mg, Znの尿中, 糞中の量, 血清中濃度から各ミネラル摂取量を推定するには, 尿中クロール排泄量からの方法がよく知られている。今回の実験では, これをNa, Kの24時間尿中排泄量から求める方法の有用についても示した。
著者
中山 健夫
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.88, no.Extra1, pp.E2-E9, 2018-01-31 (Released:2018-02-28)
参考文献数
39
被引用文献数
2

Clinical practice guidelines (CPGs) are statements including recommendations that assist patients' and practitioners' decision making regarding high priority clinical issues to pursue better clinical outcomes for patients. Based on the body of evidence from systematic reviews, CPGs are developed considering their benefit, harm, and so on. With an increased interest in healthcare among the general public and improved infrastructure of information, the relationship between a patient and a healthcare professional has been rapidly changing. For CPGs to be adequately recognized and for them to play a larger/better role in society, it is necessary to use current best evidence judiciously and to facilitate considerations on multiple aspects including patients' values and ethical, legal, and economic issues. Furthermore, discussions by various players, not limited to healthcare professionals, are essential. Beginning with the brief history of evidence-based medicine, this article presents an overview of the present status and the future perspective of CPGs and associated matters.
著者
中山 健夫
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-46, 2016-04-30 (Released:2016-05-13)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

近年,国内においても医療における様々な大規模データベースが大きく発展しつつある。中でも保険者に由来する診療報酬明細(レセプト)は,母集団が明確であることと,全数把握であり,長期間の時系列変化を把握でき,外来での医療行為も把握できる点,医療費(チャージ)の情報を得られる,利用コストが低いことなどから研究活用も進んでいる。株式会社日本医療データセンター(JMDC)は複数の健康保険組合からの委託でレセプト(現在約270万人分)と特定健診結果を匿名化名寄せしてデータベース化している。このデータベースを用いて医薬品安全性におけるエビデンス診療ギャップの課題として,ステロイド長期処方患者における骨粗鬆症治療薬の予防投与,抗パーキンソン薬の安全性に関して薬剤添付文書の注意事項の遵守状況,医薬品以外の課題として壮中年期の虚血性心疾患患者における心臓リハビリテーションの実施状況を明らかにした。また健診データとレセプトデータの突合解析により,健診結果で指示された医療機関を受診していない者は,高血糖で約65%,高血圧で約90%に達することを明らかにした。厚労省の構築しているNDBへの期待は大きいが,膨大なデータを効率よく管理・運用するシステムの開発,ノウハウの蓄積はこれからの課題である。民間データベースはNDBと比べ規模的には限界があるが,数百万単位のデータを柔軟かつスムーズに扱える点は大きな魅力である。
著者
荒木 和夫 増澤 祐子 高橋 由光 中山 健夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.730-743, 2018-12-15 (Released:2018-12-27)
参考文献数
45
被引用文献数
1

目的 現行個人情報保護・研究倫理法制の体系と立法目的を明らかにすることにより,研究主体と研究対象の違いによる分類ごとに適用すべき個人情報保護・研究倫理関係法令等の適用関係を示す。学術研究目的による個人情報保護法令等の適用除外を考察することにより,改善点と今後の在り方を提示する。方法 系統的文献調査による記述的研究。「e-Gov法令検索」により,個人情報保護又は研究倫理に関する法令であって,人を対象とする医学系研究又はヒトゲノム・遺伝子解析研究に適用可能なものを選択した。薬機法およびGCP・GPSP省令等ならびに行政組織・手続等に関する法令は除外した。さらに,都道府県の個人情報保護条例(個条例)および対象法令に対応するガイドライン等を選択した。これらの法令等に基づき,個人情報保護と研究倫理に関する現行法体系とそれらの適用範囲・優先適用関係等を検討した。個人情報保護3法・個条例の目的規定および学術研究目的による適用除外規定の内容ならびに個条例の規定の地域的偏りを調査した。結果 個人情報保護に関する現行法体系は約2,000件の法令等を含む3階層から成ること,医学研究に関する個人情報の保護について包括的な法律がないこと,そのため研究主体の類型により適用法令等が異なることが明らかとなった。研究倫理は,医学研究の種類により適用法令等が異なっていた。個人情報保護法(個情法)は2つの目的を,行政機関個人情報保護法(行個法)と独立行政法人等個人情報保護法(独個法)は3つの目的を規定していた。学術研究目的の場合,個情法には包括的除外規定があるが,行個法と独個法は3つの個別除外規定を設けていた。個条例では,都道府県により規定の有無・内容にばらつきがあるが,国の法令と整合性を取るため要配慮個人情報に関する改正が相次いだ。結論 我が国の現行個人情報保護法令等の体系は「混合方式」と考えられる。さらに,(1)法令等の間で必ずしも整合性がとられていない,(2)研究倫理に関する包括的な法律はない,(3)研究主体の類型により適用法令が異なるため,学術研究目的による個人情報保護法令等の適用除外に違いがあるほか,とくに共同研究の場合は適用法令等の判別が複雑である。そのため,医療に関する個人情報については,今後,制度という大きな枠組みで,その保護,利活用および倫理問題について検討を進めることが不可欠と考えられる。
著者
鈴木 渉太 岡田 浩 中山 健夫
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.158-160, 2020-12-20 (Released:2020-12-29)
参考文献数
9
被引用文献数
2

著者らは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に関連して,薬剤師から外国人患者への情報提供を支援するために,都道府県のWebサイトから多言語で相談可能な連絡先情報を収集してまとめ,薬剤師向けのWebサイトで紹介した.COVID-19対策を機に,薬局には各施設での外国人対応を見直し,災害時だけでなく日常的にも外国人が安心して利用できる場となるように,受け入れ体制の整備が求められる.
著者
松永 浩昌 中野 秀樹 石橋 陽一郎 中山 健平
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.178-184,277, 2003-03-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

日本におけるサメ類の種別・漁法別水揚量を明らかにする目的で,主要な漁港で市場伝票整理に基づくサメ類の水揚量調査を行なった。製品重量では1992-98年の漁法全体で年平均19,600卜ン,延縄で15,000卜ンの内,ヨシキリザメが11,600トン(59%),11,000卜ン(73%)であった。更に生体重量に換算した結果,全漁法で年平均28,700卜ン,延縄23,400トンとなり,同様にヨシキリザメが18,800卜ン(66%),17,800卜ン(76%)であり,何れの場合も6~8割程度がヨシキリザメで占められていた。ヨシキリザメ以外ではネズミザメ,アオザメが10%前後,オナガザメ類が5%程度と,比較的多く水揚されていた。また,これら主要種の水揚量が減少しているような傾向は見られなかった。
著者
藤本 修平 尾川 達也 藤本 静香 中山 健夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.83-88, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
36
被引用文献数
3

〔目的〕共有意思決定における患者参加の促進・阻害因子に対する理学療法士・作業療法士の認識を明らかにすることとした.〔対象と方法〕理学療法士・作業療法士5名を対象とし,フォーカスグループインタビューにて患者参加に関する認識を調査し,内容分析を用いて患者参加の促進因子,阻害因子に分類した.〔結果〕促進・阻害因子の両方,促進因子,阻害因子について,それぞれ「意思決定に参加する患者の好み」,「療法士の知識」,「エビデンスの有無」に関するコードが多く抽出された.〔結語〕患者参加の促進・阻害因子として,療法士の知識やエビデンスの確立の必要性を認識していることが示された.
著者
森岡 美帆 久保田 賢 中山 健夫
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.272-277, 2014 (Released:2014-06-02)
参考文献数
8

本報告は、高齢者施設に勤務する管理栄養士・栄養士が、栄養ケア・マネジメントにおけるデータベース作成に要するパソコンスキルを学ぶために行われた研修会の成果を述べたものである。研修会のプログラムを開発するに当たって、まず栄養ケア・マネジメントのデータベース作成に必須と考えられる10のパソコンスキルを抽出。そのプログラムを用いて、高齢者施設勤務の管理栄養士・栄養士を対象にパソコンスキルアップ研修会を実施した。研修会後に、パソコンスキルの習得度、習得したパソコンスキルの業務への活用度、フォローアップ研修の希望などを調査した。12施設から14人の管理栄養士・栄養士が研修会に参加した。データベース作成に必要な10スキルの既習得者はファイルコピーが最多(3人)であり、シリアル値、PHONETIC関数、リストから選択は0人であった。研修直後の調査では、ファイルのコピー(12人)以外の9スキルを全員(14人)が理解したと回答した。研修後、業務に生かしたいと回答したスキルは、基本情報の入力に関わるスキル(シリアル値、DATEDIF関数・TODAY関数、PHONETIC関数)で、参加者14人中10人と最も多かった。3週間後の追跡調査で9施設がデータベースを作成し始めていた。研修前の栄養管理ソフトの使用の有無と、研修後の新たなデータベース作成には関連は無かった。データベースを作成し始めた9施設を含む10施設がフォローアップ研修を希望した。以上から栄養ケア・マネジメントにおけるデータベース作成のための、パソコンスキルを習得するのに研修会は有用であることが示唆された。
著者
山本 美智子 中山 健夫
出版者
日本薬学図書館協議会
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.190-202, 2008-07-31 (Released:2011-09-21)
参考文献数
38
被引用文献数
2

医薬品の副作用自発報告はシグナル検出の重要な手段である。欧米数力国では患者から行政への直接副作用報告がすでに始まっている。患者からの報告は, 医師からの報告が減少する中, 増加傾向にあり, 患者はファーマコビジランスの中心的役割を演じる存在として注目されている。患者は情報を知る立場であると同時に自らの情報を発信する役割も担いつつある。今回, 患者と副作用, その報告制度について, 経緯, 現状を紹介すると共に, その意義や課題についても考察する。
著者
中山 健 八田 万有美 西尾 憲二 中川 昌治
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.95-114, 2022-12-22 (Released:2023-11-16)
参考文献数
95

The recent remarkable development of the information society has brought about a great change in theliterate society. Writing by Chinese ink with an inkstone has become almost obsoleted. However, inkstones are stillone of the Japanese traditional handicrafts that are loved and treasured by calligraphers, painters, citizens who enjoycalligraphy, and arts and crafts enthusiasts. Until now, there has been limited about scientific research on traditionalChinese terms and notations related to inkstones, the functions of inkstones, natural figures on the inkstones, etc.We carried out preliminary petrological and mineralogical experiments of ink stones and reported its functional properties.In addition, domestic ink stone was also reviewed and the production environment was examined. In order to inheritthe unique Japanese traditional craft techniques, further contributions from geology, petrology, and mineralogy areexpected, such as elucidation of precise texture of inkstone and identifying high quality inkstone stone resources.
著者
須釜 淳子 石橋 みゆき 大田 えりか 鎌倉 やよい 才藤 栄一 真田 弘美 中山 健夫 野村 岳志 山田 雅子 仲上 豪二朗 佐藤 直子 柴田 斉子 長谷 剛志 深田 順子 三鬼 達人 有田 弥棋子 浦井 珠恵 大川 洋平 北村 言 臺 美佐子 高橋 聡明 玉井 奈緒 飛田 伊都子 野口 博史 松本 勝 三浦 由佳 向井 加奈恵 麦田 裕子 吉田 美香子 倉智 雅子 白坂 誉子 山根 由起子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.790-810, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
58

目的:本資料は,日本看護科学学会より公開した「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」の要約版である.方法:本診療ガイドラインは,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,研究エビデンスと益と害のバランス,患者の価値観などに基づき作成された.結果:身体診査技術を用いた系統的アセスメント,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,フードテスト,頸部聴診法,超音波診断装置による嚥下観察,内視鏡による嚥下観察に関するクリニカルクエスチョンをもとに,10の推奨が作成された.8つの推奨はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)2Cとして評価され,残りの2つはGRADEなしとして評価された.結論:看護ケアのためのアセスメントに焦点を当て,最新の知見を盛り込んだ信頼性の高い診療ガイドラインが作成された.本資料は要約版であり,臨床実践への活用が期待される.
著者
大寺 祥佑 金沢 星慶 金沢 奈津子 木内 隆裕 中山 健夫
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11025, (Released:2015-11-30)
参考文献数
28

【目的】本研究の目的は理学療法診療ガイドライン第1版の質を評価し,今後の改訂に向けて検討すべき課題を提示することである。【方法】AGREE II を用いて4人の理学療法士が独立にガイドラインを評価し,各ガイドラインの質の最終評価について合意を形成した。【結果】16件のガイドラインが評価の対象となった。領域別スコアの中央値(範囲:最小値~最大値)は,「対象と目的」54%(32~65%),「利害関係者の参加」38%(32~51%),「作成の厳密さ」35%(32~51%),「提示の明確さ」31%(26~47%),「適用可能性」9%(6~17%),「編集の独立性」19%(17~19%)であった。重要な推奨の明示に関する評価は,7段階リッカートスケールで中央値が3.0点(2.5~3.5点)であった。【結論】今後の改訂では,推奨の明確な提示や臨床における適用方法,利益相反の明示に留意するべきである。
著者
網谷 真理恵 中尾 睦宏 中山 健夫 端詰 勝敬 吉内 一浩 石川 善樹 乾 明夫 井上 茂 島津 明人 諏訪 茂樹 津田 彰 堤 明純 坪井 康次
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.37-40, 2015

<p>諸言 : わが国の医学教育においては, 行動科学が医学教育の中で独立したカリキュラムとして取り扱われることはほとんどなく, 体系的な教育はなされていない.<br>方法 : 日本行動医学会評議員に対するデルファイ法を用いた意見調査から明らかになった医学部卒業時に求められる行動科学に関するコンピテンシーを基に討議を重ね, アウトカム志向型のカリキュラム案を考案した.<br>結果 : 演習や実習を取り入れた, 行動科学1単位=15時間の学習モデュールを提案した.<br>考察 : アウトカムに到達するために, 疾患の全人的理解および行動変容を目的とするロールプレイなどを取り入れた実習・演習や, 実際の治療戦略を考案するPBL, TBL形式の学習を推奨したい.</p>
著者
行動医学コアカリキュラム作成ワーキンググループ 中尾 睦宏 中山 健夫 端詰 勝敬 吉内 一浩 堤 明純 石川 善樹 乾 明夫 井上 茂 島津 明人 諏訪 茂樹 津田 彰 坪井 康次
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.63-68, 2014

行動科学について、医学生が卒業時に求められるコンピテンシーを明らかにすることを目的として、デルファイ法による調査を行った。日本行動医学会教育研修委員会の下に設置されたワーキンググループで、行動科学(行動医学)に関して、医学生が卒業時までに身につけておきたいと思われる知識や技術(コンピテンシー項目)のリストアップを行い、日本行動医学会評議員111名に対して、2ラウンドのデルファイ様式のオンライン調査に参加を呼びかけた。電子メールによる呼びかけに対し26名が参加した。参加者のうち、17名は心理学、5名は臨床、2名は看護、5名は社会医学のバックグラウンドを有していた(一部重複あり)。8名は大学医学部での講義の受け持ちを持っており、教育歴は平均11年であった。2回の調査で「説明もしくは概説できる」と集約されたコンピテンシー項目は、ストレスとコーピング、動機付け、行動療法、認知行動療法、利用者-医療者関係、医療者関係、クオリティ オブ ライフ、ソーシャルサポート、セルフ・エフィカシー、刺激統制、リラクセーション法、アドヒアランス、服薬行動、傾聴技法および質問技法であった。「知っている必要あり」と集約されたコンピテンシー項目は、情報処理の自動化、ローカスオブコントロール、ティーチング、社会的認知、性行動、エンパワーメントであった。回答数は少ないものの、専門家からの意見として得られた今回の所見は、我が国の医学部における行動医学のカリキュラムを開発するにあたって参考になると考えられる。
著者
岡田 浩 鈴木 渉太 西村 亜佐子 池田 裕美枝 阿部 圭子 中山 健夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.11, pp.1275-1279, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Emergency contraceptive (EC) pills are used to prevent pregnancy after unprotected sexual intercourse. Levonorgestrel is an EC pill, which has been only approved in Japan; it is more effective the sooner it is used after intercourse and safe without serious side effects. EC pills are already available at accessible community pharmacies in more than 90 countries around the world. In Japan, citizens have signed a petition calling for the sale of emergency contraceptives at community pharmacies. However, little is known about the thoughts of pharmacists who engage with patients and sell medicines at pharmacies. Therefore, we conducted a web-based cross-sectional survey to determine the level of preparation in community pharmacies and the awareness of pharmacists regarding the sale of EC pills. A total of 1338 pharmacists responded to the survey from November 7, 2020, to December 16, 2020. In terms of the level of preparation for selling EC pills at pharmacies, 1067 (83.9%) respondents cited “lack of preparation of medical questionnaires and explanatory materials”, and 975 (76.7%) respondents cited “lack of knowledge of pharmacists” as the most common reasons that were “barriers to EC pill sales at pharmacies”. In terms of confidence level, only 289 (22.7%) respondents were confident about conducting the necessary checks while administering medicine. On the other hand, 944 (74.3%) respondents agreed to be able to sell EC pills at their pharmacies. The survey revealed that most of the pharmacists who participated in the survey believe that it is possible to sell EC pills in pharmacies.