著者
小池 幸人 中村 厚 澤渡 信之 戸田 晃一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 71.2 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.2859, 2016 (Released:2017-12-05)

木星の大赤斑をRossby波のKdVモデルによって理解しようと試みは古くから数多くなされている。YamagataとFlierlらにより提唱された中間地衡風(IG)力学は,その渦糸解の非対称性,すなわち低気圧が高気圧より極めて安定である等,大赤斑の特性を理解するうえで様々な利点がある。我々はWilliams-Yamagataの模型[1]にしたがって,大赤斑の安定性(長寿命)の起源を,特に,背景にあるKdV的な可解性との関連に焦点を当てて,詳細に議論する。参考文献[1] Williams, Yamagata "Geostrophic regimes, intermediate solitary vortices and Jovian eddies"
著者
中村 一文 赤木 達 岩野 貴之 江尻 健太郎 杜 徳尚 伊藤 浩 清水 一好 岩崎 達雄
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.7-12, 2021-08-01 (Released:2021-10-15)
参考文献数
26

肺動脈性肺高血圧症は血管収縮,血管リモデリングなどにより肺動脈内腔の狭窄・閉塞を来たし,肺動脈圧の上昇と右心不全を引き起こす疾患である。本稿では肺循環の生理と肺動脈性肺高血圧症の病態生理をふまえて治療法を述べてみたい。まず肺循環の生理には三つの特徴がある。1) 体循環系に比べて低圧系・低抵抗系かつコンプライアンスが大きい。2) 低酸素性肺血管攣縮がある。3) 三つの生理活性物質(プロスタサイクリン・一酸化窒素・エンドセリン)により調節されていることである。これらは早期発見・治療の重要性,酸素投与,三系統の特異的肺血管拡張薬についての理解にそれぞれ結びつく。次に肺動脈性肺高血圧症の病態生理として肺血管の収縮とリモデリングがある。これらは三系統の薬剤の初期からの多剤併用療法の必要性につながる。
著者
川地 康司 中村 陽一 尾崎 敏夫 亀井 俊彦 伴野 佳世 三木 聡 藤沢 謙次 安岡 劭 小倉 剛
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1664-1671, 1992-12-30 (Released:2017-02-10)

近年, 気管支喘息の病態における好酸球の役割が明らかになりつつある. 好酸球の増殖, 寿命延長に関与するGM-CSFに注目し, 気管支喘息患者の末梢血単核球のGM-CSF産生能を検討した. 末梢血単核球培養上清中のGM-CSFは, 健常人 (n=6), 他疾患患者 (n=13) では, 測定限界以下であったが, 気管支喘息患者 (n=12) では, 無刺激で12人中3人, IL-2刺激で12人中5人で検出された. また, ステロイド使用の喘息患者 (n=6) では, IL-2刺激で, 6人中1人に低濃度のGM-CSFが検出されたのみであったが, 非使用中の喘息患者 (n=6) では6人中4人で比較的高濃度のGM-CSFが検出された. IL-2刺激下での単核球培養の際に, in vitroでプレドニゾロンを添加しても同様の結果が得られた. さらに, 気管支喘息患者の単核球培養上清中にみられた好酸球寿命延長活性は抗GM-CSF抗体処理により抑制された. 以上の成績より, 気管支喘息患者では, 単核球のGM-CSF産生能が増強しており, これは気管支喘息の病態に何らかの関与をするものと考えられた.
著者
中村 英仁
出版者
日本スポーツマネジメント学会
雑誌
スポーツマネジメント研究 (ISSN:18840094)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.21-35, 2019 (Released:2020-03-04)
参考文献数
27

This paper examines why firms abolish their company sport clubs by using a deinstitutionalization concept and statistical analyses. Although literature has suggested reasons for the abolishment, little research has empirically studied them. Therefore, this paper does research on the mechanism behind the abolishment by looking at the influence of economic and social factors on it and conducting an event history analysis among 95 Japanese companies with a long distance club between 1992 and 2012. The results show that, as an economic factor, the significance of an economic crisis in the company influenced on the abolishment. On the other hand, social factors such as the employee downsizing, the increases in foreign shareholders and the normative pressure from the other firms had an effect, though interaction terms between economic and social factors did not. Based on these findings, the contributions of this paper will be discussed.
著者
荒井 弘和 中村 友浩
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.213-219, 2009-06-30 (Released:2009-11-05)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

The present study was aimed at exploring the barriers and facilitators of physical activity and exercise among the parents of children with intellectual disabilities. A qualitative study related to barriers and facilitators was conducted on 42 parents of children with intellectual disabilities through an open-ended questionnaire. Content analysis was performed by the KJ method (Kawakita, 1970), i.e., the barriers and facilitators of physical activity and exercise, by eight members. Consequently, 58 responses as barriers and 46 responses as facilitators were reported. Through the KJ method, nine items were categorized as barriers, and 10 as facilitators. In specific terms, the following items were categorized as barriers: “Too busy,” “Bad physical condition,” “To have to care for one's family,” “Not enough psychological status,” “Bad weather,” “Insufficient information,” “Not economically viable,” “Nowhere to exercise and conduct physical activity,” and “Nobody to do it with.” The following items were categorized as facilitators: “To have people to do it with,” “A good environment and weather,” “Time,” “To enhance one's athletic performance,” “To be fun,” “To have a goal,” “To feel good,” “Not to have care-giving obligations,” and “To have already paid for membership fees.” The results of our study show that the parents of children with intellectual disability should utilize their family members not as a barrier but as a facilitator. The results of this study are expected to be used as basic data to support parents' physical activity and exercise behavior.
著者
中村 一基
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

冬虫夏草は古来より中国において滋養強壮薬として用いられており、また、その特有の成分としてコーディセピン(3' -deoxyadenosine)を含有している。平成18年度は、コーディセピンの生体内分解酵素であるアデノシンデアミナーゼの阻害剤である2' -deoxycoformycin(DCF)を併用することによりWECS及びコーディセピンの抗がん作用がどの程度増強されるかをin vitroにおいて検討した。その結果、WECS及びコーディセピンの抗がん作用はDCFの併用により著しく増強され、WECSで約3倍、コーディセピンで約300倍有意な活性亢進が認められた。平成19年度は、マウスメラノーマ細胞をC57BL/6Crマウスの足蹠皮下に接種するin vivo自然がん転移モデルを用いて、WECSのがん転移抑制作用をモデルマウスの生存日数延長により検討した。その結果、in vitroにおいてWECSの抗がん作用を3倍増強させたDCFは、腹腔内投与により単独あるいはWECSとの併用のいずれにおいてもがん転移抑制作用を示さなかった。一方、WECS 10mg/kgをがん細胞接種日から7日間連続1日1回及び原発巣切除翌日から7日間連続1日1回腹腔内投与したマウスの生存日数は、がん細胞接種後53日以内に全例が死亡した対照マウスと比べて有意に延長された。また、WECS 10mg/kg投与マウスの6匹中3匹はがん細胞接種後110日以上生存し、さらに、体重減少や脱毛などの副作用は観察されなかった。なお、WECS3mg/kgの投与量では、有意ながん転移抑制効果は認められず、WECS 100mg/kgの投与量では、対照マウスに比べて有意な体重減少が認められた。従って、WECSを臨床応用するためには、有効成分を出来るだけ絞り込み、抗原性を押さえ込んだ注射剤として開発することが、最も有力な方法であると結論付けられた。
著者
中島 明日佳 船山 道隆 中村 智之 稲葉 貴恵
出版者
認知リハビリテーション研究会
雑誌
認知リハビリテーション (ISSN:24364223)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-39, 2021 (Released:2021-10-11)
参考文献数
8

・Real-time support with Internet of Things might be practical for cognitive dysfunction, e.g. an automatic reading-out system for dyslexia and a remainder with smart speaker for attention/executive dysfunction.・Rehabilitation with Internet of Things might have great potential for supporting patients with cognitive dysfunction.
著者
谷崎 勝朗 高橋 清 上田 暢男 斉藤 勝剛 細川 正雄 小野 波津子 石橋 健 合田 吉徳 中村 之信 佐々木 良英 守谷 欣明 木村 郁郎
出版者
Okayama Medical Association
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9-10, pp.1261-1265, 1977-10-30 (Released:2009-08-24)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

A skin test using buckwheat extract was performed on 182 cases of bronchial asthma. Thirty-three of them showed a positive skin test to buckwheat extract.Buckwheat allergy (bronchial asthma, urticaria, allergic rhinitis, allergic gastroenteropathy and allergic conjunctivities) was found in 19 (57.6%) of the 33 cases showing a positive skin test to buckwheat extract.Basophils from 8 cases of buckwheat asthma showed a strong response to buckwheat extract, although basophils from 10 cases with a postive skin test only, without buckwheat allergy, did not response to buckwheat extract.Bronchial asthma induced by buckwheat (16 of the 19 cases) had some special features. Their asthma attack was induced by the introduction into the body through either mouth or airway and started in childhood. Buckwheat pillows were used in 13 of the 19 cases. Ten of the 13 cases obtained alleviation of asthma upon discontinuation of buckwheat pillows. Most of the buckwheat asthma patients showed a high serum IgE level and had a hereditary factor. The results showed that cases of buckwheat asthma might be sensitized in their childhood.
著者
中村 雅俊 池添 冬芽 梅垣 雄心 西下 智 小林 拓也 藤田 康介 田中 浩基 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

<b>【はじめに,目的】</b>臨床において,腸腰筋の短縮による股関節伸展制限や股関節屈曲拘縮は問題となることが多く,腸腰筋の伸張性を維持・改善するためにストレッチングがよく行われている。ストレッチングの基本的な方法は筋の作用と反対方向へ伸張することであり,腸腰筋のストレッチングとしては股関節を伸展する方法がよく用いられている。しかし,腸腰筋には股関節屈曲作用に加えて,腸骨筋では股関節外転および内旋,大腰筋では股関節内転および外旋作用があると報告されている。そのため,股関節伸展に加えて股関節の内・外転もしくは内・外旋を加えることで,より腸腰筋は伸張される可能性が考えられる。近年,せん断波エラストグラフィー機能により,組織に伝わるせん断波の速度を測定し,組織の硬度(弾性率)を算出することが可能になり,弾性率は筋の伸張の程度を反映していることが報告されている。そのため,この弾性率は腸腰筋のような深部筋の伸張程度を非侵襲的に評価できる有用な指標とされている。本研究の目的は,股関節伸展に股関節内・外転や内・外旋を加えることで腸腰筋をより伸張できるかどうかを明らかにすることである。<b>【方法】</b>対象は下肢に神経学的及び整形外科的疾患を有さない健常若年男性10名(平均年齢23.6±2.2歳)の利き脚(ボールを蹴る)側の腸腰筋とした。対象者をベッド上,背臥位にて安静にした安静時と,ストレッチング肢位は反対側の股関節を最大屈曲することで骨盤を後傾位に固定し,検査側の膝関節は大腿直筋の伸張の影響を考慮し,軽度屈曲位とした状態を基準とした。その後,対象者が痛みを訴えることなく最大限耐えうる角度まで他動的に股関節伸展する条件(伸展)と対象者が最大限耐えうる角度まで股関節内転,外転,内旋・外旋した状態から最大限股関節伸展する条件(内転,外転,内旋,外旋)の計5条件とし,安静を加えた6条件の施行は無作為の順番で行った。腸腰筋の弾性率(kPa)の評価は,SuperSonic Imagine社製超音波診断装置のせん断波エラストグラフィー機能を用い,大転子の高さの鼠径部で腸腰筋を同定し,測定を行った。弾性率の測定は各条件2回ずつ行い,その平均値を解析に用いた。弾性率は筋の伸張の程度と高い相関関係を示すことが報告されており,弾性率が高いほど,筋は伸張されていることを意味している。統計学的検定は,各条件における腸腰筋の弾性率をBonferroni補正におけるWilcoxon符号順位検定を用いて比較した。なお,有意水準は5%未満とした。<b>【倫理的配慮,説明と同意】</b>本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て(承認番号E-1162),文書および口頭にて研究の目的・趣旨を説明し,同意を得られた者を対象とした。<b>【結果】</b>腸腰筋の弾性率は安静時24.6±19.4kPa,伸展71.7±45.0kPa,内転60.9±27.2kPa,外転78.3±45.1kPa,内旋115.8±49.9kPa,外旋93.5±45.7kPaとなった。統計処理の結果,安静時に対して伸展,内転,外転,内旋,外旋のすべてのストレッチング条件で有意に高値を示した。また,伸展の弾性率と比較すると,内旋では有意に高値を示したが,内転と外転および外旋では有意差は認められなかった。<b>【考察】</b>本研究の結果,安静時と比較して全てのストレッチング条件で弾性率は有意に増加したことから,本研究で用いたストレッチング肢位はいずれにおいても腸腰筋を伸張することが可能であることが明らかとなった。また,伸展と比較して内旋で有意に増加したことから,一般的によく用いられている腸腰筋のストレッチング法である股関節伸展方向へのみのストレッチングよりも股関節伸展に内旋を加えることで,より腸腰筋を伸張できることが示唆された。その理由として,腸腰筋のなかで大腰筋は股関節外旋作用を持つと報告されており,股関節伸展に内旋を加えることで大腰筋がより伸張された可能性が考えられる。一方,他の肢位で腸腰筋がより伸長出来なかった理由として,腸骨筋は安静時には外転の作用があるが,内転すると内転作用に変化するため,内転することで腸骨筋が緩んだ可能性が考えられる。また,股関節伸展に外転・外旋を加えると腸骨大腿靭帯が伸張されるため,股関節伸展に外転や外旋を加えたストレッチング条件の最終可動域では腸腰筋よりも腸骨大腿靭帯が伸張され,腸腰筋の弾性率の増加にはつながらなかった可能性が考えられる。<b>【理学療法学研究としての意義】</b>臨床において腸腰筋のストレッチングは股関節伸展が用いられることが多いが,股関節伸展に内旋を加えることで,より効果的に腸腰筋を伸張することができることが示唆された。
著者
中村 勝哉 関島 良樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.588-593, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
30

近年の遺伝子解析技術の進歩により,様々な遺伝性神経疾患の正確な診断が可能になっている.さらに,遺伝性ATTRアミロイドーシス,脊髄性筋萎縮症,デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは,核酸医薬などの画期的な疾患修飾療法が登場しており,脳神経内科医にとって発症前診断への対応を含めた遺伝医療の知識と実践能力の重要性が増している.遺伝性神経疾患の患者のみならず,患者家族に対する遺伝カウンセリングの必要性も今後更に高まると考えられ,人材育成を含めた遺伝カウンセリング体制の整備が急務である.
著者
中村 武司 来間 健次 嶋崎 孝行 斎藤 国弘 島田 豊明 小武山 温之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.191-194, 1973-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

リゾープス属菌, ムコール属菌により製麹試験を行ない, その分析結果,・官能試験結果より, 清酒醸造に応用可能でしかも芳香生産性のRhizopus delemarIAM-6038を選択しだ。この菌を使用して製麹し, その生産する酸を利用して乳酸を使わない清酒の仕込を行なった。生成酒は白ブドウ酒タイプの淡麗な酒質であり, アミノ酸が少なく, 滴定酸度は多かったが酸味が強いという感じはしなかった。